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日経社説 経済危機が促す自動車産業の進化(4/20)
 自動車産業の苦境が長期化している。昨秋の米リーマン・ショックを機に、日米欧の主要市場で新車販売が急減し、半年たった今も本格的な立ち直りの気配は見えない。
 日産自動車カルロス・ゴーン社長によると、2009年3月期は6200万台だった新車需要が、10年3月期には5400万台まで減少するという。クルマ1台の平均単価を150万円とすれば、12兆円の需要が消えてなくなる計算だ。
成長から生き残りへ
 未曽有の危機に直面して、自動車各社は「成長」から「生き残り」に経営の軸足を移した。日産自動車は毎年5%の売り上げ増をめざす中期経営計画を凍結し、現金収支の黒字化を経営目標に掲げた。
 小型車に強いスズキは鈴木修会長兼社長の号令で、消しゴム1つ買うにも会長決裁がいるケチケチ作戦を展開中だ。「業績が好調だった時代にコスト構造が緩み、『乾いたぞうきん』どころか『ずぶぬれのぞうきん』になっていた。これをたたき直す」と鈴木会長はいう。
 各国政府も基幹産業の危機を座視できない。米政府は米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーに公的融資を供与している。
 米世論は2社の救済に否定的な意見が多いが、雇用などへの影響を考えると、何の備えもなく両社を倒産させる選択肢は取れなかった。フランスやロシアでも政府が自国メーカーへの低利融資に踏み切った。
 需要喚起のための助成措置も世界に広がっている。ドイツでは車齢9年以上の古いクルマを新車に買い替えると2500ユーロ(32万円)の補助金が支給される。日本でもドイツに倣った補助金の支給が追加経済対策に盛り込まれた。
 こうした施策は1つ1つを見れば妥当な措置といえるが、全体として浮かび上がるのは政府依存を深める自動車産業の姿だ。「政府支援が民間企業の生き残りの決め手」という事態は、正常なものではない。この状態からどうすれば脱却できるか、自動車業界は痛みを覚悟の上で一歩を踏み出す必要がある。
 まず取り組むべきは、過剰生産能力を解消し、需要水準にマッチした生産体制に移行することだ。
 GMは2012年までに米国にある47工場のうち、14工場を閉鎖する計画だが、スピード感に欠ける。より素早く計画を実行に移す手段をGM労使や米政府が一体になって考えるときだ。米クライスラーは伊フィアットと提携交渉中だが、世界規模の再編集約も生産能力の過剰や競合プレーヤー数の過剰を整理するための1つの道筋だろう。
 危機を経て自動車市場の姿が大きく変わるのは必至だ。日本メーカーのドル箱だった米国市場は需要が戻ったとしても、以前の水準に届かず、8割程度にとどまりそうだ。車種構成も廉価な小型車の比重が高まり、高収益の復活は望み薄である。
 一方で成長が期待できるのは中国やインドなどの新興国市場だ。人々のクルマへのあこがれは想像以上に強く、政府が需要喚起策を導入したとたんに新車販売が急回復した。
 こうした市場では、売れ筋のクルマも日米欧とはひと味違う。インドのタタ自動車が約20万円の超低価格車「ナノ」を発売して注目されたように、低価格の追求がカギを握る。日本企業にとっては、コスト競争力が試される局面だ。
 もう1つ忘れてならないのは環境対応だ。地球環境問題に関心が高まるなかで、化石資源を燃やして走る自動車の基本構造が変革を迫られている。足元の経済危機に対応しつつ、長期の課題である環境技術の開発を同時並行で進めることが自動車産業に課せられた使命である。
新たなライバルの登場
 エコカー環境対応車)は、トヨタ自動車やホンダなど日本勢がリードしてきた分野だ。「危機の効用」ではないが、各国の新車購入助成がエコカーの普及を後押しすれば、日本企業の商機も広がるだろう。
 ただ、長期でみれば環境技術をめぐる競争の激化は必至だ。ライバルは既存の自動車会社だけではない。新型電池を研究する米シリコンバレーベンチャー企業や、各国政府傘下の研究機関、さらには電機メーカーも潜在的な競争相手である。
 技術が変われば、産業の秩序も変わる。現時点の日本勢のリードは序盤戦のリードにすぎず、研究開発の一段の強化が求められる。
 自動車産業に深い危機を刻んだ2008年は世界初の量産車「T型フォード」が誕生して100年の節目だった。トヨタ豊田章男次期社長は「次の100年も社会が自動車を必要とするのか、今が瀬戸際だ」という。
 日本経済をけん引した自動車産業がV字型の復活は無理としても再生の手がかりをつかみ、将来の成長に向けて布石を打てるかどうか。私たちも注目したい。



仮想空間キャラの著作権保護 政府がガイドライン策定へ実証実験
 政府は、米リンデンラボ社の「セカンドライフ」などや国内のココア(東京)による「ミートミー」などで知られるインターネットの3次元仮想空間上で売買されるアイテムや人物などキャラクターの著作権保護に乗り出す。購入したキャラクターに少し手を加えただけのものを、再販する動きが広まっており、日本人制作者の著作権を守るのが狙い。実証実験を通じてキャラクター売買に関する課題などを検討し、制作者の利益を守れるようなガイドラインを年度末にも策定する。総務省が21日にも発表する。
 実験は総務省の支援を受けて国内で展開している3次元仮想空間上で、利用許諾を得たキャラクターを、数百人規模のクリエーターがまず自由に手を加え、売買できるようにする。その後のキャラクターがどのよな流通過程をたどるかを調査、検証して、1次制作者にも利益が還元される仕組みを構築する。
 今夏にも実験を受託する団体などを選定。年度末まで実施し、その結果を受けガイドラインを策定し、3次元仮想空間の運営会社や出展企業などに通知する。実験では、音楽や映像ファイルなどのコンテンツも対象にする予定。
 政府は海外の3次元仮想空間運営会社にも同様の取り組みを働きかける。海外で人気の日本人制作者によるキャラクターの著作権を保護するため。
 3次元仮想空間では、パソコンで作成したキャラクターなどを作成者が他のユーザーに販売することができる。アニメのキャラクターなどの制作能力が高い日本のクリエーターにとり、有望なビジネスの場になると期待されている。だが、購入者がキャラクターを少し変えて別のキャラクターを作り、再販することも可能で、1次制作者の著作権が認められていないと指摘する声があがっている。



富士電機昭和電工など、環境車向け新素材開発
 富士電機ホールディングス、昭和電工など、重電、石油化学、電機メーカーがハイブリッド車など環境対応車向け新素材の開発を本格化する。環境車の低価格化や性能向上につながる新素材を開発し、成長が見込める環境車市場に参入する狙い。環境車の性能を引き上げる半導体や電池の開発が進めば、世界の環境車市場でも日本メーカーの競争力が増すことになる。
 重電準大手の富士電機独立行政法人産業技術総合研究所茨城県つくば市)と共同で、電池の電流や電圧を効率よく制御するパワー半導体を開発する。基板材料に炭素の化合物である炭化ケイ素(シリコンカーバイド)を使い、1回の充電で走行できる距離を1割程度伸ばす。5年以内の実用化を目指す。



コールセンター、在宅勤務で1万人登録 NTT系
 NTTグループが出資するIT(情報技術)ベンチャーとNTT東日本子会社のコールセンター大手は今夏にも、自宅の電話で消費者からの問い合わせに応じる「在宅コールセンター」事業を始める。企業での勤務経験を持つ主婦などを中心に、年内に首都圏で1万人の登録者を募集する。登録者は個人事業主として同ベンチャーと契約し、1時間単位で就業時間を設定できる。在宅勤務の新しい形として注目されそうだ。
 在宅コールセンターはNTTのベンチャー投資ファンドが出資するブロードアース(東京・渋谷)とNTT東の子会社でコールセンター4位のNTTソルコ(東京・港)が運営する。5月から東京都内でオペレーターの募集を開始。まずソルコの顧客企業からの受注を目指す。



エンジェル税制、利用最多 08年度、新制度導入を契機に
 ベンチャー企業への投資を優遇する「エンジェル税制」を利用する企業が急増し、2008年度に利用企業の数が過去最高に達したことがわかった。新たなエンジェル税制が導入され、投資家が税優遇を受けやすくなったことが背景にある。個人がベンチャー企業に直接投資する額も急増。世界同時不況の逆風が吹くなかで、税優遇をきっかけに日本のエンジェル投資が上向きつつある。
 政府がエンジェル税制を創設したのは1997年度。制度は拡充されてきたが、利用は低迷していた。投資するベンチャー企業以外の株式を売却し、利益を得た個人投資家しか税優遇を受けられないことに原因があったとの指摘が多かった。



外国人受け入れ、高技能者を優遇 推進会議最終案
 専門的な知識を持つ外国人の受け入れ拡大策を官民で話し合う政府の「高度人材受入推進会議」(議長・田中直毅国際公共政策研究センター理事長)の最終報告の素案が明らかになった。学歴や語学力、年収などを基準に外国人の能力を測るための「ポイント制度」を導入。高い技能を持つ外国人には在留資格の延長や永住権取得までの期間短縮などで優遇し、日本に長期間滞在しやすい環境をつくる。
 推進会議は具体策をさらに詰め6月中に最終報告をまとめる方針。内容は政府の経済財政運営の基本方針「骨太方針2009」に反映する。



欧州中銀総裁、欧州経済「10年に回復」 量的緩和視野に
 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は日本経済新聞社とのインタビューで、欧州経済が「2010年に緩やかに回復する」との見通しを示した。輸出減速などで09年は「非常に厳しい年になる」が、各国の財政出動やECBの利下げの効果が景気後退に歯止めをかけると強調。経済混乱が続く中・東欧の支援など不安材料が山積するなか、量的緩和策の導入を視野に入れる構えだ。
 世界的な消費や設備投資の冷え込みでユーロ圏では鉱工業生産指数などが悪化し、失業率も大幅に上昇している。ドイツ自動車産業のユーロ圏外での売上高は前年に比べてほぼ半減。先行き不安から企業は一段と投資を手控え、銀行は信用リスクにさらに敏感になっている。トリシェ総裁は「信認こそが(経済正常化に)欠けている要素」と指摘した。
 金融・経済危機に見舞われる中・東欧諸国について総裁は「ユーロ圏の重要なパートナー」と述べた。さらに欧州連合(EU)などと足並みをそろえてECBも支援を継続する考えを示した。



ドバイ首長「最小の損失で経済危機脱した」
 アラブ首長国連邦(UAE)ドバイのムハンマド首長は18日、自身のウェブサイトで記者の質問に答え、ドバイ経済について「最小の損失で危機を脱した」と強調した。UAE中央銀行による100億ドル(約1兆円)分のドバイ政府債引き受けなどで「記録的な短時間でリスク封じ込めに成功した」と強調した。
 「アブダビによるドバイ救済」との受け止めに対しては「連邦の結束を示すもの」と事実上肯定。ドバイの政府系企業をアブダビに譲渡するとの憶測は明確に否定した。
 金融危機後、同首長が公式に報道機関に答えるのは初めて。同首長は「バブル崩壊」などと否定的に伝えた海外メディアの報道に不快感をあらわにしており、負のイメージの払拭(ふっしょく)を狙ったとみられる。