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ケータイ1位でもスペックで攻め続けるシャープ 秋冬商戦メーカー編 <COLUMN>
 携帯電話端末で国内トップシェアを誇るシャープ。今年は販売奨励金の見直しによって販売台数が大きく落ち込んでしまったが、この秋冬商戦では8メガカメラを全面的にアピールし、スペックの高さで勝負を挑んでいる。
■「しょこたん発言」が波紋 暗闇に強いカメラに
 NTTドコモ向けの「SH-01A」「SH-03A」、ソフトバンクモバイル向け「930SH」はいずれも8メガピクセル(800万画素)のカメラを搭載し、本格デジカメケータイに仕上がっている。
 大きな特徴は「CCD」だ。
 最近のケータイは「CMOS」というカメラモジュールが搭載されているケースがほとんどだった。モジュールのコストが安く、消費電力が少ないというメリットがあるが、一方で暗闇などでの撮影にはやや不向きという弱点がある。
 シャープも「SH904i」まではCCDを搭載し続けていたのだが、CMOSの画質が向上したこともあり、2007年末発売の「SH905i」でCMOSに切り替えた。
 しかし、2008年になってタレントの中川翔子さんが自身のブログで「SH905iは画質が悪くて記事の更新に使えない」と酷評。インターネットメディアを中心に「SH905i=画質がいまいち」という評判が広まってしまったのだ。
 そこでシャープは、ハイエンドモデルに8メガCCDモジュールを搭載。カラオケボックスやレストランなど、ユーザーの生活シーンにおいての暗闇での撮影に強いカメラに仕上げたのだった。
■「画質のよさをジワジワと」
 シャープではさらに「ProPix」という画像処理エンジンを採用し、ハードウエアによってノイズを除去し、自然な色合いを実現した。さらにCCDとProPixの組み合わせにより、ボタンを押してから撮影するまでのレリーズタイムを従来の2倍の速さにするなど、素早い撮影を可能とした。
 NTTドコモ向け端末の開発担当者は「いまでもユーザーのカメラへの要求は高いものがある。シャープはユーザーから高いスペックを求められているだけに、しっかりと応える必要があると思っている」と語る。
■大型タッチパネルも使いやすく
 もうひとつ、シャープが力を入れているのがタッチパネル端末だ。NTTドコモ向けでは「SH-03A」「SH-04A」、ソフトバンクモバイル向けでは「931SH」にタッチパネルを採用した。
 ソフトバンクモバイル向け931SHでは、3.8インチの大型液晶を採用した。横サイズを従来の854ドットのフルワイドVGA液晶から1024ドットへと170ドット増やし、パソコン向けサイトを全幅表示できるように強化した。
 ドットを増やし、液晶ディスプレーの幅を広くすると、輝度が保てなくなり画面が暗くなってしまうのだが、931SHでは、従来、6灯だったバックライトを7灯に増やした。「これで従来機種と遜色のない輝度を保つことができた」(シャープ開発担当者)という。
 その半面、液晶サイズを拡大し、さらにはタッチパネルにして、バックライトを増やすとなると、重さが問題になる。上筐体部分が重くなると、スライドが開きにくくなったり、バランスが悪くなるといった悪影響が出てしまうのだが、931SHではフレーム部分を従来の金属からアルミ素材にすることで、7グラムの軽量化に成功した。
 前モデルの921SHは3.2インチ液晶で135グラムだったが、931SHは3.8インチで130グラムにまでダイエットし、使いにくさを克服した。
■直感的に使える心地よさ
 931SHはタッチパネルという、従来とは異なるユーザーインターフェースだが、比較的気持ちよく快適に操作することが可能だ。従来機種から進化して、まったく新しいOSとして開発されたかと思いきや「930SHと同じOSでCPUも同じ。チューニングでここまで変えてきた」(開発担当者)という。
 iPhoneなどのタッチパネルは、操作法を覚えなくても直感的に使えることが魅力だといえる。931SHの開発者は「直感的というのは人によって違うと思っている。931SHでは、複数のルートで機能を使えるようにすることで、直感的に使える心地よさを実現した」と語る。
■一歩遅れるau向け端末、KCP+が壁に
 一方、NTTドコモ向け、ソフトバンクモバイル向けに比べるとやや見劣りするのがau向けだ。「W64SH」は8メガカメラもなければタッチパネルでもない。
 これはKDDIの共通プラットフォームである「KCP+」の影響が大きいようだ。シャープとして他社と違いを出すには、KCP+にメーカー独自の手を入れなくてはならない。W64SHでは横画面で使え、ディスプレー横にある光学式のセンサーで操作できる機構を盛り込んだが、いずれもKCP+の基本仕様では対応できない。これらはシャープが独自にKCP+に手を入れて対応させなくてはならないのだ。
 共通プラットフォームであるが故に、メーカーが独自性を出すには、別の労力が必要になってしまう。そのため、どうしても他キャリア向けに比べて見劣りが生じてしまうのだ。
■スライド機構でも「AQUOS
 とはいえ、W64SHはauの全ラインナップのなかではかなりスペックの高い商品に仕上がっている。AQUOSケータイとして、3.5インチの液晶、5.2メガのカメラを搭載する。AQUOSケータイといえば、画面部分が横回転するサイクロイド機構を連想するが、W64SHはスライド式を採用している。
 これは画面が大きくなることで、サイクロイド機構に収まりきらないようになってきたためだ。そこで、スライド機構であっても、画質や使い勝手において高いクオリティーを確保できれば「AQUOSケータイ」という名称をつけることにしたとのこと。必ずしも「AQUOSケータイサイクロイド」ではないようだ。
 W64SHでは、音に関わる機能に力を入れているのも特徴だ。ブルートゥースだけでなく、FMトランスミッターを搭載し、クルマのなかで「着うた」をFMラジオに飛ばして聞くことができる。「ブルートゥースワンセグの音声を飛ばすことも可能。ブルートゥースFMトランスミッターを両方搭載するのはあまり例がないはず」(シャープ開発担当者)という。
 さらに加速度センサーも内蔵するなど、au向けでもスペックの高さで勝負するという姿勢は貫かれている。
■首位固めても攻めに徹するシャープ
 3キャリアにおいて、それぞれスペックの高さで勝負するシャープ。かつて、トップシェアを獲得したメーカーは、いずれも成功体験にすがって保守的な製品作りしかできなくなってしまい、ユーザー離れを招いた。
 だが、シャープはシェアの高さに甘んじることなく、いまだに攻めの姿勢を貫いている。ここが他社が追いつけない理由でもある。



ハンチントン氏死去 「文明の衝突」で冷戦後予見
 【ワシントン=米山雄介】著書「文明の衝突」で知られる米国の政治学者、サミュエル・ハンチントン氏が24日、米マサチューセッツ州マーサズ・ビンヤードで死去したことが27日、明らかになった。同氏が58年勤めたハーバード大学が同日までに発表した。81歳だった。死因は不明。
 1927年、ニューヨーク生まれ。冷戦後の93年、米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に論文「文明の衝突」を発表、96年に出版した。世界が宗教や文化の違いから西欧、イスラム、中国、日本など八大文明圏に分断されると予見。国際政治だけでなく、文明史の観点からも論議を呼んだ。
 ハーバード大によると、同書は39の言語に翻訳された。同氏は共著・編著を合わせて17の書籍と90以上の学術論文を発表。2007年に教職から退いていた。



08回顧・国際 世界を揺さぶった同時不況(12月28日付・読売社説)
 これまでにない重苦しい年の瀬になった。
 今年は、1929年に始まった世界大恐慌を思わせる世界同時不況に見舞われた年として、記憶に残るのではないか。
 本紙読者が選ぶ「海外10大ニュース」で「米証券大手リーマンが破綻(はたん)、米国発の金融危機が世界に波及」が3位になった。
 リーマン破綻に伴い、世界中が一気に不況の渦に巻きこまれた。一体誰がこんな急展開を、予測できただろうか。
 年初来、高騰を続けた原油は、7月に史上最高値の1バレル=147ドルを記録した(5位)。その後は、世界経済の減速などで急落し、年末に30ドル台前半まで下落した。
 穀物価格の高騰に対応しようと、6月にローマで初めての食糧サミットが開催された(18位)。ところが、秋以降は世界的な豊作と投機マネーの逃避で、価格は原油同様、値下がりした。
 ◆米史上初の黒人大統領◆ 
 指導者が相次いで代わった。
 11月の米大統領選で、民主党バラク・オバマ上院議員が当選し、米国史上初めて黒人大統領が誕生することになった(1位)。
 ブッシュ共和党政権の対イラク政策への批判に加え、未曽有の金融危機がダメ押しとなり、オバマ氏は幅広く国民の支持を集めた。次期政権の焦眉(しょうび)の課題は、待ったなしの金融・経済の立て直しと、イラク撤退問題となろう。
 台湾では3月、国民党の馬英九氏が総統に当選し、8年ぶりに国民党政権が復活した(25位)。馬総統は、中国との直行便の開設などを断行し、1949年に中台に分裂して以降、「3通(通商、通航、通信)」が初めて実現した。台湾海峡はしばらく凪(なぎ)の状態が続くことになろう。
 ロシアでは3月、プーチン大統領(当時)の後継指名を受けたメドベージェフ第1副首相が大統領に当選した(11位)。新大統領はプーチン氏を首相に指名し、「タンデム(2人乗り自転車)体制」へ移行した。
 そのロシアとの関連では、グルジア軍が8月、分離独立を求める南オセチア自治州を攻撃したことをきっかけに、ロシア軍がグルジアに侵攻し、本格的な戦闘に発展した(17位)。
 ロシアの行動に対して、グルジアを支持する欧米が反発し、紛争は米露関係の緊張が深まる一因にもなった。
 北朝鮮金正日総書記が夏に脳梗塞(こうそく)などで倒れたと伝えられ、健康不安説が広がった(16位)。
 非核化を巡る6か国協議で、北の核申告の検証を十分に担保しないまま、米国は10月、北朝鮮のテロ支援国指定を解除した(13位)。その詰めの甘さが、禍根を残すことになるのではないか。
 タイでは反政府勢力団体が首相府や首都空港などを占拠し、邦人はじめ外国人観光客が足止めされ、混乱が続いた(14位)。
 憲法裁判所の判決でタクシン元首相派の首相2人が相次いで失職し、野党・民主党のアピシット氏が12月、後継首相に選ばれた。
 ◆北京五輪と自然災害も◆
 国際ニュース上位10位の中に中国関連が4項目も入ったのも目立った。良きにつけ悪(あ)しきにつけ、中国が主役となった年だった。
 8月の北京五輪開催(4位)を前に、チベット自治区などで僧侶や市民による大規模な暴動が発生した(8位)。
 治安当局によって暴動は鎮圧されたが、ロンドン、パリなど各地で行われた聖火リレーは、抗議の人々によって妨害され大混乱した(9位)。
 四川省で5月、マグニチュード8の地震が発生、被災者1000万人を超える大災害に見舞われた(2位)。日本の緊急援助隊が活躍し、中国の根強い反日感情が和らいだと伝えられた。
 自然災害といえば、ミャンマーも5月、サイクロンに襲われ、死者・行方不明者は13万人を超えた(6位)。軍事政権は海外緊急支援の受け入れを渋り、結果的に救援が遅れ、被災は拡大した。
 ◆南アジアでテロ頻発◆
 南アジアでテロが頻発した年としても印象が深い。
 インドの商業都市ムンバイで11月、同時テロが発生、邦人1人を含む約170人が死亡した(7位)。パキスタンに根拠地を持つイスラム過激派の犯行と見られ、治安当局が首謀者を逮捕した。
 核保有国のインドとパキスタンは過去3回、戦火を交えており、双方が自制を保つことが地域の安定に必要だろう。
 そのパキスタンでも9月、米系高級ホテルに爆弾を積んだトラックが突っ込む自爆テロが発生し、53人が死亡した(20位)。
 アフガニスタンイラクでも、テロが終息する気配は見えない。テロとの戦いには、息の長い、忍耐強い対応が必要だろう。