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壮絶リストラに追い込まれたソニー、2つの大誤算(COLUMN)
 産業界全体で日増しに雇用情勢が悪化する中、ひときわ大きな衝撃が走った。ソニーが、収益力が低下しているエレクトロニクス事業の立て直し策として、世界で正社員8000人を含む約1万6000人の人員削減を発表したのだ。
 2009年度末までに複数の不採算事業から撤退するほか、国内外工場の約1割を閉鎖する。存続拠点でも半導体などの増産投資を見送り、設備投資を抑える。人員削減はこれらの生産再編に伴うもの。人件費と生産拠点の固定費を削減することで、エレクトロニクス事業全体では年1000億円の削減を目指す。
 ソニーは今回の立て直し策について「世界不況、急激な円高で事業環境が悪化したため」と説明する。確かに、パナソニック、シャープなど国内同業他社も円高などで08年度の業績予想を軒並み下方修正している。だが、環境悪化以上にソニーは固有の“病”を抱えている。
ブルーレイの誤算
 「膨大な投資が利益に結び付いているのか。それが疑問だ」。立て直し策の策定が本格化した10月末、中鉢良治社長はエレクトロニクス事業の主要社員を集めた定例会議でいらだちをあらわにした。国内電機9社と研究開発投資の費用効率を比較し、ソニーの効率がパナソニックなどに劣り、非常に低いことを問題視したのだ。「不幸なのは高付加価値だと思った商品が売れないことだ」(同)。資金と人材、時間をかけて育成した製品で稼げないのだ。
 典型例が、基本技術の多くを自社で開発したブルーレイ・ディスク。今春に東芝がHD DVDから撤退し、次世代DVD規格が一本化したことで販売がようやく本格化するはずだった。だが関係者の期待を裏切り、ブルーレイ再生機の世界販売台数は「計画を下回り続けた」(ソニー関係者)。一方で、世界ではブルーレイより低画質のDVD再生機が根強く売れている。
 そこでソニーが選んだのは、値下げというカンフル剤だ。11月末、米国年末商戦の幕開け日であるブラックフライデー。現地の大手量販店には、ソニーのブルーレイ再生機「S350」が従来価格の3分の2の199ドルで並んだ。韓国サムスン電子の競合品と同額だ。価格戦の下支えで、08年度のブルーレイ出荷台数は期初計画から1割減に踏みとどまる見通し。だが、値下げで採算も悪化しており、部材見直しなどでコスト低減を図らなければ、09年度以降の事業黒字化は難しい。
08年度は赤字転落も
 高付加価値品が不振なのは、赤字の液晶テレビ事業でさらに深刻だ。後発の液晶テレビで世界トップシェアを狙うため、ソニーは08年度から10万円以下の低価格品をアジアのEMS(電子機器製造請負サービス)に積極的に生産委託してきた。
 だが、ここにも誤算が生じた。低価格品の投入で、内製している高付加価値品の売れ行きが鈍ってしまった。関係者によると、自社工場の稼働率は急低下しているという。今回の生産再編の背景にはこうした自社生産能力のダブつきがあり、ソニーは米国のテレビ工場の閉鎖を決めた。
 今回発表したリストラに伴う費用の計上で、証券アナリストの間には、ソニーは08年度に営業赤字に転落すると予想する声もある。だが足元の赤字以上に懸念されるのは、今回のリストラで中期的に成長路線に復帰できるのかという点だ。経営幹部はリストラ期にあっても投資を振り向けるべき成長分野として「次世代型ウォークマン」「エネルギー製品」など複数の案を挙げるが、いずれも具体化には至っていない。
 そもそもソニーは、ウォークマンや初期のプレイステーションに代表されるような、他社にない差別化製品で市場を創出し成長してきた。ところが、ひとたび強い製品を欠くと、投資や生産を含めたビジネス循環がたちまち破綻する。世界同時不況をコスト削減でしのいだとしても、ソニーの復活にはやはり強い製品の再来が欠かせない。



米アマゾン、クリスマス商戦の受注数は過去最高
 インターネット小売り最大手の米アマゾン・ドット・コムは26日、クリスマス商戦の受注がサービスを始めた1995年以来、過去最高だったと発表した。ピークの15日の受注数は630万件を突破した。景気低迷などを背景に小売業全体が苦戦するなか、ネット小売り最大手の底力を見せた格好だ。
 売上高などは明らかにしていない。アマゾンは欧米や日本などで小売りサイトを運営するが、クリスマス商戦期には世界210カ国以上に商品を発送した。米サイトでは、韓国サムスン電子液晶テレビや、米アップルの携帯音楽プレーヤー、任天堂のゲーム機「Wii(ウィー)」などの販売が好調だった。
 米調査会社は、年末商戦期(11、12月)の米ネット小売販売高が前年同期比で横ばいになると予想している。大苦戦が続く既存小売り各社と比べると堅調だが、成長率は前年から大幅に鈍化する見通しだ。



米GM・クライスラー、再建へ混乱 新型車など生産に影響も
 【ニューヨーク=小高航】経営再建中の米ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーで、部品調達難や人材流出など混乱が相次いでいる。GMでは26日、自動車部品メーカーの経営破綻に伴い部品が調達できず、一部製品を生産できなくなる恐れが浮上。クライスラーでは経営幹部の辞任が相次ぐなど、来春へ向けた再建プロセスに支障を来す可能性が出ている。
 米メディアによると、GMの「シボレー・カマロ」(来春発売予定)向けにドア部品やインパネ(計器盤)を生産する自動車部品メーカー、カデンス・イノベーションミシガン州)が倒産。GMは来年1月12日までに部品調達を再開できなければ、カマロの生産ができなくなるとして、生産設備の引き渡しなどを求めてカデンスを提訴した。
 カデンスは今年8月に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用を申請。しかし新車需要が落ち込むなか再建が進まず、今月に入り会社清算手続きに入っていた。GMは部品調達が滞れば工場全体をストップする必要があり、数百万ドルの損失につながるとしている。



ソニー、パソコン向け無料動画配信「ブランコ」打ち切り
 ソニーはパソコン向けの無料動画配信サービス「ブランコ」を来年1月30日で打ち切る。国内販売統括子会社のソニーマーケティング(東京・港)が今年3月、テレビのように広告収入で運営費を賄い、番組表に従ってアニメや映画などを配信する事業を開始。来春までに100万人の会員獲得を目指したが、現時点で約15万人と伸び悩み、継続を断念した。
 ブランコは「デスクトップに張るテレビ」として、NTT東西の光通信回線を介して、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)が手掛ける米国のドラマやバンダイチャンネルの人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズなどを8チャンネルで24時間“放映”していた。



企業城下町の税収、大幅減 公共工事など縮小
 急速な企業業績の悪化が大企業や下請け企業の工場が集まる企業城下町の税収を直撃している。特に自動車、電機など地方景気のけん引役だった輸出型産業の立地する裕福な市町村で法人住民税の落ち込みが目立つ。ホール建設中止など事業削減に動き出しているが、地方景気が冷え込む中、雇用や中小企業支援の対策費が重くのしかかっている。富裕自治体に限らず、行政サービスの充実を競い合い支出を膨張してきた多くの自治体は事業の抜本的縮小を含め税金を投入すべき事業の見極めを求められている。
 トヨタ自動車の本社がある愛知県豊田市は2009年度の法人市民税が08年度の当初予算比で約9割減る見通し。「来年の予算規模もまだ決められない」(財政課)状況に陥っている。



カーナビ、機能・価格に活路 自動車不振響く
 自動車販売の低迷を受け、カーナビゲーションシステムのメーカー各社が製品の需要喚起に知恵を絞っている。クラリオンは運転席から死角となる部分をカーナビ画面に表示する装置を2011年にも投入。日本ビクターやパナソニック(旧松下電器産業)などは機能を絞り込んだ低価格機種の販売に力を入れる。新機能で付加価値を高めたり、価格を引き下げたりすることで新たな顧客の獲得を目指す。
 クラリオンの新型安全確認装置では、サイドミラーに取り付けた小型カメラで撮影した車体の左側面の映像と車内の画像を合成し、ボディーが透けて運転席から車外の景色が見えるように工夫する。従来の車載カメラに比べ、車と障害物との距離感を把握しやすくなる。道路脇に車を寄せて停車する際にも使い勝手が向上するという。



毎日・産経が半期赤字転落 「新聞の危機」いよいよ表面化
朝日新聞社の赤字決算が新聞業界に波紋を広げるなか、その流れが他の新聞社にも波及してきた。毎日新聞社産経新聞社が相次いで半期の連結決算を発表したが、両社とも売り上げが大幅に落ち込み、営業赤字に転落していることが分かった。両社とも背景には広告の大幅な落ち込みがある。景気後退の影響で、さらに「右肩下がり」になるものとみられ、いよいよ、「新聞危機」が表面化してきた形だ。
「販売部数の低迷、広告収入の減少など引き続き多くの課題」
毎日新聞社は2008年12月25日、08年9月中間期(08年4月〜9月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比4.2%減の1380億3100万円だったが、営業利益は、前年同期26億8300万円の黒字だったものが、9億1900万円の赤字に転落。純利益も、同12億5600万円の黒字が16億1900万円の赤字に転じている。
発表された報告書では、
「当社グループを取り巻く新聞業界は、若年層を中心として深刻な購買離れによる販売部数の低迷、広告収入の減少など引き続き多くの課題を抱えている」
とし、業績不振の原因として、販売部数と広告収入の落ち込みを挙げている。
毎日新聞社の常務取締役(営業・総合メディア担当)などを歴任し、「新聞社-破綻したビジネスモデル」などの著書があるジャーリストの河内孝さんは、
「『上期で赤字が出ても、下期で巻き返して通期では黒字にする』ということは、これまでにもあった」
と話す。ところが、今回は事情が違うといい、広告の大幅落ち込み傾向もあって、通期でも赤字が出る可能性が高いと予測している。河内さんは、
「仮に通期で赤字が出たとすれば、事実上倒産し、1977年に現在の『株式会社毎日新聞社』に改組されて以来、初めての事態なのでは」
と話している。
産経新聞も08年12月19日に、08年9月中間期の連結決算を発表している。こちらも、毎日新聞と同様、不振ぶりが読み取れる。
子会社の「サンケイリビング」をフジテレビに売却した関係で、売上高は978億500万円から17.4%減の808億1900万円にまで落ち込んだ。9億2900万円の黒字だった営業損益は、4億3400万円の赤字に転落。特別損失として「事業再編損」16億8400万円が計上されており、純利益は前年同期では1億1700万円の黒字だったものが、19億8400万円の赤字となっている。
同社の報告書では、業績不振の背景として、毎日新聞と同様、広告・販売収入の落ち込みを指摘している。また、同社は新聞社の中ではウェブサイトへの積極的な取り組みが目立つが、報告書でも
「(同社グループ)5サイトは月間合計8億ページビューを記録するなど順調に推移している。『MSN産経ニュース』は産経新聞グループの完全速報体制が構築されており、新聞社系のインターネットサイトの中でも特にユーザーの注目を集めている」
と、自信を見せている。一方で、ウェブサイトが同社の収益にどのように貢献したかについての記述は見あたらない。