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不況にあえぐ韓国、輸出の頼みはオンラインゲーム産業?(COLUMN)
 厳しい不況に突入した韓国では今年の冬、ミニスカートと赤い口紅が売れているという。ほかにも、街の宝くじ売り場や競馬、韓国人の出入りが唯一許されている江原道のカジノの売り上げが10〜13%ほど伸び、不況の象徴として語られている。職を失った人たちが一攫千金を狙って最後の賭けに出ているようだ。
 米国発の金融危機の影響は韓国も避けて通れない。日本では派遣社員契約社員の突然の解雇や内定取り消しが問題になっているが、韓国では大量解雇なんてもうニュースにもならないほど頻繁に行われている。企業経営者は「この不況こそは首切りをせず、みんなで苦痛を分かち合って乗り切りたい」などと話しているが、家計はどんどん苦しくなるばかりだ。
■無職世帯が16%に ハイテク輸出も急減
 韓国統計庁のデータによると、2008年4〜6月の30代共働き夫婦の月間所得は246万9000ウォン、日本円で約18万円に過ぎない。しかし韓国人の生活水準は日本と変わらない。物価も円高で安く見えるだけで実はそれほど変わらないのに、所得がこれしかないとは驚いてしまう。さらに、同期間中、世帯主が無職であることを意味する無職世帯率は前期比0.56ポイント上昇し、史上最悪の16.13%に達したそうだ。このままでは貧富の差が開きすぎてしまう。雇用をなんとか維持する方法はないのだろうか。
 どんな不況下でもサムスンやLGといった韓国の大手企業はそこそこ利益を保っている。サムスン電子は年間輸出534億9500万米ドルを突破し、12月2日の「貿易の日」記念式典で、韓国企業の中では初めて「500億ドル輸出塔」を授与された。「輸出塔」は1973年から始まった政府が企業へ贈る功労賞のようなもので、サムスン電子はほぼ毎年記録を塗り替えてきた。しかし2009年は見通しがつかない状況だという。
 韓国のIT輸出を支える3大品目である半導体、パネル、携帯電話の合計輸出額は、9月までは携帯電話の好調で成長が続き、10月も何とか現状維持を保ったものの、11月からは頼みの綱だった携帯電話までが落ち込み、前年同月比32.3%も減少してしまった。輸出に頼っている韓国企業としては、ウォンが安い間に何とかシェアを伸ばして利益につなげたい。しかし世界中が不況では売りようがない。
■輸出目標を前倒し達成したオンラインゲーム業界
 こんな暗い悩みが韓国中を覆っているなか、オンラインゲーム業界からは明るいニュースが聞こえてきた。オンラインゲーム業界は不況下でも採用と投資を増やし、待望の新作も続々と登場している。
 韓国ゲーム産業振興院は、韓国ゲーム企業の輸出額と海外での売上高合計を元に、2008年のオンラインゲーム輸出額を推計10億6000万ドルと発表した。2001年が1億3000万ドル、2005年が5億6400万ドル、2007年が7億8000万ドルと順調に拡大を続け、ついに10億ドルを突破する。韓国でオンラインゲームがブームになってから10年で到達した数字である。10億ドル突破を当初目標より2年も早く達成したため、韓国政府は次の目標を「2012年に36億ドル輸出」と大幅に引き上げ、ゲーム産業を支援すると発表している。
 オンラインゲーム輸出は東南アジア、欧米、中国に続いて新興国の南米、ロシア、アフリカにも広がっており、2009年も伸び続けると予想されている。また、(1)不況になればなるほど旅行や外出が減り、端末やソフトを買わなければならないゲーム専用機よりお金をあまりかけずに楽しめるオンラインゲームに需要がシフトする(2)ユーザーの年齢層が幅広くなっている――などの追い風もあり、2009年の韓国オンラインゲーム産業は20%台の成長を成し遂げるとも予測されている。
 オンラインゲーム業界は2003〜2004年に韓国国内市場の売り上げが鈍化し、海外市場開拓を余儀なくされた。しかし、早い時期からの海外進出が逆に市場先占効果を生み出し、オンラインゲームといえば韓国というように国家イメージの一つにまでなっている。
 オンラインゲームの利益率は平均40%ほどで、自動車や携帯電話といった韓国の主力製造業より断然高い。部品や材料を輸入する必要もなく、韓国のアイデアと人材で作り上げるデジタル商品であるからだ。そのため政府もオンラインゲーム産業に関連する支援策を次々に発表している。
■ゲームのおかげでIT大国になれた韓国
 韓国がここ10年IT大国といわれるようになったのも、1998年に韓国でブロードバンドブームが巻き起こったのも、元をたどればオンラインゲームが始まりだった。「スタークラフト」という米ブリザードの対戦型ネットワークゲームが大ヒットし、PCバンが大流行した。
 その勢いは、ネットワークゲームをしないと学校でも会社でも話題に入れないといわれるほどだった。子供たちは「ゲーム」とはいわずに「インターネットをしないと学校の宿題もできない」と泣いておねだりし、一般家庭でもハイエンドのパソコンを購入して超高速インターネットを申し込み始めた。もちろん、この背景には1997年のIMF経済危機から立ち直るため政府が国策としてIT産業支援を決めたことがある。「先投資後精算」というインフラ投資政策も効果的だった。
 韓国ゲーム産業振興院によると、韓国でオンラインゲーム産業が成長できた要因は、インフラが整っており開発環境に恵まれたこと、早い時期から海外進出して市場を広げたこと、などが挙げられるが、もう一つ、韓国人特有の「盛り上がるのが大好き」という文化も影響したのではないかという。
 2002年サッカー・ワールドカップの街角応援や2008年の反政府ろうそく集会もそうだが、何ごとも積極的に参加して楽しみたい、新しいことは誰よりも早くキャッチしたいという気質がある。それがオンラインゲームの参加者を増やし、アイデアが集まり、新しい開発技術を生み出し、新しい産業を成長させたのではないかという分析である。
■プロリーグ戦のテレビ中継も
 韓国のオンラインゲームの成長にはプロゲーム団、プロゲーマー、オンラインゲーム中継番組の存在も大きな役割を果たした。野球やサッカーの試合を中継するのと同じく、プロゲーマーの試合をアナウンサーと解説者が実況中継する。24時間オンラインゲームのリーグ戦だけを中継するケーブルテレビのチャンネルもあるほどだ。
 韓国ではほぼ1年中オンラインゲームのプロリーグ戦が行われている。ネットワーク対戦機能があるゲームはみんなリーグ戦を持っているほど盛んだ。なかでも真夏に釜山で開催されるリーグ戦には3万人を超える観衆が集まる。サムスンやSKなどIT産業に関連のある大手企業はプロゲーム団を保有している。芸能人並みに人気を集めるプロゲーマーも続々登場し、彼らの徴兵に合わせて軍の中にもゲーム団ができたほどである。
 日本でもHangameのブランドでゲームポータルを運営しているNHN、「リネージュ」で有名なNCSOFT、メイプルストーリーでモバイルゲームにも進出したNEXONは、11月に開催された韓国のゲームショーで2009年向けの新作を公開し、さらなる成長を予告していた。新規採用が細るなか、ゲーム関連企業だけは新卒の採用を増やしている。
 モバイルゲームもiPhone向けの輸出が増え、日本のキャリアの公式サイトとして提供されるゲームも増えてきた。2008年11月から韓国で地上波放送のリアルタイム再送信を含むIPTVが商用化されてからは、リモコンで楽しめるオンラインゲームの需要も増えている。
■ゲーム大国と胸を張るためにすべきこと
 しかし、油断は禁物だ。ゲーム専用機向けで世界的に強い米国や日本の企業は人気ゲームソフトをどんどんオンラインゲーム化している。中国も追いついてきているため、2010年以降の競争は厳しくなると韓国企業は身構えている。
 文化体育観光部は「The Second Revolution ゲーム産業振興中長期計画2008〜2012」で、2012年までに3500億ウォンを支援するとしている。「娯楽」「遊び」で終わってしまうオンラインゲームではなく、「ニンテンドーDS」が脳トレでヒットしたように、子供からお年寄りまで楽しめて教育にもつながるゲーム、他のデジタルコンテンツと融合したゲーム開発を支援するという。「世界3大ゲーム大国になる」とか「市場規模を10兆ウォンにする」といった目標が挙がっている。
 しかし、韓国が強みを持っているのはオンラインゲームであって、「ゲーム全般」ではない。これを自覚しないと税金がまた無駄遣いされてしまう。
 社会的に意味のある政策として、オンラインゲーム中毒を予防するための教育を小学校高学年から実施することなども盛り込まれたが、ぜんぜん足りない。
 例えば、オンラインゲームの残虐で生々しい暴力表現やチャットの問題がある。数カ月前も、小学生の女の子と30代の男がゲームの中でキャラクター同士を結婚させ、サイバー上の夫からチャットで誘われた女の子が家出をして男の家にいたという事件が起き、大騒ぎになった
 ほかにもサイバーマネーやゲームの中で獲得したアイテムを現金取引するリアル・マネー・トレード(RMT)など、オンラインゲームを巡る様々な問題から子供をどう守るか。政府はそうした政策により積極的に取り組む必要がある。
 オンラインゲームという新しい産業の登場がもたらした経済・社会・文化的な変化に対し、制度が追いつかない状態だからだ。これは他の国も同じように直面している問題であるに違いない。そういう制度や対策までも先導的に輸出できてこそ、オンラインゲーム大国と胸を張れるのではないだろうか。



【産経主張】ビッグ3救済 再生プランの早期策定を
 米政府は米自動車大手3社(ビッグスリー)救済のため、総額174億ドルのつなぎ融資を実施すると発表した。金融危機対策のために設定した公的資金枠7000億ドルを活用するという。
 この融資枠は本来、金融機関の資本増強が目的である。だが部品メーカーなどを含む約300万人の雇用を支えるビッグスリーが破綻(はたん)すれば金融不安が深刻化するとの理由で、米政府は資金枠の転用が可能と判断した。
 先の連邦議会上院で総額140億ドルの融資を行う救済法案が共和党議員らの反対により廃案となった。それだけに米政府の土壇場の緊急支援の決断で3社の破綻はとりあえず回避された格好だ。
 しかし、これは年末の資金繰りを手当てする一時しのぎの策にすぎない。ビッグスリーの経営悪化は深刻だ。政府以外に融資に応じる民間金融機関はなく、今回の緊急融資でも経営の現状は何ら改善されるわけではないからだ。
 米国内には根強い救済反対の世論がある。米政府が緊急融資の見返りとして、複数の厳しい条件を付けたのは当然だろう。
 まず、各社に対しては大規模なリストラを行うとともに、抜本的な再建計画をまとめて2009年3月末までに存続可能な状態にするよう求めた。さらに、経営陣の報酬制限や配当の禁止を要求し、政府が各社から株式を取得できる権利(ワラント)を得て、経営を監視するとした。
 もし再建がうまく進まないならば、今回の融資は回収され、法的破綻が選択肢になる。
 これまで何度も3社の再建策が失敗してきた背景には、経営の怠慢やコスト削減を拒む労組のかたくなな姿勢がある。ブッシュ大統領も会見で「改革に必要な厳しい決断を下さなければならない」と注文を付けている。
 今後の抜本的な再建支援策はオバマ次期政権に委ねられる。再建が失敗すれば、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条の適用が再び視野に入ってくるだろう。だが、この時期の3社の破綻は世界経済全体にとっても大きな打撃となる。
 ビッグスリーの経営危機はいまや悪化する米国経済の象徴だ。再建の行方は世界の金融市場が注目している。米政府と3社は、米経済への信認を再び取り戻すうえでも、再生プランの早期策定に全力を挙げてもらいたい。