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日経社説 不況脱出への戦略見えぬ麻生予算(12/21)
 2009年度予算の財務省原案は一般会計規模が過去最大に膨れあがる一方、税収でその半分しか賄えない深刻な姿となった。金融危機による急速な景気悪化に配慮するのは当然だが、予算案からは不況脱出への中長期的な戦略が見えてこない。財政の悪化も著しく、将来への不安も募る予算案といわざるを得ない。
 麻生太郎首相のもとで初の予算案は、9月の米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した経済環境の激変で景気配慮に軸足を移した。08年度第2次補正予算も生活や雇用、金融の安定策を盛り込んだ。
社会保障抑制を繕う
 09年度一般会計予算の規模は88兆円台、政策の実行に充てる一般歳出も51兆円台と、いずれも過去最大だ。基礎年金の国庫負担割合を2分の1に高めた影響もあるが、予算編成の終盤で1兆円の緊急予備費を上積みしたり、地方自治体の減収に対する国の穴埋めを広げたりしたことが効いた。
 企業や消費者の心理が一気に冷え込む今回の不況のもとで、財政による景気の下支えは急務だ。欠かせないのはそれをいかに有効に使い、非効率な制度を改革して予算の効果を高めるかという視点である。
 予算案全体を眺めると、次期衆院選をにらんで、経済効果よりも選挙民の受けを優先したものが目立つ。2次補正に盛り込んだ2兆円の定額給付金がその典型だ。いま大切なのは、短期で劇的に悪化する雇用への手当てなどを集中的に実施し、中長期で成長力につながる投資も並行して進めることだ。耐震化や温暖化対応などいずれ必要な支出の前倒しや、経済の体質を強める新産業の基盤づくりが考えられる。
 今回から分野別配分は首相主導で割り振る3300億円の「重要課題推進枠」が決まるまで不明になった。正確な論評は難しいものの、予算案からは明確な戦略と工夫が伝わってこない。物流の競争力を左右する羽田空港の発着枠拡大や中枢港湾の整備費は3―4%増だが、重要度からみてもっとメリハリを効かせるべきではないか。
 制度改革も物足りない。社会保障費は5年間で増加額を1兆1000億円抑える06年の「骨太の方針」に沿うペースを保ったが、年金の特別会計にあった基金清算などで新たな財源をひねり出し、辛うじて数字を達成したのが実情だ。
 基礎年金の国庫負担率を高める財源は09、10年度の2年間、財政投融資特別会計の準備金で生じた余裕の財源、いわゆる「埋蔵金」を流用する。本来は消費税増税など安定財源で賄うのが筋である。景気悪化の中で当面は困難としても、安定性が乏しく、財政悪化の責任もあいまいな埋蔵金頼みは感心できない。
 政府・与党には社会保障抑制が限界にきたとの声も出ているが、医療や介護で患者や利用者の立場に立った制度改革を実施し、歳出を効率化するのが本来の姿である。そうした努力の跡はほとんどみられない。
 来年度予算編成の焦点だった道路特定財源一般財源化もあいまいな結果に終わった。環境対策など「生活者財源」にするという触れ込みだったが、道路関係議員の強い抵抗を受けて8割を道路に使う地方向け交付金を設けるなど、既得権益の岩盤は崩せなかった。この1兆円の交付金から社会保障財源としてわずか600億円を振り向けただけである。
 09年度の税収は、法人税の急激な落ち込みを主因に今年度当初を7兆円以上も下回る46兆円台に低迷する。一般会計総額に対する税収の割合は52%と過去最低で、文字通りの自転車操業だ。
借金財政は最悪水準に
 税収見積もりの前提となる09年度政府経済見通しは経済成長率を実質で0.0%、名目で0.1%と見込んだが、民間予測はマイナス1%程度ともっと厳しい。
 収入の穴を埋める借金も増える。09年度に新たに発行する国債は8兆円増の約33兆3000億円と4年ぶりに30兆円の大台を上回る。さらに特別会計の「埋蔵金」でひねり出した4兆2000億円も国債で賄ったと仮定すれば、国債発行額は99年度の37兆5000億円を超し、過去最悪の規模になる計算だ。
 当然、財政状況の物差しとなる基礎的財政収支プライマリーバランス)は大幅に悪化する。国債の償還や利払いの経費である国債費を新規の国債発行額が13兆円上回り、基礎収支の赤字幅は今年度当初の2.5倍に拡大する。11年度までに赤字をゼロにする政府目標の達成は極めて厳しいが、財政の節度を維持するためにも、財政目標の旗を現時点で下ろすべきではないだろう。
 中長期で日本経済が成長しないと財政の健全化も遠のく。目先の不況対策とともに将来への種まきが重要だ。予算案が両面で力不足な内容に終わりそうなことは残念だ。



米金融の損失81兆円超 民間推計、金融危機
 金融危機に伴って米国の金融機関が処理を必要とする損失額は全体で9000億ドル(約81兆円)を超す見通しが強まってきた。金融大手のクレディ・スイスが11月、資産別に推計した。同社によると民間の自主的な増資額は2150億ドルにとどまり、損失を埋め合わせるには米政府が用意する7000億ドルの公的資金を全額注入しても足りない恐れがある。
 推計は金融機関が保有するローンなどの資産を大まかに分類し、直近の市場価格を基に、それぞれの貸し倒れの規模を見積もった。最も多いのは信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の関連で3975億ドル。住宅ローン担保証券MBS)や債務担保証券(CDO)と呼ばれる証券化商品の値下がりを反映した。これらの金融商品は裏付けとなるサブプライムローンの焦げ付きで価値が急落。金融機関は多額の評価損の計上を迫られている。



18私大、有価証券含み損688億円…読売新聞調べ
 駒沢大など金融取引で多額の損失を出す私立大が相次いでいるが、全国の主な私大18大学が今年3月の決算時に有価証券の含み損を抱えており、その合計額は計688億円に上ることが読売新聞の調べでわかった。
 株価は今年9月中旬の米証券大手「リーマン・ブラザーズ」の経営破綻(はたん)を引き金に急落しており、多くの大学で含み損はいっそう膨らんでいるとみられる。
 デリバティブ金融派生商品)取引で154億円の損失を出した駒大では、清算のために東京・世田谷のキャンパスやグラウンドを担保に入れ、金融機関から110億円の融資を受けた。リスクの高い取引で巨額の損失を被った責任を問われ、宮本延雄理事長が18日に開かれた理事会で解任された。南山大などを運営する南山学園と愛知大もそれぞれ34億円、28億円の損失を確定させている。



米ポラロイドが経営破綻、親会社の不正疑惑で財政悪化
 【ニューヨーク=池松洋】インスタントカメラで一時代を築いた米ポラロイドが米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻(はたん)していたことが20日、わかった。
 親会社である投資会社の不正疑惑で財政状況が悪化したことが理由という。今後は裁判所の監督下で経営再建を目指しながら、日常業務は継続する見通しだ。
 ポラロイドは、撮影した写真がすぐに見られるインスタントカメラで世界の写真業界をリードした。デジタルカメラの普及などを受け、今夏にはインスタントフィルムの生産を終了、現在はデジタルカメラ液晶テレビを生産している。
 ポラロイドは、2001年にも同11章の適用を申請して破綻。05年に米投資会社ペターズ・グループ・ワールドワイドに買収されていた。



米ゲーム大手のEA、人員1000人削減 年末商戦振るわず
 【シリコンバレー=田中暁人】ゲームソフト大手の米エレクトロニック・アーツ(EA)は19日、従業員の約10%に当たる1000人程度の削減を柱とする経営効率化策を発表した。年末商戦が予想を下回るなど苦戦が続いており、コスト削減で収益体質の強化を急ぐ。
 10月には人員6%を削減する計画を表明していたが、環境悪化で積み増しを余儀なくされた。ゲーム開発施設など世界9拠点の統廃合も決定。今後は高採算が見込める人気ソフトに開発を絞る。人員削減の大半は2009年3月末までに実施する。リストラ策で年間1億2000万ドルのコスト削減を見込む。
 米国ではゲーム市場の拡大が続くが、景気低迷を背景に成長率は鈍化。大手間での競争が激しさを増しており、EAは最終赤字が続いている。



金融庁貸し渋り監視強化 中小向け融資、抜き打ち検査検討
 金融庁は中小企業の資金需要が高まる年末や年度末を控え、金融機関の融資体制に対する監督や検査を一段と強化する。信用保証協会が返済を保証する「緊急保証制度」を使おうとする企業に金融機関が適切に対応しているかを調査。支店への抜き打ち検査も検討していく。資金を円滑に供給する金融機関の取り組みをチェックし、「貸し渋り」が起こらないようにする。
 週明け以降、金融庁は全国の財務局と連携し、中小企業向け融資について金融機関が融資の相談に適切に応じているかなどを聞き取り調査する。支店の判断で決裁できる小口融資を早く実行する体制を整えているかも重点的に調べる。



ユニシスのサーバー上位機、NECが全量供給
 NECは米ユニシスからメーンフレーム(大型汎用機)などサーバー上位機種の開発・生産を全面的に受託する。2009年以降にユニシスが発売する新製品についてはすべてOEM(相手先ブランドによる生産)供給する。NECが生産する同クラスのサーバーの台数はユニシス向けが加わるとほぼ倍増する。生産量の拡大で、1台あたりの開発費用を抑制し、競争力を高める。
 企業の重要な情報システムの中枢に使うサーバーの開発、生産を請け負う。専用の基本ソフト(OS)を使うメーンフレームのほか、OS「ウィンドウズ」などを使うサーバーで、いずれも日本国内の価格は500万円以上する製品が対象だ。



公共事業費、500億円を上乗せ 09年度予算の重点枠から
 2009年度予算の財務省原案が各省庁に内示され、政府・与党は20日、3300億円の重要課題推進枠(重点枠)の配分を巡る調整を始めた。原案段階で今年度当初予算比6%削減した公共事業費(6兆3384億円)は、政府案で500億円規模の予算を上乗せ。出産一時金の引き上げや医師確保策など社会保障費にも数百億円を追加計上する方向だ。
 3300億円は各省庁の政策経費を2%余分に削ることで捻出(ねんしゅつ)した。自民、公明両党の要望を踏まえ、麻生太郎首相が配分を指示。重点枠以外でも配分が決まっていない200億円の調整財源を含め、22日に財務省が各省庁に復活額を内示する。



玩具12社トップ、サンタ姿でPR Xマス商戦
 高須武男バンダイナムコホールディングス社長や富山幹太郎タカラトミー社長ら玩具12社のトップが20日、サンタクロース姿で都内の玩具店に登場、親子連れにおもちゃ購入を呼びかけた。年末は最大のかき入れ時だが、12月の玩具販売額は前年を2―3割下回っているもよう。冷たい不景気風を吹き飛ばそうと、ライバル各社が消費喚起に足並みをそろえた。
 主催した日本玩具協会(東京・墨田)の高須武男会長(バンダイナムコホールディングス社長)は「大人の世界は100年に1度の不景気だが、子供には関係ない。クリスマスを夢のある1日にしてほしい」とプレゼント購入を訴えた。