(つд⊂)ゴシゴシ新聞

ビッグ3救済協議、米上院決裂 救済法廃案に
 【ワシントン=渡辺浩生】経営危機に陥ったビッグスリー(米自動車3大メーカー)に対する最大140億ドル(約1兆3000億円)のつなぎ融資を柱とする救済法案をめぐり、上院の民主・共和両党は11日、一段と厳しいリストラを義務づける修正案を軸に交渉を続けたが、同日夜、最終合意に至らず決裂した。民主党のリード上院院内総務が明らかにした。ロイター通信によると、事実上廃案となった。
 ホワイトハウスのフラトー大統領副報道官は上院の決裂を受け「我々は失望している」と述べるとともに、「今後、(他の)選択肢を模索していく」と救済に向けた取り組みを進める考えを示した。
 年内に融資を受けなければ破綻の危険があるゼネラル・モーターズ(GM)やクライスラーは一段と厳しい状況に追い込まれた。



ドル円一時88.20円台、ビック3関連で=東京外為
 東京午後のドル・円相場は急落。序盤より、米上院議員が自動車救済策の合意に対し悲観的な見方を示したことで、91円台半ばから徐々に値を下げる展開となった。その後、米自動車救済策が正式に廃案になったことを受けてリスク回避の動きが加速し、ドル・円は95年8月以来となる89円台を割り込み、一時88.20円台まで下値を切り下げた。また、日経平均株価が一時前日比600円超の下落となったことも売りの材料となった模様。
 しかし、安値更新後は実需筋からの買いやショートカバーが入ったことで現在は89円台半ばまで回復している。また、クロス円も米自動車救済策が廃案との一報が伝わると急速に下げ足を速めた。ユーロ・円は117.70円台、ポンド・円は132.50円台をつけたが、現在はいずれも値を戻している。



日経平均、大幅反落 終値484円安の8235円、米自動車の救済難で
 12日の東京株式市場で、日経平均株価は5営業日ぶりに大幅に反落した。大引けは前日比484円68銭(5.56%)安の8235円87銭だった。前日の米株安を嫌気した売りに加え、日本時間午後に入って、米上院で民主、共和両党による米自動車大手3社(ビッグスリー)救済法案の協議が決裂したと伝わり、失望売りが膨らんだ。ビッグスリー救済が失敗すれば米経済の混乱を通じて世界景気に大きな悪影響を与えるとの見方から、投資家心理が悪化した。外国為替市場で円相場が1ドル=88円台まで上昇し、円高が業績の押し下げ要因となる自動車やハイテク株などの輸出関連銘柄に売りが増えた。東証株価指数(TOPIX)も5営業日ぶりに反落した。
 日経平均は前引けにかけて下げ渋る場面があった。海外メディアを通じ、「ビッグスリー救済に向けた修正法案が、共和、民主両党で暫定合意に達した」などと伝わり、下値で買いが増えた。



米バンカメ、最大3.5万人削減 統合・環境悪化を反映
 【ニューヨーク=財満大介】米大手銀バンク・オブ・アメリカは11日、大手証券メリルリンチとの経営統合に伴い、向こう3年間で最大3万5000人の人員削減を行うと発表した。両社の社員の合計の11%超に相当する大規模リストラでコストを削減する。バンカメは削減の理由を「統合作業と経済環境の悪化の両方を反映したもの」と説明している。
 バンカメは削減人数を「3万人から3万5000人」としており、2009年初めにも詳細を決める。対象はバンカメとメリル双方の全部門に及ぶ見通しという。
 米国では幅広い業種でリストラが進み、11月には雇用者数が53万人減少した。金融ではシティグループが従業員の15%にあたる5万2000人の削減を発表しており、バンカメの削減計画はこれに次ぐ規模。



パチンコ台のテレビCM自粛、「子どもが見る」朝夕各4時間
 パチンコ機器メーカー30社で作る「日本遊技機工業組合」(東京・中央区)は、来年4月から、午前5時〜同9時と、午後5時〜同9時の間、パチンコ台のテレビCMを自粛することを決めた。
 パチンコのCMが近年増加していることに対し、「子どもが見ている時間帯にふさわしくない」といった批判が視聴者から高まっていることを受けたもの。
 民間の調査機関「CM総合研究所」(東京・港区)によると、在京キー局5局でのパチンコ関連CMの年間放送回数は、2004年には2066回だったが、07年には1万3151回にまで急増。今年は1〜10月だけで1万6443回に上っている。パチンコCMをめぐっては、今年4月、放送界の第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の青少年委員会でも、問題視する声が上がっていた。



ニコニコ動画の有料会員、ユーザーの呼び掛けで増加
 12月10付けの「ニコニコニュース」によると、ニコニコ動画有料会員「プレミアム会員」(月額525円)が増えている。きっかけは、ユーザーでSF作家の野尻抱介さんが自身のWebサイトで8日から個人的に始めた「大人はとっととプレミアム会員になろう」という呼び掛けという。
 同日付けのプレミアム会員数は23万4000人。12月3日時点では22万7000人で、増加ペースは「1週間前と比べて6割から8割も増えている」という。「われわれ運営が不甲斐ないばかりに、みなさんには余計な心配をかけさせてしまって本当にすみません」
 ニコニコニュースでは「こうしてユーザのみなさんの善意にすがるネットサービスというのも情けないやら恥ずかしいやらですので、サービスそのものの魅力でプレミアム会員になっていただけるようにいままで以上に知恵や陰謀をはりめぐらせたい」と意気込んでいる。



法人税下げ検討、消費税率は「複数税率」も…与党税制大綱
 自民、公明両党が12日午後に発表する2009年度与党税制改正大綱の全容が判明した。大綱は、09年度に実施する税制改正の方針を列挙したほか、「税制抜本改革の全体像」と題した項目を設け、景気回復後に取り組む中長期的な税制改革の道筋を示した。
 法人税については、企業の国際競争力強化などをにらんで、将来の税制抜本改革時に「税率の引き下げを検討する」と明記。所得税については「高所得者の税負担を引き上げるとともに、中低所得者世帯の負担の軽減を検討する」として、最高税率の引き上げや低所得者向けの給付付き税額控除などを導入する考えを示した。
 最大の焦点となっていた消費税率の引き上げについては「現下の厳しい経済金融情勢をかえりみれば、今その実施のタイミングにはない」として時期や上げ幅は明示せず、「消費税を含む税制抜本改革を経済状況の好転後に速やかに実施し、2010年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」と記した。そのうえで「必要な法制上の措置をあらかじめ講じておく」と将来の引き上げに向けた法制上の準備は10年代半ばまでを待たず、事前に進める考えを示した。
 消費税引き上げ時には、低所得者への配慮から「複数税率」を検討する考えを示し、食料品など生活必需品について軽減税率などを適用する意向を表明した。
 法人税については、「社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベースの拡大とともに法人実効税率の引き下げを検討する」と表明した。
 納税者に番号を付けて所得などを正確に把握しやすくする「納税者番号制度」の検討も盛り込んだ。



景気は当面悪化の可能性、デフレに逆戻りの懸念=内閣府
 内閣府は12日、「日本経済2008─2009:急速に厳しさが増す景気後退」を発表した。今回の景気後退はすでに第二段階に入り、景気は当面悪化の方向に進む可能性が高いと指摘した。
 また、日本経済がデフレに逆戻りする懸念があるとして、先行きに警戒感を示した。
 内閣府によると、日本経済は2007年の年末頃までに景気後退局面に入った可能性が高く、緩やかなスピードだった今年半ば頃までの第一段階を経て「すでに第二段階に入っている」と分析。今秋の米大手金融機関破たん以降、企業部門は異例の速さで悪化しつつあり、生産などの減少テンポが加速するなか、景気後退は「急速に厳しさが増している」との現状認識を示した。
 先行きについては、欧米での景気後退が深刻・長期化することや、国内調整圧力の高まりが見込まれるなか「景気は当面、悪化の方向に進む可能性が高い」との見通しを示した。景気後退が需要減退につながるメカニズムが働き始めているという。
 景気の一段の下振れをもたらすリスクとしては、1)日本国内で雇用者数の減少を含む大規模な雇用調整が進むリスク、2)国内金融面から実体面への影響が顕在化するリスク、3)国際機関などの想定以上に世界経済の状況が悪化するリスク──を挙げた。経済協力開発機構OECD)は、世界経済は2010年にプラス成長に転じると予測している。
 さらに、景気後退のテンポが速まり長期化し、需給ギャップのマイナス幅拡大が続くようであれば「我が国経済がデフレに逆戻りする懸念もあり、この点には特に注視が必要」とした。



韓国の成長率、09年は2%に鈍化 通貨危機以来の低水準に
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国銀行(中央銀行)は2009年の国内総生産(GDP)が実質で2%成長になるとの予測を発表した。世界景気の悪化で輸出が鈍化し、設備投資も冷え込むためで、通貨危機の影響でマイナス成長に陥った1998年(マイナス6.9%)以来の低水準となる。
 09年の輸出の伸びは1.3%(08年は3.6%)に鈍化する。世界的な需要の冷え込みで自動車やハイテク製品の輸出が鈍化するのが響く。これを受け設備投資はマイナス3.8%(同マイナス0.2%)になる見通しだ。



デトロイト自動車ショー、ホンダが新車発表会を見送り
 ホンダは11日、来年1月に米デトロイトで開催される北米国際自動車ショーで、メディア向けの新車発表会を見送る方針を明らかにした。最新モデルの出展は例年通り実施する。同ショーでは日産自動車三菱自動車などが出展そのものを取りやめており、日本の大手メーカーで本格的に参加するのはトヨタ自動車のみとなる。
 自動車ショーでは一般客向けの公開に先立ち、メディア向けの新車発表イベントを開く。各社の経営トップらが新モデルを披露し企業戦略を説明する場だが、ホンダはこの発表会を開催しない。



日経社説 信用収縮を食い止める十分な備えを(12/12)
 自己資本が不足しそうな金融機関に前もって公的資金を注入可能にする金融機能強化法改正案が12日に成立する。金融不安を防ぐ最低限の土台となるが、信用収縮を抑え企業の資金繰りを助けるために、さらなる備えが不可欠だ。
 金融機能強化法は3月に期限が切れ、秋以降の金融危機で復活論が台頭した。政府・与党は10月下旬に適用再開の法改正案を国会に出した。麻生太郎首相が衆院解散を先送りしたことに民主党などが反発し、成立は大幅に遅れた。
 経済の血流を左右する金融の安定化策で、法案決定から成立まで1カ月半もかけたのは、政治の危機意識の欠如を示す。金融混乱はまだ続く。迅速な意思決定が今後も極めて重要になるのは言うまでもない。
 中小企業はもとより、大手企業でも資金調達環境は悪化している。社債約束手形の一種であるコマーシャルペーパー(CP)の金利が上がり、大企業が銀行からの借り入れに頼っている。全国銀行の11月の平均貸出残高は前年同月比3.6%増と16年ぶりの伸びだった。
 金融機関も資金確保に躍起だ。東京銀行間取引金利(TIBOR)3カ月物は11日まで22営業日連続で上昇し、10年ぶりの高い水準にある。銀行は株安や景気悪化による倒産の増加で自己資本比率の低下圧力が高まり、融資拡大に慎重だ。日本でも信用収縮が広がれば、企業の破綻や設備投資の手控えで実体経済が一段と冷え込みかねない。この悪循環は阻止しなければならない。
 二つの面で対応が必要になる。まず金融機関の資本を固め、融資の余力を保つことだ。自力の資本調達を進めるメガバンクに比べ、地方金融機関の余裕は乏しい。金融機能強化法による資金注入枠は2兆円では十分とはいえず、枠を大幅に増額すべきだ。銀行が株価に振り回されないよう、日銀による銀行保有株の買い取りを早期に再開するのも課題だ。
 第二に企業への資金の流れを絶やさない手だてである。日銀は銀行に資金を貸す際の担保として低い格付けの社債を受け入れ、企業への資金供給を促す対策を決めたが、一層の円滑化策も考えるべきである。
 中小企業対策では信用保証協会による緊急保証枠の拡大が重要だ。首相が第二次補正予算案の提出を先送りしたため、保証枠を6兆円から20兆円に広げる計画の実現も来年まわしになった。「現行枠で足りる」と首相は言うが、全国で保証の申し込みが殺到しており、保証枠拡大の緊急性は増している。