エェ(;゜Д゜)ェエ新聞

大企業の資金繰り、銀行にシフト 東芝第一三共など
 大企業の資金調達が銀行借り入れにシフトしている。東芝が5000億円の借入枠を設けたほか、第一三共も2100億円を銀行から調達。金融市場の混乱が長引き社債コマーシャルペーパーの発行難がしばらく続くとみて、間接金融による資金確保に転換する動きが目立つ。大企業の「銀行依存」がさらに強まれば、結果的に中小企業に資金が行き渡りにくくなる恐れもある。
 東芝は年度末に向けた資金需要に機動的に対応するため、複数の銀行と結んでいる借入枠を一気に合計5000億円に引き上げた。これを上限に必要な資金をいつでも手当てできる。



景気、回復時期見えず マイナス成長4期連続も
 景気後退が長引く恐れが出てきた。内閣府が9日発表した7―9月期の国内総生産(GDP)改定値は速報値から大幅に下方修正。10月の景気動向指数も過去2番目の落ち込みとなり、金融危機の影響が深刻になった10月以降は景気下振れが鮮明になっている。現状では内外需とも回復の展望は描けず、民間エコノミストの間では2009年1―3月期にかけ戦後初の4.四半期連続のマイナス成長に陥るとの予測も浮上してきた。
 7―9月期のGDP改定値は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%減、年率換算で1.8%減と4―6月期に続くマイナス成長となった。11月公表の速報値に比べそれぞれ0.4ポイント、1.4ポイントの下方修正。設備投資が前期比2.0%減と速報と比べ0.3ポイント低くなったのが響いた。 輸出も低迷し、輸入を差し引いた外需の成長への寄与度は0.2ポイントのマイナス。「輸出を起点とする企業部門の改善は完全に途切れた」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏)格好だ。



政府、6年10か月ぶりに「景気悪化」判断へ
 政府は9日、12月の月例経済報告で、景気の基調判断を3か月連続で下方修正する方針を固めた。
 金融危機をきっかけとする世界経済の減速で、国内景気も急速に落ち込んでいるためだ。生産活動の低下や雇用情勢の悪化を踏まえ、2002年2月以来、6年10か月ぶりに「景気悪化」の判断が示される公算が大きい。
 日本銀行が15日に発表する12月の企業短期経済観測調査日銀短観)の結果などを見極めた上で最終判断する。具体的な表現は関係省庁で調整するが、景気は「悪化しつつある」「悪化している」などが有力視されている。11月の月例報告は、「景気は弱まっている。さらに、世界経済が一段と減速する中で、下押し圧力が急速に高まっている」と判断していた。
 政府が深刻視しているのは、雇用情勢の急速な悪化だ。自動車や電機など、輸出関連企業を中心に非正規雇用を削減する動きが広がっているうえ、正社員の希望退職を募る動きも目立ち始めた。



世界経済、成長率0%台に 来年の世銀見直し低下
 世界銀行は9日、2009年の世界経済の実質成長率が0.9%に低下するとの予測を発表した。金融危機発展途上国を含む世界各国の実体経済に波及したため。世界の貿易量は前年比2.1%減と1982年以来27年ぶりにマイナスに転じる見通し。グローバル経済が「大いなる不確実性の時代」に移行しつつあると強調している。
 「世界経済展望」によると08年の成長率予測は2.5%で、09年を底に10年には3.0%まで回復する。国際通貨基金IMF)が11月に発表した09年の世界経済の成長率予測は2.2%だった。IMFは高成長の途上国の比重が高くなる購買力平価ベースのため世銀より高くなる傾向があり、購買力を加味しない世銀と同じベースでは1.1%だった。



小泉路線」勢力60人が会合 郵政民営化求め、首相揺さぶり
 主要メディアが内閣支持率急落で足並みをそろえた世論調査報道から一夜明けた9日、自民党内で麻生太郎首相と政策面で一線を画す「小泉改革継承」勢力や中堅若手グループが相次いで会合を開いた。直ちに「麻生降ろし」に走るというより、衆院選への危機感から政界流動化に布石を打つ動きと見られる。首相周辺は強く警戒し、「反麻生」の押さえ込みに躍起だ。
 「3年前の選挙を思い起こしてほしい。不可解な行動をしている方々の多くは郵政民営化反対が間違いだったと誓約書まで書いて復党したことを忘れてほしくない」。
 9日、自民党本部8階で開いた「郵政民営化を堅持し推進する集い」。呼びかけ人の1人、小泉純一郎元首相は冒頭のあいさつで、党内で浮上した郵政民営化見直し論を強くけん制した。



工作機械受注、11月は6割減 バブル以降で最大の落ち込み
 日本工作機械工業会(中村健一会長)が9日発表した11月の工作機械受注(速報値)は前年同月比62.2%減の516億円だった。落ち込み幅はバブル期以降で最大。自動車産業をはじめ、製造業各社で設備投資を凍結する動きが相次ぎ10月と比べても35%超の減少となった。米国発の金融危機に端を発した世界経済減速の影響を顕著に示している。
 国内は前年同月比60.8%減の248億円だった。輸出は63.5%減の268億円。



世界の航空会社の総収入、09年は7年ぶり減少 世界同時不況で
 【ジュネーブ=藤田剛】世界各国の航空会社で組織する国際航空運送協会(IATA)は9日、2009年の航空業界の業績予測を発表した。各社の総収入は前年比7%減の5010億ドル(46兆円)で、02年以来7年ぶりの減少となる。世界同時不況で海外旅行や出張を手控える動きが広がるうえ、企業活動の停滞を映して航空貨物の荷動きも大きく落ち込むためだ。
 09年の旅客運送量は前年比3%減、貨物運送量は5%減の予測で、IATAは「収入面はこの50年間で最悪の環境」(ジョバンニ・ビジニャーニ事務局長)という。経営の悪化を受け、航空会社の淘汰や再編が加速する公算が大きい。
 一方、原油価格が急反落したことで、これまで経営の圧迫要因だった燃料費は軽減される。総燃料費は前年比18%減の1420億ドルで、7年ぶりに減少する。



訪日外国人の旅行取扱額、10月は17%減 観光庁
 観光庁が9日発表した主要旅行会社63社の10月の取扱額は、訪日した外国人の旅行が前年同月比17.3%減の75億4300万円となった。前年比マイナスは2カ月連続で、同庁によると18.0%減となった2005年3月以来の下げ幅となった。米国発の金融不安や円高傾向で訪日を控える外国人が増えたもようだ。
 日本からの海外旅行は7.9%減の2150億4700万円で、5カ月連続マイナスだった。景気後退による消費者心理の冷え込みを反映した。国内旅行は2.5%増の3927億300万円。前年比プラスは3カ月ぶり。近場の観光地を選択する旅行者が増えたとみられる。



たばこ陳列販売を禁止 英政府、若年層の喫煙対策
 英政府は9日、各銘柄のたばこを棚に並べて店頭で販売することを禁止すると発表した。喫煙への好奇心をあおっているとされる「陳列販売」を禁じ、若年層の喫煙人口を減らすのが狙い。店舗の規模に応じて2011年10月から順次適用する。
 また、若年層の5人に1人が自動販売機でたばこを買っていることから、身分証明がなければ自動販売機を使えないようにする。効果が確認できなければ、自動販売機の全面禁止も検討するという。
 英国では18歳以下のたばこの購入を法律で禁じている。



飢餓人口、1年で4000万人増 食料価格高騰で9億6300万人に
 国連食糧農業機関(FAO)は9日、2008年の世界の飢餓状況に関する報告書を発表。世界的な食料価格高騰などで、十分な栄養が取れない人口は昨年より4000万人増え、9億6300万人に達すると予測した。さらに、金融危機により、特に途上国の農業投資が減少するとして、危機が続けば09年の飢餓人口がさらに増える可能性も指摘した。
 国際的な食料価格は世界的な景気落ち込みにより、今年前半のピークと比べ低下したものの、06年以前の価格と比べると高止まりしていると強調。また、先進国での今年の穀物生産は10%以上伸びるものの、途上国では肥料や燃料価格高騰を卸売価格に転嫁できず、生産の伸びはわずかにとどまるとして、今後の途上国での生産減少に懸念を示した。



ノキア、携帯ソフト開発費圧縮
 携帯電話機の世界最大手、ノキアフィンランド)は端末の開発を大幅に効率化できる基盤ソフトを実用化する。通信や検索、画像表示など様々な機能の制御が基盤ソフト一つで可能になり、機能ごとに必要だったソフト開発を省力化できる。ソフトの総開発コストは最大で100分の一に圧縮できるという。ノキアは来年以降、基盤ソフトを自社製品の開発に活用するほか、日本勢を含む端末メーカーに利用を呼び掛ける。
 開発した基盤ソフトの名称は「NoTA(ノタ)」。通信機器制御用の基本ソフト(OS)「トロン」の開発を手がけるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所(東京・品川、坂村健所長)、フィンランド政府が開発に参加した。



MS日本法人、「ウィンドウズモバイル」対応のソフト・機器の開発支援組織
 マイクロソフト(MS)日本法人(東京・渋谷)は、NTTドコモなど国内通信事業者6社と組み、MSの携帯端末向け基本ソフト(OS)を使ったソフトや端末の開発支援組織を設立した。機器メーカーやソフト開発会社も加わって開発を促進。MS製OSを使った携帯端末の普及を図る。
 「ウィンドウズモバイル開発者事務局」を東京都新宿区に開設した。MS製携帯用OS「ウィンドウズモバイル」に対応した業務ソフトや機器の開発に関する情報交換、技術交流の場として活用する。定期的な技術・製品セミナーの開催やメールニュースの配信などを予定している。



大丸・松坂屋が改装凍結 来年度投資見直し、20億円節減
 大丸と松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリングは、2009年度の投資を見直す。新店や増床など大型投資を除いて、改装などを原則凍結して20億円前後を削減する。消費不振で売上高が急減する中、投資効果が見込めないと判断した。東武百貨店も国内最大級の店舗改装の凍結を決めており、百貨店業界で投資抑制の動きが広がってきた。
 直営の全20店を対象とする。業界で一般的な季節ごとの売り場の模様替え、ブランドの入れ替えといった小規模な改装を原則凍結する。展示方法や品ぞろえを見直し、費用をかけずに改装と同じ効果が出るよう工夫する。



日経社説 危機感を映すオバマニューディール(12/10)
 オバマ次期米大統領が大規模な公共事業を柱とする新たな経済再生計画の概要を明らかにした。巨額の財政出動により、一気に需要と雇用の創出を目指す大胆な施策である。いま米経済に深刻な景気後退が迫っており、月並みな政策では効果がないという危機認識は正しい。
 計画は次期政権の経済政策チームが策定作業を進めている。必要な財政支出の規模は5000億―7000億ドルに上るとみられる。これは米国の国内総生産(GDP)の3―5%に相当する異例の規模だ。
 第2次大戦前の大恐慌の際にルーズベルト大統領が実施した「ニューディール政策」の現代版とも呼べる。オバマ氏は2年間で250万人の雇用を創出すると約束した。
 大型投資をバラマキ政策とせず、中長期的な競争力の向上や環境負担の軽減につながるよう、対象を絞り込んだ点は、日本も学ぶべきだ。
 第1に挙げた分野が省エネである。全米の公的施設の暖房や照明をエネルギー効率の高い製品に交換する。一見地味だが、電機、設備、工事などの業界に直接的に作用し、有効需要を生む即効性が期待できる。
 第2に挙げた道路や橋などのインフラ整備も、土木・建設業の雇用に貢献が大きいはずだ。1950年代にアイゼンハワー大統領が全米に高速道路網を築いて以来、最大規模の公共投資を実施する。
 交通網が発達した米国だが、実際には老朽して傷んだ高速道路や橋が多い。隠れた米国の弱点に着眼した政策だといえる。連邦政府が州政府に予算を配分し、直ちにインフラ整備を実行しなければ予算を無効にするという工夫も盛り込んだ。
 オバマ氏は学校の校舎の省エネ化や、最新コンピューターの配備、医療分野の情報通信網の整備を進める方針も打ち出した。米経済の強みであるハイテク業界に、政府が新市場を提供し、同分野の雇用や投資を下支えする狙いがある。
 財政赤字の拡大など問題点を指摘する声があるのも事実だ。だが、デフレ圧力の強い現状では、まず有効需要を作り、雇用を創出するという判断は現実的だろう。一時的な需要とはいえ集中的に実行すれば、景気を回復軌道に戻す助けとなろう。
 オバマ次期大統領は矢継ぎ早に経済政策に携わる主要人事や公共投資の計画を発表し、1月の就任までの空白を作らない。明らかにスピード感を重視している。経済危機の局面で取るべき行動の、最も重要なツボを心得ている。日本の政治指導者も見習うべき姿勢である。