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創業者の再登板はなぜあまり成功しないのか <COLUMN>
 インターネット企業の先駆けである米ヤフーは11月17日、2007年6月からCEOに復帰していた創業者、ジェリー・ヤン氏の辞任を発表した。ヤフーに限らず、先進モデルを築いたIT企業が成長過程で他社に追い上げられ、あるいは成長期に創業者から交代した次のCEOが活躍できず、創業者が再登板するケースは数多くある。しかし、再登板はあまりうまくいかない。その理由を考えてみたい。
 ヤフーのヤン氏は、検索分野でグーグルにシェアを奪われていくなか、戦略再建を期待されてCEOに就任していたが、利益の改善は見られず、レイオフまで行うこととなった。さらに、マイクロソフトの買収提案に対して独立性を堅持しようとしたことで、株価も結果的には大きく下落した。このような一連の責任を取って交代となったのだろう。
■インデックスとサイバード
 日本では例えば、インデックス・ホールディングス(以下、インデックス)やサイバードにおいて創業者が再登板した。両社とも、いったん創業者が会長に退き、コンサルティング会社出身の社長に一時期成長を託している。しかし、業績や株価の低迷で、それぞれの創業者の落合正美会長、堀主知ロバート会長が会長兼社長となり、再び現場に復帰している。
 しかし残念なことに、ヤフーと同じようにインデックス、サイバードともに、業績がめざましく回復したとは言い難い。
 インデックスは07年に落合会長が復帰したものの、08年8月期の最終赤字は301億円と従来予想の112億円の赤字を大きく上回り、前の期の158億円の赤字に続く2期連続の赤字となった。配当も無配となった。結果、11月28日現在の株価は6390円、株価純資産倍率(PBR)も0.49倍と落ち込んでいる。ピーク時の06年1月に30万円を超えていたので、30分の1以下に下落している。
 サイバードは08年3月に経営陣による企業買収(MBO)により上場廃止した。ピーク時には40万円だった株価も、TOBの買い取り価格は6万円となっていた。また、上場廃止の理由は、先行投資がかさむため、株価に左右されない経営をめざすためとしている。先行投資が花開くかどうかは今後の動向を見守る必要があるが、これまでのところ華々しい立ち直りとはなっていない。
■創業者の才能とは別の才能が必要
 まず、創業者の再登板の前に、なぜいったん創業者が会長に退くのかその理由を見ていこう。順調に成長してきたベンチャーが、成長期に曲がり角を迎えることは多い。その場合は高い株価や豊富な資金力を背景に、さまざまな業態を買収していくという手段があるが、経営の難易度が上がってくるため、株主や取締役会のプレッシャーなどもあり、経営コンサルティング会社や投資会社出身の社長を経営のプロとして招くことになる。
 しかし、残念ながら、もともと成長の曲がり角を迎えているのである。多角化しても成長できない場合、あるいは多角化以前の本業の収益性が落ちてきてしまう場合がよくある。そうなると、大株主でもある創業者は雇われ社長を解雇し、自身が再登板するのである。雇われにやらせているからうまくいかないのであって、自分ならうまくいくと考えてしまうのである。
 創業者は会社を立ち上げるだけの先見性があり、社内の求心力も強く、かつ取引先との関係性も強い。うまくいきそうなこの創業者の再登板だが、ヤフー、インデックス、サイバードとこれまで見てきたように、意外と苦戦している。いったいなぜか?
 この解答に対する私の仮説はとても単純である。それは、「創業者として成功する才能と、業績立て直し者として成功する才能は明確に異なる」からだ。
 創業者として成功するためには、リスクを果敢に取りながら、スピードを重視していくことが求められる。とにかく、チャンスに対して早くそれをつかむ行動力が重要である。躊躇はいらず、余計な報告システムや会議などは、無用の長物だろう。
■過去の成功体験を忘れられず
 そして、インデックスもサイバードもNTTドコモがiモードを開発し、携帯ネットでの着メロや占いゲームがブームになるなか、運良く、あるいは実力がその時点では抜きん出ていたため、携帯電話コンテンツ勝ち残りトーナメントで勝ち上がってきた。
 ところが、携帯電話のコンテンツブームはいつまでも続くわけではない。ブームが去っても成長を保てるよう、インデックスもサイバードもさまざまな会社を買収しながら業容を拡大した。
 このような複雑化した業態で必要になってくるのは、スピードや勘よりも人事や計数管理能力、マーケティング能力だ。多数の業態において、中間管理者に対してきっちりと目標を作らせ、コミットさせ、市場調査を行い、優先順位を付け、そこに向かって業績を上げていく仕組みを作らなければならないのである。
 多くの創業者はそういう仕組み作りを中心とした管理はあまり得意ではない。したがって、多くの創業者は経営のプロを外部から招聘する。しかし、たとえ経営のプロであっても、雇われ社長が成長力の落ちてきた業界で、創業者の厳しい監視の下で業績を上げ続けることは至難の業である。結局、雇われ社長も業績を上げられず2〜3年でバーンアウトしていく。
 そこで業を煮やした創業者が再び社長として再登板するが、すでに創業時とは競争環境も業界もすっかり変わっている。それでも創業者は過去の成功体験が忘れられず、同じやり方を繰り返しがちになるため、うまくいかないのである。
スティーブ・ジョブズ氏のどこがすごいのか
 一方、創業者の復帰で業績が回復したケースもある。例えば筆頭はアップルだろう。創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は、85年に自ら招聘したジョン・スカリー氏によって会長職以外の権限を剥奪される。その後、ジョブズ氏はNeXTやピクサーといった会社の立ち上げに関わる一方、アップルへの復帰をアプローチし、とうとう97年にNeXTがアップルに買収されるのに伴いアップルに復帰。00年にはCEOに就任するのである。
 そして、「iMac」や「iPod」などによるアップルの復活劇は私たちもよく知るところである。しかし、ここで注意してほしいのは、ジョブズ氏は創業者が単純に復帰したのではなく、一度は追い出された創業者が実力で返り咲き、再び第二の創業といえる活動を行ったということである。
 ジョブズ氏が他の創業者よりも高い評価を受けるのは、この二度の成功があるからだろう。一度成功することよりも、もう一度成功することのほうが実ははるかに難しいのである。



ビッグ3救済、つなぎ融資へ妥協案 来週にも法案採決
 【ワシントン=大隅隆】ビッグスリー(米自動車大手3社)救済を巡り、米政府・議会内で5日、年明けまでに必要な運転資金をつなぎ融資の形で実施する妥協案が浮上してきた。すでに成立している環境技術開発向けの政府融資枠(250億ドル)の一部を活用できるように関連法を改正する案で、ブッシュ政権の意向に沿った内容だ。米民主党も同意する方向に傾いているもよう。来週にも議会で採決する公算が大きい。
 AP通信など複数のメディアはつなぎ融資の規模を150億ドル(約1兆4000億円)と報道している。ビッグスリーが要請している340億ドルの支援をはるかに下回る規模だが、数カ月の運転資金に充てることを想定した規模で調整しているためとみられる。ビッグスリーの救済は当面のヤマ場を迎えた。



クライスラー、企業破綻で著名な法律事務所と契約
 【ニューヨーク=小高航】経営危機に陥っている米クライスラーは5日、企業の経営破綻などの分野で著名な法律事務所と契約を結んだことを明らかにした。「先月、米議会から破綻の影響を調べるよう求められ、第三者に依頼した」としている。同社は米政府に70億ドル(約6500億円)の支援を求めているが、再建の実現性を巡り議会で厳しく追及されている。
 クライスラーは11月中旬に法律事務所「ジョーンズ・デイ」など複数の第三者機関と契約を結んだ。クライスラーは調査により「破綻に至れば米自動車業界に及ぼす影響は甚大との結果を得た」とし、契約はあくまで米議会向け調査のためと強調した。
 ただ、米紙ウォールストリート・ジャーナルは今回、ジョーンズ・デイから派遣された責任者が、自動車部品メーカーの破綻処理や全米自動車労組(UAW)との交渉で実績がある人物だと指摘。消息筋の話として「米破産法の適用申請の可能性を視野に入れたもの」との見方があることを報じた。



延滞・差し押さえ最悪 米住宅ローン、10件に1件 7―9月
 【ニューヨーク=山下茂行】米抵当銀行協会(MBA)は5日、7―9月期の住宅ローンの延滞率と差し押さえ率がそれぞれ過去最高を更新したと発表した。両比率を合計すると9.96%にのぼり、10件に1件で返済が困難になっている。住宅ローン問題を発端とした景気低迷の影響で雇用環境が悪化、一段と住宅ローン問題が深刻になる悪循環が続いている。
 住宅ローンの延滞率(季節調整値)は6.99%と4―6月期に比べて0.58ポイント上昇。前年同期比では1.40ポイントと大幅上昇した。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の延滞率は20.03%。信用力の高い個人向けのプライムローンの延滞率も4.34%にのぼった。



欧州利下げ ユーロ圏の景気悪化は深刻だ(12月6日付・読売社説)
 欧州が大幅な追加利下げに踏み切り、急激な景気悪化の阻止に懸命に動いている。
 欧州中央銀行(ECB)が、政策金利を0・75%引き下げ、年2・5%とした。英国中央銀行も1%利下げし、57年ぶりの低金利である年2%にした。いずれも、3か月連続の金融緩和だ。
 金融危機実体経済が冷え込んだ欧州では、独仏伊などユーロ圏がマイナス成長となり、1999年の通貨統合後、初めて、景気後退に陥った。英国もマイナス成長で、ユーロ圏以上に深刻だ。
 市場予想を上回る大幅な下げ幅は、ECBと英中銀の危機感の強さを示す。
 原油価格の下落などでインフレ懸念が後退し、金融政策を発動する余地が広がったことも理由だ。景気重視の姿勢をより鮮明にしたといえよう。
 米国でも景気後退が確認され、米連邦準備制度理事会FRB)も、今月半ばに追加利下げするとみられる。
 それでもなお、世界や欧州の景気が下振れするリスクがあり、来年にかけ、欧州は、追加利下げに迫られる可能性が高い。
 欧州では、財政出動による景気刺激策も本格化している。財政と金融の両面で政策を総動員することが、ますます重要となろう。
 欧州連合(EU)の欧州委員会は、総額2000億ユーロ(約25兆円)規模の大型の経済対策を加盟国に提案した。各国に共通する企業支援や優遇税制などが柱で、来週開かれる首脳会議で、その具体案を審議する。
 すでに独仏などが独自の景気対策を決めている。英国は、今月から付加価値税を一時的に引き下げる措置も実施した。
 財政赤字国内総生産(GDP)比で3%以内に抑えることをユーロ導入国に義務付けた協定については、2年間棚上げし、財政赤字の拡大が容認される方向だ。政策の幅が広がることになる。
 追加対策の具体化を巡っては、各国の思惑に違いもある。どこまで足並みをそろえることができるかが焦点になろう。
 日本にとって気がかりなのは、欧州の景気悪化が嫌気され、対主要通貨で急落しているユーロ相場の先行きだ。
 すでに大幅な円高・ユーロ安が進んでいる。さらに円が急騰すれば、日本の輸出企業にとって、大きな打撃となる。
 欧州の景気動向から目を離すわけにいかない。