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主要素材、値下げに転換 車向け樹脂5%、鋼材も下げ圧力
 合成樹脂や鋼材など値上げを続けてきた主要素材メーカーが価格戦略を見直し、値下げに転じる動きが出てきた。車などに使う高機能樹脂の最大手が来年1月にも価格を5%程度下げるほか、食品容器などに使う樹脂各社も値下げの方針。鋼材価格も下げに転じる可能性が高まっている。化学各社は今夏に樹脂価格の改定で値上げを打ち出したばかり。資源価格の急落でにわかに対応を迫られている。
 素材値上げの流れは2002年ごろから続いてきた。資源高を転嫁する形での値上げは個人消費を冷え込ませる要因となっていたため、ここにきて一転の値下げは一時的には景気や企業業績を下支えする側面がある。ただ、欧米でもデフレ懸念が強まっており、価格低下と足元の需要減が長期化すれば、景気に悪影響を及ぼす恐れがある。



オバマ氏、雇用創出「2年で250万人」 デフレ連鎖に懸念
 【ワシントン=大隅隆】オバマ次期米大統領は22日、ラジオ放送での演説で「我々は今、デフレスパイラルに落ち込む危機に直面している」と言明した。物価の下落と経済の縮小が相乗的に進みかねないとの認識から、金融危機に伴う景気失速に強い危機感を示した異例の発言だ。2011年1月までに250万人の雇用を創出する経済再生計画を策定することも明らかにした。
 米国では雇用情勢が急速に悪化する一方、10月の消費者物価指数が前月比で過去最大の下げ幅となり、デフレ懸念が強まっている。オバマ氏は「経済情勢は一段と悪化するだろう」とし、日本がかつて経験したようなデフレ不況に陥りかねないとの認識を示した。
 そのうえで「来年1月の就任直後から事態に対応するため、対策の具体化に着手した」と言明。1月に大規模な景気対策に署名し、就任直後から公共事業や研究開発などを含む大規模な景気対策による需要下支えに取り組む考えを強調した。



新興国の資源企業、株式時価総額が急減
 金融危機が株式時価総額でみた世界の企業の勢力図を塗り替えている。ピーク時の3分の1に沈む原油などの資源価格や自国通貨の下落が響き、ロシアやブラジルなど、台頭する新興国の象徴だったエネルギー会社が上位から姿を消した。大きく時価総額を減らす企業が相次ぐなかで、景気悪化への抵抗力がある日用品メーカーなどの順位が相対的に浮上。マネーが内向きにリスク回避する傾向が浮き彫りとなった。
 野村証券が集計した10月末時点の時価総額を、原油など資源価格が最高値圏にあった6月末と比較した。ロシアの天然ガス会社ガスプロムとブラジルの国営石油会社ペトロブラスが、ともに時価総額を6割以上減らし、20位以下に順位を落とした。



ブッシュ大統領「経済発展に自由市場重要」 APECで演説
 【リマ=米山雄介】ブッシュ米大統領は22日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の最高経営責任者(CEO)サミットで演説し「自由市場が繁栄をもたらす」と述べ、アジア太平洋地域の成長・発展へ貿易や市場の自由化が重要だと指摘した。世界貿易機関WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)では年内の大枠合意を改めて呼びかけた。
 大統領は日本や韓国を引き合いに「自由市場が経済を発展させた」と強調。アジア太平洋地域で貿易、市場、人の3つの自由化を引き続き推進する必要があるとの考えを力説した。
 WTO交渉については「世界的な保護主義が世界的な破滅を招いたことが大恐慌の教訓だ」と指摘。ドーハ・ラウンドの年内大枠合意に向けた努力を各国に呼びかけた。



ファミレス「すかいらーく」全店廃止 低価格店に転換
 経営再建中のすかいらーくは2009年12月期中に、ファミリーレストランすかいらーく」全店を廃止し、低価格店「ガスト」や「ジョナサン」に転換する。少子化による家族連れの減少で苦戦、比較的好調な低価格店に変えて再建を急ぐ。1970年にファミレスの先駆けとして登場した店が、最近の消費不振で姿を消すことになる。
 「すかいらーく」はピークの92年に700超の店があったが、10月末には154店まで減少。グループ全店に占める比率は4%に下がっていた。



米財務長官ガイトナー氏有力 次期政権、市場にも配慮
 【ワシントン=大隅隆】金融危機に直面する米国の次期財務長官に、ニューヨーク連銀のガイトナー総裁の起用が有力になった。グローバル化自由貿易を重視するルービン元財務長官に連なる人脈のエースでもあり、オバマ次期政権の経済政策は、市場にも配慮した現実路線を視野に入れ始めた。
 ガイトナー氏は、オバマ次期米大統領と同じ1961年8月生まれの47歳。若くして頭角を現す転機となったのは、クリントン政権の経済政策を仕切ったルービン、サマーズの両元財務長官に認められたことだ。



自動車各社、「家庭充電型」ハイブリッド車の開発急ぐ
 自動車各社が家庭で充電できるプラグインハイブリッド車を相次ぎ開発する。三菱自動車は2015年までに電気自動車の技術を応用した新型車を日本などに投入、ホンダも米国向けの開発に着手した。すでにトヨタ自動車日産自動車も開発を表明している。景気変調を受け、自動車需要は世界的に急減速している。各社は環境対応が今後の生き残りに不可欠とみており、環境車として有望なプラグイン型の開発を急ぐ。
 三菱自は「シリーズ式」と呼ぶ新型ハイブリッド技術を開発する。ガソリンエンジンは電力不足時の発電専用に使い、電気モーターのみで走行する仕組み。電池容量に限りがある電気自動車に比べ走行距離を大幅に延ばせるほか、車両サイズを大きくできる利点がある。多目的スポーツ車(SUV)「アウトランダー」「パジェロ」など中大型車に搭載する。



ソニー、放送局用機器4機種投入 デジタル家電と連携強化
 ソニーは2009年3月末までに放送局の映像確認用モニターなど放送用機器4モデルを発売する。放送の現場でフルハイビジョン画質での撮影や編集、コンテンツ(情報の内容)の多重活用が加速していることに対応する。新製品ではデジタルカメラなどデジタル家電の担当部門との連携を強化。社内の技術を共有してエレクトロニクス部門全体の業績回復を目指す。
 今回発売する新製品は業務用ビデオカメラ、小型ビデオカメラ、映像の確認に使う17型と23型液晶マスターモニターの4モデル。



船井電機の液晶TV販売、今期計画比1割減の見通し
 船井電機の2009年3月期の液晶テレビ販売は全世界で350万台前後と、期初計画の400万台を1割強下回る見通しとなった。前期実績の260万台は上回るが、売り上げの約7割を占める北米市場での消費不振が響く。北米では液晶テレビの価格下落が進んでいることもあり、販売台数目標の達成よりも事業の黒字化を優先させる。
 船井は今期にオランダのフィリップスから北米の液晶テレビ事業を買収、同社の持つ会員制量販店などの販路を獲得したことで販売台数は前期比3割増となる見通し。前期の目標も400万台だったが、液晶パネルに利用する主要部材の不足で製品が供給できず、事業部門が赤字に陥った経緯がある。



地銀27行、9月中間最終赤字に 不良債権が重荷
 株式を上場する地方銀行87行・グループの2008年9月中間期決算は、連結純利益の合計が約1200億円にとどまり、前年同期から71.6%減った。約3分の1にあたる27行が最終赤字となった。不動産・建設業向けを中心に不良債権処理損失が増加したほか、金融市場の混乱を受けて株式など保有有価証券にからむ損失も膨らんだ。
 本業のもうけを示す実質業務純益は約6600億円と前年同期比24.5%減少した。上場地銀全体で500億円以上保有していた米リーマン・ブラザーズ債や投資信託減損損失が大きく響いた。地銀が新たな収益源と位置づけるリテール業務も不振で、株式市場の低迷を背景に金融商品の販売が低迷したため、手数料収入などによる役務取引等利益も約2割減と落ち込んだ。



GM、生産調整を追加 工場休止の前倒しなど
 【ニューヨーク=武類雅典】経営不振が続く米ゼネラル・モーターズ(GM)は21日、カナダのトラック組み立て工場(オンタリオ州オシャワ)の休止前倒しなど、生産調整の追加策を明らかにした。同工場は来年7月に休止する予定だったが、来年5月に早める。来年1月にはオハイオ州カンザス州などにある一部の完成車工場で休業期間を追加する。
 GMは販売不振で資金繰りが悪化し、政府支援も求めている。生産調整で少しでもコスト削減につなげたい考えだ。



日経社説 人材開国を考える 50年後を見据えて「外国人政策」を(11/23)
 外国人労働者受け入れが加速したのは1990年代初めだった。途上国の人材育成に貢献することを目指した研修・技能実習制度が本格的に動きだし、一方でブラジルなどの日系人についてはほぼ無制限で受け入れる制度が始まった。
 その結果、増え続けていた不法就労・不法滞在は徐々に下火になってきた。だが、これまでも繰り返し指摘してきたように、現行の制度も様々な問題をはらんでいる。
ほぼ20年ぶりの大改革
 1つは研修・技能実習制度が単純労働力を低賃金で受け入れる裏道として利用されていることだ。「途上国の人材育成」という制度の理念と実際に制度を利用する企業などのニーズがかけ離れているのである。
 結果として、多くの研修・技能実習生が実態は労働者なのに労働者として当然の法的な保護を受けられない状況に陥っている。最低賃金を下回る給与しか払わなかったり、パスポートを押収したりする人権侵害や法令違反が各地で頻発している。
 政府は、2009年に出入国管理法などの改正案を提出することを目指して改革案の検討を進めている。ほぼ20年ぶりの大改革となる。ただ、厚生労働省経済産業省がたたき台として示してきた案をみる限り、雇用者への監督強化や違反に対する罰則強化など、小手先の改革案にとどまっている印象が強い。
 厚労省経産省の案のように「単純労働力は受け入れない」という建前を前提にして考えると抜本改革の展望は開けない。「人手不足を外国人労働者で補う必要がある」と正直に認めたうえで、新たな受け入れ制度を考えるべきだ。多くの国が採用しているような、期間3年程度の就労ビサ(入国査証)を発給する短期就労制度は参考になるはずだ。
 日系人の増加で問題となっているのは外国人を受け入れる環境・基盤の不備である。たとえば、日本語教育のシステムやカリキュラムを国として整える努力を怠ってきた。また、転居する際に市町村へ転出・転入届を出すことを外国人には義務づけていないため、自治体は外国人の居住実態を把握するのが難しい。
 こうしたインフラの不備は、帰国した中国残留孤児などにとっても大問題だ。総合的・体系的に取り組むことが不可欠で、省庁縦割り的な対応では限界がある。
 日本経済団体連合会は10月に発表した提言の中で、外国からの人材受け入れを担当する閣僚の設置と関係省庁が一体となって取り組む体制の整備を訴えている。
 経団連の提言は長期的な観点から「日本型移民政策」の検討も求めている。根底にあるのは、今後50年間で人口が4000万人近く減り特に生産年齢人口はほぼ半減する見通しであることへの強い危機感だ。
 さらに、消費や住宅投資などの内需の縮小も加わって経済は活力を失い、膨大な負債を抱えた財政や年金は維持しにくくなる。医療・介護や教育、治安・防災といった経済社会インフラが揺らぐ……。
 提言が展望する50年後の日本の姿はかなり悲惨であり、日本の経済社会の活力を維持するため相当規模の移民を受け入れるべきだとの議論にはそれなりに説得力がある。
 自民党の外国人材交流議員連盟が6月にまとめた提言はさらに踏み込んで「今後50年で1000万人の移民を受け入れよう」と訴えた。
足元の課題を踏まえて
 一方、日本経済調査協議会が9月に出した提言は、外国人労働力を大量に受け入れた欧州諸国で社会問題が発生しているのを踏まえ、移民の受け入れには慎重だ。工場労働者など高度ではない働き手は単身赴任とし、能力開発の程度に応じて1―5年で帰国してもらうのを基本とする。そのなかで特に能力を高めた人は「高度人材」と認定して定住を前提にした就労を認める――といったアイデアを示している。
 言うまでもなく、人口減・労働人口減対策としてまず必要なのは少子化を食い止め出産を増やすための努力や女性の社会進出の応援である。現状程度の外国人の受け入れでさえ問題が頻発しているのが実情で、大規模な外国人の受け入れや定住を前提とした移民の本格的な受け入れは社会に深刻な摩擦をもたらしかねない。慎重な議論が求められる。
 とはいえ、日本語教育などの体制整備や外国人向けの住民台帳制度の創設など、足元の課題に対応していくことは今後、多くの外国人材に頼らざるを得なくなったときのためのインフラを整えることにもなる。
 どの程度の規模の外国人労働者をどのような形で受け入れるのか。50年後を見据えた「外国人政策」を包括的に検討するときである。