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ヤンCEO辞任でも止まらないヤフーの転落 <COLUMN>
 ヤフーの共同設立者、ジェリー・ヤン氏がCEO(最高経営責任者)を辞任──米国時間11月17日夕方、このニュースは米国のネットを駆け回った。しかし、一夜明けた火曜日、ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなど主要紙は、淡々とした事実を報道したにとどまり、意外なほどにニュースの波紋は広がらなかった。もはやヤン氏の進退はニュース価値がなくなったのだろうか。今後、ヤフーにはどのような運命が待ち構えているのか。
■迷走を続けてきたヤフー
「明日は私かもしれない……」
 最近、シリコンバレーでは、ヤフー従業員の憂鬱話を聞くことが多い。インターネット広告分野で凋落が続くヤフーは、従業員の解雇を繰り返している。同僚がつぎつぎと姿を消していくのを目の当たりにして「明日は我が身か」と従業員は落ち着かない。その様子には、ここ数年迷走を続けてきたヤフーの姿が如実に表れている。
 前CEOのテリー・セメル氏は大手映画スタジオから転身して、ヤフーをタイム・ワーナーのような本格メディア企業に変身させようとした。社内にはセメル流「ネット軽視、コンテンツ重視」経営に戸惑う雰囲気が強かった。そして昨年6月、株価低迷の責任をとってセメル氏が辞任、共同設立者のヤン氏がCEOに復帰した。これでようやくネット企業に戻る──ヤン氏復帰は社員に歓迎を持って受け止められ、安堵の雰囲気が広がった。
 しかし、その後もネット広告で先行するグーグルとの差は開くばかり。主力のウェブ広告では勝てないと、ヤン氏はモバイル系広告事業に全力を注いだ。しかし、米国のモバイルビジネスでは、大ヒットを続けるアップルのiPhoneがリードする。携帯広告よりも、多彩なアプリケーションやコンテンツに人々は新鮮さを感じ、グーグルも携帯プラットフォーム「アンドロイド」を投入して対抗する。ヤン氏の思惑とは違い、ネット大手はヤフーのモバイル戦略に関心さえ示さない。
 こうして株価低迷に悩むヤフーは、2008年1月に1000名の人員削減を発表、厳しい減量経営へと向かった。以来、ヤフー社内では従業員が解雇におびえる雰囲気が広がっていった。
■不満を募らせる株主
 同社をますます窮地に追いやったのが、マイクロソフトとの買収交渉だった。当初は友好的な買収を狙ったマイクロソフトだが、ヤン氏の強固な反対にあう。その後、敵対的買収へと変更したが、そこでも買収防止策を駆使してヤン氏は抵抗した。一連の攻防では、公開企業のCEOとしての役割を忘れ、ひたすらマイクロソフトを忌み嫌うヤン氏の姿がさらけ出されたが、取締役会は株主からの批判に耳をふさいだ。
 その間隙を縫おうとしたのがグーグルだ。ヤフーとネット広告で業務提携を図り、マイクロソフト対グーグル/ヤフーという対立構図も生まれかかった。しかし、成立すればネット広告の9割を押さえるグーグルとヤフーの提携にネット業界全体が懸念を表明、議会も連邦政府機関も首を縦に振らなかった。結局、グーグルは交渉難航に恐れをなして、提携合意を解消した。
 こうした一連の経緯でもっとも不満を募らせたのは、ヤフーに投資している株主だった。もし、ヤン氏がいなければ、ヤフーは現在の3倍以上の株価でマイクロソフトに買収されていただろう。特に、大株主のカール・アイカーン氏は、マイクロソフトと手を取り合って、なんとかヤフー・マイクロソフト陣営を構築し株価を回復させようと狙っていただけに、強い不満を表明した。
■ヤン氏への厳しい風当たり
 17日夕方、ヤン氏は従業員にCEO辞任を知らせるメールを送った。それはすぐさま、ネット系ニュース「All-D(All Things Digital)」に転載された。手紙は、大文字をまったく使わないヤン氏流の文体で「CEOを辞任する」「次のCEO探しに、自分も参加する」「候補は社内・社外から探す(社内登用には投資家が反発している)」といった内容が淡々と綴られている。また「取締役会から頼まれたので自分はCEOに復帰した」「18カ月前より現在のヤフーは良くなっている」といった責任逃れや苦しまぎれの表現も散見された。 何度か読み返したが、従業員へのねぎらいの言葉はほとんどなく、もちろん株主への謝罪もなかった。逆に「自分は取締役に残る」とともに、「チーフ・ヤフーのタイトルに復帰」して同社の戦略面を今後も指導すると、経営への積極的な意欲を示している。
 このメールが掲載されたAll-Dには、読者からの様々なコメントがついている。あるコメントは「ヤン氏の個人的エゴ(マイクロソフト嫌い)によって株主に多大な被害を与えた」と非難していた。また「ヤフーをまだ支配するのか。さっさと経営から遠ざかってもらいたい」という指摘もあった。コメントを最後まで読み進めても、ヤン氏を支援する内容には1件も出会わなかった。
 こうした反応は、同社を取り巻く状況をよく反映している。筆頭株主であるヤン氏には「ヤフーは自分の会社」という意識がある。これは以前から様々な専門家が指摘してきたことだ。そのためヤフーは経営トップの育成に苦しんできた。読者のコメントが示すとおり、株式を公開している企業のCEOとしてのヤン氏の経営手腕に対し、株主は失望と今後の懸念をあらわにしている。
■ヤフー復活には「ビジョン」が必要
 サーチエンジンや広告システムの世代交代、技術革新に余念がないグーグルに比べると、ヤフーの技術開発力、サービス開発力は目を覆いたくなるほど弱体化している。すべての経営資源をモバイルに集中させ、その他のサービスがなおざりになっていることは、私のような一般ユーザーでさえ感じている。
 グーグルやアップル、IBMやHPなどは、2010年以降の戦略を懸命に模索している。それはポスト・インターネット、ポスト・ウェブの世界でもある。しかし、いまのヤフーにはそうしたビジョンは感じられない。いや、かたくなに情報を提供するためのホームページ(携帯ブラウザーを含む)に閉じこもっている。
 しかし、ヤフーのホームページ情報に匹敵するネットサービスは、ちょっとしたマッシュアップサイトを探せば容易に見つけ出せるのも事実だ。ヤフーの情報サービスは、昔ほどの競争力を持っていない。今後も情報提供型のホームページ・ビジネスに固執すれば──いや、もしジェリー・ヤン氏のビジョンがそうあれば「時代の変化に遅れを取っている」と言えるだろう。
 ヤン氏が経営の一線から退くタイミングは、遅すぎたかもしれない。ヤフーが復活するには、新たなビジョンを提供できる経営トップが欠かせない。しかし、強い経営意欲を示すヤン氏の下に、ビジョンをもった敏腕経営者が来たがらないのも事実だろう。以前、シリコンバレーで開催される展示会にはヤフーのブースが必ずあった。常に同社は優秀な人材を捜し求めていた。しかし、最近は展示会から姿を消し、人材が流出することはあっても、優秀な人材がヤフーにいくことはない。
◇   ◇   ◇
 ヤン氏がCEOを退けば、再びマイクロソフトとの買収交渉が始まると指摘するメディアは多い。一方、マイクロソフトスティーブ・バルマーCEOは、サーチエンジン部門の部分買収なら応じるだろうとの観測もある。いずれにせよ、マイクロソフトにとって、今のヤフーは以前ほどの魅力を放っていない。ヤフーは自力再生を主張するが、専門家はそうした時期は過ぎ去ったと見ている。
 現在のヤフーを見ると、つい思い出すのはネットスケープ・コミュニケーションズのことだ。ブラウザーネットスケープ・ナビゲーターを開発した同社は、インターネットの黎明期をリードした。マイクロソフトとのブラウザー戦争という不幸があったとはいえ、同社の経営はやがて迷走し、1999年にAOLとサン・マイクロシステムズ三者買収によって姿を消した。
 大恐慌以来と言われる厳しい経済環境に突入しようとしている現在、シリコンバレーは大量解雇の嵐におののいている。状況が悪化すればするほど、ヤフー、いやジェリー・ヤン氏に残された選択肢は少なくなっていくだろう。



GMの一部取締役、破産法含め検討の声も 米紙報道
 経営難から政府支援を要請中の米ゼネラル・モーターズ(GM)で、複数の取締役が米連邦破産法の申請も含めた抜本策の検討に前向きになっていることが明らかになった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が22日報じた。GMは破産法による再建について「選択肢にはない」と説明し続けているが、政府支援は月内に決まる見通しがたっていない。資金繰り懸念が高まる中、政府支援の行方とともに経営陣の判断が焦点になってきた。
 同紙は消息筋の話として、複数の取締役が破産法の適用申請も含めた「すべての選択肢」を検討する意思があると伝えた。GMは経営不安が再燃した今夏以降、リチャード・ワゴナー会長らが破産法申請について「選択肢にない」と強調。今週の米上下両院の公聴会でもワゴナー会長が破産法申請の可能性を改めて否定していた。



ジョージア州のコミュニティ銀が破綻 08年で20行目
 米連邦預金保険公社は21日、ジョージア州のコミュニティバンク(ローガンヴィル)の業務停止を発表した。米銀の破綻は今年20行目。同行の預金は別の地銀が引き継ぐ。(ワシントン支局)



高級食材の需要に陰り 国産牛やフグの卸値下落
 高級食材の需要に陰りが出てきた。国産高級牛肉やフグは軒並み値下がりしている。マスクメロンの売り上げも振るわない。金融危機実体経済に波及して景況感が悪化するなか、消費者の節約志向が強まっている。
 百貨店などで売られる国産高級牛肉の卸値は東京市場で現在、1キロ1800―2000円台と前年同期に比べて約1割安い水準だ。都内の百貨店でもすき焼きなどに使う和牛肩ロースが100グラム1200―1800円程度と、前年同期を5―10%下回る。



AIG資産売却、各地で交渉始動 中国系、アリコに食指
 経営難に陥った米アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の資産売却交渉が世界各地で動き出した。日本で生保事業を展開する米アリコについては中国の政府系ファンド、中国投資有限責任公司CIC)に最大49%の株式を売却する方向で交渉に入った。日本の生保子会社やアジア各地の子会社でも売却準備が具体化している。AIGを軸に世界の業界地図が塗り替わる可能性が出てきた。
 アリコは日本をはじめ欧米、中東など世界55カ国以上で生保事業を展開している。CICは中国の保険会社と投資連合を組んで出資する方向。交渉がまとまれば世界各地に足がかりを築くことができ、生保の世界での存在感が、一気に高まる可能性もある。



元次官宅襲撃 宅配各社「影響が心配」
 元厚生事務次官ら連続殺傷事件で、犯人が宅配便業者を装って犯行に及んだことを巡り、宅配各社が業務への影響を懸念している。事件の解決が長引けば受取人が業者が本物かどうかを警戒し、家のドアを開けないなど配達に支障が出る恐れがある。大手各社は全国の営業所に通達を出すなどして、利用者の不安解消に取り組んでいる。
 「宅配便と聞いてドアを開けるのが怖くなる」。元次官の山口剛彦さん(66)と妻の美知子さん(61)が殺害されたさいたま市南区の自宅近くに住む主婦(61)は不安を口にする。帽子と作業着姿で荷物を抱えていれば、正規の宅配業者と配達を装った者との見分けはつきにくい。事件は日常生活の慣れにつけ込んだ犯罪の怖さを、結果的に際立たせた。



東京新聞社説】
APEC  保護主義と戦う決意を
2008年11月22日
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が二十二日から、ペルーのリマで開かれる。金融危機が世界的な景気後退を招く中、各国はあらためて保護主義の誘惑と戦う姿勢が不可欠だ。
 今回の景気後退がいかに深刻か。地域的な広がりと急激な落ち込み幅が物語っている。国際通貨基金IMF)は今月初め、ひと月前に発表したばかりの経済見通しを緊急に大幅下方修正した。
 それによると、日米欧の先進国は二〇〇九年、そろってマイナス成長に転落する。これは戦後初めての事態だ。新興・途上国も軒並み減速し、世界全体では2・2%成長にとどまる。今後の展開次第で、この数字さえも実現できるかどうか怪しい。
 保護主義は経済が危機的状況に陥ったときに、台頭する。輸出を拡大し輸入を抑えるために、関税引き上げとまではいかなくても、引き下げに抵抗する、為替を自国通貨安に誘導する。景気後退の打撃を和らげようと、他国を犠牲にしても、自国利益を最優先する誘惑にかられるのである。
 経営危機に陥ったビッグスリーと呼ばれる自動車三社を米国政府が支援するかどうか、ヤマ場を迎えているが、一歩間違えると、これも世界貿易機関WTO)協定違反という形で保護主義への傾斜を促しかねない。
 保護主義はいったん芽生えると、相乗作用を生んで、坂道を転落するように勢いがつく。各国は苦しいときこそ、足並みをそろえて危機と景気後退に対処する姿勢をしっかりと確認すべきだ。
 アジア太平洋地域の国と地域からなるAPECは日本、中国、韓国など金融危機の打撃が比較的少なく、世界の成長センターとしても期待が高まっている。今回はAPECが世界経済を支える役割をアピールする機会でもある。
 交渉が難航している新多角的貿易交渉ドーハ・ラウンド)についても、APECの役割は重要だ。世界の国内総生産(GDP)の約六割を占める加盟国が互いに譲るべきは譲って、協調姿勢を強めれば、交渉を前進させるきっかけになる。
 先進国は新興・途上国の声に耳を傾け、食料生産力やエネルギー利用効率の向上など、互いに協力、支援できる分野で連携を強めていく必要がある。
 先進国であると同時に、アジアの一員でもある日本は、新興・途上国との橋渡し役を積極的に果たしていかねばならない。