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中国、アリコ出資へ交渉 49%上限にAIGから取得
 中国の政府系ファンドである中国投資有限責任公司CIC)が経営難に陥っている米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)傘下の生命保険会社、アリコに出資する方向で交渉を始めたことが20日、明らかになった。最大でアリコ株の49%を取得することを軸に、年内の合意を目指している。アリコは日本を含む50カ国以上で生保事業を展開。金融危機を好機とみた中国が、国際的な保険会社の再編の主役に躍り出た形だ。
 関係者によると、AIG保有するアリコ株について、CICと中国の保険会社の投資連合を相手に、交渉期限を年内に区切って優先的に交渉を進めているという。買収額は明らかにしていないが、アリコの時価総額を勘案すれば、49%の買収額で5000億―1兆円程度に上るとみられる。



NY株、大幅続落 終値444ドル安の7552ドル、シティ株急落
【NQNニューヨーク=荒木朋】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落。前日比444ドル99セント安の7552ドル29セント(速報値)で終えた。週間の新規失業保険申請件数が市場予想以上に急増したほか、11月のフィラデルフィア連銀景気指数が予想以上に悪化。景気悪化が一段と進むとの懸念が強まり、売りが膨らんだ。シティグループやJPモルガン・チェースなど大手金融株が急落したほか、原油先物相場の急落を受けてエネルギー関連株も売りが膨らみ、株価指数を押し下げた。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は前日比70.30ポイント安の1316.12(同)で終えた。



NY原油、続落 終値も50ドル割れ、3年半ぶり安値
【NQNニューヨーク=川内資子】20日ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は5日続落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で、期近の12月物は前日比4ドル安の1バレル49.62ドルで取引を終えた。世界景気の悪化観測を背景とした売りが続いた。一時48.64ドルまで下落し、期近物として2005年5月23日以来の安値を付けた。
 週間の米新規失業保険申請件数が市場予想を大幅に上回り、米景気悪化が一段と進んでいると受け止められた。世界的に株式相場が下落し、米国外の景気懸念が強まったことも重しとなった。高値は53.30ドル。



新興国通貨が急落、韓国ウォンは10年ぶりに安値
 【ソウル=島谷英明】外国為替市場では、韓国ウォンやブラジルレアルなど新興国通貨が急落している。世界同時不況が長引けば、輸出依存度の高い新興国経済の成長落ち込みも避けられないとの見方から、米国の投資資金などが引き揚げる動きが続いているからだ。
 20日のソウル外為市場のウォン相場の終値は前日比50.5ウォンのウォン安・ドル高となる1ドル=1497ウォン。通貨危機に揺れた1998年3月以来、10年8カ月ぶりの安値水準となった。海外マネーの流出が続いており、取引時間中には一時1ドル=1517ウォンまで下げた。
 金融危機に伴う米欧の株安や景気後退で、外国人投資家のリスク許容度が縮小している。このため韓国に投融資していた資金を本国に戻す動きに拍車がかかり、ドル資金の不足感からウォン安に振れやすい流れが強まっている。



世界の主要産業、市場縮小へ 金融危機で急ブレーキ
 自動車、鉄鋼、半導体など主要産業の世界市場が今年から来年にかけて軒並み縮小に転じる見通しとなった。米欧発の金融危機を契機に需要に急ブレーキがかかっており、自動車の世界販売は2008―09年の2年連続で前年比マイナスとなるとみられる。世界の粗鋼生産は早ければ08年にも1998年以来の減少に転じる可能性がある。国内各社も一斉に減産に動いており、今後、雇用などに影響が広がりそうだ。
 世界鉄鋼協会(ワールドスチール=旧国際鉄鋼協会)が20日発表した10月の世界粗鋼生産(速報値)は前年同月比12.4%減。3.2%減と6年9カ月ぶりにマイナスに転じた9月から減少幅が拡大した。世界の約3分の一を占める中国が17%の大幅減になったほか、日米欧なども軒並みマイナスになった。



民放連会長「テレビも節度が必要」、奥田氏の批判発言で
 日本民間放送連盟広瀬道貞会長(テレビ朝日相談役)は20日の記者会見で、奥田碩トヨタ自動車相談役がテレビ番組の厚生労働省批判に不快感を示して「スポンサーを降りてやろうか」と発言したことに関連して、「出演者の中に感情にだけ訴える過激な発言もある。テレビの影響力の大きさから言えばある種の節度が必要かなという気もした」と述べた。
 奥田氏は座長を務める「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の会合で12日、「テレビで朝から晩まで年金や保険のことで厚生労働省たたきをやる。あれだけたたかれるのは異常だ。正直言って、(番組の)スポンサーでも降りてやろうかな」と述べた。



9月の世界景気天気図、日本は「雨」 世界は5カ月連続で「嵐」
 日本経済研究センター20日、世界の主要国・地域の景況感を示す9月の「世界景気天気図(インデックス)」を公表した。世界の景気は5カ月連続で最低評価の「嵐」金融危機震源地である米国と欧州で生産の停滞が続き、ともに「嵐」から抜け出せない状態にいるのが響いている。日本は「嵐」の一歩手前の「雨」に3カ月連続で踏みとどまった。
 景気天気図は各国・地域の輸入と生産、小売販売額の前年比増減率をもとに指数を算出。直近3カ月分の平均値をとり、5段階の天気図で景況感を表す。世界は「嵐」が続いているが、指数が7カ月連続で低下するなど、悪化の度合いを一段と深めている。
 日本は前月に大きく減った生産の反動増でほぼ横ばいの状態を維持した。ただ、10月以降は米欧発の金融危機の影響が各国の実体経済を下押しし、日本も輸出の減少に見舞われる。すでに10月の速報値が出ている米国と中国は一段と悪化する見込み。同時不況の様相を強めている世界経済の調整が深く、長くなる可能性を示唆しそうだ。



紙・板紙の国内出荷量、20年間で最大の落ち込み
 日本製紙連合会20日発表した10月の紙・板紙の国内出荷量は前年同月比8.1%減の242万3000トンとなり、同連合会が現在の形で統計を取り始めた20年間で最大の落ち込みとなった。景気減速に加え値上げの影響もあり需要が減退した。
 印刷情報用紙の減少率が11.8%と大きく、中でもカタログなどに使われる塗工紙が15%減った。量販店などが販促費を削減しており、チラシ向けの出荷が減少している。



ドコモ、子供の居場所を連絡する新サービス 小学校や塾向け
 NTTドコモは20日、小学校や学習塾向けに、携帯電話で子供の居場所を保護者や教師らに連絡する新サービス「こどモニタ」を2009年春から始めると発表した。登下校時などで子供の安全を確保したいという需要に応える。
 子供が登下校の際などに、専用ソフトを載せた携帯電話を操作すると、登下校時間や現在の居場所などを保護者へメールで通知する仕組み。教師は子供1人ひとりの登下校時刻をパソコン上で一覧できる。学校から保護者や子供に連絡事項をメール配信する機能も付いている。
 ドコモが販売する「キッズケータイ」2機種のいずれかを子供に持ってもらう。対応機種は、他の携帯電話会社の機種を含め、順次拡大していく予定だ。



日産ディーゼル、インド市場参入 生産委託、ボルボ系で連携
 日産ディーゼル工業は親会社であるスウェーデンボルボのグループ会社と連携しアジア市場を開拓する。第一弾として、2009年中をめどにインド商用車大手でボルボ子会社のアイシャーに生産委託するかたちでインド市場に参入する。金融危機の影響で需要が低迷するなか、グループ企業と経営資源を共有しリスクを軽減することで中長期で成長が見込める新興国市場を開拓する。
 インド進出は同国中部マディヤ・プラデーシュ州にあるアイシャーの工場に、日産ディーゼルがエンジンなど主要部品を搬送して車両を組み立てる案が有力。日産ディーゼルが現地に技術者を派遣し生産ノウハウなどを移植する。生産規模などは今後詰める。



シャープ、年内に派遣社員300人を削減 福山工場
 シャープは年内に携帯電話用半導体などを製造する福山工場(広島県福山市)の派遣社員約300人を削減する。契約を更新しないなどして、同工場で働く非正規従業員の大半を削減するかたち。携帯電話の需要減を受け、生産体制を見直す。
 福山工場では携帯電話用カメラの目にあたるCCD(電荷結合素子)、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーなどの半導体を製造している。シャープは自社製の携帯電話のほか、国内外の携帯メーカーに納入しているが、国内市場が大幅に縮小していた。



中国失業率、5年ぶり上昇へ 08年4.2%程度に
 【北京=高橋哲史】中国の尹蔚民・人事社会保障相らは20日、北京で記者会見し、金融危機を受けた中国の雇用情勢について「10月以降、国際経済情勢の変化で非常に厳しくなっている」と語った。中国の失業率は2007年まで4年連続で低下していたが、08年は5年ぶりに上昇し、4.2%程度になるとの見通しを示した。
 同相は「中国では毎年2400万人の新規労働力が生まれているが、実際は約1200万人分の雇用しか用意できていない」と指摘。経済情勢が厳しさを増せば、失業問題が深刻になりかねないとの認識を示した。中国政府は9日に総投資額4兆元(約57兆円)の景気刺激策を発表。雇用確保に全力を挙げる構えをみせている。
 同相は農村からの出稼ぎ労働者である「農民工」が現在、2億3000万人に達していることも明らかにした。農民工の多くは沿海部の輸出企業で働いているが、世界経済の急減速で職を失い、大量に故郷に戻り始めている。同相は再就職支援など農民工対策を強化する方針を示した。



ドバイ政府、金融危機対応で委員会 資金逃避の阻止ねらう
 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国政府は、金融危機がドバイ経済に与える影響を調べ、対応策を立案する委員会を設置した。ドバイでは不動産部門を中心に景気減速への懸念が急速に広がっている。委員会は政府系デベロッパーや証券取引所のトップなど政府・経済界の要人6人で構成。包括的な対策を打ち出すことで資金逃避を食い止め、信用を回復する狙いがあるとみられる。
 ドバイ財務局幹部が講演で明らかにした。地元紙によると、委員会は不動産や金融部門が抱える借り入れの状況を調べ、ドバイの政府機関や政府系企業の債務への対応をまとめる。一連の対策をムハンマド首長に提出したうえで公表するという。



日経社説 反改革を勢いづかせた首相の郵政発言(11/21)
 麻生太郎首相が昨年10月に民営化した日本郵政グループの政府保有株の売却を凍結すべきだと発言した。傘下の金融2社であるゆうちょ銀行やかんぽ生命保険は2010年度の株式上場が目標だが「株が下がっている時にしゃにむに売らなきゃいけないって、そんなあほな話はない」と語り、先延ばしを容認した。
 民主党国民新党郵政民営化の見直しとして日本郵政と金融2社の株式売却を凍結する法案を国会に提出し、衆院で継続審議となっている。民営化に反対する自民党内の勢力でも売却凍結を求める声が強まっている。首相発言でこうした「反改革派」が勢いづくのは間違いない。
 衆院選を控え、集票力のある全国郵便局長会(全特)との関係を直したいとの思惑もうかがえる。全特の政治組織、郵政政策研究会は郵政改革に反対する国民新党を支持し、選挙協力民主党候補も支持する構えだからだ。与党には野党に同調して売却凍結法案を国会で議決しようとする動きもある。
 首相が民営化の流れにブレーキをかける発言をするのは、3年前の民意を軽んじる態度ではないか。自民党が05年の衆院選単独過半数を大きく上回る議席を得たのは、小泉純一郎元首相が問うた郵政民営化有権者が賛意を示したためだ。路線の転換なら、その意図を公然と説明し、改めて信を問う必要がある。
 私たちは郵政民営化景気動向にとらわれず着実に進めるべきだと考える。政府の信用を盾に巨額の資金を国民から吸い上げた郵政事業は、資金の出口となる財政投融資も肥大化させた。この仕組みを解消し、国民の金融資産を民間が有効に活用することは経済活性化に必要だ。行革徹底を主張する民主党が民営化見直しを支持するのも筋違いである。
 もちろん、政府保有株の売却は株式相場や民営化企業の経営状況を見極めて決めるべきだ。相場が低迷する時に無理して株式を売っても政府に入る売却収入は低水準にとどまり、民営化で生まれた果実を十分に国民に還元できない。新たな売り圧力として市況に悪影響も及ぶ。
 だが、1年以上も先の10年度の株式市況が予測できるはずもない。いま首相が売却目標の先送りに言及するのは、選挙目当ての軌道修正と受け取られても仕方がない。日本郵政が株式の早期上場を念頭にした中期経営計画の発表を遅らせるなど、現場も混乱している。これに限らず首相発言の軽さは最近とみに目に付く。郵政改革を進めるのか、止めるのか。態度を明確にしてほしい。