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金融サミット 発信された危機打開の決意(11月17日付・読売社説)
 世界的な金融・経済危機の克服には、先進国だけが話し合っても不可能だ。新興国の首脳らが加わって協議したことに歴史的な意義がある。
 日米欧と中国、インドなど、20か国・地域(G20)の首脳が参加し、ワシントンで開かれた金融サミットは、首脳宣言と「行動計画」を採択して閉幕した。
 米国型の行き過ぎた市場万能主義に歯止めをかけ、新たな金融秩序をどう構築するか。明確な方向性を示せるかが焦点だったが、首脳たちがなんとか足並みをそろえ、試練を乗り切るためのメッセージの発信にこぎつけた。
 首脳宣言でうたわれた金融規制の具体策などをまとめることが、来年4月までに開く次回金融サミットの課題となろう。
 宣言は、金融市場改革を促す原則を打ち出すとともに、国際通貨基金IMF)の改革、景気刺激を目指した財政出動など、今後取るべき措置を明記した。
 ◆財政出動で景気刺激を◆
 行動計画は、来年3月末までに実行する施策と、中期的な課題に分けたのが注目される。
 目先の危機拡大阻止を最優先し、中期的なテーマにも取り組む2段構えだ。首脳たちの決意が本物かどうか、今後の行動で問われることになろう。
 当面の施策で注目されるのは、財政出動が強調された点だ。
 金融危機の拡大と市場の混乱に対応し、日米欧の中央銀行が協調利下げを実施したが、これ以上、金融政策を発動する余地は少なくなってきた。
 こうした中、日米欧が景気対策をまとめ、中国も、サミット直前に大型の景気刺激策を決めた。しかし、世界経済の底割れを防ぎ、同時不況の深刻化を回避するには、さらなる財政のてこ入れ策が重要だとの認識で一致した。
 景気後退入りしたと見られる日本は、事業規模で約27兆円の追加景気対策を決めたが、もう一段の対策を迫られる可能性もある。
 ◆金融改革の具体策は難題◆
 IMFの機能強化や金融市場改革は、原則で一致したものの、具体策は先送りせざるを得なかった。各国によって利害が大きく異なっており、調整が必要だ。
 IMFの資本増強については、日本の提案が議論をまとめた。加盟国全体の出資額を現在の3200億ドル(約32兆円)から倍増させるとともに、最大1000億ドル(約10兆円)を日本が融資するとした内容である。
 IMFは、世界銀行とともに、第2次世界大戦後の世界経済秩序を築いた「ブレトンウッズ体制」の中心的存在だ。これまでは、米欧主導で運営されてきた。
 だが、経済力が増大した新興国の発言力を高めるべきだとの声が強まっている。IMFの出資比率や組織をどう見直せば、こうした課題を解決し、機能を強化できるのか。「ブレトンウッズ2」を目指す協議は容易でない。
 戦後の経済体制を支えてきたドル基軸通貨体制の在り方については、サミットではほとんど話し合われなかった。
 「強いドル」を支持し、現体制の継続を求める米国に対し、フランスなどは、大幅な見直しを主張しており、今後の議論の焦点になるのは間違いない。
 金融市場改革に関しては、「健全な規制」をうたい、国際的に活動する金融機関、世界に販売される複雑な金融商品や、格付け会社に対する規制・監視の強化が盛り込まれた。金融監督の国際連携も明記された。
 金融危機の再発防止を図るには当然の措置だ。だが、厳しい規制・監督を求める欧州と慎重な米国の主張には依然、隔たりがある。「健全な規制」の具体化には時間がかかりそうだ。
 ◆懸念される米国経済◆
 金融危機震源地である米国経済の現状に対し、懸念が高まっている。株価の下落や失業の増加などで、成長の牽引(けんいん)役だった個人消費が急速に冷え込んできた。
 加えて、サブプライムローン問題の根源である住宅価格の下落が続いている。これが下げ止まらない限り、金融機関が抱える損失が膨らみ金融危機は終息しない。
 それによって実体経済が一段と悪化し、さらなる金融危機を招く悪循環に陥る恐れがある。
 オバマ次期米大統領は、今回のサミットに合わせた演説で、追加景気対策の前倒しを求めた。
 オバマ氏は、ブッシュ政権に比べ、保護貿易主義的な主張を続けてきた。しかし、世界経済を活性化し、成長を加速するには、自由貿易の推進が重要だ。オバマ氏の考え方はいずれ、修正を迫られる公算が大きい。
 来年1月20日に新政権をスタートさせてから、どのような政策を打ち出すか。次回サミットでは、それが最大の焦点になろう。



地方債活用、三セク処理も容認 総務省方針、自治体の対応促す
 総務省は経営が悪化した第三セクターなどの事業整理について処理の仕組みを固めた。破産手続きで地方自治体が三セクの債務を肩代わりする場合、地方債を発行して充当できるようにする。事業再生をする場合、損失の実態や経営計画の甘さなど、破綻に至った原因を地方議会や住民に公開することも求める。これまで不明確だった三セク問題処理の仕組みを確立し、地方財政健全化を急ぐ考え。来年度からの運用を目指す。
 2008年度決算から地方財政健全化法の本格施行により、各自治体は三セク・公社なども含めた“連結ベース”で財政状態を評価する必要がある。そのため、経営悪化に陥っている三セク・公社の処理をどう進めるかが急務になっていた。



トヨタ、欧州でもゼロ金利 米国に続き販売テコ入れ
 【ブリュッセル=清水泰雅】トヨタ自動車の欧州法人トヨタ・モーター・ヨーロッパの荒島正社長は、金利なしで新車をローン販売する「ゼロ金利」キャンペーンを欧州で始める考えを明らかにした。金融危機の影響で欧州の自動車需要は冷え込んでおり、米国に続いて欧州でもゼロ金利販売を始め、需要を喚起する。
 欧州での自動車ローンの中身は国や地域によって異なるが、金利は10%前後が一般的。これまでトヨタは欧州でゼロ金利を一部車種に限って導入してきたが「販売促進に有効な面もある」(荒島社長)として、今後は全欧で導入する方針。主に新型車への切り替えが迫っている車種を対象に期間限定で導入するとみられる。具体的な車種や期間は明らかにしていない。



インクジェットプリンター完成品生産、キヤノンが海外に移管
 キヤノンインクジェットプリンターの生産体制を再編する。2010年に完成品の生産を日本からタイに全面移管し、日本は中核部品の生産に特化する。円高が進むなか、国内は付加価値の高い製品・部品の生産に集中する戦略を徹底。価格競争力を高め、世界シェア拡大を目指す。
 キヤノンは主に家庭で使われるインクジェットプリンターを子会社の福島キヤノン福島市)、タイ、ベトナムの3カ所で組み立て、世界で販売している。すでに大半を海外で生産し、福島では上級機を月1万台程度製造しているだけだった。



東電、電気自動車300台を導入 09年度
 東京電力は2009年度に約300台の電気自動車を営業用車両として導入する。企業による電気自動車の一括採用としては過去最大規模となる。営業所に専用充電器を設置するなどインフラも整備し、二酸化炭素(CO2)の排出削減につなげる。三菱自動車など自動車各社は09年から電気自動車を量産する計画。東電の大量購入で法人需要を中心に普及に弾みがつきそうだ。
 三菱自が09年夏から量産する「i MiEV(アイミーブ)」を中心に約300台をリース方式で導入し、支社や営業所の営業車両として使う。10年度以降も導入を拡大。将来は全営業車両の約4割に相当する3000台を電気自動車にする。



トラック事業者の破綻急増 1―10月で前年件数上回る
 トラック業界で中小企業を中心に経営破綻が急増している。帝国データバンクによると、2008年1―10月の破綻(自主廃業を含まない負債額1000万円以上の法的整理の事案)は398件と、既に2007年実績の359件を上回った。競争激化による受注単価下落と燃料費負担増に、世界的な景気後退を背景とする企業物流需要の減少が追い打ちをかけている。
 毎月の破綻ペースは7月までは30件程度だったが、8月以降は50件を上回っている。全日本トラック協会(東京)によると、自主的に廃業を選ぶ例が増加。ドライバーの高齢化も加わり、1990年以降、一貫して増加していたトラック事業者数は北海道や東北など一部地域では減少に転じたもようだ。



商船三井、船舶の増強計画縮小 芦田社長「市場回復には2年」
 商船三井は世界景気の減速を受け、運航する商業船の増強計画を縮小する。2009年度末に07年度末より14%多い1000隻にする計画だったが、9%増の950隻強にとどめる。すでに資源や工業製品の国際貿易鈍化を背景に減便に踏み切っているが、海運市場の調整は長期化すると判断。船隊を世界最大規模まで増強してきたこれまでの拡大戦略を見直す。
 芦田昭充社長は日本経済新聞記者に「市場回復にはあと2年かかる。希望的観測は一度捨てて思い切った施策を打つ」と述べた。



消費税増税、名目成長率3%達成の後に 自民税調小委員長
 自民党柳沢伯夫税制調査会小委員長は16日のNHK番組で、将来の消費税率の引き上げについて「3%ぐらいの名目成長率がコンセンサスだ。そういう経済が実現された後にお願いしたい」と語った。年末に策定する今後の税制改革の全体像を示す「中期プログラム」で、3%程度の名目成長率の達成を消費税増税の前提条件とする考えを示したものだ。
 麻生太郎首相が3年後の消費税増税に言及していることに関しては「3年後というのはわかりやすいが、我々は日本の潜在成長力に見合った成長を安定的に実現した暁にお願いしたい」と指摘。その上で「経済の安定とは常識的に言って、潜在成長率2%、物価上昇率1%、だから3%ぐらいの名目成長率だ」と説明した。
 「社会保障の中で事務的な経費は全部外して、給付として国民に向かうものだけを手当てする」とも強調。消費税を社会保障目的税化したうえで、社会保険庁の運営費のような歳出には充てない方針を示した。



サウジ国王、石油部門などに4000億ドル投資表明 今後5年で
 【ドバイ=松尾博文】国営サウジ通信によると、サウジアラビアのアブドラ国王は15日、ワシントンで開かれた緊急首脳会合(金融サミット)で、石油部門やその他の分野に今後5年間で合計4000億ドル(約39兆円)以上を投資すると述べた。金融危機の影響を受ける中東経済の活性化が狙い。石油部門とそれ以外の分野への投資内訳は明らかでない。



ロシア大統領、米次期政権にMD配備交渉呼びかけ
 【ワシントン=古川英治】ロシアのメドベージェフ大統領は15日、ワシントンで講演し、オバマ次期大統領に対し、米国が欧州で計画するミサイル防衛(MD)構想を巡る協議を呼びかけた。欧州に隣接する地域にミサイルを配備すると表明した強硬姿勢を修正する筋書きもにじませて、米次期政権との対話に含みを持たせた。
 メドベージェフ大統領は5日に表明したカリーニングラード州への新型ミサイル配備について「米国が第一歩を踏み出すまでは行動を起こすことはない」と言明した。米国がチェコポーランドと施設配備で合意したMD計画の枠組みでも「問題を解決するチャンスはある」などと指摘。オバマ次期政権との間で「完全に関係を修復する機会があると信じている」と語った。



麻生首相オバマ氏、インテリジェンスの高そうな英語だった」
 「インテリジェンスがえらく高そうな英語だったと」。麻生太郎首相は15日の記者会見で、先のオバマ次期米大統領との電話協議の感想を語った。
 首相は「電話で話しただけなので、それでよく分かるわけではない」と前置きしながら、オバマ氏がインドネシアで暮らした経験があることなどから「アジアへの興味が示されたことが印象に残った」などと指摘。「これから個人的関係を築いていこうという話もあった」と、オバマ氏との早期会談に意欲を示した。
 一方、オバマ次期政権の国務長官候補にヒラリー・クリントン上院議員が浮上しているとの米国内の報道も持ち出して「新聞のうわさくらい当てにならないものはない」と、米メディアにも懐疑的な見方を示した。



歯止めかからぬ高齢者虐待、背景に介護家族の孤立
 在宅で介護を受ける高齢者への虐待に歯止めがかからない。背景にあるのは介護に当たる家族の孤立。厚生労働省も今年から11月11日を「介護の日」に制定、地域が一体となって解決を目指す先進的取り組みも始まっている。ただ、行政が「玄関の向こう側」で起きる出来事に介入するのは難しく、虐待防止に向けた模索が続いている。
 「義父を殴ってしまいました」。特定非営利活動法人NPO法人)「日本高齢者虐待防止センター」(東京都)に寄せられた地方都市に住む女性からの相談。応対した松丸真知子・事務局次長は「虐待する側もギリギリまで追いつめられていることが多い」と指摘する。1人だけで介護に当たり、周囲に相談できる人もいないケースで虐待が多いという。