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金融危機後の世界ゲーム産業 日本勢、時価総額で浮上 <COLUMN>
 米国発の金融危機に対し各国政府の対策が整い始めたものの、株価が金融危機以前の状態に戻る兆しはない。この金融危機後の株価水準は、ゲーム産業にどのようなインパクトを与えるのだろうか。
 筆者作成の「ゲームパブリッシャー時価総額ランキング」を見ていただきたい。これは、9月から10月にかけての金融危機で起きた変化を明確化するために、金融危機が本格化する以前の9月3日(米市場は2日)と、11月11日(米市場は10日)の株価の終値を比較したものだ。現在の時価総額の規模に応じて20位までをランキングにして掲載した。
 企業名 9月3日(米市場は2日)株価11月11日終値(米市場は10日)下落率円換算後時価総額

1マイクロソフト米国27.10ドル 21.20ドル22%18兆5690億円

2任天堂日本53,900円31,100円42%4兆4059億円

3ウォルト・ディズニー米国32.44ドル 22.08ドル 32%3兆9445億円

4ソニー日本4,090円2,280円44%2兆2903億円

5アクティビジョンリザード米国16.40ドル 12.25ドル25%1兆2586億円

6エレクトロニックアーツ米国48.97ドル 22.93ドル53%7163億円

7NHN韓国150,000ウォン122,200ウォン19%4143億円

8コナミ日本3,180円2,130円33%3056億円

9スクウェア・エニックス日本3,620円2,615円28%3014億円

10セガサミー日本957円991円-2806億円

11NetEase中国26.28ドル 21.74ドル17%2577億円

12UBIフランス62.38ユーロ39.30ユーロ37%2278億円

13バンダイナムコ日本1,306円830円36%2075億円

14盛大(Shanda)中国26.42ドル24.45ドル7%1744億円

15カプコン日本3,410円1,796円47%1210億円

※1ドル=98円、1ユーロ=124円、1ポンド=150円、1ウォン=0.073円で計算
 マイクロソフトウォルト・ディズニーソニーといったゲーム以外の様々な事業を展開している企業が含まれているが、株価は事業ごとに切り分けられないために一律に示している。そのため必ずしも、ゲーム事業の規模とランキングは一致しない。また、時価総額は企業間の比較を容易にする目的で、あえて日本円に換算してある。
■欧米パブリッシャーを直撃
 表を見ると明確なのは、北米のソフトウエアパブリッシャーが、大きな影響を受けているということだ。特に、金融危機に業績の悪化が重なったエレクトロニックアーツ(EA)は下落率53%と、ほぼ2分の1の水準まで値を下げた。ヒットタイトルがなく業績悪化が鮮明になったTHQは71%、「グランドセフトオートIV」以降に目玉タイトルがないテイクツーも51%下落した。
 EAは今年2月にテイクツーに対し買収提案を行った際に、一株あたり25・74ドルという買収額を提示した。テイクツーはそれを「不当に低い評価」と拒否したが、現在は半値以下の12.1ドルである。EAはすでに9月14日に買収交渉を打ち切っている。
 これらの企業に対して、今年の年末商戦でも「ギターヒーロー」などの目玉を持ち、大規模オンラインRPGの「World of Warcraft」で1000万人以上の月額課金ユーザーを抱えるアクティビジョンリザードは25%の下げにとどまっている。結果として、EAとの時価総額の差を2倍近くまで広げ、世界最大のゲームパブリッシャーとしての地位をますます盤石にしている。
 仏UBIは好業績が伝えられながらも37%の下落に直面しており、欧州圏での金融危機の大きさを物語っている。時価総額が2278億円と低いのは、ユーロ安の影響もある。
 この表によってわかるように、金融危機を契機に欧米パブリッシャーの企業価値は大きく低下し、強者と弱者の差がはっきりとついてきた。有力なゲームパブリッシャーとして生き残れそうなのは、アクティビジョンリザードとEA、UBIの3社にほぼ絞られ、他のパブリッシャーは脱落しかかっている。
 ランキングに入れていないが、アタリブランドをもつ仏インフォグラム(時価総額1億11万ユーロ、約126億円)、「トゥームレイダー」を持つEidosを買収した英SCi(時価総額6326万ポンド、約94億円)、業績悪化で存亡の危機に直面している米Midway(時価総額4010万ドル、約39億円)など、業績が悪化しつつあるパブリッシャーは株価の落ち方に歯止めがかからなくなっている。
■相対的にダメージ小さいアジア企業
 一方で、日本企業も大半が大きく株価を下げている。今期の業績の改善が見込まれるセガサミーだけが例外といえる。
 ただ、下落率は北米企業に比べると相対的に小さく、またランキング上は円高のメリットを受けられるので、ダメージが緩和された格好だ。世界市場の中で相対的にみれば、中堅クラスという位置付けを強めたように見える。欧米から中堅パブリッシャーがいなくなってしまったためだ。
 さらに注目すべきは、他のアジア諸国勢の時価総額だ。米ナスダックに上場している中国のオンラインゲーム関連企業は3社ある。NetEaseと盛大ネットワーク(Shada)、第九城市(the 9 city)だ。中国市場のバブルがはじけたにも関わらず、相対的なダメージは小さい。
 中国では信頼できる統計データが存在せず、オンラインゲームの正確な市場規模がなかなかはっきりしないのだが、この3社が中国のオンラインゲーム事業でトップ3を占めるであろう。
 NetEaseは、ヤフー型のポータルサイトを運営し、Eコーマス事業でも成功しているが、オンラインゲーム事業も強い。盛大はオンラインゲーム事業から大きくなった企業であり、第九城市は中国での「World of Warcraft」の販売権を取得して成功したことで一躍急成長した企業だ。特に、NetEaseと盛大は日本企業と肩を並べるまでの企業規模となる。
 韓国企業にも注目すべきだろう。日本では「ハンゲーム」で知られるNHNが、時価総額で日本企業のトップを上回る位置に付けている。NHNは韓国最大のポータルサイトNaver」を運営する企業だが、オンラインゲームも売上高の約30%を占める中核事業の一つだ。
 ウォン安が大幅に進んでいるが、円換算で4000億円を超える時価総額となる。ただし、7日発表になった7−9月期決算では、ゲーム事業の売上高が前年同期に比べ7%減とマイナスに転じている。韓国企業ではほかに、韓国オンラインゲームの歴史とも言うべき「リネージュ」を持つNC Softも、業績が伸び悩んでいるとはいえ、すでにコーエーと肩を並べる時価総額になっている。
 オンラインゲームサービスという安定して収益を上げられる事業を持ち、東南アジアやインド、南米など新興国での展開にも成功している韓国・中国企業は、危機の影響が先進国よりも小さい。
■立場が逆転、攻めのタイミングに
 世界のゲーム産業はこれまで、潤沢な資金を背景に欧米圏の企業がアジア市場で買収や出資を進めるというパターンが一般的だった。例えば、07年5月にエレクトロニックアーツは第九城市に15%出資して、中国進出の足がかりを作った。
 しかし、金融危機を通じて状況は大きくひっくり返ってしまった。ユーザーの動向とは関係なく企業環境を劇的に変えてしまい、業績が悪化した場合は回復することなく急速に転落することもあるだろう。
 そのため、危機的状況で競争から脱落しつつある欧米企業をアジア圏の企業が買収するというようなシナリオも、今後はあり得るのではないかと思われる。買収によってグローバルなブランドと開発チーム、コンシューマー向けゲームの流通網を手に入れることができるからだ。
 企業経営という観点から見たとき、今回の金融危機が世界的な有力パブリッシャーの地図を大きく塗り変えようとしていることは確かだ。近い将来に、グローバルレベルでの再編が引き起こされることは間違いないだろう。M&A円高メリットを享受できる日本企業にとっては、久しぶりに巡ってきた攻めのタイミングなのかもしれない。



米政府の自動車支援、EUがWTO提訴を検討 追加融資けん制
 【ブリュッセル=下田敏】欧州連合(EU)の欧州委員会は米自動車業界が要請している追加融資について、世界貿易機関WTO)提訴の検討に入った。欧州委の報道官が「(支援策が)違法な政府援助に当たるようならEUはWTOの場で対抗する」方針を明らかにした。EUは米国と同様に欧州の自動車業界に400億ユーロ(約5兆円)の低利融資を行う方針だが、米国が自動車業界の支援策の拡大に動いているため、WTO提訴でけん制する構えだ。
 欧州委の報道官は「米政府の支援策が国際的な貿易自由化ルールに従っているかについての詳細な調査を進める」と語った。米国は環境対応への投資向けに総額で250億ドル(約2兆5000億円)の低利融資を決定済み。EUも同様の低利融資で対抗する考えだが、米政府はさらにビッグスリー(自動車大手3社)を対象とする資金繰り支援などの追加融資の検討を進めている。



トヨタ、GMとの合弁も減産
 トヨタ自動車が、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁生産会社「NUMMI」(米カリフォルニア州)で、来年1月から一部生産ラインの操業時間を短縮する方針を固めたことが15日分かった。
 金融危機の影響で世界的に販売不振が深刻化する中、トヨタは今後も国内外の生産体制を縮小するとみられる。
 トヨタの2008年度の世界生産台数計画(ダイハツ工業日野自動車を除く)は当初より95万台少ない792万台。ほぼ前年並みだった上半期に対し、下半期は78万台の減少を見込む。
 NUMMIでは、トヨタピックアップトラック「タコマ」を生産するラインの夜間操業を中止。小型車「カローラ」やGM車を生産するラインは通常通り稼働させる。8月に一部休止した米国内の3工場は11月までに再開したが、減産は継続する。国内では09年1月から高級車ブランド「レクサス」を生産する田原工場(愛知県田原市)など2工場の一部ラインで操業時間を半分に短縮する。



G20宣言、貿易障壁禁止盛る 保護主義を警戒、WTO再開も
 【ワシントン=米山雄介】主要20カ国・地域(G20)が15日(日本時間16日)発表した首脳宣言は、今後1年間の新たな貿易障壁の設置禁止を盛り込むなど、自由貿易体制の堅持を確認した。世界貿易機関WTO)の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)についても年内の大枠合意へ各国が努力する方針を明記。これを受け、来月にも閣僚交渉が再開する可能性が出てきた。
 G20宣言は世界経済が金融危機に見舞われる中で「保護主義を拒否し、内向きにならないことが決定的に重要」と強調。今後1年間、投資と貿易に新たな障壁を設けず、輸出制限も課さないことなどを申し合わせた。
 具体策にまで踏み込んで、首脳レベルで自由貿易の堅持を確認するのは異例だ。金融危機の影響が世界経済の成長エンジンである新興国実体経済にも波及。先進・新興国双方にとって貿易促進による景気下支えが喫緊の課題になってきたことが背景にある。



米、貸し渋り止まらず 利下げの効果乏しく
 【ニューヨーク=藤井一明、財満大介】米国の貸し渋りが収まらない。米連邦準備理事会(FRB)の利下げや銀行間取引の金利の低下にもかかわらず、資金繰りに行き詰まる企業や事業が続出。米政府は金融機関への公的資金注入を拡大する方針だが、金融機関が体力を取り戻して融資態度を前向きに改める好循環がいつ生まれるかは不透明だ。
 9月の米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻後、短期金融市場では金融機関同士の相互不信がまん延し、資金のやり取りが事実上ストップした。経済の根幹である銀行の資金繰りができないという異常事態が続いた。



日経社説 国内外の利益バランス問う企業決算(11/16)
 上場企業の2009年3月期決算は、7期ぶりの経常減益が避けられない見通しとなった。円高や上期の原材料高に加え、金融危機の波及による世界的な景気減速が響く。
 米国での需要低迷で利益が急減するトヨタ自動車にみられるように、外需への依存度が高い企業の大幅減益が目立つ。海外市場の開拓は企業の成長のため重要だが、経営を安定させるには国内事業の収益力を改善し、国内外でバランスのとれた収益構造にすることも必要であろう。
 日本経済新聞社の集計では、上場企業の今3月期の経常利益は前期比で約25%減となる見込みだ。海外での売上比率が高い自動車、電機の落ち込みが目立ち、それぞれ6割弱、3割強の減益となる見込み。厳しい経営環境は来年も続きそうだ。世界銀行は世界全体の成長率を1%と予測している。
 輸出型企業はこれまで米国の住宅バブルや過度な消費、日本の低金利も反映したドル高、ユーロ高で収益をかさ上げされてきた面がある。長期的には新興国を含め海外に市場を求めるのは必要だが、今回のような主要国でのバブル崩壊、景気後退といったリスクがつきまとう。
 一方、日本は人口減少や高齢化が進んではいるものの、なお1億2000万人以上を抱え、世界第2の経済規模を誇る。足元の市場で収益性をもっと高める工夫があってよい。
 現状は企業によって悪い材料ばかりでない。例えば、資源、食料の価格低下や円高で輸入コストが下がる。東京電力原油価格が1バレル当たり1ドル下がると燃料費が年180億円減る。ドルに対して1円の円高でも210億円の費用減になる。
 これらコスト減も追い風にして、例えば自動車産業なら二酸化炭素の排出量が少なく価格も安い車を開発する。買い替え需要が国内に生まれよう。少子・高齢化で医療・教育分野にも潜在的需要があるはずだ。製品開発が重要性を帯びてくる。
 また日銀短観によると、多くの大企業では国内で慢性的な供給過多にある。経営の効率改善や技術革新の加速につながる企業再編も対応策の1つだ。その意味で電機業界の大型再編となるパナソニックによる三洋電機の子会社化は注目に値する。
 大企業は近年、増益下でも賃上げを抑えてきた。今後、仮に多くの企業が大幅な賃下げや人員削減に向かえば、再び深刻なデフレを引き起こしかねない。収益の落ち込みが比較的少ない企業の経営者は、賃金や人員計画の策定にあたり、このあたりを念頭に置いてほしいものだ。