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米、金融安定へ総合対策 公的資金「数十兆円」、貯蓄型投信を保護
 【ワシントン=大隅隆】米政府は19日、金融危機の拡大を防ぐための総合金融安定化対策の大枠を固めた。(1)公的資金を使った不良資産の買い取り機関を創設する(2)貯蓄性の高い投資信託MMF(マネー・マーケット・ファンド)の保護に政府基金最大500億ドル(約5兆4000億円)を使う(3)金融機関株式の空売りを全面禁止する――などが柱。投入する公的資金の規模は数千億ドル(数十兆円)にのぼる見込み。焦点の金融機関の不良資産買い取り策は来週中の決定に向け議会と最終調整を急ぐ。
 ブッシュ米大統領は同日午前記者団に「現在の不安定な状況を考えると、政府介入は必要。(システム安定化へ)多額の公的資金を用意している」と語った。これに先立ち記者会見したポールソン財務長官は公的資金の投入規模は「数千億ドル(数十兆円)の議論をしている」と語った。



中国、労働者の権利強化 企業との関係、対等に
 【北京=高橋哲史】中国政府は今年1月に施行した労働契約法の細目を定めた実施条例を18日付で公布・施行した。5月に公表した原案では雇用者側が契約を解除できる条件しか示していなかったが、今回は労働者側が契約を解除できる条件も明記。労働者の権利をより強める内容となった。
 労働契約法は労働者の雇用安定を促す内容で、企業の労働コストの増加につながっている。企業側は不満を強めているが、19日に記者会見した人的資源・社会保障省の楊志明次官は「今回の実施条例が企業のコストに及ぼす影響は限定的だ」と語った。
 実施条例では労働者が契約を解除できる条件として「雇用者が労働者の社会保険料を納めない」「雇用者の規則が法律に違反し、労働者の権益を損ねた」など13項目を列挙。企業と労働者が対等な関係で雇用契約を終了できるようにした。



東電、値上げ幅圧縮へ 09年1月、半分程度 他社も追随
 東京電力は19日、2009年1月に実施する予定の電力料金の値上げ幅を圧縮する検討に入った。標準家庭で1カ月800円前後としていた値上げ幅を半分程度にする方向。公共料金の大幅値上げを回避したい政府の意向を受けた措置で、原油価格が下落していることも背景にある。関西電力なども追随する見通し。家計への負担は軽減されるが、電力各社の業績が悪化する可能性がある。
 東電は柏崎刈羽原発の運転停止に伴う代替燃料費の上昇などを受け、7月28日に料金見直しを発表。10―12月は値上げを見送ったが、09年1月からは燃料費上昇を料金に反映させる燃料調整制度によって「月額800円程度、約12%値上げする可能性がある」としていた。その後、原油価格下落で燃料費は下がっている。



「ゾウのマーク」のCMで有名 松本引越センター民事再生法を申請
 引っ越し業中堅の松本引越センター大阪府四条畷市)は19日、民事再生法の適用を大阪地裁に申請した、と発表した。
 同社は「ゾウのマークの松本引越センター」のテレビCMなどで知られる。昭和36年設立し、同社ホームページなどによると、全国に約25の支店、営業所があり、平成19年6月期の売上高は約65億円。
 業界関係者によると、同社は新築マンションの引っ越しを一括して引き受けていた建設会社との契約が14年ごろ終了。最近は、原油価格の高騰や人件費上昇などが収益を圧迫していたという。
 昨年9月、創業者の長男だった松本修治社長(当時)が自殺している。



家畜向け配合飼料、10―12月は2500円値上げ 全農
 全国農業協同組合連合会(全農)は19日、10―12月期の家畜向け配合飼料を7―9月期に比べて平均で1トン当たり約2500円値上げすると発表した。引き上げは1―3月期から4四半期連続で、その幅も7―9月期の1500円から拡大した。
 トウモロコシや大豆かすがシカゴ市場で7月にかけ急騰。その後は下落したものの、今後も高い水準で推移するとみられるため。食品の価格や畜産業者の収益にも影響が及びそうだ。



「米国発金融危機はとても迷惑」 鉄鋼連盟会長
 日本鉄鋼連盟宗岡正二会長(新日本製鉄社長)は19日の記者会見で、米国発の金融危機について、金融機関のマネーゲームに「実体経済が振り回されるのは製造業としてとても迷惑」と批判した上で、「企業の投資や個人消費に大きく影響するのは避けられない」との見方を示した。
 好調だった鋼材需要については、「今のところ総じて堅調で、減産の必要はない」とする一方、今後の見通しについては「需要の増加率は頭打ちになる」と述べた。



現代自、ブラジルで小型車生産 6億ドル投じ年10万台
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国自動車最大手の現代自動車は19日、ブラジルに本格進出すると発表した。6億ドル(約645億円)を投じてサンパウロに工場を建設、2011年上半期に小型車の生産に乗り出す。ブラジルの自動車市場は急成長しているが、欧米企業が市場を席巻しており、現地生産の開始でシェア切り崩しを狙う。
 工場はサンパウロ州に建設し、11月に着工する。生産能力は年10万台で、ブラジル市場で需要の大半を占める小型車を生産する。生産開始後は当面、ブラジル市場に供給するが、生産能力を順次引き上げ、将来は中南米各国に輸出する。
 ブラジルは乗用車の関税が35%と高く、韓国からの輸出では現地生産車との価格競争に勝てない。このため付加価値の高い多目的スポーツ車(SUV)に絞って輸出・販売しているが、シェアは1%にも満たないのが現状。現地生産を機に、得意の小型車で一気にシェア確保を狙う。


スタバ、中国の200店で乳飲料提供中止 メラミン汚染牛乳で
 【莱陽(中国山東省)=多部田俊輔】中国で有害物質メラミンによる汚染が粉ミルクだけでなく牛乳にも広がり、食品や流通業界にも影響が出ている。国家品質監督検査検疫総局は乳製品大手、蒙牛乳業集団(内モンゴル自治区)の牛乳サンプルの1割弱が汚染していたと発表。米スターバックスコーヒーは19日、蒙牛製牛乳を使っていた中国店舗の約3分の2で乳系飲料の提供を中止した。
 スターバックスは中国国内で展開する約300店舗のうち、上海周辺地域を除く約200店で蒙牛製を使っていた。仏カルフールなどの店舗でも汚染の疑いが出ている商品を一斉撤去、返品に応じている。国内スーパーの一部店頭では顧客が集団で損害賠償を求め、公安が出動する場面も出た。
 被害も拡大しており、江西省のニュースサイト「大江網」は19日に同省の乳児が腎臓結石で死亡したと伝えた。事件の死者数は5人となった。また、全国各地で父母が乳幼児を抱えて病院に駆けつける事態が発生している。



後期高齢者医療制度厚労相が「代替制度を検討」
 舛添要一厚生労働相は19日夜、東京都内で記者団に対し、「後期高齢者医療制度長寿医療制度)に代わる新しい医療制度を創設する」との方針を明らかにした。対象者を「75歳」という年齢で線引きしないことや、年金からの保険料天引きを強制しないよう設計するのが特徴。10月15日の保険料天引き拡大や次期衆院選が近づくなか、批判の強い制度を見直すことで国民の支持を取り付ける狙いがあるとみられる。
 新医療制度は政府・与党で1年程度かけて議論する。(1)年齢のみで対象者を区分しない(2)年金からの保険料天引きを強制しない(3)世代間の反目を助長しない仕組みを財源などで工夫する――という3原則に基づいて制度を設計する。
 具体的な仕組みとして例えば、財政余力のある企業の健康保険組合が現役労働者だけでなくOBまで面倒をみる仕組みを選択肢として選べるようにすることを挙げた。現行制度では75歳以上の高齢者はすべて後期高齢者医療制度に加入する仕組みとなっている。



新築マンション 昨年後半から失速 高すぎる価格敬遠
 「注目 3LDKプライスダウン770万円」。最近、首都圏で新築分譲マンションを数百万円単位で値下げするというチラシが時々舞い込む。
 東京都内の中堅業者も8月、さいたま市で売れ残った物件(77平方メートル)を4000万円台後半から約400万円値下げした。業界関係者は「家具をつけたり、入居者モニターになってもらいモニター代を払うなど実質値下げも多い」と話す。
 不動産経済研究所のまとめでは、首都圏で発売された新築マンションの平均価格は90年の6123万円をピークに下落したが、02年の4003万円で底を打ち反転。地価上昇などで07年は4644万円、今年8月は4799万円(平均面積71平方メートル)に上がった。
 不動産調査会社の東京カンテイによると、首都圏の新築マンションの平均価格は04年で平均年収の6.36倍だったが07年は7.77倍に急上昇。近畿圏も07年は6.71倍だ。買いやすさの目安の「年収の5倍以内」を大きく超え、高すぎる価格が敬遠されて07年後半からは売れ行きが急激に落ちている。
 しかし、マンション業者は高値で取得した用地を抱えているうえ、建築費の高騰で値下げにも限界がある。18日発表の基準地価(7月1日時点)では大都市圏でも住宅地の下落傾向が見えてきたが、用地仕入れから発売まで半年以上かかるマンションの価格に反映されるようになるには時間がかかりそうだ。
 一方、新築一戸建て分譲住宅は建築資材に占める鋼材の使用量が相対的に少なく、値下げ余地があるためマンションより値下がりが先行。不動産情報サービスのアットホームの調査では、08年上半期の首都圏の平均成約価格は3663万円(平均建物面積96平方メートル)で、07年下期より1.3%下落した。戸建ての場合、郊外で駅から遠い物件が多いことから、マンションに比べ面積が広い割に価格が安いようだ。



金融危機 やっと現代版RTC設立へ(9月20日付・読売社説)
 金融危機に歯止めがかからず、場当たり的な対応ではすまない緊急事態が米政府を動かした。
 サブプライムローン問題で損失を抱える金融機関から不良債権を買い取り、公的資金を投入して一括処理するための公的機関を設立する。米政府がそうした案の検討に入った。
 ポールソン財務長官と、バーナンキFRB米連邦準備制度理事会)議長が、ブッシュ大統領や議会幹部に説明した。金融機関から不良債権を切り離し、これ以上の損失拡大を食い止める狙いだ。
 1980〜90年代の貯蓄貸付組合(S&L)危機の時に創設した整理信託公社(RTC)は、S&Lの不良債権処理で大いに実績を上げた。今回は、現代版のRTC設立構想といえる。
 住宅価格の下落と、金融機関の損失拡大が止まらない。サブプライムローン問題による危機は、S&L危機よりはるかに深刻だ。米当局が乗り出さなければ、根本的な解決は困難な状況である。
 それだけに、米当局の動きを歓迎する声が支配的だ。ニューヨーク株式市場の株価が急騰したのも期待の大きさを示す。
 だが、決断は遅すぎたという批判も免れまい。
 グリーンスパンFRB議長やブレイディ元財務長官らは、こうした形での不良債権処理の必要性を早くから提唱していた。
 しかし、米当局はサブプライムローン問題の認識が甘く、当初は公的資金の投入を否定した。
 金融危機への対応で後手に回り、世界の金融システムを揺るがす事態を招いた責任は重い。
 今週、公的資金投入を見送った米証券4位のリーマン・ブラザーズは経営破綻(はたん)した。保険最大手AIGについては公的資金で救済した。場当たり的にもみえる対応が、混乱を加速させている。
 大統領選のさ中だけに、新機関の設立協議は難航も予想される。だが、議会などと調整し、具体化を急ぐよう望みたい。
 RTCには約800億ドルの税金が使われたとされる。新機関にも巨額の財政支出が予想されるが、金融危機の拡大を食い止めるにはやむを得まい。
 一方、FRBと日銀など日米欧の中央銀行は、それぞれの市場でドル資金を大量に供給する協調体制を取ることで合意した。短期金融市場で資金を調達しにくい金融機関を支援する狙いだ。
 各国の金融当局が緊密に連携して、金融市場の安定化を図ることがますます重要となろう。


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