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WTO閣僚会合決裂 緊急輸入制限、米国とインドが対立
 【ジュネーブ=馬場燃】世界共通の貿易自由化ルールづくりを交渉していた世界貿易機関WTO)の閣僚会合は29日(日本時間30日未明)、先進国と途上国の溝が埋まらず、決裂した。農産品の輸入増に対抗する特別セーフガード(緊急輸入制限措置)の条件緩和を求めたインドが米国と激しく対立し、歩み寄れなかった。大筋合意に近づいていた議論は土壇場で一転。「最短でも米国の新政権が軌道に乗る来年半ばまでは交渉再開は難しい」との見方も強まっている。
 今回の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)には153の国と地域が参加した。農産品や鉱工業品の関税を一律に削るルールをつくり、世界全体の貿易拡大につなげる狙いがあった。2001年末から7年に及ぶ議論を重ねたものの、急速に発言力をつけた新興国と、議論を主導する力を失いつつある先進国の溝は大きかった。
 今回の交渉は21日から各国閣僚が議論を始め、とくに28日は翌日未明まで14時間にわたって妥協点を探った。29日も少数国会合で打開を目指したが、失敗。同日で会合の日程を打ち切った。



シベリア鉄道整備を支援 政府方針、物流コストを削減
 政府はロシア政府と協力し、シベリア鉄道の近代化を柱とする物流網整備に乗り出す。約9300キロに及ぶ路線について日本の政府系金融機関の融資と貿易保険を活用。鉄道の高速化や新しい車両、輸送システムの導入を後押しする。通関手続きの迅速化も支援し、企業の物流にかかる時間とコストを減らす。沿線には経済特区や資源開発地域が多数あり、資源関連や自動車、ハイテク、流通など幅広い日本企業の進出を側面支援する。
 日ロ両政府が進める構想は「ユーラシア産業投資ブリッジ」と呼び、ロシア極東地域とモスクワを結ぶ鉄道の近代化を中心に、沿線地域の資源エネルギー開発、産業育成で協力する。ロシア政府は2030年までにシベリア鉄道を近代化する計画を昨年策定。総事業費は約69兆円で、海外の民間資金も活用する。



車世界販売、米国勢が後退 1―6月、新興国展開で浮沈
 自動車大手の2008年1―6月の世界販売台数がほぼ出そろった。米ゼネラル・モーターズ(GM)など米国勢が軒並み苦戦する一方、トヨタは伸び悩みつつも首位に浮上。新興国で攻勢を強める独フォルクスワーゲン(VW)や韓国・現代自動車が躍進した。不振の北米依存度と新興国への展開度合いで明暗が分かれた。資源高で自動車業界を巡る環境は悪化しており、今後も順位が変動する可能性がある。
 07年(通年)との順位を比べると、トヨタ自動車がGMを抜いて世界1位になったほか、独VWが米フォード・モーターを抜き3位に浮上。世界販売順位は長年、GM、フォード、トヨタの順だったが、トヨタが03年にフォードを抜いた。トヨタが年間1位を死守すれば、それからわずか5年で世界首位の座に躍り出ることになる。



電力6社業績、悪化鮮明に 今期、3社最終赤字転落へ
 東北電力など電力6社の業績悪化が鮮明だ。相次いで2009年3月期の業績見通しを下方修正。原油高で燃料費がかさみ、6社中3社が09年3月期は最終赤字に転落する見通しだ。
 東北電力は09年3月期の連結最終損益が630億円の赤字に転落する見通し。想定原油価格を1バレル90ドルから125ドルに引き上げ、燃料費負担が900億円程度増えることが響く。最終赤字となるのは29年ぶり。中国電力も想定原油価格の見直しで燃料費などが650億円程度増える。電力会社は火力発電所で使う燃料として原油などを利用する。
 四国電力沖縄電力は通期業績を下方修正したものの、最終損益は黒字にとどまる。「原子力発電所の利用率が(他の電力会社に比べ)高く、原油高の影響を受けにくい」(四国電力)ためだ。東京、関西電力も最終赤字に陥るとの業績見通しを28日に発表済み。



「世界販売1000万台」、トヨタが先送り 09年の計画10年以降に
 トヨタ自動車は2009年に1040万台としていた世界販売計画を下方修正し、1000万台達成を10年以降に先送りする方針を固めた。足元は急速に経営環境が悪化。個人消費の低迷やガソリン高で主力の日米などで販売低迷が続く。09年の販売見通しも不透明で、これまでの成長計画を見直す。
 トヨタは28日に08年の世界販売計画を当初の985万台から950万台へ下方修正した。大型車販売が不振なため、当初計画比で17万台下振れした北米を中心に、中近東、オセアニアを除くすべての地域で下方修正した。これを受けて09年計画も修正する。



TSUTAYA、パソコン向け音楽配信事業でUSENと提携
 音楽・映像ソフトレンタル最大手のTSUTAYAは有線放送最大手のUSENと音楽配信事業で提携する。USENから楽曲の提供を受け、31日からパソコン向け有料配信を始める。すでに手掛けている動画配信やCD・DVDの宅配レンタルと同じサイトで提供し、利便性を高める。
 音楽配信はグループで宅配レンタルを手掛けるツタヤ・ディスカス(東京・渋谷)のサイトで提供する。USENの音楽サイト「OnGen」から楽曲の提供を受ける。ほぼ全楽曲の試聴が可能で、料金は一曲99円から。同社は2006年から有料映像配信を開始。映画やテレビドラマなど約2万1000作品を提供している。新たに音楽配信を加え、宅配レンタルを含めたサービスが1つのサイトですべて利用できる環境を整える。



かすむ構造改革 バラマキや規制強化、逆行続々
 予算のばらまき、負担先送り、規制強化――。政府・与党で小泉内閣以来の改革路線を見直す動きが相次いでいる。近づく衆院解散・総選挙の足音を意識し、民主党に対する色彩が強い。2009年度予算の概算要求基準では歳出削減路線をかろうじて守った福田内閣だが、足元にはほころびが広がり始めている。
 政府・与党が29日決定した追加原油高対策は、漁業者の燃料費増加分の9割を国が補てんする内容。漁業者5人以上がグループで省エネに取り組む条件を付けたため、「単純な補てんではない」(町村信孝官房長官)と力説する。しかし水産業界団体の幹部は「正直言ってここまでやってもらえるとは思ってもみなかった」と驚いた。



プーチン首相発言、株急落 石炭・鉄鋼メーカーを批判
 ロシアの株式相場がプーチン首相の発言を受け急落している。首相が国内大手の石炭・鉄鋼メーカーの経営方針を激しく批判したことで政府による企業への圧力に対する懸念が強まった。国家によるビジネスへの介入に否定的な姿勢を見せるメドベージェフ大統領とプーチン首相の立場の違いも表面化し始めた。
 プーチン首相が批判の矛先を向けたのはニューヨーク市場にも上場するメチェル社。同社に対し24日、国内向けよりも安く製品を輸出していることをやり玉に挙げた。
 これを受けてドボルコビッチ大統領補佐官は28日「上場会社に関しては慎重に対処(発言)すべきだ」とけん制したが、首相は「脱税行為をしているに等しい」と一段と批判を強めた。検事総局はこれを受け、メチェルの刑事訴追を検討していると発表した。



5年以上先のインフレ目標、検討を継続 FRB
 【ワシントン=藤井一明】米連邦準備理事会(FRB)は金融政策を運営する目安として、5年以上先の物価の見通しを示す「インフレ目標」採用について水面下で検討を続ける見通しだ。石油や食料品を起点としたインフレ懸念に目配りする重要性が増している面もある。ただ、慎重論は根強く、インフレ目標採用に前向きとされるバーナンキ議長の落としどころを見極めるのは難しい。
 8月末に退任するミシュキンFRB理事は同じ学者出身のバーナンキ議長の相談役を任じてきた。28日の講演では、今は3年先までの物価、経済成長、失業率の予想を「5年、あるいはそれ以上」に延ばすよう提言。これに米連邦公開市場委員会(FOMC)が同意する枠組みでインフレ目標の採用を訴えた。



BAとイベリア航空が合併交渉 欧州トップ3入り狙う
 【ロンドン=田村篤士】英航空最大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペイン最大手のイベリア航空は29日、合併交渉入りしたと発表した。合併後は欧州のトップ3位に入る大手グループとなる。欧米間の路線開設の自由化による競争激化に加えて、燃料費高に直撃され、航空各社の収益環境は厳しさを増している。BAはイベリアの筆頭株主だが、完全に経営を一体化して競争力を高める。
 数カ月かけて詳細を詰めるが、持ち株会社をつくり、両社が傘下に入る計画。サービスはそれぞれの社名で従来通り展開する。2社の旅客数を合算すると年6500万人に達する。欧州2位のルフトハンザ・ドイツ航空も肩を並べ、最大のエールフランス―KLMに接近するもようだ。
 BAが世界の航空需要の中心の英米便で高いシェアを持つ一方、イベリアは中南米と欧州を結ぶ便で強みを持つ。両者は共同運航などで提携関係にあり、BAはイベリアの13%を握る筆頭株主



米戸建て住宅価格、5月16.9%下落 下げ幅最大に
 【ニューヨーク=発田真人】米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が29日発表した5月の全米主要10都市の1戸建て住宅価格は前年同月比で16.9%下落し、1987年の調査開始以来、最大の下げ幅となった。住宅ローンの焦げ付きや差し押さえが高水準で推移し、米住宅市場の混迷がなお続いていることが鮮明となった。
 発表したのはS&Pが米エール大学のロバート・シラー教授らと共同で開発した「S&Pケース・シラー住宅価格指数」。1戸建て住宅の売買実績に基づいて算出する。



【産経主張】社会保障プラン 国総がかりで厚労改革を
 政府が、社会保障に関する「5つの安心プラン」を公表した。(1)高齢者政策(2)医療政策(3)厚生労働行政の信頼回復−などの5テーマについて、この1、2年で取り組むべき政策を整理した。
 ところが、焦点の「厚労行政の信頼回復」については、「有識者懇談会を立ち上げて改善策などを議論」としただけで、具体策を示さなかった。問題の先送りと言わざるを得ない。
 しかも有識者懇談会は厚生労働省に置かれる。身内に甘い改革とならぬか疑念も残る。具体策だけでなく、何を検討するのかまで“丸投げ”するのでは、厚労行政立て直しへの福田政権のやる気が問われよう。とても信頼回復とはいくまい。
 福田康夫首相には、厚労省に任せることなく自らの考えを国民に示し、陣頭指揮を執って改革にあたるよう求めたい。
 社会保険庁不祥事や年金記録問題、高齢者医療制度など、厚労行政に対する国民の怒りと失望は頂点に達している。もはや、厚労省の内部改革だけでは信頼回復は難しい。他省庁や民間から積極的に人材を登用し、国家総がかりで組織を立て直す必要がある。
 政治のリーダーシップも必要だ。幅広い厚労行政をこれまで通り、1人の大臣が担当していいのかどうかも含め検討すべきだ。
 一方、「厚労行政の信頼回復」以外のテーマについては、65歳以上の雇用支援や僻地(へきち)医療を担う医師への財政支援などを打ち出したことは前進である。ただ、大半は政府内で検討されてきた政策の寄せ集めで新味に乏しい。しかも、詳細な事業内容や必要予算額は明示されておらず具体性にも欠ける。プランを読んだだけでは、どう「安心」につながるのかすぐには分からない。
 財源の裏付けも不透明だ。項目数が多すぎてメニューを並べただけの印象も強い。来年度予算では医師不足対策などは別枠となる予定だが、限度はある。早急に政策の優先順位付けをすべきだ。
 社会保障をめぐっては、制度のひずみや、改革の行き過ぎで十分なサービスを受けられず困っている人も多い。少子高齢化で新たなニーズも増えている。
 プランが名ばかりで終われば、かえって不安や不信をあおることにもなりかねない。確実な実現に向けた首相の指導力が求められている。


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