( TДT)新聞

シンガポールが日本を抜く 1人当たりGDP
 アジア一豊かな国はシンガポール――。国際通貨基金IMF)の調査で、2007年のシンガポールの1人当たり国内総生産(GDP)が3万5000ドルを超え、日本の約3万4300ドルを抜くことが明らかになった。資源に乏しいシンガポールは積極的な外資・外国人の誘致策で経済の活性化に取り組んでおり、市場開放が後手に回った日本との違いが鮮明になった格好だ。
 シンガポールの1人当たりGDPは6年連続の増加。同国は07年課税分から法人税率を2%引き下げ18%に低減。所得税最高税率20%で相続税もない。太陽光発電など先端技術企業や資産管理ビジネスなど製造業や金融の誘致も盛んだ。



「行方不明の日本」英紙フィナンシャル・タイムズ サミット控え辛口批評
 7日から始まる主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)を前に、4日付英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)は、「行方不明の日本 姿が見えないサミット主催国」との見出しの辛口論評を掲載した。
 論評は「日本は世界で2番目に強力な経済を持ちながら、政治的には姿を見せていないも同然だ」とし、「サミット主催者の福田康夫(首相)はベルリンからブエノスアイレスまで(新聞の)1面に登場するだろう。それが閉幕したとき、日本は影の中に戻っていきかねない」と警告した。
 論評は「台頭する大国、成熟した大国とも、各国政府はかつてなく時間をかけて、地政学的展望を探し求めるべく占いの水晶玉に見入っている」とし、そうした取り組みにおける日本の不在を指摘し、「そればかりか、新しい秩序における日本の地位は滅多に、仲間の国々からの言及にすら値しない」と断じている。
 論評は、世界の力の均衡が急速に変化しつつあるとし、「アジアの世紀とは中国とインドのことだ」と、日本に代わって両国が台頭してきたと言明している。
 日本の影響力低下の背景として、「(バブル経済)崩壊が日本の政治家の自信を奪ったこととソ連崩壊が日本の地政学的位置付けをぬりかえたこと」を挙げ、その結果、第二次大戦後、米国にとり「西側の一員だった日本」の重要性が低下したところに、中国の飛躍的成長が重なったと見る。
 論評は「日本の最大の利益は、規範に基づく国際秩序を強化、拡大して、中国などの新興国を組み入れることにあると思う。何にも増して、世界のこの地域は強固な相互安保体制を必要とする」などと、日本の将来の選択肢も提示、「羅針盤なき国家」からの脱却へ向けた決断を促している。



模倣品防止の条約、サミットで年内制定合意へ 中国に参加促す
 日米欧など主要8カ国(G8)は、7日からの主要国首脳会議(洞爺湖サミット)で、偽ブランド品などの流通防止に向けた国際条約の年内制定を目指すことで合意する。首脳文書の経済分野に盛り込まれる見通しだ。世界全体で約80兆円の取引がある模倣品や海賊版の輸出入の差し止めを義務付け企業の被害を抑えるもので、条約の締結国は先進国を中心に40カ国ほどになる方向。今後、当初からの締結は予定していない中国などにも参加を促す方針だ。
 条約締結予定の各国はサミットでの合意に従って年内に交渉を進め、条文の詳細な内容を固める。年明け以降、各国で議会承認などの国内手続きを経て条約の早期発効につなげる方針だ。



元ドコモ夏野氏がドワンゴ顧問に就任・「ニコ動の黒字化担当に」
 ドワンゴは、元NTTドコモ執行役員夏野剛氏が常勤の顧問に就任したと発表した。就任初日の夏野氏は早速、ドワンゴが同日開催した「ニコニコ動画」の新サービス発表イベントに登壇。ニワンゴ取締役の西村博之氏と一緒に有料会員向けのコミュニティー機能などを説明し、「黒字化担当」としての初仕事をこなした。
 「ちょっと後悔してます。でも黒字化するために頑張るぞ!」。紹介映像が流れた後に舞台に登場した夏野氏は、会場に集まった約2000人の参加者と、中継を見ている1万人以上のユーザーに向けてこぶしを突き上げた。会場の参加者は拍手と歓声で夏野氏を迎えた。
 夏野氏の役割は、赤字が続く動画共有サービス「ニコニコ動画」の黒字化だ。会見では、特定の人だけに動画を公開できる「ニコニコミュニティ」など有料会員向けサービスを拡充するとともに、海外展開を進める考えを披露した。7月中旬から順次、ドイツ語とスペイン語に対応するという。
 夏野氏とひろゆき氏が掛け合いをしながらプレゼンテーションを進め、各サービスを映像を交えながら紹介した。トークショーでは、ひろゆき氏が「このおっさん自由だなあ」と突っ込み、「おっさん言うな」と夏野氏が返す場面もあった。会場では舞台の両脇にスクリーンを設置し、視聴中のユーザーによるコメント付きの中継映像を流した。
 夏野氏は「ニコ動が最も弱いのは大企業やテレビ局。そういう人を一人でも“ニコ中(ニコニコ動画中毒)”にすることが僕のミッションだと思っている。まわりのおじさんをどんどんニコ中にしていきましょう」と締めくくった。



韓国の格安航空、日本の地方に相次ぎ就航
 【ソウル=島谷英明】韓国の格安航空各社が日本の地方空港に相次ぎ就航する。済州航空が11日から済州―広島など3路線の運航を順次始めるほか、大韓航空アシアナ航空もグループ会社で乗り入れを目指す。機内サービスの見直しなどによる低コスト運営を徹底し、増加傾向にある日本の地方都市の旅客需要の取り込みを狙う。
 済州航空地方自治体などが出資して設立した新興の格安航空会社で、2006年5月から韓国国内で運航を始めた。7月から初の国際線として済州―広島、仁川空港(ソウル)―北九州、同―高知の三路線で就航する。



ハイブリッド車、販売21%増 国内1―6月、ガソリン高追い風
 ガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド車の販売が急増している。2008年1―6月のトヨタ自動車とホンダを合わせた国内販売台数は前年同期比約21.5%増の5万1758台となった。ガソリン価格の高騰で、燃費性能の良さが改めて注目され、年間では初めて10万台を突破する勢いだ。
 トヨタの「プリウス」は23.3%増の3万5507台だった。今年2月に全面改良した「クラウンハイブリッド」も1―6月期の販売台数は2942台と前年比22倍に急増した。ホンダは「シビックハイブリッド」が3.8%増の2160台だった。



マイクロソフトやアップル、会員制ネットサービス
 【シリコンバレー=村山恵一】米マイクロソフト(MS)とアップルはそれぞれ、7月半ばから会員制の情報管理サービスに乗り出す。パソコン用ソフトやデジタル機器など主力製品とインターネットを組み合わせ、文書や写真、予定表などを管理する仕組み。利便性の高さを訴え、個人に売り込む。無料ネットサービスで台頭するグーグルに対抗しながら、新たな収益源に育てる。
 MSが米国で始める「Equipt」はワープロ表計算のソフト「オフィス」最新版や、電子メール、文書・写真共有サービスがネット経由で利用できる。最初に専用ソフトをパソコンに取り込む必要があり、家電販売大手サーキット・シティの約700店で扱う。年間利用料は70ドル。米国外でのサービスは今後検討するもようだ。



米貯蓄率が急上昇 13年ぶり水準、5月5%に
 【ワシントン=米山雄介】米国の家計貯蓄率が5月に5.0%となり、約13年ぶりの水準に急上昇したことが米商務省の調べで明らかになった。緊急経済対策の柱である所得税減税が本格化したものの、家計はすぐに消費を拡大することには慎重で、とりあえず減税分の多くを貯蓄に回したもよう。経済成長のけん引役である個人消費が力強さを欠く中、米国民の間で景気の先行きへの不安が深まっている可能性がある。
 米商務省が明らかにした「家計貯蓄率」は、税金の支払いなどを差し引いた個人の可処分所得のうち、どれだけを貯蓄に回したかを示す割合。5月は5.0%と、4月の0.4%から急上昇した。米メディアなどによると1995年3月以来の高水準となった。



サルコジ政権、テレビ放送へ介入強化 トップの任命権掌握
 フランスのサルコジ政権がテレビ放送への介入を強めている。公共放送のトップの任命権を政府に移す方針を決めたほか、最大の民放局の名物キャスター交代への関与も取りざたされている。国内では行き過ぎた政府の関与はメディアへの信頼を損ないかねないとの懸念が広がっている。
 国会の公共放送改革検討委員会は政府が最高経営責任者(CEO)を任命することを柱とする報告書をまとめた。これまでは政府から独立した第三者機関がトップを任命してきた。



東京新聞社説】
首都圏路線価 ミニバブルは終わった
2008年7月5日
 国税庁の二〇〇八年分路線価によると全国の標準宅地の平均額は三年連続で上昇した。だが実勢価格は下落基調にあり、東京都心部のミニバブルも消えた。住宅取得などを冷静に考える好機だ。
 「土地は公共財」とはいえ、個人や企業にとって土地価格は大きな関心事だ。地価には実勢価格のほか国土交通省が発表する公示地価と都道府県の基準地価、相続税贈与税の算定基準となる路線価、地方税の固定資産税評価額の四つがある。
 国税庁は全国約三十八万地点の標準宅地を選んで、道路ごとに毎年一月一日現在での一平方メートルあたりの価格を設定している。これが路線価で、今回は東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の上昇率が前年比14・7%増と、前年を上回る高い伸びとなった。
 路線価は公示地価をベースとしている。その公示地価は昨年までの余熱を反映して住宅地・商業地とも二年連続で上昇した。とくに商業地では東京都渋谷区、新宿区などでバブル期並みの前年比30%以上も上昇した地点があった。
 だが実勢価格は昨年秋以降、全国的に下落基調に入った。都心部でも地価は沈静化してきた。
 国交省が今春実施した調査によると企業の土地取引意欲は急速に減退。地価水準についても今後下落を予想する回答が急増した。
 やはり米国の信用力の低い人向け住宅ローン(サブプライムローン)問題のあおりで外資系ファンドが資金を引き揚げたり、経営体質の依然として弱い金融機関が融資を抑制するなど、不動産投資熱が冷え込んだことが主因だ。
 不動産関係者たちは、都心部で見られたミニバブルは終わった−との見方で一致している。
 とくに冷え込みが目立つのがマンション市場だ。首都圏の新規物件の契約率は昨夏以来、好不調の判断基準となる70%をほとんど下回っている。在庫も急増した。
 不振の理由はマンション価格が高くなりすぎたことだろう。一戸あたりの平均販売価格は約四千八百万円と、二年前に比べて二割も上昇したという。
 年収の五倍程度が住宅取得の適正水準とされる中、給料が増えない勤労者には手の届かない買い物になった。
 地価は当分は調整局面が続く見通しだ。原油高騰による建設資材値上がりも土地取引や住宅建設に影響を及ぼす。個人も企業も住宅取得や土地利用を慌てない。今はじっくりと考える時期である。


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