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合成繊維原料、三井化学が生産力半減 原燃料高、設備廃棄広がる
 原燃料価格の高騰を受け、素材メーカーを中心とする企業が不採算製品の生産設備廃棄や工場閉鎖に動き始めた。三井化学原油高で収益が悪化している合成繊維原料の輸出を停止し、岩国大竹工場(山口県和木町)の一部設備を廃棄して国内生産能力を半減する。日本製紙グループ本社新日本石油も工場などを閉鎖する。新興国を中心に需要は伸びているが、原燃料高は当面続くと判断。事業や拠点の選択と集中にいち早く踏み込み、競争力を維持・向上させる。
 三井化学が生産能力を減らすのは、衣類などに使うポリエステル繊維の主原料「高純度テレフタル酸」。国内唯一の生産拠点である岩国大竹工場で設備3機のうち1機をすでに停止。もう1機も2011年度までに停止する方針だ。古い設備を廃棄し、国内生産能力を47%減らして年40万トンにする。1976年の国内での生産開始以来、同原料の生産能力削減は初めて。



3極間物流、米経済減速で変化 アジア・欧州向けが拡大
 アジア、欧州、北米の3極間で物流が変化している。海上コンテナの輸送量ではアジア、欧州向けが拡大する一方、米国向けは、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で失速。これまで世界経済をけん引した米国に陰りが見られる中、アジアと欧州が存在感を増している。
 3極間物流で特に好調なのがアジア向けの海上輸送だ。日本海事センター(東京・千代田)などによると、米国からアジア18カ国・地域(日本含む)に向かう海上コンテナ輸送量は2007年は前年比17.5%増の571万個(20フィートコンテナ換算)。今年も中国、ベトナム向けなどで高水準の伸びが続き、3月は前年同月比15.9%増えた。



全国の病院、医師不足で6割が診療縮小 日経調査
 全国各地の中核的な病院を対象に日本経済新聞社が実施した調査で、回答した約550病院の約6割が2007年度までの4年間に「医師が確保できない」という理由で診療体制を縮小していたことが分かった。復旧は一部にとどまり医師不足が病院の機能低下を招いている実態が浮かんだ。
 世界的な大流行が懸念される新型インフルエンザに備え、行動計画やマニュアルを整備しているのは3割どまり。今の状態で流行が始まれば、医療現場は大きく混乱することが予想され、早急な対策が必要といえる。



イオン、ドラッグストア事業を拡大 関西中堅に出資
 イオンはグループのドラッグストア事業を拡大する。関西の中堅チェーン、シミズ薬品(京都市)に出資し関西での地盤を固める。6月に追加出資した業界大手CFSコーポレーションにはイオンのプライベートブランド(PB=自主企画)を導入し、価格競争力を強める。国内小売業の中でドラッグストアは数少ない成長分野で、新たな資本提携や連携強化で勢力拡大を目指す。
 シミズ薬品は京都市中心にドラッグストア「ダックス」など約50店を運営し、年間売上高は110億円を超える。イオンは創業一族の持ち株などを譲り受ける形で同社の発行済み株式の3割程度を取得する。取得額などを詰めており、月内にも合意する見通し。



日米「強いドル」確認へ 6日首脳会談、拉致問題で連携
 主要国首脳会議(洞爺湖サミット)が7日から3日間の日程で開幕する。主要議題の地球温暖化対策では、日米英が創設する途上国支援の基金に対し、独仏なども参加を表明する見通しになった。これに先立ち福田康夫首相とブッシュ米大統領は6日午後、北海道内で会談。米国が掲げる「強いドル」政策の必要性を確認するとともに、北朝鮮による日本人拉致問題の解決などに向けた日米同盟関係の強化を目指すことで一致する。
 今回のサミットでは、2013年以降の温暖化ガス削減の枠組み(ポスト京都議定書)づくりで、主要排出国が中長期の目標設定にどこまで踏み込めるかが焦点。日本は主要排出国で「50年に半減」という目標を共有したい考えだが、中国・インドなど新興国を巻き込んだ削減努力を求める米国との主張の開きが大きい。



松下の姫路液晶工場、水使用量3割減
 松下電器産業兵庫県姫路市に新設する液晶パネル工場で、生産量当たりの水使用量を液晶工場として世界最少レベルに抑える。洗浄など工程ごとにムダな水の利用をなくすほか、再利用を徹底して工場外への排水をゼロにする。傘下の既存の液晶工場に比べ水使用量は3割強減り、1日当たり25メートルプール42杯分を減らせるという。
 姫路の液晶パネル工場は7月に着工、年産能力は最大1800万枚で2010年1月に稼働予定。洗浄や現像など工程ごとに水の必要量を細かく調整し、年産1500万枚換算で1日当たりの水使用量を約4万8000トンとする。松下傘下で同工場を運営するIPSアルファテクノロジ(千葉県茂原市)が茂原市に持つ液晶工場に比べ約1万7000トン(35%)削減でき、「液晶工場では世界最少になる」(松下)という。



インド、輸出統制を拡大 インフレ対策、国際価格に影響も
 【ニューデリー=小谷洋司】インド政府が輸出統制を拡大している。鉄鋼メーカーに鋼板の母材となる圧延コイルなどの輸出抑制を求め、トウモロコシの輸出は禁止した。麦、コメ、食用油などの輸出禁止に続く措置。国内での供給を増やすことで13年ぶりの年率11%超に達した国内のインフレを抑え込む狙いだが、国際価格に影響を与える可能性もある。
 鉄鋼省がメーカー首脳との会合で輸出抑制を要請した。同時に一部製品について最大10%の値下げで合意した。インドでは鉄鋼製品が5月までの1年間で約5割値上がりし、インフレに拍車をかけているとの“悪玉論”が台頭していた。



国産ウナギも値上げ 稚魚不漁・燃料高響く
 国産ウナギの価格が高騰している。稚魚シラスの不漁に加え、燃料や飼料費が上昇。中国産の敬遠も需要増加に拍車をかけた。24日の土用の丑(うし)を前に、かば焼き店の一部は値上げに踏み切った。ただ消費者のウナギ離れを懸念し値上げできない店も多い。産地偽装事件の余波を懸念する声も出始めた。
 東京・日本橋の老舗「大江戸」は、1日から、かば焼きを約1割値上げした。最も安いうな重は2100円から2310円に。湧井恭行社長(67)は「九州から仕入れるウナギの値段は秋から4割上がった。限界だ」と話す。



フィンランド大統領「食料不足、紛争原因に」
 インドネシアアチェでの和平仲介でノーベル平和賞候補となり国連コソボ問題特使も務めたアハティサーリフィンランド大統領が都内で日本経済新聞と会見した。前大統領は「世界の紛争の要因は多様化している」と指摘。食料不足や価格の高騰が紛争原因の一つとなっていることから、国際社会に対して「資源の効率的な利用を進めなければならない」と訴えた。
 ミャンマーなどアジア情勢については「サイクロン被災が国際社会への歩み寄りをもたらすと期待したい」と語った。チベット問題では「中国政府がチベット亡命政府側と対話を始めたのは重要な進展だ」と指摘した。



保育所の認可基準緩和 厚労省、面積規制を撤廃へ
 厚生労働省は国と地方自治体が運営費の一部を補助する認可保育所について、設置基準を約60年ぶりに緩める方針を固めた。子供1人当たりの面積基準を撤廃し、その代わりに設ける新基準を都道府県の判断に委ねる。認可保育所はいまの面積でも受け入れ児童を増やすことが可能になり、無認可保育所は認可を得て補助金を受け取りやすくなる。認可保育所の入所待ちをしている「待機児童」の解消を狙う。
 厚労省自治体関係者や保育所経営者らが参加する有識者研究会を発足させた。関係省令の改正を検討し、2009年度からの実施を目指す。



【産経主張】コンビニ深夜規制 国民の幅広い議論深めよ
 複数の地方自治体が、コンビニエンスストアに対する深夜営業規制を検討し始めた。二酸化炭素(CO2)の排出量削減やライフスタイルの改善が主な狙いだ。
 コンビニ業界の多くは、省エネの効果は薄いと反発する。CO2削減の面から言えば、確かに業界が言うように大きな効果は期待できない。
 だが、地球温暖化対策は、エネルギーを大量に消費する現在の便利な暮らしにどっぷり漬かったまま行えるほど甘くはない。
 温暖化への取り組みを本気で考えれば、現代人のライフスタイルを真剣に議論する必要もあろう。深夜規制の問題を一つの研究事例として、国民が幅広い議論を深めるきっかけにしてはどうか。
 コンビニの深夜営業をめぐっては、東京都や埼玉県、京都市の首長らが営業短縮の必要性について積極的に発言している。電力消費の削減のみならず、コンビニが深夜に若者のたまり場になっている。こうした夜型の生活の改善も念頭に置いているようだ。
 これに対しコンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会は、「朝7時から夜11時までに営業を短縮してもCO2削減効果は4%程度にとどまる」と主張する。照明を消しても冷蔵庫が稼働し続けるし、夜間電力の多くは、CO2を出さない原子力発電で供給されているためだ。
 経済活動が24時間化し、夜間に働く人も多い。コンビニは、そのような人々の買い物などの利便性に応えるために営業時間を拡大してきた。いまでは、公共料金の支払いや宅配便、設置してあるATM(現金自動預払機)から現金の引き出しなども可能だ。
 社会的インフラとしての重要性も増している以上、「コンビニだけを規制する意味はあるのか」という業界側にも一理ある。
 このように、双方の妥協点を見つけるのは容易ではない。そこで、一律に時間短縮するのではなく、深夜でも需要度が高い地域の店舗を除いて、実験的に導入するという方法も可能だ。業界の一部は営業時間の見直しに柔軟な姿勢を示している。
 コンビニはエネルギー消費を増大させてきた現代生活の象徴でもある。地球に優しい生活を心がける方向に人々の意識を転換させる効果が期待できるなら、深夜営業の自粛も取り組む価値があると考えてもいいはずだ。


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