(#゜Д゜)ノ新聞

家庭用燃料電池、松下・ガス3社販売提携 100万円想定、09年投入
 松下電器産業は水素と酸素を反応させて電力を作る家庭用燃料電池事業で、都市ガス3社と提携した。2009年初の量産開始に備えて水素の原料となるガスの供給と装置の販売を委託。価格は1台100万円程度に設定する。生産設備も増強し、15年には年産20万台体制にする。装置の開発は複数の企業が進めているが、販路など具体的な事業戦略に踏み込んだのは初めて。新日本石油も装置の効率運用システムの開発に着手しており、家庭用燃料電池が実用段階に入ってきた。
 共同で装置開発を進めている東京ガスのほか、国内3位の東邦ガス、同4位の西部ガスと提携した。3社の都市ガスの供給戸数は国内全世帯数の約3割。松下は3社を通じ家庭で使う約6割の電力をまかなえる出力1キロワット型のシステムを09年春にも投入する。ガス各社は松下と組み、電力会社が優位に立つ家庭用電源市場の獲得を狙う。



NEC、2万人が在宅勤務可能に 全社員の9割、機密保持を強化
 NECは1日から全社員の9割にあたる約2万人の社員を対象に在宅勤務制度を導入する。システム技術者、営業部門などホワイトカラーのほぼ全員が対象。機密保持機能を備えたデータ通信やパソコンを自宅に配備することで職場と同じ仕事をこなせるようにする。松下電器産業やNTTデータも大規模な在宅勤務制を導入しており、IT(情報技術)を活用した在宅勤務が産業界全体に広がる可能性がある。
 新入社員や生産現場勤務の社員などを除く全社員が対象。週1回を上限に上司の承認を得て利用できる。パソコンに付けたカメラを通じて勤務開始と終了時に上司に連絡する。各部署に利用しやすい体制整備を求め、早期の普及を目指す。



トヨタ、中国でハイブリッド「カムリ」を生産 2010年に年産1万台
 トヨタ自動車は中国でハイブリッド車の生産を拡充する。現在の小型車「プリウス」に加え、広州市の工場で2010年に中型セダン「カムリ」のハイブリッド車を年間1万台規模で生産する。原油高を受けて中国政府はガソリン統制価格を引き上げ、環境対応車への優遇税制適用も決めている。トヨタは10年代初頭に中国での販売台数を100万台とする計画で、環境対応車の需要拡大や欧米勢や現地メーカーとの競争をにらみ、幅広いニーズに応えられる体制を整える。
 カムリのハイブリッド車は、広州汽車集団との合弁会社、広州豊田汽車(広州トヨタ)の第2工場で生産する。第2工場は09年の稼働予定で、まずカムリのガソリン車を生産、10年からハイブリッドを追加する。両方を同じ生産ラインでつくりコストを抑える。基幹ユニットは日本から持ち込み、将来は増産も検討する。



鉄鋼最大手ミタル、資源大手リオ・ティント買収を検討 英紙報道
 【ロンドン=清水泰雅】英フィナンシャル・タイムズ(FT)は30日、鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタルが英豪系資源大手リオ・ティントの買収を検討していると報じた。リオは同じく資源大手のBHPビリトンが買収を狙って交渉しているが、そこに割ってはいる可能性がある。買収が実現すれば、鉄鉱石などの原料から、川下の鉄鋼製品までを握る巨大な企業が誕生する。
 リオを完全に買収した場合、買収総額は1600億ドル(約17兆円)にのぼるとみられている。既存の株主から株式を一部買い取る可能性もあるという。今年2月に中国アルミが取得したリオ株(計9%)を引き受ける案などが浮上している。
 鉄鋼メーカーであるミタルにとって、適正価格での鉄鉱石確保が急務。特にラクシュミ・ミタル最高経営責任者(CEO)が強い危機感を持ち、ミタル自体が鉱山の獲得を積極的に進めていた。



サムスンSDI、有機EL大幅増産 554億円投じ月産900万枚に
 【ソウル=鈴木壮太郎】韓国ディスプレー大手のサムスンSDIは次世代ディスプレーとして有望視されている有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を増産する。5518億ウォン(554億円)を投じ、月産能力を現在の3.6倍の900万枚(2インチ換算)に増やす。ライバルの日本・台湾勢より量産で先行し、市場での主導権確保を狙う。
 増産するのは携帯電話や携帯音楽プレーヤーに搭載する中小型パネル。同社は昨秋、天安事業場(忠清南道天安市)に4775億ウォンを投じ月産150万枚規模で量産を開始。現在は月250万枚を生産する。増産投資が完了する来年6月までに月900万枚体制にする。
 有機ELは液晶パネルのようなバックライトが不要で、薄型化できる。コントラスト(明暗比)が高く屋外でも鮮やかな表示が可能だ。液晶パネルを代替する次世代ディスプレーとして、モバイル機器向けの中小型パネルから市場が立ち上がりつつある。



豪州産鉄鉱石、価格最大2倍で決着 新日鉄など、負担1000億円増
 新日本製鉄やJFEスチールなど日本の鉄鋼大手が英豪系資源大手リオ・ティントと進めていた2008年度の豪州産鉄鉱石の価格交渉が30日、07年度と比べ最大約2倍の値上げを受け入れることで決着した。すでに確定しているブラジル産を大幅に上回り、業界全体で1000億円規模の負担増となる。鉄鋼各社は今後、鋼材の追加値上げを検討する方向で、産業界の負担が一段と増す。
 豪州産鉄鉱石は日本の輸入量の約6割を占める。同2割強のブラジル産については2月に65%上げで妥結。だが、その後にリオ・ティントが塊状鉱石で96.5%、粉状鉱石で79.88%の値上げを要請。中国鉄鋼最大手の宝鋼集団がこれを受諾したため、日本の鉄鋼大手も追随した。豪英系BHPビリトンとも同水準で決める公算が大きい。



CO2地下貯留で新会社、電力・石油など24社参加
 東京電力新日本石油をはじめとする電力、石油会社など24社は30日、二酸化炭素(CO2)の地下貯留(CCS)事業を手掛けるための新会社を設立したと発表した。2009年度以降に実証実験を始める。来週、日本で開かれる主要国首脳会議(洞爺湖サミット)では地下貯留など温暖化対策に必要な技術開発の促進が焦点の一つになる見通し。日本の産業界を挙げての推進体制を整え、同分野での主導権を握る狙いだ。
 発電所や製鉄所から出るCO2を回収し1000メートル以上の地下に閉じ込める。老朽化した油田やガス田に高圧のCO2を注入すれば原油などの生産量拡大にもつながる。
 新会社「日本CCS調査」に出資したのは電力11社、石油元売り5社、日揮石油資源開発住友金属工業など計24社。資本金は3600万円で、石油資源開発の石井正一常務が社長に就いた。政府は地下貯留で20年に年1億トンのCO2削減をめざしており、新会社は「政府目標の半分程度を手掛けたい」(石井社長)という。



イラク、油・ガス田開発に外資導入 原油、13年に8割増産
 【ドバイ=松尾博文】イラクのシャハリスタニ石油相は30日、外資導入の対象となる油田と天然ガス田、計8カ所を発表した。イラクは世界第3位の石油埋蔵量を有する。戦後復興を急ぐ同国は外国石油会社への油田開放により原油生産能力を2013年に現在の8割増となる日量450万バレルに引き上げる計画。すでに日本企業4社を含む外資が応札資格を得ており、イラク参入をめぐる競争が本格化する。
 外資導入による油田開発は03年のイラク戦争後初めて。対象となるのは北部の主要油田キルクークや南部の大油田ズベイル、ルメイラなど油田6カ所と、西部のアッカスなど天然ガス田2カ所。イラク石油省は事前審査で絞り込んだ41社を対象に09年3月までに入札を実施、落札企業と同年6月までに契約する。
 イラク戦争で低迷した同国の原油生産量は同250万バレルまで回復。既存油田の老朽化した施設の設備改修で同50万バレルの短期的な上積みをめざしているが、さらに引き上げるためには新規油井の掘削など本格開発が不可欠だ。



ユーロ圏の消費者物価、6月は4%上昇 ガソリン・食品が値上がり
 【ベルリン=赤川省吾】欧州連合(EU)統計局は30日、6月のユーロ圏15カ国の消費者物価上昇率(速報値)が前年同月比で4.0%になったと発表した。ガソリンなどエネルギー価格の上昇が続いているほか、家賃や食料品の値上げにも歯止めがかからない。5月につけた1999年の通貨統合後の最高水準(同3.7%)を更新し、欧州中央銀行(ECB)が7月に利上げに動くことが一段と濃厚になった。
 原油価格の高騰がインフレ率を押し上げている。ドイツでは東西統一後の1990年代前半以来の物価上昇に見舞われ、ガソリンは1リットルあたり1.6ユーロ前後(約270円)の高値圏に上昇。暖房用燃料も1年前に比べて5―7割値上がりした。これに伴い工業製品の搬送費や家賃などもじわじわと上がっている。
 家計の実質所得の目減りにつながる生活必需品の価格上昇に域内政府も対応策を迫られる。仏サルコジ大統領は賃貸住宅の敷金の価格統制を表明したほか、独メルケル政権は年金支給額や住宅手当の増額に動いた。



日経社説 何のための税制改革かを明確にせよ(7/1)
 自民党税制調査会は1日から2009年度の税制改正に向けた議論を始める。例年は秋からの討議を前倒しするのは、消費税も含む税体系の抜本的改革を進めることになっているためだ。ただ、次期衆院選挙を意識した政治的思惑もあり、抜本改革の機運は早くもしぼみつつある。
 痛みを伴う増税は政治的に不利になるという理由で、消費税率引き上げ論議を避けるのは論外だ。一方、財源不足を埋めることに焦点をあてた議論ばかりでも国民の理解は得られまい。社会保障制度の改革とセットになった税制見直しなど振りの大きい改革論議を進めるべきだ。
 今回の抜本改革論議は、福田康夫首相の指導力発揮というより、必要に迫られた面が大きい。
 09年度には基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げることになっており、その前提として「抜本的な税制改革で安定的な財源を確保する」と法律で定められているからだ。安定財源が見込めないと、2兆3000億円を超す財源不足が生まれる。
 ガソリン税などを道路特定財源から一般財源にするのを決めたことも、抜本改革論議を迫る要因になった。自動車保有者などの理解を得るために、福田首相が「環境税の取り扱いも含めて、税制全般を見直す」と公約したためだ。
 しかし、消費税については福田首相が「2、3年とか長い単位で考えたい」としたことで、議論の先送りムードが出ている。地球温暖化防止につながる税制の見直しも、産業界への影響などを考えれば、困難との声も聞こえる。税制の抜本改革という看板は掲げたものの、実際には動きにくいというのが実情のようだ。
 だが、問題を先送りするばかりでは国民の不信感を買うだけだ。消費税については、例えば制度の信頼性が低下している年金の抜本改革と合わせて税率引き上げを議論するなど、何のためかがわかりやすい改革像を示すことが必要だ。
 忘れてならないのは、法人税や金融課税のあり方など、経済の活力にかかわる税制の改革である。
 企業が国境を越えた事業展開を加速する中では、法人税負担を可能な限り和らげ、魅力的なビジネス環境を整える必要がある。金融課税も将来は金融所得をまとめて課税対象にできるよう、損益通算ができる範囲を広げることが求められる。
 税制は国のあり方を映す鏡でもある。政治的な損得勘定や帳尻合わせに終わらない、本格的な改革論議を期待したい。


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