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資源高、素材の代替加速 食料でも活用拡大
 資源・食料価格の高騰を受け、企業が割安な代替素材の活用に動き出した。住友化学は自動車用電池向けに希少金属レアメタル)のコバルトを使わない基幹部品の量産を2010年にも開始。古河電気工業は銅より安いアルミニウムを使用する自動車向け電線を実用化する。雪印乳業日本ハムは低価格のチーズ代替品を開発した。資源高が企業経営から家計までを圧迫するなか、幅広い製品で素材転換が加速し日本勢が主導する新市場が生まれつつある。
 新興国の経済成長などを背景に、国際商品の原油レアメタルを含む金属類、食料の価格が軒並み急上昇している。第一生命経済研究所の試算では資源高が日本の産業界の総コストを07年で10兆7000億円押し上げた。08年は約17兆円に達する見通しで、資源高対策が企業の最大の経営課題になっている。



日立建機と住友重機、ハイブリッド型油圧ショベル発売へ
 日立建機住友重機械工業はそれぞれ、動力源にディーゼルエンジンとモーターを併用するハイブリッド油圧ショベルを発売する。日立建機は従来機に比べ燃費を25%改善した製品の受注生産を6月から開始。住友重機械工業も年度内に発売する。コマツも発売する予定で、燃料消費や二酸化炭素(CO2)排出を減らしたい建設機械ユーザーの間で導入が広がりそうだ。
 建機業界2位の日立建機は土砂などを掘削する油圧ショベルのうち、最も需要が多い中型機種(重量20トン級)でハイブリッド型を国内販売する。油圧ショベルが旋回してブレーキをかけたり、腕にあたる部分を降ろしたりする際のエネルギーを電気に変換して蓄積。これを駆動エネルギーとして再利用する。年間800時間稼働させた場合、燃料代が約44万円分浮くという。



セカンドライフ、日本向けサービス拡充・他空間と連携も
 仮想空間「セカンドライフ」を運営する米リンデンラボ社の創業者で会長のフィリップ・ローズデール氏は29日、都内で講演した。日本語での電話問い合わせサービスを始めるなど、日本での利用者獲得策を説明。まだ黎明(れいめい)期の仮想空間サービスが「次代のインターネット」になるとの構想を披露した。
 日本でのセカンドライフ利用者が伸び悩んでいることに対して、「仮想空間というサービス自体がまだ初期段階。山積する問題は徐々に解決されていく」とした。



サマータイム「10年導入を」 超党派で法案提出へ
 自民、民主、公明、国民新の各党など超党派の国会議員でつくる「サマータイム制度推進議員連盟」は29日、国会内で総会を開き、2010年からサマータイムを導入する新法案を今国会に提出する方針を決めた。各党は党内手続きに入り、来週にも提出、今国会での成立をめざす。省エネや経済波及効果を見込むものの、導入の是非を巡ってはなお慎重な見方もある。
 新しい法案では、3月の最終日曜日の午前2時から10月の最終日曜日の午前2時まで時計の針を1時間進める。日の長い季節に明るい時間を有効に使う狙いだ。議連は29日時点で約250人に達しているが、各党とも反対派を抱えており、党議拘束をかけないことも検討している。



リクルート、前期売上高1兆円突破 スタッフサービス買収で
 リクルートが29日発表した2008年3月期の連結決算は、売上高にあたる営業収益が前の期に比べ33%増の1兆66億3500万円となり、初めて1兆円の大台を突破した。2007年12月に買収した人材派遣最大手スタッフサービス・ホールディングスの売り上げが加わったため。これを除くと8%の増収だった。
 営業利益は3.0%増の1659億5900万円。買収に伴ってのれん代償却を含む営業費用が増え、営業利益を押し下げた。買収の影響をのぞくと5%の営業増益だった。最終利益は法人税負担などが増えたことにより、846億3300万円と前の期に比べて8.1%の減益だった。売り上げ規模は広告業界2位の博報堂DYホールディングス(1兆1187億円)に匹敵。売上高営業利益率は16.5%と、同1位の電通(2.7%)の6倍に達する。



ネットで雑誌楽しむ ヤフーやマイクロソフト
 ヤフーは6月から20誌以上の雑誌記事をインターネットで楽しめるサービスを始める。雑誌の掲載記事に加え、各誌がネット向けに企画した記事などを無料で閲覧できる。マイクロソフト日本法人(東京・渋谷)も29日から、マガジンハウス(同・中央)と組み人気雑誌を無料で閲覧できるようにした。雑誌販売が低迷する中、集客力を持つ大手ポータル(玄関)サイト主導による連動サービスが広がりそうだ。
 ヤフーは広告制作会社のタグボート(東京・港)と組み、6月23日にサイトを立ち上げる。第一弾として、講談社小学館など15の国内出版社が発行する女性誌男性誌、生活情報誌など22誌が参加する。



液晶TV、低価格帯は台湾委託 東芝社長
 東芝西田厚聡社長は29日、日本経済新聞記者と会い、低価格帯の液晶テレビで台湾メーカーへの生産委託を始めたことを明らかにした。液晶テレビの主力機の生産外注は初めてで、自社は高級品に集中する。新世代DVD「HD―DVD」から撤退した映像事業では、2009年度までに新型の携帯映像端末を発売する意向も示した。



トイレットペーパー、卸値9%上げで決着
 古紙を使ったトイレットペーパー大手の信栄製紙(静岡県富士宮市)グループと丸富製紙(静岡県富士市)グループが大手小売りなどと進めていた値上げ交渉が9%上げでほぼ決着した。12ロール入りは代理店卸値(東京)が約20円上がって240―250円と5年ぶりの高値となる。小売店での特売減少や値上がり加速につながりそうだ。
 信栄製紙などが原料高を理由に昨年11月に表明した値上げが5月出荷分までに浸透した。昨年も2回の値上げを打ち出し、卸値は緩やかに上昇してきた。今回の値上げにより、直近の底値だった2006年前半より3―4割高くなる。



建設受注総額、4月は12%減 マンション需要減る
 日本建設業団体連合会(日建連、東京・中央)がまとめた加盟ゼネコン52社の4月の建設受注総額(速報値)は、前年同月比12%減の6730億円だった。東京駅の改修工事などの大型案件があり、高水準だった昨年との比較であるうえ、マンション需要の減少などによる民需の落ち込みが影響した。
 国内民間発注は前年同月比18%減の5340億円だった。中でも非製造業が同23%減と大幅に減った。国内官公庁発注は同1.6%減の830億円だった。



シャープ、7つのLED駆動できる新IC・携帯電話向け
 シャープは29日、携帯電話向けの発光ダイオード(LED)駆動ICの新製品を開発したと発表した。携帯電話の液晶画面の大型化、高精細化に伴ってバックライトとなるLEDの数が増えていることに対応。1つの駆動ICで7つのLEDを動かせるようにした。
 バックライトのLEDの明るさを16段階に調整し、画面が暗いときには点滅する周期を短くするなどの役目を果たす。国内の携帯電話では画面サイズが3型程度の製品が主流でLEDは6つ搭載されているケースが多い。さらに大画面化すると7つ必要になるとみて新製品を開発した。



大手生保、営業職員の減少に歯止め 日生、5年ぶり増
 大手生命保険各社で契約獲得に携わる営業職員数の減少に歯止めがかかりつつある。日本生命保険の2008年3月末の営業職員数は5年ぶりに増加に転じ、前年同月比581人増の4万9934人となった。他の大手生保でも減少率が縮小している。
 営業職員の新規採用を絞る傾向は続いているが、早期に退職する職員が減ったことが主因。各社はベテラン職員を増やし、保険金の不払い問題の再発防止などにつなげたい考えだ。



印自動車の前期決算、大手3社の利益率低下
 【ムンバイ(インド西部)=小谷洋司】インドの主要自動車メーカーの2008年3月期決算が出そろい、スズキ子会社で乗用車最大手のマルチ・スズキなど3社はそろって売上高ほど利益が伸びず、採算を低下させた。原料高や自動車ローンの金利高による販売減速などが響いた。
 大手財閥傘下のタタ自動車は、商用車と並ぶ売り上げの柱である乗用車の販売台数が前の期を下回ったうえ、原料高が利益を圧迫し、税引き前利益の伸びは0.1%にとどまった。マヒンドラ・アンド・マヒンドラは主力の多目的スポーツ車(SUV)が新車効果で堅調だったが、原材料費などのコスト増を吸収しきれず2%減益となった。



世銀、食料危機対応へ新融資制度 12億ドル規模
 【ワシントン=米山雄介】世界銀行グループは29日、世界的な食料危機に対応するため、新融資制度を設立すると発表した。資金規模は12億ドル(約1260億円)。最貧困国向けの緊急補助のため、2億ドルの信託基金も設ける。世銀は新制度により迅速な支援が可能になると説明しており、貧困と飢餓撲滅に向けた国際社会の取り組みを後押しする考えだ。
 新融資制度は国際開発協会(IDA)と国際復興開発銀行(IBRD)の融資適格国が対象。貧困層向けの食料支給や学校給食の維持など各国の食料危機対策に充てる。小規模農家向けの種子や肥料の配布にも充当。将来にわたって農作物生産を支援する。
 同日電話会見したゼーリック世銀総裁は「ローマでの食料サミットを来週に控え、主要国には具体的な行動が求められている」と指摘。「新融資制度により、迅速な支援が可能になる」と世銀の取り組みの意義を強調した。



【産経主張】空自機派遣問題 極めて残念な見送りだ
 政府は、四川大地震の被災者を支援するため、航空自衛隊の輸送機を近く中国に派遣する方向で調整を進めていたが見送った。自衛隊部隊の中国派遣が実現すれば初めてだっただけに残念だ。日中関係にとどまらず、地域の安定に寄与する意味合いを持つだけに仕切り直しを求めたい。
 外国軍による支援に関しては米軍輸送機が18日、成都までテントなどを運んだことを皮切りにロシア軍も野戦炊事車などを届けており、空自も加わる予定だった。
 当初の予定は、こうだった。空自はC130輸送機を使い、自衛隊などのテントや毛布などを中国の空港に運ぶ。空港から被災地までは中国側が担当する計画であった。
 四川大地震の被災者は4500万人以上とされる。各国は、中国の呼びかけに応じて約21万張りのテント提供を申し入れ、うち約4万7900張りが被災地に送られているが、テントや仮設住宅などはなお著しく不足している。中国側が外国軍を受け入れたのも、こうした事態を放置しておくことがもはやできず、軍による緊急対応を求めているためだろう。
 国際緊急援助隊法では被災国の要請を受け、外相と防衛相が協議して自衛隊を派遣するが、迅速かつ有効な支援がなによりも必要である。3年半前のインド洋大津波では派遣決定から空自の第1陣部隊出発まで10日以上かかったこともある。
 見送りの背景には旧日本軍のイメージと重なる自衛隊に対し、反発する声もあったようだ。旧日本軍の残虐さを強調する抗日教育も強化されてきた。軍の中にも対日強硬派がいたに違いない。
 それだけに今回、中国側としても空自を受け入れる環境が整わなかったといえるが、日本側の調整に問題がなかったかどうか。
 胡錦濤国家主席来日時の日中共同声明は、安全保障分野におけるハイレベル相互訪問の強化や交流促進をうたった。中国ミサイル駆逐艦が昨年11月に東京港を訪れたのを受け、6月には海自護衛艦が初めて訪中する。
 中国軍との信頼醸成に努めることは必要だ。その一方で中国が東シナ海などで軍事力を誇示してきたことも忘れてはならない。
 自衛隊派遣は日中関係を建設的なものにし、両国民の感情も改善させる可能性があった。今回の見送りを大きな教訓にしたい。


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