(゜Д゜)新聞

日経社説 企業は減益の予想を経営改革のバネに(5/18)
 バブル崩壊後に回復を続けてきた国内企業の業績に転機が訪れている。上場企業の2009年3月期の経常利益が、7期ぶりに減益となる見通しになった。経営者は萎縮するのではなく、長期的な成長に向けた経営改革の機会ととらえてほしい。
 金融などを除く上場企業全体の9割が発表を終えた08年3月期決算では、前の期に比べて3%の増益を確保したもようだ。だが、今期は6%の減益に転じる見通しである。
 日本企業を取り巻くグローバルな経済は、大きく変わりつつある。米サブプライムローン問題は、輸出先である米国の景気を冷え込ませた。これを受けて投資マネーはドル資産から離れ、ドル安・円高の圧力が強まった。マネーは商品市場にも流れて原油価格を押し上げた。
 決算が示したのは、こうした新たな潮流に巻き込まれた企業の姿だ。米個人消費の低迷で、デジタル家電の販売に陰りが出た影響で東芝は前期、3期ぶりの営業減益だった。トヨタ自動車は今期、円高が響いて9期ぶりの減益となる。三井化学も主原料のナフサ(粗製ガソリン)価格の高騰で今期の減益を予想する。
 米住宅価格はなお下落しており、米景気低迷は一過性ではないとの認識を持つ必要がある。少子化で消費減少の懸念がくすぶる国内景気の先行きも不透明で、企業は成長持続に向けた改革が急務になっている。
 方向性の1つが新興国での事業強化だ。イオンが先月、国内スーパーを閉鎖する一方、アジアで店舗を拡大していく計画を打ち出したのは一例である。新興国も米景気悪化の影響は避けられないが、世界的には比較的高い成長力を保っている。
 激しい競争は覚悟してほしい。「グローバルな成長」は母国での成長鈍化に悩む米欧経営者の流行語になっており、視線は新興国に集まっている。経済が未成熟で先行きが読みにくい点も落とし穴だ。千代田化工建設カタールのプラント工事で労働者が不足、人件費が膨らんで前期は大幅な減益を強いられた。
 もう1つは、業績拡大の過程で見過ごした規律の緩みを見直すことだ。電機業界などではなお、本業ではない子会社を抱えて選択と集中を終えていない企業が目立つ。たまった現金を成長投資や株主への配分に有効に活用してきたのか、需要を掘り起こす商品やサービスは生み出してきたのか、点検することは多い。
 業績悪化を外部環境のせいにするだけでなく、弱点を見つけて改革する。そんな企業こそが長期的に成長してグローバル競争に勝ち残る。



四川大地震、湖やダム決壊の恐れ
 【北京=高橋哲史】中国・四川大地震で17日、中国政府の災害対策本部は同日午後2時(日本時間同3時)時点の死者数が2万8881人になったと発表した。四川省ではダムや湖の堤防が決壊する恐れが強まり、一部では住民に避難命令が出た。日本政府の国際緊急援助隊は同日午後、第2陣が合流したが、地震発生から6日目を迎え、生存者の救出は難しさを増している。
 災害対策本部の集計によると、負傷者は19万8347人。建物の被害は倒壊が312万8000戸、損壊が1560万9000戸に達した。胡錦濤国家主席は同日、震源地の四川省アバ・チベット族チャン族自治州ブン川(ぶんせん)県を視察した。



セブンイレブン、コンビニ専用書籍販売・人気作家と組み
 セブン―イレブン・ジャパンは人気作家の宮部みゆき氏らと組み、コンビニ専用書籍の販売に乗り出す。第1弾として19日から、関東の約4000店で小説を発売する。人気作品に続いて、書き下ろし小説の投入や全国1万2000店への拡大も検討する。日本最大の小売店舗網がコンビニ専用書籍を扱うことで、街の書店へ影響を与えそうだ。
 コンビニ専用書籍はローソンやサークルKサンクスがノウハウ本などを一部扱っているだけ。



EU、減反政策撤廃へ・食糧高騰に対応
 【ブリュッセル=下田敏】世界的な食糧価格の高騰を受け、欧州連合(EU)の欧州委員会は小麦や大麦などの減反政策を完全に撤廃する方針を固めた。穀物類の輸入関税を一律でゼロに据え置く措置も2009年まで延長する。国際的な需要拡大で食糧価格が長期的に高止まると判断。EU域内での供給量の確保に動くとともに、主要国首脳会議(洞爺湖サミット)で生産国に輸出規制の是正を求める。EUの対応は日本など世界各国の農業政策にも影響を与えそうだ。
 欧州委は20日に示すEU農業政策の改革案で、小麦などの生産調整の撤廃を提案する。加盟国や欧州議会の承認を得て、08年中に法整備を進める考えだ。



シャープ、伊で最大級の太陽光発電・電池パネル工場検討
 シャープは欧州エネルギー2位のエネルと太陽光発電で提携する。2011年末までにイタリアに世界最大級の太陽光発電所を共同設置し、太陽電池パネル工場の建設も検討する。助成策が充実している欧州のエネルギー大手と組み、クリーンエネルギーの代表格である太陽光発電の普及を加速。発電コスト引き下げにつなげる。
 イタリア各地に太陽光発電所を設け、11年末までに計160メガ(メガは100万)ワット強の発電能力を持たせることで合意した。日本の一般家庭換算で約4万世帯の電力を賄う。今後運営形態を詰めるが、太陽光発電では世界最大級となる見通し。



パソコン100万台で「次世代のコメ」開発・IBMとワシントン大
 米IBMとワシントン大学は、100万台のパソコンを接続してコメのタンパク質を解析し、栄養価や抵抗力が高い「次世代のコメ」の開発に乗り出す。膨大な数のパソコンの空き容量を有効活用することで同大のコンピューターだけを使うと200年かかる解析を2年弱で完了。食糧難や将来の気候変動への備えを急ぐ。
 複数のパソコンを連携し、あたかも1つのスーパーコンピューターのように使う「グリッドコンピューティング」の技術を活用する。3万―6万種あるとされるコメのタンパク質構造を解析。2010年までに、耐病性や栄養価の高いコメをつくるにはどの品種を交配すればいいのかを解明し、農家などに情報提供する。将来はトウモロコシや小麦など他の農作物にも研究対象を広げる予定。



全国の市区、公共料金上げ18%が検討・日経調査
 全国の市と特別区(東京23区)の18%にあたる149市区が、各種手数料や上下水道などの公共料金引き上げを検討していることが日本経済新聞の調査でわかった。2008年度決算から適用される地方財政健全化法で、自治体財政は上下水道などの地方公営企業を含む連結ベースで評価されるため、財政健全化を急いでいる。燃料や食品に続く公共料金の引き上げは家計に大きな痛手となりそうだ。
 3月中旬から4月中旬にかけて全国783市と特別区を対象に調査した。08年度以降に住民票発行など各種手数料の引き上げを検討しているのは124市区。また27市が下水道料金、11市が水道料金の引き上げをそれぞれ予定または検討していた。一部の市は既に今年4月から実施済みだ。



外資規制の根拠を明確に・対日投資有識者会議が提言案
 政府の対日投資有識者会議(座長・島田晴雄千葉商科大学長)が19日にまとめる提言案が明らかになった。外資規制のあり方全般について2008年度中に検討し、規制の範囲と根拠を明確にすべきだと強調。外資による日本企業の買収を抑えすぎないように、買収防衛策に関するルールを夏までに再検討すべきだとした。提言は政府の経済運営の基本方針「骨太方針2008」に反映させる。
 提言は日本の対内直接投資が欧米諸国と比べて少なく、その差が拡大していると指摘。外国人投資家の日本への関心は、欧米や中国、ロシアなど新興国より低いと明言した。そのうえで(1)M&A(合併・買収)の円滑化に向けた制度整備(2)外資規制のあり方の包括的検討(3)投資コストの削減と制度の透明性向上――など五項目で具体的な措置を取るように政府に求めた。



部材共通化など住宅産業に促す・経産省
 経済産業省は既存住宅の有効活用を柱とした今後の住宅産業のあり方に関する提言をまとめた。新築住宅の大量生産からの移行を促す。住宅の寿命を長くするため、業界に部材の共通化を求めたほか、固定資産税の減免をうたった。住宅の省エネルギー促進策など一部は2009年度予算の概算要求に盛り込む方針。
 提言では住宅産業は(1)新築販売依存からの転換(2)業種を超えた効率化(3)国際展開の推進――などを目指すべきだとした。



中国農業省次官「農業に巨大な損失」・四川大地震、物価上昇も
 【北京=高橋哲史】中国農業省の危朝安次官は17日、北京で記者会見し「今回の四川大地震は被災地の農業に巨大な損失を与えた」と述べ、農業生産の回復に全力を挙げる考えを強調した。四川省の農業生産量は全国の約8%を占める。被災地からの農産物の出荷が滞れば、上昇が続く消費者物価指数(CPI)をさらに押し上げかねない。
 四川省は豚の生産量が全国1。年間の出荷量は6000万頭で、全国の1割に達する。農業省によると、今回の地震でこれまでに79万2800頭の豚が死んだ。養豚場や豚肉の加工工場は壊滅的な打撃を受け、豚肉の出荷は事実上ストップしているとみられる。



米大統領「任期中、目指す」・パレスチナ国家定義付け
 【シャルムエルシェイク=安部健太郎】中東訪問中のブッシュ米大統領は17日、エジプトの保養地シャルムエルシェイクムバラク大統領、パレスチナ自治政府アッバス議長と中東和平交渉の打開策などについて個別に会談した。ブッシュ大統領は記者団に「(来年1月までの)任期中にパレスチナ国家の定義づけができると信じている」と述べた。
 ただ、ブッシュ大統領が15日のイスラエル国会での演説で同盟関係の深さを強調したため、アラブ諸国では「演説は和平交渉の公正な仲裁者としての米国の役割への信任に多くの疑問を投げかけた」(エジプトの政府系新聞アルアハラム)などと批判する声が高まっている。
 サウジアラビアが日量30万バレルの原油増産を決めたことについてブッシュ大統領は記者団に「米国の問題を解決はしない」と述べ、不十分との認識を示した。



米銀の資金繰り緊張続く・FRBへ依存が拡大
 米国の民間銀行の資金繰りを巡る緊張が続いている。銀行による公定歩合借り入れが増加し過去最大となるなど米連邦準備理事会(FRB)への依存が拡大。銀行間取引金利の高止まりも続いている。年初来の中小銀行の破綻が3件に上るなど銀行経営の行き詰まりも表面化してきた。株式相場が堅調さを取り戻し米市場では先行き悲観論がひとまず後退しているが、住宅価格下落など金融環境は依然厳しい。
 ニューヨーク連銀によると、資金繰りに困った銀行がFRBから緊急で借り入れる公定歩合制度を使った融資残高は14日までの1週間の平均残高で、144億1600万ドル(約1兆5000億円)。2001年9月の同時テロ直後の117億4200万ドルを上回り、過去最高を更新した。


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