(つд⊂)ゴシゴシ新聞

日本の特許黒字、世界2位・06年、過去最大の5358億円
 日本の「特許収支」の黒字が2006年暦年で過去最大の約46億ドル(当時の為替相場で約5358億円)となり、米国に次ぐ世界2位の黒字国に浮上した。06年度の黒字も最大の約6128億円で、日本が特許を活用して海外からおカネを集める時代に入ったといえそうだ。ただ日本企業が海外子会社から受け取る特許料が増えており、知的財産で国際的に稼ぐまでには至っていない。
 特許や商標、著作を含む知的財産の使用料について、海外から受け取った額と海外に支払った額の差を計算したのが特許収支。国際収支統計の項目のひとつで、企業が保有している技術の国際競争力を示す指標として使われることが多い。



後期高齢者医療の保険料、与党が免除延長を検討
 75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度長寿医療制度)で与党は、今年9月末までとなっている一部の高齢者の保険料の免除措置を10月以降も延長する検討に入った。今年度いっぱいもしくは来年度中まで延長する案が出ている。ただ、延長に伴う財源も必要で、社会保障費の伸びを抑制する政府目標との調整も課題になりそうだ。
 後期高齢者医療制度の導入前の今年3月末まで、会社員の子供に扶養されていた200万人が対象。こうした人は今年9月までは本来払うべき保険料が免除されている。与党はこの免除措置を10月以降も延長する方向で検討を進める。



日立ディスプレイズ、中小型液晶を増産・月10万枚に
 日立ディスプレイズ(日立DP、東京・千代田)は中小型液晶パネルを増産する。81億円投資して2009年に生産能力を基板ガラス換算で1万枚引き上げ月間10万枚にする。独自の広視野角で輝度の高いパネルの需要が増えており、追加投資で対応する。
 増産するのは斜めから見ても画像が鮮明に見える独自の「IPS液晶パネル」。高精細な画像が要求される動画対応の携帯電話や、野外でも輝度が高く見やすいことからデジタル一眼レフカメラへの搭載が急増している。



トヨタイスラム債発行・マレーシアで320億円枠設定
 トヨタ自動車はマレーシアでイスラム債(スクーク)を発行する。全額出資の金融統括会社を通じて10億リンギ(約320億円)の発行枠を設定し、月内にも発行を始める。調達した資金はイスラム方式の自動車リースやローン向けに使う。同国で自動車人口の増加とともに資金需要が高まっており、調達手法の幅を広げる。
 スクークはイスラム法が禁止する利子の受け払いを排除し、購入する投資家が投資収益の形で運用益を得る金融商品。日本企業ではイオンクレジットサービスがすでに発行しており、トヨタが続くことで活用の動きが広がりそうだ。



ILO事務局長、「環境保護は雇用を創出」
 G8労働相会合に出席するため来日中のソマビアILO事務局長は11日、日本経済新聞記者と会い「環境保護は経済成長と二律背反ではなく、雇用創出にもつながる」と述べた。環境より成長を優先したい途上国の反発をけん制し「地球温暖化対策の枠組み交渉の解決の糸口にもなりうる」と語った。
 同局長は太陽光発電環境負荷の少ないビルの建設などによる雇用創出を推進することで「反対運動が先鋭化する事態を防げる」と指摘。日本政府に対しては「環境分野で培った高い技術や経験をいかし、雇用創出効果が高い援助政策を立ててほしい」と述べた。



日本オラクルシティバンクと資金管理で提携
 日本オラクル(東京・千代田)とシティバンク銀行は業務提携し、日本のグローバル企業向けに、海外拠点も含めたグループ全体の資金管理業務を本社で集中管理する「キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)」サービスを共同で提供する。
 オラクルが構築するCMSと、シティバンク保有する決済ネットワークを連携させ、国内外の拠点ごとの資金調達や決済業務など財務の一元管理を可能にする。



中国、大型旅客機生産へ新会社・米欧を追撃
 【上海=渡辺園子】中国初の国産大型旅客機の開発・生産を担う新会社「中国商用飛機」が11日、上海市で設立された。米ボーイングと欧州エアバスが市場を二分する座席数150席以上の市場への参入を目指す。生産開始の具体的計画は未公表だが、2020年ごろとみられている。
 11日、上海市内で設立記念式典を開いた。資本金は190億元(約2800億円)。中央政府が60億元を出資して筆頭株主となり、上海市政府系の投資会社、国盛集団も50億元を出資した。産業界からは国有航空機メーカー2社、中国アルミ、宝鋼集団、中国中化集団(シノケム)の素材大手3社が出資した。
 中国では国産技術で開発した中小型ジェット機「ARJ21」の第1号機が完成。今秋の初飛行、09年の納入開始を目指している。新華社電によればARJ21も新会社の管理下に入る。



香港が独禁法導入へ、大手財閥による寡占進む
 【香港=吉田渉】香港政府は、日本の独占禁止法にあたる「競争法」を導入する方針を固めた。市場シェアが大きい企業による価格操作などを禁じる内容。香港は「自由経済」を旗印に、政府が市場に介入しない原則を貫いてきた。だが多くの産業で大手財閥による寡占が進み、不透明な小売価格の設定への不満が高まっているため、市場不介入の方針を転換する。
 香港政府は競争法の素案を市民に公開、年内にも立法会(議会)で審議を始める。価格カルテルや入札時の談合など4つの「反競争行為」を規定、最高で1000万香港ドル(約1億3500万円)の罰金を科す。



市場の混乱、原爆投下に例える・ブラックストーンCEO
 【ニューヨーク=松浦肇】米大手投資会社ブラックストーン・グループのシュワルツマン最高経営責任者(CEO)が、サブプライムローン問題に伴う市場の混乱を説明するために、長崎への原爆投下を引き合いに出し、米国内で「軽率な引用だった」と批判を浴びている。
 同氏はフロリダ州での投資家向け会合で、信用収縮が深刻な時に住宅ローン会社を買収するリスクを紹介し「(買い手は)長崎で原爆が爆発した時にめんを売っている人間に等しい」と解説。「めんどころか人間も残らなかった」と述べた。



ミャンマー国民投票、不正横行か・被災者150万人、病気の恐れ
 【バンコク三河正久】サイクロン被害が広がるミャンマーで10日に実施した新憲法案を巡る国民投票に関し、不正行為が横行していた疑いが浮上している。タイやインドに拠点を置く亡命ミャンマー人メディアなどが11日、賛成を事実上強要する行為があったとする有権者の声を伝えた。一方、現地で活動する非政府組織(NGO)オックスファムは11日、「150万人の被災者が病気にかかる恐れがある」と警告した。
 ミャンマー北部にある第2の都市マンダレー有権者によると、投票日の2日前に識別番号付きの「投票引換券」が配られた。反対票を投じた場合、投票者が特定される仕組みだったという。
 バンコクを拠点に亡命ミャンマー人編集者が発行する月刊誌「イラワディ」も、賛成の印が付いた投票用紙を配られたり、職員が未投票の有権者を強引に投票させたりした例を報告した。



政府目標年2200億円、社会保障費抑制で火花
 2009年度予算での社会保障費の抑制をめぐる政府・与党の攻防が激しさを増してきた。厚生労働省は「削減策は限界にきている」として年間2200億円ずつ抑制する政府目標の見直しを要望、与党内にも同調論がある。財務省内閣府は「歳出削減路線の転換につながる」と警戒。6月下旬の経済財政運営の基本方針(骨太方針2008)の策定に向け、前哨戦は熱を帯びそうだ。
 「これ以上削り込めといっても無理だ」。9日午前、自民党尾辻秀久参院議員会長や鈴木俊一社会保障制度調査会長ら厚生労働関係議員は幹部会合を都内で開催。社会保障費の伸びを2011年度まで年2200億円ずつ圧縮する「骨太方針2006」で定めた方針の見直しを求めていくことを確認した。



日経社説 国内消費が鈍り、海外依存強める米企業(5/12)
 米国の企業業績の低迷が続く。サブプライム問題の打撃が国内経済、特に個人消費に響いているためだ。多くの米企業は新興国を収益源として逆風を乗り切ろうとしている。
 米主要企業の約9割が1―3月期決算の発表を終えた。未発表企業の予測も加味すれば、純利益は前年同期を17%下回る。ハイテクバブル崩壊後の2001年から02年にかけての時期以来となる3四半期連続減益は確実だ。最も大きく足を引っ張ったのは巨額の損失を続けた金融機関だが、それ以上に注目すべきは消費関連企業の不振である。
 コーヒーチェーン最大手スターバックスの3割近い減益は象徴的だ。「住宅価格下落とエネルギー価格上昇で、経営環境は最悪」(同社の声明)。保有する住宅の価値が下がって購買力が鈍っているところにガソリン高が襲い、他店より割高な同社の飲料を敬遠するまで消費者心理が冷え込んだ構図が浮かび上がる。
 ダウ工業株30種平均は3月の安値からおよそ1割上昇した。株価の回復を背景に「サブプライム問題は最悪期を終えた」との声も市場関係者から出ているが、景気の先行きに楽観的になるのはまだ早い。実体経済のさまざまな面に影響が広がるのは、むしろこれからである。
 経営破綻の増加が大きな懸念材料だ。利子や元本の支払い不履行に陥った米企業の社債の額は、今年すでに昨年1年分を上回っている。カネ余りの時期に信用度が低い企業にも資金を注いできた金融機関が、自らの財務体質が弱まり、リスクにも過敏になった結果、投融資を手控えているからだ。信用度の低い企業ほど資金繰りは厳しく、経営悪化は雇用や消費をさらに圧迫する。
 一方で新興国に活路を見いだそうとする米企業の動きも目立つようになった。ゼネラル・エレクトリック(GE)は金融事業の不振が響いて減益になったが、新興国での売り上げは38%も伸びて収益全体を下支えした。GEの売上高に占める海外市場の比率は半分を超えている。米主要企業全体でも01年に約3割だった海外売上比率が06年には4割強に上昇しており、ドル安もあって今後さらに高まる見通しだ。
 日本企業も内需の停滞や米景気の減速を受けて、収益源を新興国に移しつつある。新興国市場をめぐる競争は一段と激しくなるが、日本企業は必ずしも優勢ではない。米国内で販売が低迷するゼネラル・モーターズ(GM)は新興国ではトヨタ自動車を一歩リードしている。日本企業も新興国戦略を再点検する時だ。


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