(゜д゜)ポカーン新聞

MS、ヤフー買収断念 両社“いばらの道” グーグルの背中遠のく
 1990年代半ばからのインターネット普及に合わせて急成長し、自由で開放的なネット文化を体現したネットの“申し子”ヤフー。そんな同社が、IT(情報技術)業界の巨人、マイクロソフト(MS)の買収攻勢をかわし独立を死守したことを、好意的に受け止めるネットユーザーもいる。ただ両社とも、ネット事業の中心となった検索サービスでは首位のグーグルに水を開けられており、MSの買収撤回はヤフーにとっても“いばらの道”が続くことを意味する。
 ヤフーと、MSのネット事業「MSN」はともに、さまざまな情報やサービスを原則無料で一元的に提供し、広告収入で稼ぐ「ポータル(玄関)サイト」のビジネスモデルが中心だ。
 これに対し、グーグルは精度の高いキーワード検索と、検索結果に関連した広告を的確に表示する機能を組み合わせて躍進。検索を最も価値が高いネット・サービスへと昇華させ、無料コンテンツ(情報の内容)を並べるポータル型ビジネス時代の終焉(しゅうえん)を告げた。
 MSによる買収提案は、検索連動広告で約6割のシェアを握るグーグルを、2位のヤフーと3位のMSが手を組んで追撃する狙いだったが、買収頓挫でグーグルの背中は遠のき、年間10億ドル(約1040億円)と試算されたコスト削減計画も水泡に帰した。
 ヤフー経営陣は今後、MSによる買収を上回る企業価値や株価の向上策を求められる。しかし買収提案直前から約5割も跳ね上がった株価は週明けの米国市場で急落する可能性が高い。低迷する業績の急速な改善も難しく、株主が経営責任を問う場面も予想される。
 一方、MSも岐路に立たされている。ネットの高速接続サービスの普及で、文書作成や表計算などのソフトウエア機能をネット経由で提供するサービスが増加。MSは主力事業のソフト販売が縮小する恐れがあり、ネット経由のサービスを拡大する必要に迫られていた。ヤフー買収には検索広告拡大に加え、ヤフーの集客力やサービス内容も取り込んでネット事業全般を強化する狙いもあったが、戦略の練り直しを迫られる。
 勢いを増すグーグルに対抗するためには、MS、ヤフーとも他社と手を組むことが近道。今後も両社を軸に、ネット関連業界では買収、提携といった再編圧力が続く。近い将来、再びMSがヤフー買収に乗り出す可能性も否定できない。



自民、外国人定住へ基本法・「移民庁」設置など検討
 自民党は外国人の定住を推し進めるための基本法制定の検討に入った。日本で一定期間働く外国人の受け入れや管理政策を担う「移民庁」を設置するほか、不当な低賃金労働などが問題となっている外国人研修・技能実習制度を抜本的に見直す。少子高齢化による人口減少の流れを踏まえ、海外からの人材確保体制を強化する。来年の次期通常国会への提出・成立を目指す。
 自民党の国会議員約80人で構成する外国人材交流推進議員連盟(会長・中川秀直元幹事長)が今月中旬に提言をまとめる。ただ、政府・与党内には治安や国内労働問題から慎重・反対論もある。



早大と北京大、共同大学院で基本合意
 【北京=伊集院敦】早稲田大と中国の北京大は、双方が教員や施設を出し合う「共同大学院」を開設することで基本合意した。両国で教育研究のニーズが高まっている環境分野の専攻から始める方針で、早ければ来年中にも開設したい考え。6日からの胡錦濤・中国国家主席の訪日に合わせ、早大の白井克彦総長と北京大の許智宏校長(学長)が東京都内で合意文書に調印し、正式発表する。
 関係筋によると、両大学は相手国の学生を相互に受け入れ、両国での授業や論文執筆を通じて学位を授与する方式を検討。具体的なコース設計や学位授与方式は両国での制度整備の動きなどをにらみながら詰める。最初につくる環境分野のコースは省エネ技術、経済、法律など広範な関連プログラムを用意し、学際的な内容にする考えだ。



日本で大ヒットの「モンハン」、なぜ海外で売れないのか(Column)
 カプコンは4月24日、「プレイステーション・ポータブル(PSP)」向けのゲーム「モンスターハンターポータブル2nd G(MHP2G)」の出荷が3月27日の発売から約1カ月で200万本を突破したことを明らかにした。この数字は日本のゲーム産業において大きなインパクトを持っているが、海外に視点を移すとまったく別の風景が見えてくる。
 日本では社会現象にまでなっているMHP2Gだが、海外においては過去に「モンスターハンター」シリーズがヒットしたことはない。07年8月に北米で「モンスターハンターポータブル2nd(MHP2)」の海外版「Monster Hunter Freedom 2」が発売されたが、20万本前後しか売れていない。
■海外市場に強いカプコンだが
 そもそも海外ではゲームとしての評価自体が日本ほど高くない。海外の様々なメディアの情報を集積して平均点を割り出しているメタスコア(metacritic.com)では38媒体の平均点で72点となっており、PSP全体のタイトルの中でも140位前後とお世辞にも高い得点とは言えない。PSPで最も高い評価なのが、3月に発売された「ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲」(SCEA、日本での販売はカプコン)で、70媒体の平均で91点を獲得している。
 カプコンは日本のゲームソフト会社のなかでは、北米への戦略展開に最も成功している企業である。欧米を意識して開発された「デッドライジング」や「ロストプラネット」は販売が100万本を超え、「デビルメイクライ4」も初回出荷が日本を含むアジア地域で40万本、アメリカが70万本、欧州が74万本と欧米の方が日本よりもはるかに好調だ。すでにカプコン全体の売り上げの中心は、海外市場にシフトしつつある。
 その企業にして、日本でこれほどヒットするモンスターハンターの販売に苦戦しているのである。その理由がどうにもはっきりしない。ただ、以下の2つが大きなポイントなのではないかと私自身は考えている。
・おもしろさの深みがわかるまでに時間がかかりすぎる
・中高生が支える日本のような市場が形成されていない
■「人を選ぶ」ゲーム文法
 北米でのMHP2に対する評価は、2派に分かれている。有力なゲームメディアGamespotのレビューが最低点ともいうべき50点を付けており、驚くほど厳しい。一方で、他の有力サイトである1UPは85点、IGNは83点を付けている。全体的には70点から80点台に集まっているが、日本との温度差をはっきりと感じることができる。
 北米のゲームサイトはユーザーもレビューを投稿できるようになっていて、生の声を知ることができる。ユーザーの意見は好意的なことが多く、「100時間以上を費やした」「中毒になる」といった書き込みがある一方で、「友人に見せたが、なかなか関心を持ってもらえなかった」や「ゲーマーを選ぶ」という評価もあり、北米で多くのプレーヤーにアピールするのは難しいようだ。どうも問題となっているのは、ゲームの魅力がすぐに伝わらないということにあるようだ。
 MHP2はキャラクターの設定やゲームのやり方を理解してもらうための「チュートリアル」が丁寧だが長い。大きなモンスターの「狩り」が本格的に始まるまでに数時間かかってしまう。いったんシステムを把握し、その深さが見えてくると、膨大な時間を費やすに足る魅力あるゲームだと感じられるようになってくるが、そこにたどり着くまでに人を選んでしまう部分があるのは確かだ。
 今の北米のゲームは、プレー時の最初のつかみが重要視される傾向にある。「ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲」では、ゲームスタート直後に敵が攻め込んできて街がすでに火の海になっているところから始まる。言うなれば、クライマックスがいきなりくる。そして、プレーを開始するとすぐに、巨大なボス敵と対面するといった演出面の工夫が行われている。これは欧米で全体的に評価が高い最近のゲームに共通してみられるトレンドだ。
 逆に日本の伝統的なロールプレイングゲーム(RPG)のシステムは、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」シリーズのように、ゲームの展開が特に序盤ではゆっくりな特徴がある。モンスターハンターにも同様の傾向があり、極めて日本的なスタイルのゲーム文法に立脚して作られているといえる。
 日本人にとっては慣れ親しんだゲームのパターンだが、北米で人気を集めるタイトルの最近のトレンドとずれているのではないかと思う。そのため「人を選ぶ」という評価がなされているのだろう。
■中高生が支えるPSPへの独自ニーズ
 もう一つは、欧米のPSPの市場において、据え置き型ゲーム機と切り離された独自の市場が形成されていないことがあるだろう。日本でのMHP2の大ヒットは、中学・高校生を中心に引き起こされており、独自の内容の濃いゲームが求められる傾向があることがわかっている。
 しかし、北米にはPSPに対してそうした強い独自ニーズはない。欧米企業はマルチプラットホーム戦略を展開しているが、「プレイステーション3(PS3)」と「Xbox360」といった高性能なゲーム機だけでなく、「Wii」、PSP、「ニンテンドーDS」とすべてに展開するのが基本だ。
 その場合、高性能なハード以外のゲームは性能を制限したスペックダウン版として展開されることが多い。特にPSPでは完全なオリジナルゲームは少なく、どちらかというと高性能なゲーム機でのプレーの印象を、携帯ゲーム機でも再現できるように努力したものになる。単なる完成度の低いゲームとしてリリースされることも少なくない。
 また、MHP2の魅力は、友達と顔を合わせて無線LANを使ったネットワークで共同プレーができるところにある。それが日本で新しいおもしろさを生み出した面がある。
 しかし、北米では「LanParty」と呼ばれるが、パソコンを空きビルなどに持ち寄って顔をつきあわせながらネットワーク対戦を行う文化が90年代からすでにできあがっている。PSPだけに絞ったLanPartyはそれほど活発ではない。友達とのネットワーク対戦という遊び方が特別なものではないため、日本のように強い訴求力になっていないと思われる。
■市場のズレをどう乗り越えるのか
 ただ日本製のPSPのゲームは、PS2からの単なる移植や上位機種のスペックダウン版でないオリジナルゲームが展開されることが多いため、北米での評価は全体としては高い。
 「鉄拳 TEKKEN DARK RESURRECTION」(バンダイナムコ)、「クライシスコア -ファイナルファンタジーVII」(スクウェア・エニックス)、「メタルギアソリッドポータブルOPS」(コナミ)に代表されるブランドタイトルだけでなく、「ルミネス」(バンダイナムコ)、「パタポン」(SCE)、「LocoRoco」(SCE)といった完全なPSP専用のオリジナルタイトルも高く評価されている。
 今年、ゲームソフト会社の多くがPSPに力を注いでくることは間違いないだろう。ハードの普及も進み、日本国内だけで収益を上げられる可能性が高いためだ。
 しかし、海外市場で販売量を確保する重要性は変わらない。PSPの日本と海外の違いを踏まえたうえで、それを乗り越えるヒット作を生み出すことが重要な課題になるだろう。
 MHP2Gの海外展開のスケジュールはまだ発表されていないが、カプコンが欧米でどのように展開していくのかは、注目に値する。それが、今後Wii版の「モンスターハンター3」や、パソコン用の「モンスターハンターフロンティアオンライン」を海外で成功させるための鍵ともなる。


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