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携帯の新ガリバー・チャイナモバイルの世界戦略 <Column>
 ソフトバンクと英ボーダフォン、チャイナモバイル(中国移動)の3社は4月24日、携帯向けソフト開発の合弁会社を共同で設立すると発表した。この顔ぶれで注目したいのは、もちろんチャイナモバイル。いまやユーザー数、時価総額ともボーダフォンを超える世界最大手となり、携帯ソフト開発を巡るパワーゲームでも先進国のキャリアが無視できない存在となったことを示すからだ。
■中国・世界で最大手
 中国の通信キャリアはこのほど相次いで2008年第1四半期の決算を発表した。チャイナモバイルは売上高が930.24億元(約1兆3950円)、純利益が241.02億元(3615億円)で、前年同期比でそれぞれ19.7%、37.2%伸び、ライバルを圧倒している。市場シェアは7割で、累計ユーザー数は4億に迫る勢い。同期の新規ユーザー契約純増数も2280万人と、移動通信2番手のチャイナユニコムの450万人を大きく引き離している。
 時価総額においてはさらにその強さが際立っている。直近の株価で見たチャイナモバイルの時価総額は36兆3875億円であり、チャイナユニコムの3兆145億円、固定通信最大手のチャイナテレコムの9655億円と比べるまでもなく、固定通信も含めた中国4大キャリアの中で一人勝ちの状況が続いている。
 海外企業との比較でも、チャイナモバイルの時価総額ボーダフォン(17兆円)の2倍強、NTTドコモ(6兆7700億円)の6倍弱もあるのだ。中国携帯電話の普及率はいまだ5割を切っており、市場の成長余地は大きい。国内市場で圧倒的な強さを誇っているチャイナモバイルの株価にも成長への期待が反映されている。そしてそのずば抜けた時価総額を活用し、海外でのM&A(合併・買収)を積極的に展開しており、ビジネス構造がさらに強固になる好循環を生み出しているのだ。
■新卒のあこがれの的
 その人気は昔から中国人学生のあこがれであった欧米の外資系企業以上だ。いまの中国の新卒にとって、チャイナモバイルに就職するのは至難の業だといわれるほどだ。
 幹部候補生の新卒募集は北京大学清華大学といったエリート校、そして通信の主管官庁である信息産業部系の北京、南京の郵電大学など最高峰の5―6校にほぼ絞られている。しかも修士が最低要件とも言われている。多くの部門で英語力のハードルも高く、中国の英語検定6級(日本の英検準1級か1級に相当する最高レベル)が求められている。まさにエリート中のエリートしか入れない狭き門だ。
 卒業生を引き付ける最大の魅力は、ダントツの給与水準にある。正確な数字は公表されていないが、一般的にチャイナモバイルの給料はほかの「央企」の4―5倍と言われている。一般的な「央企」の給料はほかの企業の4―5倍という構図になっているので、その突出ぶりがうかがえる。
 あるとき、チャイナモバイル社の給与明細リストというものがネット上に流れ、本物かウソかと大きな反響を呼んだことがある。一般的な中国人からみれば、それほどかけ離れた数字だったからだ。
 3Gの解禁を間近に控え、チャイナモバイルの新卒採用はこれまでの年2000人から、07年度は一気に5000人に増えた。早い時期から名門校の人材の青田買いを進めており、その規模の大きさから早くも人材市場のかく乱要素とされている。
■海外進出は新興国市場にとどまらず
 チャイナモバイルは国内市場に飽き足らず、早い時期から海外進出を企んでいた。2006年にはルクセンブルクを本拠とする多国籍通信キャリアのミリコム・インターナショナル・セルラーの買収をしかけ、成立直前で敗れたが、その後もその主要ターゲットである新興国市場の企業買収を狙い続けてきた。
 そして2007年2月にパキスタンの中堅キャリアであるパクテルを買収し、初めて本格的な海外進出を果たした。今年度も同社に8億ドルを追加投資し、ネットワークの拡張を急いでいる。
 累計ユーザー数は同国最大手のモビリンクに大きく水をあけられているが、今年1―2月の純増数は214万人でパキスタン市場全体の半分以上を占め、モビリンクの同135万人を大きく上回るなど、投資効果が少しずつ表れている。4月にはチャイナモバイル初の海外サービスブランドである「Zong」を発表し、今後パキスタン以外の地域展開にも統一ブランドとして打ち出していくと見られている。
 昨年から米国を震源地としたサブプライム問題により世界の株式市場が下落し続けるなか、チャイナモバイルにとっては重点投資地域のアジアや中南米、アフリカなどで企業買収を進める格好の機会となっている。新興国市場を足がかりに、欧米などの先進国市場でもボーダフォンなど大手キャリアと提携しながら徐々に浸透を狙っている。チャイナモバイルの海外進出はもはや欧米や日本市場にとっても他人事ではない。
■3G解禁・業界再編をどう迎えるか
 いまのところ盤石に見えるチャイナモバイルの快進撃だが、近い将来に不安定要素が全くないわけでもない。それは3Gの解禁や、その前に行われると見られている通信キャリア業界の再編だ。
 中国では移動と固定通信キャリアの業界再編が何年も前から噂されているが、いよいよ現実味を帯びてきた。多くの見方としては移動通信2番手のチャイナユニコムが持つCDMAとGSMのネットワークをそれぞれ固定通信最大手のチャイナテレコムと固定通信2番手のチャイナネットコムと合併。3Gの解禁に伴いそれぞれCDMA2000とWCDMAを担うことになるのではと言われている。
 そして、チャイナモバイルは今のところ中国独自規格であるTD−SCDMAを推進する重責を背負っている。2G時代においてライバルとなるはずのチャイナユニコムは全く相手にならなかったが、業界再編で業務の集中と選択を行い財務体質もより強固になるため、ある程度チャイナモバイルにプレシャーをかけることができるだろうと思われる。現時点ではチャイナモバイルの優位は揺がないが、競争環境が激化するのは間違いない。
 そして3G解禁後だが、これまでチャイナモバイルはTD−SCDMAを担いつつも、WCDMAにも莫大な先行投資を行ってきた。TD−SCDMA一本でいくのか、それとも2方式とも展開するのか。その方向性はいまだ見えていない。
 音声通話中心のGSMネットワークはそのまま残るはずなので、データ通信中心の3GにおいてはTD−SCDMAに集中し、さらに次の世代である3.5Gや4Gをにらんだ取り組みを推進した方が効率的だと筆者は考えるが、果たしてチャイナモバイルはどのような決断を下すのか。その決断はチャイナモバイルの今後に大きな影響を与えるだろう。
 世界のメジャー企業と堂々と渡り合うまでに成長してきたチャイナモバイルだが、3Gが始まるこれからの数年間はその成長の山場となる。そしてその経営判断は、世界中の通信関連企業にも大きく影響を与えるだろう。



ベスト電器ビックカメラとの関係強化
 大手家電量販店のベスト電器は、昨年資本・業務提携したビックカメラとの協力を拡大する。主にOA関連の消耗品で行っている商品の共同開発を家電製品まで本格的に広げるほか、店舗運営の委託も増やす方針。5年後の2013年2月期までに、共同商品の販売額で250億円を目指す。低迷する業績の回復のため、ビックとの関係強化を進める。
 ベストの浜田孝社長が2日、明らかにした。08年2月期末時点でビックとの共同開発商品は数十品目で、ファクス用紙やインクなどが中心。これに扇風機などの季節家電、空気清浄機や調理家電を加えて100品目以上に増やす。



住宅大手、生産体制を再編
 住宅大手が、鋼材などの資材高騰を受け生産体制を再編する。大和ハウス工業は今年半ばまでに札幌工場(北海道恵庭市)を閉鎖して物流拠点に転換、積水ハウスは工場ごとに生産部材の集約を進める。両社とも国内市場の縮小や資材高で住宅事業の利益率が下がる傾向にある。国内工場の役割分担を見直し、コスト競争力を上げる。
 大和ハウスの札幌工場(敷地面積約15万平方メートル)は店舗など事業用の建築物の部材を生産している。工場閉鎖後は鉄骨加工など一部工程について現地協力会社への生産委託を続けるが、北海道向け部材供給は基本的に東北工場(宮城県大崎市)に移管する。



損保の外国人持ち株比率、上昇続く・3月末平均35%
 大手損害保険会社で外国人持ち株比率の上昇が続いている。3月末の同比率はミレアホールディングスなど大手6社で平均35.0%と1年前より2.1ポイント上昇した。日本株全体では外国人投資家の売りが目立っていたが、損保株には割安さに着目した投資ファンドなどの買いが入ったとみられる。
 6社のうち損害保険ジャパンを除く5社で1年前より上昇した。最も高いのは三井住友海上グループホールディングスの47.3%。昨年9月末より6.5ポイント高い。筆頭株主の米投資ファンド、ブランデス・インベストメントなどが買い増した。保有する約1億株の自己株を消却したことも比率を押し上げた。



消費電力100分の1 NTTが光メモリー新技術
 NTTは、光ファイバーで送られてきた情報を、電気信号に変換せずにそのまま処理できる「光メモリー」の基礎技術開発に成功した。光を閉じこめることで情報を記憶できる「フォトニック結晶」と呼ばれる特殊な素材を用い、記憶時間を従来の60倍に伸ばすことで、光信号の直接処理を可能にした。通信の大幅な高速化と、消費電力の抑制が期待できる。4日から米サンノゼで開催される電気光学の国際会議で発表する。
 フォトニック結晶は光を通さない機能を持ち、数マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルの微小な空間に光を閉じこめることができる。ただ、これまでは光を2・5ナノ(1ナノは10億分の1)秒と極めて短い時間しか保持できず、メモリーの役割を果たせなかった。
 NTTが今回開発した技術では、インジウムガリウムヒ素などの化合物を用いて、光を最長150ナノ秒まで結晶内に保持することが可能になった。この素材を用いた光メモリーを、通信ネットワーク上で情報を分配するルーターなどの機器に利用すれば、通信速度をこれまでの限界を超えて高速化できる。また消費電力は、従来の光メモリーと比べ100分の1程度で済むという。
 NTTは実用化に向けて、情報を保持できる時間をさらに延ばせるように、結晶の材料や構造の研究を進める計画だ。
 インターネット上で動画や高精細画像などの大容量コンテンツ(情報の内容)の配信・閲覧が世界的に拡大する一方、通信ネットワークへの負荷は急激に増大し、通信に遅延が発生するなどの問題も起きるようになった。光メモリーを活用したネットワークを構築すれば、通信の高速・大容量化と消費電力の抑制を同時に達成できるため、問題への有力な解決策につながると期待されている。


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