(〇゜Д゜〇)新聞

次世代携帯電話、通信方式統一で端末に互換性へ
 2010年ごろにスタートする次世代携帯電話サービスでは、利用者が一つの端末で好きな携帯電話会社を選べるようになりそうだ。
 総務省が通信方式(規格)が同じ端末に互換性を持たせる方針であることを踏まえ、KDDI(au)が次世代サービスから独自の通信方式を改め、NTTドコモなどが採用する方式に合流する方向となったためだ。利用者は端末に無関係に通話料金が格安なプランなどを選べるようになり、料金引き下げ競争が活発になることも予想される。
 すでに、携帯電話会社間での電話番号の持ち運びはできる。同じ端末から携帯電話会社の選択も可能になることで、携帯電話サービスの自由化は最終局面を迎える。
 現在、携帯電話会社は電機メーカーに自社向けの携帯端末を作らせ、電話番号を特定するICカード(SIMカード)を他社端末では使えないよう制限している。このため、携帯電話会社をまたいで同じ端末を使えず、利用者は端末で携帯電話会社に囲い込まれる形になっている。
 ただ、今でもNTTドコモとソフトバンクモバイルは同じ通信方式(W−CDMA)を利用しており、次世代では光ファイバー回線並みの高速通信が可能な「LTE」方式にそろって移行することを決めている。
 また、独自の通信方式(CDMA2000)を採用しているKDDIも、今後、国際標準となる可能性が強いとみてLTE方式を採用する方向で最終調整中だ。第4の携帯会社であるイー・モバイルもLTEを採用する方針だ。
 一方で、総務省は、利用者に対するサービス向上の観点から、次世代サービスに対応した端末から、ICカードの他社利用制限を原則禁止する方針を固めている。このため、利用者は気に入った端末とサービスの組み合わせを自由に選べるようになる。携帯電話会社はより格安な料金プランなどを用意して顧客をつなぎ留める必要が出てくる。



液晶主要素材、各社合計で投資3000億円超・09年度まで
 国内素材各社が液晶テレビに使うデジタル素材を一斉に増産する。大日本印刷は230億円を投じてカラー表示用フィルターの新ラインを来月稼働、日本電気硝子もガラス基板増産に総額500億円を投じる。各社の2008―09年度の設備投資は主要素材だけで合計3000億円を超える見込み。液晶テレビの世界出荷は09年にも1億台を上回り、現在年3兆円超の素材需要も大幅に拡大する見通し。液晶用素材で世界シェア6―7割を握る日本勢の商機が大きく広がる。
 液晶テレビ需要の急拡大に合わせ、テレビ用パネルに素材を供給する企業が能力増強に動いている。国内十数社の主な液晶素材の投資計画(08―09年度稼働分)の合計は3000億円超。米調査会社ディスプレイサーチによると、07年に7000万台を超えた世界の液晶テレビ市場は11年に1億4000万台強、金額で約10兆円と予測される。液晶素材も現時点の3兆数千億円が11年には5兆円を超え、国内設備投資のすそ野が広がりそうだ。



NEC、PCサーバーの国内出荷台数が100万台突破
 NECは28日、同社のパソコン(PC)サーバーの国内出荷台数が累計100万台に達したと発表した。国内市場で100万台の大台に乗ったメーカーは初めて。分散するサーバーを集約管理できるブレード(刀身)型や静音機種など、特徴ある製品群を積極投入したことが奏功した。
 PCサーバー「エクスプレス5800シリーズ」で達成した。1994年の発売以降、内部部品を二重化した無停止型サーバーや、半導体の発熱を水冷装置で冷やす静音型サーバーなど幅広い製品群をそろえてきた。



ディズニーサイト、ヤフーとタッグ・ネットゲームや広告で
 ヤフーとウォルト・ディズニー・ジャパン(東京・目黒)はインターネットサービスでの協力関係を強化する。提携範囲をこれまでの携帯電話向けからパソコン向けに拡大。まずはゲーム関連のウェブサイトを共同で立ち上げ、ネット広告事業も展開する。ヤフーの集客力とディズニーのブランド力を持ち寄ることで、ネット事業の収益性を高める。
 第1弾として、4月1日にゲームを集めたサイトを共同で立ち上げる。ディズニーがコンテンツを担当。初心者でも気軽に遊べるパズルやアクションゲームなどを中心にラインアップをそろえる。ヤフーのポータル(玄関)サイトにもゲームを提供する。



システム開発支援ソフト、国内市場990億円に
 IT(情報技術)調査会社のミック経済研究所(東京・港)がまとめた情報システム開発支援ソフトの国内市場予測によると、2011年度の市場規模は06年度比98%増の990億円になる見通しだ。システム費用の計上方法が厳しくなるため、開発工程を厳格に管理できるソフトが特に伸びるとみている。
 07年度の市場規模は、前年度比17%増の586億円を見込んでいる。
 システム開発支援ソフトのうち工程管理用ソフトの市場は、11年度に157億円と、06年度の3倍に膨らむ見通しだ。



首相、態度一変・メディア通じ国民に積極アピール
 派手なパフォーマンスを見せてこなかった福田康夫首相が国民への積極アピールを続けている。民主党との対話が進まない中で支持率は低迷しており、メディアを通じて自らの主張を直接訴える狙いとみられる。
 道路特定財源の全額一般財源化を表明した27日の緊急記者会見を皮切りに、29日は日本経済新聞社などと会見。30日はテレビに生出演し、31日も暫定税率の期限切れを踏まえて記者会見を開く予定だ。
 30日のNHK番組では、民主党との大連立構想について「小沢一郎代表もこういう事態を察知され『連立を考えよう』と提案された」と説明。最近の対応に関しては「玄関どころじゃなくて門前払いという現状ですかね」と不満を漏らした。



中国外務省、EUのチベット問題協議に「強い不満」
 【北京=尾崎実】中国外務省の姜瑜副報道局長は30日、欧州連合(EU)が非公式外相会合で、チベット自治区ラサの騒乱を協議したことについて「完全な国内問題であり、強い不満を表明する」との見解を示した。
 EUは外相会合の論議を踏まえ、チベット問題の当事者に強硬策の自制と対話の促進を求める文書を発表した。
 姜副報道局長は「いかなる国や国際機関にも、(チベット問題に)干渉する権利はない」と強調。「暴力犯罪とその実行者を明確に非難してほしい」と述べ、EU各国に対し、中国政府による騒乱鎮圧への理解を改めて求めた。



中国、チベット自治区民族委主任を解任
 【北京=尾崎実】中国チベット自治区の人民代表大会常務委員会は29日、同自治区民族宗教事務委員会のダンゾン・ランジェ主任を解任した。地元の中国共産党機関紙、チベット日報が30日伝えた。解任の理由は不明だが、同自治区ラサで起きた大規模騒乱による引責の可能性がある。
 国営の新華社は30日、中国四川省アバチベット族羌(チャン)族自治州アバ県の治安当局が、同県のチベット仏教寺院で銃30丁や498発の銃弾、4キロの爆発物などを押収したと伝えた。



東西欧州24カ国、国境審査を完全撤廃
 人とモノの自由な移動を認める欧州のシェンゲン協定加盟24カ国は30日、相互の国境審査を完全撤廃した。ポーランドなど中・東欧9カ国が昨年12月に陸路での国境審査を廃したのに続き、今回、空路の審査もなくした。東西欧州を隔てた「鉄のカーテン」は消滅し、自由な往来拡大による経済効果が見込まれる。
 スロバキアのフィツォ首相は首都ブラチスラバ空港での式典で「シェンゲン協定は欧州市民の暮らしを向上させる典型例だ」と指摘。各国との連携で不法入国や密輸対策の手を緩めない考えも強調し、国境審査廃止が犯罪増につながるとの懸念の打ち消しに努めた。
 30日で国境審査を完全撤廃したのは、ポーランドチェコスロバキアハンガリースロベニアエストニアラトビアリトアニア、マルタ。国際空港に専用のターミナルやゲートを設け、国境審査が必要な路線の乗客が紛れ込めないようにする。



日経社説 株価下落が突きつける日本企業の課題(3/31)
 株式相場の低迷が続くなか、多くの日本企業が2007年度末を迎える。米景気後退懸念が大きな株安要因であるが、そこには日本企業が成長していくための課題も潜んでいる。株安というシグナルが持つ意味を、経営者は考えてほしい。
 150兆円。先週末までの1年間に失われた、東京証券取引所第1部に上場する株式の時価総額だ。日経平均株価が25%下落し、カナダの実質国内総生産(GDP)に匹敵する価値が消えた。サブプライムローン問題の震源地である米国の株価が1年前の水準にとどまっているのと比べ、日本の不振ぶりが目立つ。
 株安が映すのは企業業績の悪化懸念だろう。上場企業の増益は08年3月期までの6期連続で終わる。株式市場では、そんな見方が増えている。今月、米メリルリンチが世界の機関投資家に実施した意識調査では、日本企業の業績見通しは世界の主要地域で最も厳しい。
 円高の進行や原油高などの外部要因が収益を圧迫しているのは事実だ。しかし投資家が不安を抱く本当の理由は、内需が不振な分、米国に頼りすぎていた収益の構造にあるのではないか。そうした外頼みの体質を米景気の悪化が襲ったといえる。
 そこから経営課題も浮かび上がる。比較的高い成長力を維持している新興国への収益源の分散である。早くから中東やロシアに布石を打ったコマツが、米国での逆風を新興国での伸びで吸収し、来期も最高益を更新する見通しなのは象徴的だ。
 厳しい環境が続く国内では、攻めの戦略に向けた経営資源を確保する必要がある。業務の効率化による収益力のテコ入れが欠かせない。本業ではない子会社を多く抱える電機業界、少子化で長期的な需要の減退に直面する小売りや食品業界にとって事業再編の重みは増す一方だ。
 株安は企業の規律の緩みを直撃した。敵対的な買収を避けるために復活していた株の持ち合いである。野村証券金融経済研究所によると、主要企業は05年度後半以降に4兆円の株を取得したが、1兆円の含み損が生じている。持ち合いをした企業の多くは、株の保有を通じた事業提携で収益にもプラスと株主に説明していた。目算は狂いつつある。今年の株主総会では、持ち合いの是非が焦点の一つになるだろう。
 株式市場や業績の明るい見通しが続いた経営者が、逆風のなかで新年度を迎えるのは久しぶりである。経営環境は一変した。そのぐらいの危機意識を持たないと、グローバル競争で勝ち残ることはできない。