(つд⊂)ゴシゴシ新聞

イー・モバイルが音声サービス開始「3大キャリアの古い慣習を打ち破る」と千本会長
 イー・モバイルは、3月28日から音声サービスの提供を開始した。これに伴って、本社で報道関係者向けにイベントが行なわれ、イー・モバイル代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏より挨拶があった。量販店などの店頭では販売が開始されている。
 挨拶を行なった千本氏は、「いよいよ、イーモバイルは本日をもって、全国で新しい電話サービスを開始した。我々は実に13年ぶりの携帯市場への新規参入となる。データパケットサービスによって完全定額制を実現し、世界でも珍しいモバイルブロードバンドサービスを日本で初めて本格的に導入した。通信速度は、当初の3.6Mbpsから7.2Mbpsにスピードを上げ、世界でもトップクラスのデータパケットサービスを展開している。ユーザーの圧倒的な支持を得ており、我々が目標としてきた数値よりも多くの加入者を獲得している」と語った。
 音声サービスについてアピールする中で、千本氏は「イー・モバイルは業界で初めて毎月の電話基本料を一切無料とし、イー・モバイル同士であれば24時間無料、他社宛通話料も業界最安値と、やっと世界一級レベルのスピードと無料、料金を提供することができた。また、音声の品質は既存の携帯電話よりもはるかに優れている。期待していた以上に明瞭だ」と語っていた。たしかに電話基本料については特定の条件によって0円とすることが可能だが、データ通信料などが基本的にかかる。イー・モバイルは“データ・オリエンテッド”な携帯電話サービスを展開する方針。
 このほか、「本日をもって電話サービスを含めた総合携帯通信会社になった。一部のビジネスユーザーや若い人たちだけでなく、全ての消費者に携帯電話サービスを提供できるようになった。今後もこれまでにない画期的なサービスを、今までの業界の古い慣習を打ち破るようなサービスを、グローバルに通用するようなサービスを提供し、日本が世界No.1と誇れる携帯大国となるよう、全力で努力したい」とアピールした。
イー・モバイル爆破予告
 ところが、そんな最中、「2ちゃんねる」において、イー・モバイルに対して爆破予告する書き込みがなされた。
 イー・モバイルによれば、27日、警察より掲示板に同社に対する爆破予告の書き込みがあったことが伝えられたという。これを受けてイー・モバイル側でも事実を確認し、あらためて赤坂警察署に調査を依頼した。
 27日と28日、社内は厳重な警戒態勢が敷かれているという。実は、イベント会場をあとにする千本氏にもボディガードがつけられており、事態を重く受け止めていることがわかる。広報部では、こうした事態に「創業1年を迎えた大切な時期、にスタッフ一同非常に心外だ」とコメントしている。
 また、ウィルコムが今後展開する予定の次世代PHSについては、「スピードが上がると言われているが、果たして本当に実現するのか疑問。次世代PHSをやるとすれば、ものすごく金がかかる。推測だが、おそらく数百億円ではできないだろう。しかも次世代PHSを展開するのは世界でただ1社だ。それでは有力なメーカーが誰も開発しない、PDCの失敗と同じ」と話した。
 また、イー・モバイルが2年で3,600億円を集めたことを語りながら、ウィルコムの資金調達の難しさについて触れ、「サブプライムのせいで世界的に資金調達が厳しくなっている。我々は2年前だったため、非常にラッキーだった。正直言って今集められる自信はない。しかも株主のカーライルも痛んでいる状況だ」と述べた。
量販店は静かな出足だが、担当者はえびす顔
 28日、量販店の様子も取材した。秋葉原にある「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」では、平日の午前中ということもあってか、売り場全体の客足が鈍い印象を受けた。
 イー・モバイルの売り場担当者に話を聞くと、開店から1時間程度たったが、音声端末の契約は二ケタに届いていない状況だという。また、給料日後の金曜日ということも手伝って、会社帰りの客も多くは見込めないのではないかと話していた。売り場の忙しさが本格化するのは週末以降になりそうだ。
 こうした状況ではあるが、担当者はイー・モバイルの販売状況を好調と認識していた。理由を聞くと、サービス開始時点で約500件の予約注文を得ているためだという。予約注文の数だけ見れば、同社のデータ通信サービス開始時の4〜5倍の注文件数になると話していた。



2月の消費者物価1.0%上昇、10年ぶり伸び率・原油高など続く
 景気の不安材料が増えている。総務省が28日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は変動の激しい生鮮食品を除くベースで前年同月比1.0%上昇し、消費税引き上げの影響があった1998年3月(1.8%)以来およそ10年ぶりに1%台に乗せた。景気が踊り場にさしかかる中で、食料品などの値上がりが消費の不安材料になる。有効求人倍率など雇用を巡る指標も弱含んでおり、先行きに不透明感がにじんでいる。
 2月のCPIは100.4で、5カ月連続の前年同月比プラス。消費税率引き上げで物価が上がった時期を除くと、1994年5月以来13年9カ月ぶりの1%台だ。大田弘子経済財政担当相は同日の記者会見で「景気が踊り場にさしかかり賃金が上がらない中で、決していい物価上昇ではない」と指摘。「消費者心理への影響を懸念している」と語った。



2月の失業率0.1ポイント悪化、厚労省「雇用情勢、注視が必要」
 総務省が28日発表した2月の失業率(季節調整値)は3.9%と前月と比べ0.1ポイント悪化した。同日厚生労働省が発表した2月の有効求人倍率も前月を0.01ポイント下回る0.97倍。厚労省は雇用情勢の基調判断を6カ月連続で据え置いたものの「雇用情勢が悪くなってきており、注視が必要」とした。
 完全失業率は15歳以上の働く意思のある人のうち全く仕事をしていない人の比率を示す指標。景気の回復で昨年7月に3.6%まで低下したが、その後は3.8―4.0%の間を推移している。男女別では男性が4.0%、女性が3.8%とそれぞれ前月比0.1ポイント上昇した。



2月の訪日外国人客数、10.3%増・24カ月連続で最高更新
 独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)は28日、2月の訪日外国人客数は前年同月比10.3%増の69万7000人だったと発表した。2月としては過去最高で、月ごとの最高値更新は2006年3月以来24カ月連続。地域別でも韓国、中国、香港、タイ、シンガポール、豪州、カナダ、英国、ドイツ、フランスからの訪日客が同月として過去最高となった。
 JNTOは増加要因について、海外の景気拡大や、国土交通省が1月下旬から2月末まで展開した誘致キャンペーン「YOKOSO! JAPAN WEEKS」などが影響したと見ている。
 一方、同日発表した2月の出国日本人数は同0.7%減の136万8000人だった。20―30代の海外旅行減少に歯止めがかからず、一部地域での政情不安などが阻害要因となったもよう。



米財務次官、日本の成長力底上げに期待
 【ワシントン=米山雄介】マコーミック米財務次官(国際金融担当)は27日、ニューヨークのジャパン・ソサエティーで講演し、日本経済について「デフレが驚くほどしつこく残っている。内需、特に個人消費が弱い」と述べ、構造改革による日本の成長力底上げに強い期待を表明した。
 同次官は米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を受けた金融不安や保護主義の台頭を背景に「日米協力がこれまで以上に重要だ」と指摘。貿易自由化、エネルギー・環境問題などで「日米は潜在力を十分に発揮していない」と述べた。
 日本の経済政策では、政府系金融改革などを評価しながらも、一段の競争力強化へ「議論だけでなく、より多くの政策手段がより早く実行されなければならない」と指摘。世界経済の減速を念頭に、日本の構造改革の遅れと成長力の弱さに不満を示した。



日産、北米で減産拡大・米2工場でも検討
 【ニューヨーク=武類雅典】日産自動車は北米で減産を拡大する。米国向けの生産拠点でもあるメキシコの工場で一時休止に入ったほか、米テネシー州の工場などでも減産を検討する。ビッグスリー(米自動車大手3社)やトヨタ自動車なども生産調整を進めており、米国市場の低迷を受けた減産の動きが広がっている。
 メキシコのアグアスカリエンテス工場は米国向けの小型車「セントラ」「ヴァーサ」などを生産しているが、在庫を減らすため、18日から断続的に休止日を設けた。今月末に通常操業に戻る予定。減産幅は明らかにしていない。



米、中国との距離感に苦慮・チベット騒乱で
 【ワシントン=丸谷浩史】ブッシュ米政権が中国チベット自治区で起きた大規模騒乱への対応を巡り、中国との距離感で苦慮している。外交で最重視する「人権」にかかわるだけに米国内の関心も高まりつつあるものの、政府高官の発言は懸念表明と中国にダライ・ラマ14世との対話実現を促すにとどまる。外交で中国の協調を必要とする場面が多いうえ、景気後退の懸念も出ている経済面での結びつきが深まっていることが、慎重な発言の背景にある。
 「チベットの現状に懸念を伝えた」。大統領が中国の胡錦濤国家主席に電話したとホワイトハウスが声明を発表したのは26日。14日の騒乱発生から2週間近くもたってのことだ。



大規模水害 首都圏の対策迫る被害予測(3月28日付・読売社説)
 首都圏の河川決壊、といった大規模水害の対策は十分だろうか。
 中央防災会議の専門調査会が、政府の水害予測として初めてまとめた見積もりで、そうした不安を抱かせるデータが出てきた。現実に合わせた対策の見直しが必要だ。
 利根川が台風などで増水し、堤防が決壊したと想定した。
 決壊地点として茨城、埼玉両県などの上流から下流へ6か所を選び、それぞれについて、死者数や避難できずに取り残される人の数を算出した。排水ポンプ場などの設備や救助活動が、どれだけ機能するかも考慮に入れた。
 結果は意外だった。
 まず、死者数だ。茨城県古河市の堤防が決壊した場合、死者数は6300人にのぼる。浸水する面積は狭く、住民数も少ないはずの地域で最悪の予測が出た。一気に決壊すると、周辺が深さ5メートル以上の水につかるためだ。
 これに対し、埼玉県大利根町で決壊して浸水域が東京都内まで広がるケースでは、死者数は最大2600人だった。
 あふれた水は2日後に葛飾区まで達し、最大約160万人の居住地域が浸水する。水に2メートルもつかる場所もあるが、直ちに命を奪うほどの水位とはならない。
 ただ、死者数は限定的でも、水浸しになる家に取り残される人の多さは予想以上だった。最悪の場合、決壊2日後で110万人、4週間後でも78万人にのぼる。
 水害予測では従来、浸水域が重視されてきた。政府が市町村に作成を呼びかけている災害予測地図も、その観点で作られている。
 だが、今回の被害想定は、人的な被害規模が具体的に盛り込まれており、従来より現実味がはるかにある。これに基づいた対策の練り直しが求められる。
 専門調査会は、避難と救助体制の整備、排水施設の整備で被害は軽減できるとしている。その実現を目指した施策が大切だ。
 今回の水害予測は、2005年に巨大台風カトリーナが米南部を襲い、ニューオーリンズ市などに壊滅的被害をもたらしたことが契機だ。巨大台風や集中豪雨が地球温暖化で増えると予測されることも、対策の見直しを迫る。
 調査会は今後、大規模水害による、都心を含む首都圏での経済被害や復興対策も、利根川と荒川について検討する方針だ。
 新たな課題が、また浮上するかもしれない。速やかな対策が必要なものもあるだろう。備えを着実に充実させたい。