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「ものづくり」から「しかけづくり」へ 日本製造業が歩むべき道(COLUMN)
 日本の「ものづくり」の素晴らしさは世界で認められている。過去には高度成長を支え、失われた10年、20年を経た現在もまだ世界の主要経済大国であり続けられる1つの理由はこのものづくり優位性であった。しかしその優位性は急速に崩れつつある。日本はいつまでもものづくりだけにこだわっているのではなく、それを超えて付加価値を提供していかなければいけないのではないか。
■「もの」と「サービス」の境界が消えた
 日本の製造業で、IT革命がもたらした大きな産業構造変化を正しく理解できている経営者がどれだけいるだろうか。まず認識しなければならないのは「もの」と「サービス」の境目が完全に見えなくなってしまった事実である。「ウォークマン」から「iPod」への変化はそのいい例だ。
 30年以上も前だが、ウォークマンの登場は若者のライフスタイルを変えた。大きなカセットプレーヤーを小型化し、品質を上げて携帯オーディオ機器という新しい「もの」を作り上げた。まさにものづくり大国日本の全盛期を象徴する製品。しかしそれを輩出したソニーは、21世紀になって出てきたiPodの価値を必ずしも正しく評価できなかった。
 パソコンにつなぎ、専用のソフト(iTunes)を使うことが前提のオーディオ機器。単独では使い物にならないという、日本のメーカーにとっては考えられないような製品。しかしこのソフトがのちに威力を発揮する。自動バックアップや新しい音楽のリコメンドなど、ほかの携帯オーディオ機器とは比較にならないほどの「サービス」をこのソフトを通じて提供する。一度iPodを使った人は他社製品に変えることはないだろうと思うくらいの差別化をハードではなくソフトで実現した。
 しかし、ユーザーにとってはそれがハードかソフトかは関係ない。あくまでも「iPodでできること」である。つまりハードとソフト、そしてネットワークを前提としたダウンロードやリコメンドが一体となって、iPodという製品を構成しているのである。
■水平分業モデルの限界
 このようなことを可能にしたのがまさにIT革命であった。それまでは水平分業が徹底しており、メーカーはデバイス、ネットワークは通信会社、コンテンツはコンテンツ企業というようなすみ分けができていた。インターネットの登場で、メーカーがネットワークを利用したり、コンテンツ企業がハードを製造したりすることが可能になり、垣根は一気になくなった。
 日本の携帯電話産業では通信会社がIT革命を先導したために、ハードとソフトの垣根が崩れていることを認識せずとも新しいコンテンツやサービスが次々と生まれたが、米国ではむしろアップルや「ブラックベリー」を製造するカナダのRIM、そしてネット企業のグーグルやアマゾン・ドット・コムがハードと一体化したサービスを提供し始めている。
 日本でも、パソコン向けインターネットのブロードバンド化において、ソフトバンクというADSL事業者が自らモデムを設計し、これを配って加入者を拡大させたように、ユーザーにとってハードはA社、ネットワークはB社、コンテンツはまた別の会社といった水平分業型製品はわかりにくく、急速な普及は難しい。
■「しかけづくり」の難しさ
 このように、単に「もの」をつくるのではなく、その背後で「もの」の製品力を支えるサービスやビジネスモデルをセットにして企画することをあえて「しかけづくり」と呼びたい。ハードとしての「もの」だけに価値があるのではなく、仕掛け全体で価値を出すという発想だ。
 これは日本企業のものづくり発想とは根本的に異なる。まずハードの知識だけでは製品企画ができない。いったん売れてしまえば不具合がない限りメンテナンスの必要がない世界から、常にネットサービスを提供し続けなければいけない世界へ。
 またネット接続するということは製品価値が自社だけで完結しない、あるいは完結させる必要がない。他企業とアライアンスを組んだり第三者にプログラム仕様(API)を公開したりして、外部経済効果を狙うことは当然となる。
 そしてビジネスモデル。アップルの「AppStore」のように第三者が開発したソフトのネット販売を実現するには、彼らに対するインセンティブが必要となる。つまり自社も他社も儲かるビジネスモデルを用意しなければいけない。こうなってくるともはや製造業とは言い難くなる。
 大型テレビのネット接続や3D(3次元)化、環境技術製品などは、単にいいものづくりをしているだけでは売れないことが既に判明している。LANポートや中途半端なネットサービスをつけても、テレビのネット接続は期待したほど進まない。高コストで効率が必ずしもよくない自然エネルギー発電に至っては、CO2排出権取引などのビジネスモデルと政治的なロビー活動を組み合わせない限り爆発的な普及に結びつかない。オーディオ製品やHDDレコーダーだって、ネット接続を前提とすれば付加価値が高まる可能性があるが、日本企業がこの点で進んでいるとは言い難い。
■迫りつつある新興国
 いやいや、日本の製造業をバカにするな、この競争力はそんなに簡単にキャッチアップできない。そんな声が聞こえてきそうだ。もちろん、新興国にとってのハードルは相当高い。しかし、すべての製品・サービスは効用と価格のバランスで需要が決まる。いくら性能が良くても、価格が高ければ売れない。
 また、IT革命と同時に一気に進んだあらゆる規格の標準化は、技術の移転を容易にした。つまり中国企業が日本企業の製品を分解し徹底的に研究すれば、似たような商品を比較的短い期間でつくることが容易になりつつあるということだ。しかもはるかに安価で。
 それでも日本国内の需要がある程度期待できていたころはよかった。今や国内市場は人口減に伴って縮小傾向。海外で市場が取れなければ、日本企業のこれ以上の成長はない。主戦場は国内から海外に移りつつある。
 そんななかでいつまでもものづくりだけを追求していても、追いつかれる可能性が高まるばかりだ。まだ優位性があるうちに、「もの」と組み合わせた「しかけ」を提供し、フォロワーが追い付けない、追いつきにくい製品づくりを目指さなければならないのではないか。
■従来型マーケティングは意味がない
 ものづくりからしかけづくりへの転換はあらゆる発想の転換を意味する。すべてのプロセスの見直しが必要となる。まず、よくある競合商品のベンチマーク的発想は意味がない。ネットサービスにおいては、同じようなものを提供してもユーザーは食いつかない。新しさ、独自性、差別化を常に要求する。市場調査に基づいて、今存在するユーザーが望んでいるものを開発する現状分析型商品開発ではなく、ユーザーに新しいライフスタイルを提供するような提案型の商品開発をしなければならない。
 また前述したように、商品は売り切りではなく、商品を販売し始めたその日からサービスを運営しなければならない。販売開始以降が本番となる。
 そしてビジネスモデル。ハードでどれくらい回収し、サービスでどれくらい利益を期待するのか。第三者との利益分配をどうするのか。場合によっては、パーツやソフトを提供する企業とのレベニューシェアということもあり得る。
■ハードもソフトも分かるリーダーはいるか
 このようなことをゼロから組み立てながら、本来強いものづくりのプロセスを組み合わせていくためには、ハードしかわからない人材ではなく、ネットワークやサービスを理解する人材をそろえ、さらにそのバランスを見極めるリーダーが必要となる。ハード以外の人材はこれまでの日本の製造業には少ない。しかもリーダーが両方わからなければならない。チームとして人材をいくらそろえても、リーダーの頭が古ければ生かすことはできない。
 となると、開発のリーダークラス、場合によっては部長や役員クラスを外から取ることを当たり前にしていく必要がある。
 内部純血主義で「同じ釜の飯」型幹部をずらりとそろえたメーカーが生き残ることはどんどん難しくなっている現状を素直に見つめなおし、まだまだ優位性のあるものづくりを土台として、早くしかけづくりへの転換を図ることが今日本の製造業に求められているのではないだろうか。
 重い2010年の幕開けである。



任天堂DS後継機は年内発表・15か月以内に発売 (EEDAR予測)
 ソニーの「PSP2」(仮)とともにそろそろうわさが聞こえてきた任天堂DS後継機の話題。ゲーム産業リサーチ会社 EEDARのアナリスト Jesse Divnich氏のリポートによれば、任天堂は今後8か月のうちにもDSの後継機となる新携帯ゲーム機を発表、同15か月以内にも発売する可能性が高いであろう、とのこと。予測の材料は技術的な老化、「競争相手」から新型登場の可能性、サードパーティーからの支持の低下、および違法コピー対策。業界アナリストによるリサーチノートとして各要素につき延々と分析が述べられているが、おおまかにはこんなところ。
 また「DS2」(仮)そのものについては、「おそらく現行 DSとの後方互換性を有するだろう」という外れたら驚くような点を除いて具体的な予測なし。DS後継機については任天堂の岩田社長が朝日新聞の年初インタビューで「高精細な映像表示や、遊ぶ人の動きを読み取るセンサー機能が必要条件になる」と発言していますが、発売時期については「今、話すことではない」とコメントしている。別のうわさではNVIDIA Tegraの新型をベースにするのでは、という話があったものの、こちらの続報は特になし。いずれにせよ、次期モデルではグループ挙げての成功を期して来るであろうソニー、およびいつのまにかDS / PSPのライバルどころか勝者を自称している iPhone / iPod touchを迎えて携帯ゲーム市場覇者が黙っているわけはありません。とりあえずは今年見物できるかもしれない新PSPとの発表・発売時期・価格・ロンチタイトル・サードパーティー支持での差し合いに期待。



大阪の百貨店売上高、28年ぶりに1兆円割れ
 近畿百貨店協会が18日、発表した平成21年の大阪地区の百貨店売上高は、前年比10・2%減の9386億2372万円で、昭和56年(約9400億円)以来、28年ぶりに1兆円を割り込んだ。下げ幅はデータの残る昭和48年以降最大となり、不況に伴う消費不振が改めて浮き彫りになった。
 特に主力の衣料品が12・4%減となり、美術・宝石・貴金属などの高額品も16・9%減となるなど、景気低迷による消費者の買い控えが鮮明となった。
 同時に発表された平成21年12月の大阪地区の百貨店売上高は、前年同月比4・1%減の1064億6731万円となり、20年4月以来21カ月連続のマイナスとなったが、マイナス幅は年間最小に留まった。



松竹、パソコン向け動画配信から撤退 会員増えず利用低調
 松竹はパソコン向けの有料動画配信サービスから撤退する。動画配信サイト「松竹ONLINE」を29日に終了する。2008年にサービスを開始、これまで名作や旧作など400作品近くを配信してきたが、利用が低調なことから、収益への貢献は低いと判断、撤退を決めた。
 同サイトはグループ会社の衛星劇場(東京・中央)が08年5月から展開。山田洋次監督の「男はつらいよ」や小津安二郎監督の「東京物語」など邦画の名作や旧作を中心に約370作品を配信してきた。1作品あたり367円で一定期間、視聴できるサービスで、俳優の無料インタビューなどのコーナーも設け、利用を促してきた。