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大手の携帯事業者の「回線借り」抑制 総務省、制度見直しへ
 ベンチャー企業などが大手携帯電話事業者の回線を借りて無線通信市場へ参入できる「MVNO(仮想移動体通信事業者)」制度について、総務省が参入資格などの見直しを検討することが21日、明らかになった。この制度をめぐっては、大手事業者同士で回線を貸し借りする動きが相次ぎ、新規参入を促す当初の目的が空洞化しつつある。同省は、大手同士の提携が市場の寡占化を強める恐れがあるとして、大手による回線借りに一定の制限を設ける方針だ。
 見直しは24日から情報通信審議会(総務相の諮問機関)で議論を開始。今夏をめどに報告書をまとめる。
 この制度ではこれまでに通信ベンチャー日本通信をはじめ、米娯楽大手ウォルト・ディズニー、インターネット接続事業者のニフティなどが、携帯電話サービスや無線データ通信に参入している。大手事業者から回線を借りる際には料金がかかるが、無線基地局網などのインフラ構築に巨額の投資をせず、早期に事業を開始できるメリットがあるため、制度利用は今後も活発化すると予想されている。
 ただ、2月にはソフトバンクモバイルが、イー・モバイルの回線を借りて3月上旬から定額制データ通信サービスを開始すると発表。ソフトバンクは「利用者の利便性を重視した」と説明するが、新規参入促進を目的とした制度の趣旨に合わないとの批判が出ていた。またPHSウィルコムも、NTTドコモの回線を利用する計画が明らかになっている。
 現行は、回線を借りる企業が貸し手の大手事業者と異なるサービスを提供する場合は利用が可能と規定しており、解釈次第でさまざまな利用形態が可能。
 携帯電話会社は公共の電波を一部占有して事業を営んでいることから、総務省は「電波の公平利用の観点からもMVNOによる市場開放は重要」としている。
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【MVNO制度】企業が自前で無線基地局を開設せず、既存の携帯電話事業者から設備を借りて携帯業界に参入できる制度。業界の競争促進を目的に平成14年6月にスタートした。MVNOはMobile Virtual Network Operatorの略



次世代高速無線通信に17社参入、回線借りニフティなど
 KDDI系の次世代高速無線通信サービス「WiMAX(ワイマックス)」で、ニフティなど17社がワイマックスの回線を借りてインターネット接続サービスに参入することが21日、明らかになった。
 ワイマックスは、屋外でもADSL(非対称デジタル加入者線)並みの高速通信(ブロードバンド)が可能となる。
 ニフティなど17社は、KDDIなどを母体とする「UQコミュニケーションズ」から、1回線あたり3300円でそれぞれ回線を借りたうえで、顧客向け料金を独自に決める。自前では無線通信網は持たず、UQの回線を借りて「MVNO(仮想移動体通信事業者)」となる。
 一方、UQは26日から、東京23区と川崎、横浜市で無料の試験サービスを開始する。7月以降は月額4480円の有料サービスを始める。UQは、ソフトバンクなどを含め、計約80社と回線貸し出しの交渉を進めている。



各省庁の情報システム統合を提言 総務相私的懇談会
 鳩山邦夫総務相の私的懇談会である「ICT(情報通信技術)ビジョン懇談会」(座長・岡素之住友商事会長)は、政府の経済成長戦略の策定に向けて緊急提言をまとめた。各省庁が個別に持っている情報システムを統合・集約し、新たなデータセンターで一括運営する仕組みを提言した。行政コストの削減につなげる狙いで、2015年の移行を目指す。
 緊急提言は23日に総務相に提出する。これを受けて、総務省は事業の細部の検討に着手し、3月にもまとまる新しい成長戦略に盛り込みたい考えだ。今後、政府内の調整を本格化させる。



国内製薬各社、インフル薬の製品化急ぐ 第一三共は11年にも
 国内製薬各社がインフルエンザ関連の新薬開発を加速する。第一三共は患者負担の小さい予防薬を2011年にも製品化する計画。富山化学工業はアジアで、開発中の新薬が鳥インフルエンザにも有効か確認する作業を始める。国内ではシェア8割を占めるロシュ(スイス)製の「タミフル」に耐性を持ったウイルスが流行、新型インフルエンザへの危機感も強まっている。多様な国産薬の開発が進めば流行時の安定供給体制が整う。
 第一三共が開発する予防薬は粉末状で、1回吸引すると効果が1週間続く。タミフルも予防薬として利用されているが、毎日服用する必要があった。動物実験タミフル耐性ウイルスへの効果も確認しており、需要が拡大すると判断した。



「雇い止め」制限検討、有期労働対象のルール作りへ 厚労省
 厚生労働省は期間を定めて働く有期労働者の雇用ルール作りに乗り出す。大学教授で構成する同省の「有期労働契約研究会」を通じて、繰り返し更新していた有期契約を止める「雇い止め」の制限や、最長3年間の契約期間の見直しなどを検討する。足元の景気悪化を背景に有期労働者の失業が増えていることを視野に入れ、雇用不安を和らげる方策を探る。
 研究会は23日に初会合を開く。2010年夏までに報告書をとりまとめ、法改正など必要な対応をとる方針だ。



エコカー市場、中小企業走る 成長分野で技術競う
 中小企業が市場拡大が見込まれる電気自動車など、エコカー関連市場に攻勢をかけている。金属加工など従来のものづくり技術を応用するだけでなく、次世代型電池の開発など基幹技術に挑む動きもある。深刻な販売不振が続く自動車業界で、需要が見込めるエコカー開発競争が加速するのは必至。中小各社は世界的な不況下で数少ない成長市場を開拓し、生き残りをかける。
 携帯電話用リチウムイオン電池の保護ケースをつくる冨士発條(兵庫県朝来市)はハイブリッド自動車市場に参入する。薄いアルミニウム板をケース上に加工することができる金型技術を車載電池ケースの製造に応用。複数の板を接合するのに比べコストが抑制でき、品質も安定する。



米大統領景気対策の減税前倒し 4月までに実施
 オバマ米大統領は21日、週末恒例のラジオとネットを通じた演説で、17日に成立した景気対策法に関し「4月1日までに平均的な世帯で毎月65ドル(約6000円)以上の減税が始まる」と明らかにした。景気後退が一段と深刻になっている現状をふまえ5―6月ごろとみられてきた対策の実施を前倒しした。
 オバマ大統領は、勤労者層の95%を対象にした所得減税(夫婦で800ドル)について「今朝、財務省が雇用主(の企業)に通達を出し始めた」と語った。雇用主は従業員の賃金から差し引く税金の減額を同日から始めることになる。大統領は「今回のように幅広い減税をこれだけ早く実施したのは初めて」と強調した。
 ただ「景気対策は経済回復への最初の一歩」と指摘。住宅市場のてこ入れ、金融安定化、規制強化などに取り組む考えを示した。また「急膨張する財政赤字の管理」の重要性も強調。23日に有識者や議員らと財政規律について議論する財政サミットを開催すると明らかにした。



米中、金融危機対応で協力強化 米国務長官胡主席らと会談
 【北京=丸谷浩史】中国訪問中のヒラリー・クリントン国務長官は21日、胡錦濤国家主席ら中国首脳と会談し、金融危機対応への協力強化で一致した。楊外相との会談後の共同記者会見では、中国が外貨準備を使って続けている米国債購入について「中国政府が米国債への信認を維持していることを高く評価する」と述べた。オバマ米政権は今後も景気対策金融危機対応などで大量の国債増発を見込んでおり、中国の米国債保有継続への期待を示した発言だ。
 クリントン長官と楊外相は米中の戦略経済対話に加え、政治や安全保障を取り扱う閣僚レベルの戦略対話を新たに設ける方針で一致。軍事交流を月内に再開、地球温暖化対策でも対話を進め、協力関係を拡大する。
 国営の新華社によると、胡主席との会談でクリントン長官は「米中の新時代が始まった」と表明。胡主席は「金融危機のさなかに、米国との関係を深化させ、発展させるのはこれまでより重要だ」と応じた。



自民党内に世襲制限論、菅氏が旗振り役
 自民党内で国会議員の世襲立候補の制限論が浮上してきた。旗振り役は麻生太郎首相に近い菅義偉選挙対策副委員長。実現性は不透明だが、次男への世襲を表明した小泉純一郎元首相らによる麻生政権批判をけん制する思惑もあるようだ。
 菅氏は20日横浜市での講演で「世襲の廃止が必要だ」と明言。別の自民党幹部も21日「趣旨として正しい」と賛意を示した。ただ、党内では職業選択の自由の観点から反対論も根強い。菅氏の発言にも「肉親への世襲を検討する反麻生勢力への逆襲」(幹部)との見方が多い。



日経社説 多様なアジアに米国はどう向き合うか(2/22)
 日本、インドネシア、韓国、中国を歴訪したクリントン国務長官は、外相や首脳との会談では意識的に聞き役となった。学生などとの対話を通じたパブリックディプロマシー(対世論外交)も展開し、それらを通じてアジアの多様性を改めて胸に刻んだはずである。
 国務長官として初めての今度の歴訪には、訪問先だけでなく米国メディアも注目した。東京での学生との対話や皇后陛下とのお茶のような、公式会談以外の行事が各国であり、国務長官による実務的な訪問を超えた活動と映った。米国内にも新鮮な印象を残したようだ。
 迎えた国々の関心は、聞き役だったクリントン氏が何を胸に刻み、それがオバマ政権の外交政策に具体的にどう反映するかである。
 クリントン氏は13日にニューヨークのアジア・ソサエティーで講演し「アジアは技術革新や流行の最先端にある」と述べ、経済や文化面でのアジアの存在感を強調した。アジアを一括して語るのは不可能ではないにせよ、歴訪した4カ国だけをとってもアジアの特徴はむしろ多様性と考えるのが正確だろう。
 日本は米国の同盟国であり、経済力は世界第2位だ。インドネシアは世界最大のイスラム国家であり、韓国は地球上で数少ない冷戦構造が残る分断国家だ。中国は世界最大の人口を抱え、共産党体制下で市場経済を進め、軍事的には米国に脅威を与えうる数少ない国である。
 歴訪を伝える記事の見出しを拾うと「同盟強化で一致」(東京)、「イスラム社会と結束強化」(ジャカルタ)、「『保護貿易に対抗』で一致」(ソウル)、「米国務長官『米中は協力する課題多い』」(北京)など驚きが少ない。実はもっと様々な問題が語られたのだろう。
 例えば各国で人権問題はどう語られたか。ニューヨークでの講演でクリントン氏は「ノーベル平和賞を受けたアウン・サン・スー・チーさんが自国で自由に生活できるように、北朝鮮の人々が自由に指導者を選べるように、チベット人、すべての中国人が迫害の恐怖なしに宗教の自由を享受できるように」と述べた。
 アジアの多様性に対する寛大な姿勢は重要だが、それはミャンマー北朝鮮、中国などでの人権問題に目をつぶる意味ではないだろう。日本は経済、安全保障上の利益だけでなく、価値観も米国と共有する関係にある。「日米同盟が米国のアジア政策の要石」とされるのはこのためである。日本政府には、この点の感度も求められる。