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オバマ米新政権のIT政策 見えてきたチェックポイント <COLUMN>
 バラク・オバマ米新政権がいよいよ誕生した。新大統領の目前には、イラク駐留米軍の撤退問題、今も続く金融危機、米ビッグスリー救済など厳しい課題が山積だ。また派手な環境・エネルギー政策の陰に隠れ日本ではあまり注目されていないが、米国のIT政策も大きな転換期を迎えようとしている。オバマ政権のIT行政を占うポイントはどこか。
■異例のペースで進む政権移行
 オバマ政権の成立によって、ここ数年ワシントンで続いていた「与野党逆転」の流れ、つまり共和党から民主党へという勢力図の変化が完了した。「時計の針が逆に回り出す」と表現してもいいほど、その政治変化は大きい。
 たとえば、ブロードバンド政策を見ると、ブッシュ前共和党政権では小さな政府を標榜し、民間主導のネットワーク整備を掲げた。それは大手電話会社やケーブルテレビ会社への規制緩和を進める一方、政府の助成金を絞り、大手企業の競争によってブロードバンドネットワークを整備しようという政策だった。
 一方、オバマ政権は政府主導のブロードバンド整備を打ち出している。景気刺激策の一環として、大幅な助成金枠を確保し、中小零細企業ベンチャー企業の活性化を促して、ブロードバンドの普及を進めようとしている。同じ「規制緩和を通じたブロードバンド振興」でありながら、その施策は正反対の様相を示す。
 こうした逆転現象は一般に1年程度の移行期間が必要で、その間ワシントンでは議会の空転が続くものだ。しかし、今回は異例の早いペースで移行が進んでいる。
 その原動力となっているのが、当選直後に発足した「オバマ・バイデン政権移行チーム」だ。同チームは当初、様々な業界団体や主要人物との接触を進め、大量の情報収集を行った。12月に入るとオバマ氏は、経済閣僚を筆頭に次々と主要ポストを固め、年明けには新政権の顔ぶれがほぼ固まることになったが、そのお膳立ては移行チームの仕事だった。
 また、同チームは各分野での長期方針と省庁レベルでの施策の見直しも進めた。そうした過程から、2月17日と目前に迫っていた地上波アナログ放送の停波延期を提案するなど、大統領就任前にもかかわらず具体的な政治判断にまで踏み込んでいる。アナログ停波問題はまだ正式に決定されていないが、数カ月の延期が行われそうだ。
 このように、新大統領はスピーディーな政権移行と、議会空転を認めない強い姿勢を示している。たぶん半年程度で、オバマ新政権は政権移行を完了させることになるだろう。その背景には、不況の深刻化が進んでいること、テロとの戦いが長期化していることなどの理由が見えるが、上下両院で民主党が主導権を取っていることも幸いしている。
■ゲナコウスキー氏に注目
 助成金をベースとする大型景気刺激パッケージという予想はあるが、オバマ大統領のIT政策はまだ具体的な方向性や資金の流れ、主要プレーヤーなどが見えてこない。オバマ氏のテクノロジー政策はエネルギー、環境問題を優先課題とし、その次にブロードバンドを中心としたIT施策を位置づけている。シリコンバレーでは、エネルギー、環境関連のベンチャーが期待感を高めていることは言うまでもない。
 とはいえ、1月上旬に連邦通信委員会FCC)の委員長にジュリアス・ゲナコウスキー氏が内定(議会承認待ち)したことから、少しずつIT分野でも方向性が固まろうとしている。ゲナコウスキー氏は、クリントン大統領時代にFCCで仕事をしていた。
 オバマ大統領は商務省などを通じて僻地のブロードバンド整備などに多額の助成金を投じると見られている。FCCはそれを制度面からサポートすることになる。それは「FCC改革(リフォーム)」を促進することになるだろう。
 IT振興政策に消極的だったブッシュ前大統領時代のFCCは、「技術停滞を引き起こしている」と批判されることもあった。たとえば、超広帯域通信(UWB)などの新しい無線技術が開発されても、それを実用化するには適切な無線帯域の確保やその運用ルールなどをFCCがいち早く整備しなければならない。しかし、ブッシュ政権時代のFCCは、そうした新技術の商業化を積極的に支援せず、「ベンチャーの育成や技術育成がおろそかになっていた」と民主党およびオバマ新政権は考えている。
 これがFCCリフォーム問題であり、FCCの組織やルール改正を行う必要があると唱えている。ゲナコウスキー氏は今後、大幅な改革を進めると見られている。
■IT政策のカギ握る議員ポストも顔ぶれ変化
 一方、前政権が残したネットワークの中立性問題、メディアの資本集中排除規制、ユニバーサル・サービス基金改革などの課題を新FCCがどのように処理するかにも注目が集まっている。ただこの問題は、FCC単独で処理できるものではない。というのも、オバマ新大統領の登場により、党内改革が表面化しているからだ。
 オバマ氏は「外からワシントンを変える」を標榜し、閉鎖的で制度化されたワシントン政治の改革を唱えて大統領に当選した。このため、その基盤である米民主党内にも世代交代を軸とする改革の波が押し寄せようとしている。
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 このように米国のIT行政では、FCCを中心に新たな改革の波が押し寄せている。シリコンバレーから見れば、それは政府の助成金を有効に利用しながら、停滞気味だった技術開発を促進し、ベンチャービジネスの活性化を進める好機だ。もちろん、クリントン時代に情報ハイウェーを標榜しネットバブルを生み出した政策と類似しているが、今回のバブルの主役は、エネルギー・環境分野となりそうだ。



交流サイト「SNS」世界大手のマイスペース、ラジオ・雑誌と提携
 インターネット交流サイト(SNS)世界大手のマイスペースはラジオや雑誌と提携する。4月からネットと連動したラジオ番組を放送したり、共同で雑誌を発行したりして認知度を高める。2006年に日本に参入してから会員獲得で苦戦しており、複数メディアと連携する「クロスメディア戦略」で国内最大手ミクシィを追撃する。
 FM局のJ―WAVEと組んで4月から新番組を始める。マイスペースのサイト上で音楽を発信している9万組超のアーティストを対象に、自作の楽曲を放送する機会を提供する。「TVガイド」などを発行する東京ニュース通信社(東京・中央)とは5月に新雑誌を立ち上げる。音楽や映像制作、デザインなどの分野で活躍する会員の活動を紹介する。



主要素材、値下がり拡大 石化2年ぶり化繊は7年ぶり下落
 景気悪化の影響で主要素材の値下がりが拡大してきた。原油や鉄鋼原料といった資源価格急落をきっかけに昨秋から鋼材などが下がったのに続いて、石油化学製品がほぼ2年ぶり、化学繊維が7年ぶりに下落に転じた。世界的な需要急減による供給過剰感を背景に買い手企業が値下げ要求を強めている。素材安は消費者物価を下押しするとともに、素材各社の収益を一段と圧迫しそうだ。
 住宅の水道管や壁紙などに使う塩化ビニール樹脂は昨年8月から高値が続いていたが、最大手の大洋塩ビ(東京・港)などが今月から出荷価格を引き下げ、14%値下がりした。ポリエチレン樹脂は食品包装材向けが13%下落。液晶保護フィルムや自動車のガソリンタンク向けなどは2月にも下がる見通しだ。



野村、最終赤字3000億円 10―12月 市場混乱が直撃
 世界的な金融市場の混乱を受け、野村ホールディングスの業績が悪化している。27日に発表予定の2008年10―12月期決算は、連結最終損益が3000億円前後の赤字になったもようだ。株式売買など本業が苦戦したほか、米リーマン・ブラザーズの部門買収に伴う費用の大半を前倒しで計上。リーマンの統合作業を加速することで、1月以降の収益急回復を狙う。
 08年10―12月期の赤字額は、欧米モノライン(金融保証会社)向け取引の損失を処理した08年1―3月期(1539億円)を上回り、野村が米国会計基準で四半期決算の開示を始めた01年4―6月期以降で最大となる。4―12月累計での赤字額は4000億円を超える見込みだ。09年3月期通期で赤字になれば、二期連続の最終赤字になる。



「米、1兆ドルの需要不足」 オバマ大統領がネット演説
 【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は24日、ラジオとインターネットを通じた国民向けの演説で「米経済は供給力と比べ1兆ドル(約89兆円)の(需要)不足に陥る可能性がある」と語った。総額8250億ドル(約73兆円)の大型景気対策による需要創出策への国民の理解を訴えるのが狙い。景気対策法案を1カ月以内に成立させることも事実上公約した。
 米大統領は週末にラジオを通じて国民向けに演説をするのが恒例になっており、オバマ氏は就任後初めて。ネットでは動画も配信された。
 オバマ大統領は「政権は先例のない危機のなかで発足した」と強調。米国内の需要と供給の差を示す需給ギャップ国内総生産(GDP)の7―8%に達する可能性があるとの見方を示した。そのうえで、このままでは「4人家族で1世帯当たり1万2000ドル超の収入減少につながる」と警鐘を鳴らした。



景気対策、75%は1年半で執行 55兆円、即効性を強調
 【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は24日のインターネットなどを通じた国民向け演説で景気対策について雇用創出などの効果を改めて強調した。ホワイトハウス(米政府)は8250億ドル(約73兆円)に上る対策のうち75%(約55兆円)を着手から約1年半後の2010年9月末までに執行する方針。早期執行で即効性を目指す。ただ、事業内容や規模を巡る異論はなお多く、週明けから始まる法案修正協議が難航する懸念も残っている。
 オバマ政権と議会が調整している景気対策案は、公共事業や環境分野への投資など5500億ドルの歳出と2750億ドルの減税措置から成る。議会予算局(CBO)は、歳出分野のうち3550億ドルについて、1年半で執行されるのは約4割にとどまるとの見解をまとめていた。



ガイトナー発言に反発 「中国が通貨操作」、米国債売却論に拍車
 ガイトナー次期米財務長官が「オバマ大統領は中国が自国通貨を操作していると信じている」と発言したことに対し、中国が反発を強めている。24日の国営新華社通信によると、中国人民銀行中央銀行)の蘇寧副総裁は「こうした発言は事実に合わないだけでなく、金融危機の原因の分析を誤った方向に導く」と述べ、ガイトナー氏を厳しく批判した。
 中国は世界最大の米国債保有国。人民元相場を安定させるために市場で元売り・ドル買い介入を実施し、買ったドルで米国債を購入している。金融危機対応で米国債の値下がりリスクは高まっており、中国内では「保有額を減らすべきだ」との議論が盛んだ。ガイトナー氏の発言はこうした米国債の売却論を勢いづかせる可能性もある。