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日経社説 ウォール街の劇的な地殻変動(9/23)
 米ウォール街で急速な地殻変動が起きている。米証券大手ゴールドマン・サックスモルガン・スタンレーが銀行持ち株会社に移行することが決まった。モルガンは三菱UFJフィナンシャル・グループの出資も受け入れる。リーマン・ブラザーズの経営破綻、メリルリンチの銀行への売却に続く動きで、米証券大手はすべて 、短期間のうちに劇的な経営の変化を迫られた。

 米証券会社は、1933年に銀行と証券の業務を分ける法律ができたのを機に発展した。今回の変化は、米資本市場を70年以上担ってきた構造の終わりを意味する。

 転換点は75年の株式委託手数料の自由化である。収入源が細り、自らのバランスシートを使う事実上の投資業務に乗り出さざるをえなくなった。今露呈しているのは、そのような収益モデルの限界である。

 大手証券は、短期金融市場で資金を調達し、証券化商品などの長期で流動性の低い証券に投じて収益を稼いできた。だがいったん資金の出し手が萎縮すれば、市場から資金が調達できなくなり、瞬く間に資金繰りに窮する。こんなもろさがリーマンの破綻で表面化した。

 金融システム全体への危機でもある。米連邦準備理事会(FRB)がゴールドマンとモルガンの銀行持ち株会社への移行を認めたのもこのためだ。市場で資金が取れなくても、両社は銀行と同様の条件で「最後の貸し手」であるFRBから融資を得られる。保険で守られている分資金逃避が起こりにくい、預金という安定した資金 調達への道も開く。

 両社は新たな収益構造を確立しなければならない。両社は銀行並みの厚い資本を求められる見通しで、限られた資本で大規模な借り入れをして自己資本利益率(ROE)を高めるこれまでの経営は成り立たない。

 両社は統合を通じて銀行業務を本格的に展開する公算がある。だが、健全な経営につながるとは限らない。すでに証券と銀行を営むシティグループも、住宅ローン関連の巨額損失で経営基盤が揺らいでいる。今回の措置は金融危機を救うための緊急対応といえる。その先には、大恐慌以来続く規制の抜本的な改革という課題が待ち かまえている。



各民放10月の番組変更 「ドキュメンタリー」回帰 世の中の風、変わる
 民放キー局の10月改編が出そろった。視聴率が取れないとされていたドキュメンタリー番組を、TBSとテレビ朝日がゴールデンタイムにぶつけてきたのが特徴だ。「クローズアップ現代など硬派な番組が2ケタ視聴率を取り、世の中の風が変わってきた」(TBS)との読みがあり、ライバルはずばりNHK。娯楽重視だった民放の編成姿勢へ、変化が生まれてきた。
 プライム大改造
 TBSは水曜夜、3本の報道・ドキュメンタリー系新番組を連ねた。なかでも「水曜ノンフィクション」は「高品質のドキュメンタリー」が軸という。ゴールデン、プライム、全日ともに上半期4位に甘んじた同局では、プライムタイムの半分近い番組を入れ替える“構造改革”に踏み切り、改編率(変更する番組の割合)は46・4%に達した。吉崎隆編成局長は「人生や老後について『こんなはずじゃなかった』と思っている人が、フィクションや笑いだけを求めているのだろうか。冒険だが、一度真面目に世の中に向き合いたい」と、視聴者ニーズを見詰め直すことを強調した。
 テレビ朝日は報道局内にドキュメンタリー制作班を新設。月曜の「報道発 ドキュメンタリ宣言」では、「『現象』ではなく『人間』にこだわり、ニュースの真相に迫る」。ライバルはNHKの「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」や「プロフェッショナル 仕事の流儀」だという。原一郎プロデューサーは「民放のゴールデンタイムからドキュメンタリー番組が姿を消して3年、バラエティー中心の時間帯を“変革する”という高い志を持って制作に当たりたい」と意気込む。
 手堅い編成
 一方、他の3局ではヒット作や、実績のある制作チームを核にした、手堅い番組編成が目につく。
 日本テレビ広瀬健一編成部長は「コンテンツも格差が如実に出てきた。『ごくせん』や『24時間テレビ』など来るところには(視聴率が)ものすごく来るが、新規のものはなかなか難しい」と現行路線継承の背景を説明する。
 同局では、ドラマ「斉藤さん」をヒットさせたプロデューサーや観月ありさらが再度タッグを組むドラマ「OLにっぽん」に注目だ。人件費の安い海外へ業務委託をする“アウトソーシング”に翻弄(ほんろう)される、日本企業の女性社員の奮闘を描く。
 またフジテレビでは、ドラマ「イノセント・ラヴ」で上半期の話題作「ラスト・フレンズ」のスタッフ(プロデューサー、脚本、演出)を再結集させた。兄が両親を殺害して天涯孤独になった少女(堀北真希)の、いちずな恋を描く。
 テレビ東京は同局の看板番組であるTVチャンピオンが9月で終了。これに伴い新番組「チャンピオンズ〜達人の技が世界を救う〜」がスタート。TVチャンピオン16年の歴史で延べ約800人誕生した“日本一”たちが、熟練の技で困っている人や団体、自治体などの悩み事を解決する。



IT製品強制認証、見直しを=中国商務省に要望−日中経協
 【北京23日時事】北京を訪れている日中経済協会代表団(団長・張富士夫トヨタ自動車会長)は23日、中国商務省幹部と知的財産権保護などについて協議した。副団長の上島重二三井物産顧問は、中国政府が外国企業にIT(情報技術)製品情報の開示を強制する新制度を来年5月に導入することに関し、「世界的に例のないものであり、ハイテク分野の貿易・投資の協力にとって阻害要因となる恐れがある。知的財産権保護の面でも影響が大きい」として強い懸念を表明し、制度の見直しを求めた。



吉本興業、タレント代理業最大手の米CAAと提携
 芸能事務所で国内最大手の吉本興業が世界最大のタレント代理事務所、米クリエーティブ・アーティスツ・エージェンシー(CAA、カリフォルニア州)と包括提携した。テレビ番組の企画概要に当たるフォーマットの使用権を互いに優先供与したり、俳優やスポーツ選手の代理業務で協力したりする。
 最近はCAAと競合する米ウィリアム・モリス・エージェンシーがフジテレビジョンから番組フォーマットの海外使用権を獲得するなど、米娯楽産業の日本への関心が高まっている。



おサイフケータイ」にお買い物情報 ダイエーやJR東など
 大手スーパーなどが「おサイフケータイ」の機能が付いた携帯電話向けに、買い物や地域情報を提供する装置の設置に乗り出す。ダイエーは10月から店舗内に周辺地域の住宅の賃貸物件情報を提供する装置を設置、早期に100店に広げる。東日本旅客鉄道JR東日本)は東京都内の一部の駅で買い物関連の情報を提供する。飲食店情報サイト運営のぐるなびも同様の拠点を増やす。
 従来、携帯電話を使って情報を入手するにはカメラでQRコード(二次元バーコード)を読み取る方式が一般的だった。新方式は金融決済機能「おサイフケータイ」を読み取り機にかざすだけ。大幅に手間が省けるとして各社拠点を拡充、広告収入などを見込む。



8月紙・板紙 国内出荷4%台に減少 主力の塗工紙落ち込む
 日本製紙連合会が22日に発表した8月の紙・板紙需給(速報値)は、国内出荷量が237万9000トンと、前年同月比4・2%減少し、6年ぶりに4%台へ落ち込んだ。主力であるカタログやチラシ向けなどの塗工紙を中心に前年割れ。飲料や青果物向けの需要が多い段ボールも、お盆明け以降の天候不順の影響を受けて前年を下回った。
 同月の包装用紙国内出荷量は7万2000トンで同7・4%減少するなど、国内の景気減速の影響が現れた。大手各社は原料高を価格に転嫁するため、今夏から約15%の製品値上げに踏み切る一方、10月ごろまでの減産も打ち出している。
 日本製紙連合会の芳賀義雄会長(日本製紙社長)は、「消費者心理の冷え込みで、横ばいだった広告の自粛も目立つ」と指摘。値上げによる仮需要の反動が起きている可能性もあり、9月の需要動向を注視していく姿勢を示した。



トヨタ、若者のクルマ離れに強い危機感 「クルマ授業」実施で将来の顧客作り
 トヨタ自動車は、次世代を担う小学生を対象に、「クルマの魅力・楽しさ」「クルマと環境・経済との関わり」などを、楽しみながら体感・学習してもらうための授業を、年内5箇所の小学校で開催する。
 4年生向け「クルマ原体験教室」と5年生向け「クルマまるわかり教室」の2種類のプログラムを用意し、いずれも小学校の総合学習や社会科の授業の一環として行う。「クルマ原体験教室」は9月26日に大分県の小学校で、「クルマまるわかり教室」は9月30日に福島県の小学校で、第1回目を開催。来年度以降、さまざまな地域で、より多くの小学生が体験・学習できるよう計画を進めている。
 トヨタが危惧するのは、国内で進む若者のクルマ離れだ。すでにクルマを所有していることが「ステータス」であるという時代ではなくなってきている。パソコンやテレビゲームの普及などによる「趣味の多様化」により、購入や維持費に大きな負担がかかるクルマは現代の若者に敬遠される傾向にあるのだ。このため、若者のクルマ離れを防ぐために、次世代を担う小学生のうちからクルマに興味を持ってもらい、将来の市場の土台を作るのが、今回のような授業を実施する主な目的の1つだ。
 しかしなぜトヨタは国内マーケットに対し、地道な努力を行うのだろうか。というのも、2008年度3月期の決算によると、グローバル展開を続けるトヨタの日本市場の割合は24.6%。891万台の販売台数のうち、75%以上を海外で販売しており、もはや主要マーケットは欧米、新興諸国などの海外市場に移っている。そして両者の比率は年々広がっていくとみられており、もはや国内市場にこだわる必要はないのだ。
 それでも同社が国内市場を重要視するのは、屋台骨となる日本で存在感を失えば世界でも競争力を保てないという危機感だ。トヨタのある幹部も、「日本でトップだという存在感を見せ続けなければ、世界展開でも躓いてしまうだろう」と話す。また若者のクルマ離れは日本だけとは限らない。経済成長を続ける中国の若者も日本と同様、インターネットなどの普及により、趣味が多様化しており、富を得るようになってもクルマを購入するとは限らない。さらに世界的なエコ意識の高まりにより海外ではオランダのように、国が「企業に対する税法上の自転車通勤優遇政策」を実施することで、自転車通勤を奨励する企業が出てきており、業界には危機感が高まっている。
 このため同社は10年後、20年後のマーケットを今から育てていく必要性から、「クルマ原体験教室」など子ども向けのプログラムが国内で浸透し、効果が得られたら、海外にそのノウハウを輸出することも視野に入れていると見られる。2008年3月期の決算では、売上高から当期純利益まですべての項目で過去最高記録を更新した同社だが、その歩みを止める暇はない。


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