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悩めるドコモ、新ブランド戦略の本気度 <Column>
 NTTドコモは7月1日よりブランドロゴを変更することを明らかにした。第2四半期にはドコモと8社ある地域会社を1社に統合する。ブランドロゴ変更は、「一人負け」と言われ続けている同社にとって、2度と失敗が許されない賭けになる。
■早すぎた「反撃」宣言
 NTTドコモの中村維夫社長にとって、MNP(番号継続制)導入以降のドコモのブランド力低下は頭の痛い問題だった。昨年は「ドコモ2.0」といった広告キャンペーンを展開するも世間の風は厳しく、「いったい、どこが変わるんだ?」といった批判の声が噴出した。
 「当初、『反撃』という言葉を使ったこともあり、内外からの反響が大きかった」(荒木裕二コーポレートブランディング本部副本部長)。
 今になって振り返れば、ハイスペックの905iシリーズや、ファミ割MAX50などの料金施策も展開するなど、それなりに努力はしていたように感じる。しかし、「反撃」と言うのが早すぎたこともあって、ユーザーにはうまく伝わらなかった。また「ドコモ2.0」というのはドコモ社員で価値観を共有する意味合いもあったのだが、その面でも内部から批判があったし、成功とは言いがたい状況に陥っていた。
 中村社長はすでに昨年春の段階で、自販機やモバイルを使ったソリューションで関係のあった日本コカ・コーラ会長の魚谷雅彦氏と、ファースト・リテイリング執行役員マーケティング担当の勝部悦子氏を招聘。ドコモブランドを復活させるために、8月には「コーポレートブランディング本部」を設立した。今回の新ブランド戦略は中村社長自ら本部長に就任し、社運をかけてスタートしたプロジェクトなのである。
■「一人負け」と言われ続けて
 ブランド力を高めるには、まずは、ドコモが抱える課題を解決しなくてはいけない。そこで、「ドコモのあるべき姿はどこにあるのか」という議論を地域会社、幹部、若手など様々な集団で何度も行い、集約していったという。
 「化粧直しではダメ。本当に中身、体質が変わらなくてはいけない」(荒木氏)。
 いまNTTドコモが抱える問題と言えば、社員のモチベーションの低下だ。ネットワークの充実や販売の強化などでそれなりに努力しても、新規契約者数の獲得につながることなく「一人負け」と評価されてしまう。「何カ月も『一人負け』と言われ続けると、さすがに社員の気持ちも落ち込んでくる」(荒木氏)。何をやっても評価されない。数字に結びついてこないという状況が、社員のやる気をそいでしまっていたのだ。
 評価されないのにはそれなりに理由があることは彼らも承知していたという。しかし、ドコモ本体、地域会社も「変わらなくてはいけない」と思っていても、「どう変わったらいいのか」という方向性が見えていなかったのだ。
 昨年11月下旬には課題を把握し、整理ができはじめてきた。そこで年明けの1月以降、3〜4カ月近くかけて社内の意識合わせをしようと、全国をキャラバンして方向性をひとつに共有できるようにしていったのだという。
 「あるべき姿ができたとき、変わろうとしていることを形で示すべきだと考えて、思想に合うようにロゴを変えることにした。その方が社員の気持ちも乗ってくるし、対外的な決意表明になる」(荒木氏)。
 こうして、15年使い続けてきたロゴとの決別を決めたのだった。
■隣の部署も「○○部さん」
 NTTドコモは今回のロゴ変更を契機に組織体制を見直し、顧客重視の姿勢を改めて決意した。どの企業でも「顧客重視」は当たり前であるが、組織体制の見直しをしてまでも改革に着手するのは、ドコモが抱える「体質」が影響している。
 「組織が肥大化し、悪い意味で大企業になってしまっていた。ユーザーが増え、サービスが増え、組織が増えて、組織の間に壁ができてしまった。象徴的なのがほかの部署を『○○部さん』と別の会社のように呼ぶようになってしまったこと。そうすると、部をまたがる施策がやりにくくなり、情報が流れなくなり、意思決定の速度が遅くなってしまう。まずは、そこの壁を取り払う必要があった」と荒木氏は語る。
 ユーザーを向くどころか、組織として何を重点的にするべきかを見失い、まともな対応ができなくなってしまった体制の改革である。昨年、マーケティング体制を変えたドコモでは9社統合を契機に様々な組織変更が行われる見込みだ。また、それとは別にすでに25のプロジェクトが始動しており、サービス、料金、端末ラインアップの見直しを行っていくという。
■まずは端末やサービスの充実を
 今回、中村社長は記者会見で「エリアの品質面での指摘があった場合、48時間以内に顧客宅を訪問して、改善に向けた取り組みをできるように準備を進めたい」と語るなど、徹底して既存ユーザーを大切にする姿勢を示した。
 また、端末に関しても「現在、継続して開発しているものもあるため、すでに着手しているものはしばらく続く。しかし、いずれかのタイミングでラインアップを見直すことも検討する」(荒木氏)という。一般ユーザーの立場からすると、あまり価格差や機能差のない90xシリーズと70xシリーズの違いはかなり分かりにくい。場合によっては今後、両シリーズが統合されることもありそうだ。
 今回の記者会見では、ロゴ変更や同社の意気込みは感じられたとはいえ、まずは端末やサービスなどでユーザーに「変わった」と感じさせることが何よりもブランド力アップにつながるはずだ。
 荒木氏によると「小さなものから、あっと驚くモノまで用意している。夏から秋にかけて、目に見えてくるものもある。新しいものだけでなく、すでに一度、投入したものを改めて周知させることで、利用を促進させることにも着手していきたい」という。
 実際にブランド力の向上が実感できるまでには「1年から2年くらいはかかるのではないか。細かなものの集大成がブランドとしての評価になっていくだろう」と荒木氏は語る。5300万を超えるユーザーと、全国1万2000人の従業員を抱えるNTTドコモ。「これが失敗したら、もうドコモの未来はない」(荒木氏)という強い決意を持って、新しく生まれ変わろうとしている。



「値上がり前に給油したい」ガソリンの駆け込み需要本格化
 ガソリン税などの暫定税率が復活する見通しとなり、大型連休が始まった26日から安いガソリンを買い求めるドライバーの駆け込み需要が本格化し始めた。
 暫定税率が復活すると、5月以降、1リットルあたり25・1円の増税となり、卸価格の値上げ分と合わせて、30円程度の値上げを検討しているガソリンスタンドもある。石油元売り大手は「駆け込み需要は祝日の4月29日がピークになりそうだ」と予測している。
 東京・世田谷区の「環八通り」沿いにあるセルフ式のスタンド「エクスプレス八幡山SS」では、午前10時ごろから給油待ちの車が出始め、夕方までに多い時で10台ほどの車列ができた。客は通常の土曜日より1〜2割多かったという。この日のレギュラーガソリン価格は1リットル=124円。同店の男性主任は「暫定税率が5月1日に復活すれば1リットルあたり30円近く値上げする可能性がある」と話すが、「周辺店が安いままなら別だ」と柔軟に考えている。



親子上場、必要性説明を・東証要請へ、少数株主の利益保護
 東京証券取引所は親会社と子会社がともに上場している場合、子会社に対して上場の必要性を投資家に説明するよう求める。支配株主以外の少数株主の利益が損なわれるのを防ぐとともに、上場子会社の経営の独立性と透明性を高める狙い。
 東証は昨年、親会社を持つ企業の上場は「市場関係者にとって必ずしも望ましい資本政策とは言い切れない」との見解を公表した。親子上場の禁止にまでは踏み込まないものの、親会社に有利な取引や施策により子会社の少数株主が不当な扱いを受けないように、対応策を検討してきた。



日銀、ガソリン税率を注視・30日の展望リポート
 日銀が30日の金融政策決定会合で「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめるのを前に、ガソリンにかかる揮発油税暫定税率がどうなるかへの関心を強めている。もし暫定税率を元に戻す租税特別措置法改正案が再可決されなければ、2008年度の消費者物価指数(CPI)の予測値に0.3―0.4%の影響を与える可能性があるためだ。
 日銀は展望リポートの中で、08―09年度の実質国内総生産(GDP)やCPI、企業物価指数の前年度比変化率を政策委員の予測値として示す。CPIの予測では、経済全体の需給動向や原油価格などの見通しが重要になる。ガソリン税は制度的な要因だが、予測値に影響する。



人気アニメ作品、全世界同時発売・バンダイビジュアル
 映像大手のバンダイビジュアル(東京・港)は今秋から、新世代DVD「ブルーレイ・ディスク(BD)」とインターネットを使ってアニメ作品を世界で同時に発売する。全世界で視聴が可能なBDとネット配信の特性を生かして、同一作品を日本国内のほか欧米、アジア諸国などで時差や価格差なしで一斉に販売、国内外で幅広いファンの獲得を目指す。
 人気劇場アニメ「FREEDOM(フリーダム)」など高画質のアニメ作品をBDソフトとして、今秋から世界で同時発売する。日本語、英語、フランス語などの字幕をつけた同一パッケージとし、各国ほぼ同じ価格とする。現行のDVDは地域ごとに視聴制限や価格差があり同時展開は難しかった。



【産経主張】長野聖火リレー まるで中国の“五輪独占”
 3000人以上もの警察官が動員された北京五輪の長野聖火リレーは、小さな妨害行為はあったものの、予定通りの18・7キロを4時間かけて走った。聖火は次のソウルに引き継がれた。
 ではあるが、誰もが「よかった」と思ったかどうか。答えは、否だろう。
 長野県警を中心とする大がかりな警備シフトは、聖火を守り、混乱を最小限に食い止めた点では、評価されてよい。これまでのいくつかの聖火リレー都市で問題視された中国側の聖火随行員の動きも封じ、「警備は日本警察が行う」との主権の鉄則も守った。
 しかし、地元の長野市民らは聖火の出発地点には立ち入れず、ロープやさくで仕切られた沿道から「聖火護送」のようなリレーを見守るしかなかった。何のための聖火リレーなのか。国際オリンピック委員会(IOC)は重い課題を背負った。
 その沿道には五星紅旗が林立した。長野に集結した中国人留学生らは当初予想の倍近くの約4000人にもふくれあがり、「北京がんばれ」の叫びは、中国政府の人権抑圧を訴える亡命チベット人や「国境なき記者団」など活動家を数で圧倒した。
 留学生らの言動はおおむね、中国政府が内向けに力説する「愛国主義の理性化」に忠実だった。問題は、聖火を独占するかのような集団行動である。あれでは共感は呼ばない。
 長野聖火リレーの前日、中国政府は国営新華社通信を通じ、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世側と数日中に接触する、と発表した。3月のチベット騒乱以来、ダライ・ラマを「騒乱の策動者」と決めつけ、日米や欧州が求めるダライ・ラマ側との対話を事実上はねつけてきた中国側が初めて見せた変化ではある。
 ただ、長野での五輪イベントに合わせて国際社会に柔軟姿勢をアピールしようとした中国側の計算もうかがえる。胡錦濤政権のチベット問題への今後の対応を注視しなければならない。
 長野聖火リレーの出発式で掲げられていた北京五輪組織委員会の旗には「情熱を燃やせ、夢を分かち合おう」とあった。
 だが、チベットの人権を置き去りにして、五輪の夢は共有できない。これを長野にやってきた中国人留学生たちへのメッセージとしたい。


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