щ(゜Д゜щ)カモーン新聞

東芝防衛省の危機管理から「組織」のあり方を考える(Column)
 組織が有効に機能しているかどうかは、危機管理をきちんとできるかどうかによってわかる。HD−DVDからの撤退を早々と決断した東芝と、イージス艦と漁船との衝突事故で大揺れの防衛省海上自衛隊の事例は、その点で参考になる。
組織を評価する3つのポイント
 国の安全保障を担う武装組織と利潤追求を目的とする企業を比べるのは、通常であれば乱暴である。しかしぎりぎりの状況にどう対処したのかを比べることは、「組織」のあり方を考えるうえで意味がある。
 比較するポイントは、?リーダーシップが機能しているか?優先順位を明確にして事態に対処しているか?求心力が働いて組織の統制がとれているか――の3点である。これらは相互に関連しており、もしあやふやであれば、その組織は烏合の衆となる。
 第1のリーダーシップに関して、防衛省海上自衛隊は、目を覆いたくなる状態である。石破防衛相への事故の一報が1時間半もたってからだったことは、トップが組織内で軽く見られているからではないのか。
 事故の事実関係についての、石破防衛相、吉川海上幕僚長、増田防衛次官らの説明が二転三転して、誰を信じてよいのかわからない。最高責任者の防衛相に情報がすべて集約されているのかも疑わしい。
 東芝の場合、HD−DVD事業からの撤退という不名誉な発表だったが、西田厚聰社長は、担当役員を伴わず独りで臨み、気後れした様子は全く感じられなかった。むしろ堂々としていた。説明を終えて質疑に移ると、フラッシュメモリーの新工場建設も併せて発表したので、「まずHD−DVDの質問をまとめてしていただいてから、フラッシュメモリーの質問をしてください」と、会見の進行を仕切る余裕を見せた。
 事業を開始して2年足らずで幕引きという早業は、「競争の観点から勝ち目はないと判断した」以上、当然というのが西田社長の考え方なのだろう。攻めるも退くも経営戦略だという割り切っている。撤退発表の際にも「事業経営は状況の関数であり、状況が変われば慧敏に応変する必要がある」と持論を述べた。
 リーダーシップと裏腹の関係にあるのが、事態に対処する優先順位を明快に示すことである。東芝の西田社長は、ブルーレイディスクに勝てないと判断したら、即座にフラッシュメモリーなどの他の成長分野への経営資源の集中を加速する方針を具体的に示した。
 海上自衛隊の場合は、情報開示の混乱ぶりが、何を優先すべきか方針が定まっていないこと示している。事故原因の究明なのか、自衛隊の信頼回復なのか、組織防衛なのか、幹部たちの保身なのか、何をいま急ぐべきか、さっぱりわからない。まさに迷走状態である。
 求心力が失われているわけで、組織の体をなしていない。接待漬けで収賄偽証罪で起訴された前防衛次官の問題や、機密漏えい、護衛艦「しらね」の火災など、防衛省は不祥事が絶えない。組織の機能不全はあまりにも重症で、改革を考えていた石破防衛相まで足をすくわれた格好である。
トップ以下の意識に大きな差
 東芝も以前は「総合電機」といって総花経営だった。今も事業部門ごとにカンパニー制をしいて権限を大幅に委譲しているため、遠心力が働く。これに対して求心力を強めるため、西田社長は言葉による徹底したコミュニケーションを実践している。現場によく出かけ、所信を語り対話を繰り返して、自分が考える経営方針の周知をはかっている。
 さらに「成長させると判断した事業には、コーポレート(全社)の戦略として、経営資源の投入を集中かつ継続して行う」方針を明示して実行している。何に力を入れて何を捨てるのか「集中と選択」を素早く進めているから、求心力が高まり、東芝の目指す方向が外部からもわかりやすくなった。
 組織のよしあしは最終的には人の意識にかかっている。東芝は激化するグローバル競争にさらされており、舵取りを一つ誤れば、取り返しがつかない。トップ以下、ぼんやりしていられない。一方の防衛省はしょせんお役所なのか。有事を想定したら、たるんでなどいられないはずなのだが。



製紙大手、印刷用紙再値上げへ・大王、5月に15%以上
 製紙業界第3位の大王製紙は、主力の印刷・情報用紙を5月下旬から再値上げする方針を固めた。原燃料の価格上昇を理由に、出荷価格で15%以上の引き上げを目指す。再生紙の古紙配合率問題で、社会的批判を受け値上げを見合わせていたが、社内処分などでひと区切りついたと判断した。製紙首位の王子製紙、第2位の日本製紙グループ本社も近く値上げに踏み切る見通し。ただ、再生紙問題でユーザーは反発しており、値上げには抵抗も予想される。
 印刷・情報用紙は国内紙生産量(2006年、段ボール原紙などの板紙を除く)の約6割を占め、紙製品として最大の品目。大王製紙の印刷・情報用紙の国内生産量シェアは8%(06年)だ。



製薬各社、臨床試験拠点をアジアに展開・安い費用、期間短く
 国内製薬各社がアジアでの新薬の臨床試験(治験)を加速している。日本よりも治験費用が安く期間も短縮できるため、第一三共は来月にもインドに初の臨床開発拠点を設立する。アステラス製薬は次期主力薬と期待する血栓症予防薬で、日本とアジアの共同治験に着手した。エーザイシンガポールで臨床研究を開始した。国内の医療用医薬品市場は伸び悩みが続いているが、新薬の開発拠点としても空洞化が進む恐れがある。
 第一三共は、インドのムンバイに昨年春設立した販社に治験の統括機能を付け加える。まず数人の担当者を置き、順次増員する。インドで得た治験データは日本の新薬申請には使えないが、欧米で活用できる。



新銀行東京、旧経営陣独走が経営難招く・行員の進言無視
 新銀行東京(東京・千代田)の経営難問題で、財務データを基に融資の可否を自動的に決める「スコアリングモデル」について、一部行員が開業直後「極端に依存するのは危険」と進言したにもかかわらず、当時の経営陣が「すでに決まったこと」と無視していたことが22日、分かった。元行員が経営を不安視するリポートを提出していたことも判明。旧経営陣の独走が経営難を招いた構図が明確になった。
 都が経営再建のため提案している400億円の追加出資案は、与党の自民、公明が容認する方向で最終調整に入っている。都議会の定数は127人で、自民(48人)と公明(22人)で過半数を占める。26日の予算特別委員会での採決で可決される公算が大きいが、責任追及があいまいな状況での幕引きには都民の反発が予想される。
 新銀行の元行員によると、2005年4月の開業直後、中堅幹部が「スコアリングモデルだけに頼るのは危ない。返済されないケースもあるのではないか」と当時の経営幹部に訴えた。



日銀検査資料がネット流出・松江支店、「破綻懸念先」記述も
 日銀松江支店が管内の金融機関を検査した際に作成した内部資料の一部が、インターネット上に流出していたことが22日分かった。金融機関の取引先の会社名を挙げて、「破綻懸念先」に変更したことを示す記述がある資料も含まれていた。松江支店の吉岡伸泰支店長は同日記者会見し、行員の私物パソコンからファイル交換ソフトを通じて流出したことを認めた。
 松江支店によると、流出が確認されたのは管内の鳥取、島根両県の金融機関に対する検査計画や、過去の検査成績などに関する内部資料5種類。ただ、行員の私物パソコンには計40種類の資料が入っており、「流出がさらに拡大するおそれもある」(松江支店)としている。
 流出が確認された資料のうち、ある金融機関の2006年度決算見込みに関する資料には、3社の取引先会社名を挙げて「要注意先」や「要管理先」から「破綻懸念先」へ変更したことを示す記述もあったという。



中国物価高「耐えられない」49%・人民銀調査、過去最高に
 中国人民銀行中央銀行)が2月に実施したアンケート調査で「物価が高すぎる。受け入れがたい」と答えた人が全体の49.2%に達した。前回(昨年11月)調査の47.6%を上回り、過去最高を更新した。チベット騒乱のぼっ発で社会不安の芽が頭をもたげているだけに、中国政府にとってインフレ抑制は一段と重い課題になりそうだ。
 調査は2月中旬から下旬にかけて都市部の約2万世帯を対象に実施した。



IMF、政府系ファンドに規範・8月草案、透明性や説明責任
 【ワシントン=米山雄介】国際通貨基金IMF)は21日、金融市場で影響力を増している政府系ファンドについて、「最良の慣行」としてファンドに求める行動規範の草案を8月までにまとめる方針を確認した。投資内容の透明性向上や説明責任の明確化などが盛り込まれる見通し。草案をたたき台に約2カ月間で内容を詰め、今秋の年次総会で正式に決定したい考えだ。
 IMFは同日の理事会で、政府系ファンド問題の論点を整理。原油高や経常収支の不均衡で新興国の外貨準備が積み上がる結果、世界で2兆―3兆ドル(約200兆―300兆円)とされる政府系ファンドの資産規模が、5年以内に6兆―10兆ドル(約600兆―1000兆円)に膨らむと予測した。
 ファンドの投資行動については、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で損失を被った大手銀行への出資を前向きに評価。一方、ガバナンス(統治)のあり方や投資内容の透明性などに問題があると指摘した。



連続児童殺害 裁判員ならばどう裁くか(読売社説)
 死刑か、無期懲役か、微妙だったことが、判決文からうかがえる。来春以降、裁判員は、こうした重い判断を迫られることになる。
 秋田県藤里町の連続児童殺害事件で、秋田地裁は、殺人罪などで死刑を求刑されていた畠山鈴香被告に無期懲役の判決を言い渡した。弁護側は控訴した。
 畠山被告側は、近所に住む男児の殺害は認めていた。
 一方で、橋の欄干から突き落としたとされる長女への殺意は否認した。抱きつこうとしてきた長女を手で振り払ったことによる過失致死だと主張していた。
 物的証拠はなく、検察側は、被告が普段から長女を疎ましく思っていたとする知人の証言などを殺人罪立証の拠(よ)り所にしていた。
 判決は、検察の主張通り、両事件とも畠山被告に殺意があったと認定した。だが、いずれも「計画性はない」と判断し、気持ちが不安定な状態での衝動的、突発的な犯行だったと結論付けた。
 これが、死刑ではなく、無期懲役になったポイントだろう。判決が、「生命をもって、贖罪(しょくざい)を求めることも十分に考えられる」と触れているように、紙一重の判断だったとみられる。
 来春に導入される裁判員制度では、今回のような重大事件が対象になる。殺意があったか。計画的か衝動的か――などを、裁判員は示された証拠から判断しなければならない。
 裁判員心理的重圧は、計り知れないものがある。
 今回の事件では、初公判前に裁判官と検察官、弁護人が裁判の争点を絞り込む「公判前整理手続き」が行われた。公判期間を短縮するためのものだ。
 通常は、数回で終了するが、今回は12回も開催しなければならなかった。難事件であったことを物語っている。
 公判自体は、昨年9月から約半年で判決を迎えた。月最高4回のペースで、計14回の公判を集中的に開いた。
 最高裁は、裁判員対象事件の公判のほとんどは、5回以内で終了すると見込んでいる。だが、被告が否認しているような事件では、公判前整理手続きをしても、そうはいかないケースがあるだろう。今回の公判が典型例だ。
 難事件の担当となった裁判員は、仕事のやりくりなどで、かなりの負担を強いられるだろう。
 審理を尽くし、裁判員の負担にも配慮する。裁判員制度の運用上の難点といえよう。