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ネット規制に見る日英のちがい・成長産業を抹殺する自民案(Column)
 面白い偶然だが、日本と英国の双方でネット規制に関する法案が現在検討されている。しかしその内容は大きく異なる。一言で言えば、日本は規制でネットを殺そうとしているのに対し、英国は規制によりネットを真っ当なメディアにしようとしているのだ。両者を比べてみると日本の政治のネットに対する認識の低さに驚くばかりだ。
自民党案に見る未成年フィルタリング
 日本でネット規制を主導しているのは行政ではなく政治である。しかも、自民党民主党の双方が、ほぼ同じ内容の新法の提案を検討している。2つの法案に共通するキーワードは「青少年の健全な育成」、すなわちネット上での有害サイトや未成年の援助交際が社会問題となったことへの対応である。
 自民党で検討されている法案の骨子を見ると、この新法のポイントは以下の3点である。
・ 携帯電話会社に対する未成年フィルタリングの義務化
・ ウェブサイト管理者に対する有害情報(青少年に悪影響を与える情報)の削除義務
・ インターネット接続事業者(ISP)に対する有害情報の削除義務
 携帯フィルタリングについては説明不要だろう。昨年12月に総務大臣が携帯キャリアに要請した未青年者を対象とした携帯サイトの閲覧制限だが、自民党案ではこれと同じ規制を法律で義務化しようというのである。さらに、携帯に加えパソコンを使ったインターネットでも、ウェブサイト管理者やISPに有害情報の削除義務を課そうとしている。
 もしこの法案が成立したら、日本では青少年保護のためにブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、動画配信などの成長産業を見捨てますと宣言するに等しい。有害情報削除の義務付けは、間違いなくネット利用を萎縮させることになるからである。(ついでに言えば、この法案は憲法違反の可能性も大きい。単純に適用してしまうと青少年に有害とされる情報は成人もネット上で見られなくなり、表現の自由や知る権利が制約されるからである)
 つまり、日本の政治は、ネットをメディアや産業として成長させることよりも青少年保護の方が重要であると宣言しているのだ。青少年保護のためには自主規制などほかに政策手段が存在するにも関わらず、ネットに対する弊害が最も大きい手段を選んでいるのだから、そう判断せざるを得ない。
■メディアの成長目指す英国のネット規制
 これに対し、英国では行政レベルでネット規制の立法化が検討されているが、その動機や内容は日本と全く異なる。
 英国では、年間600万人のブロードバンドユーザーが違法にコンテンツ(音楽、映画など)をダウンロードしており、英国のクリエイティブ産業(コンテンツ、メディア、文化などの知的財産権に基づくビジネス)に大きな被害をもたらしている。そうした状況を踏まえ、クリエイティブ産業の振興策の一環として、ISPに対して違法コンテンツのダウンロード防止を義務づける法案の検討が、先月から始まった。来年4月までに法制化されるようであり、その詳細はまだ不明であるが、おそらく違法コンテンツのフィルタリングや削除をISPに求めることになるのではないだろうか。
 ちなみに、自主規制の範囲では、既に同様の取り組みが様々な国で始まっている。例えばフランスでは昨年11月、違法コンテンツの監視とフィルタリングの実験を始めることでISPとコンテンツ側が合意し、サルコジ大統領もこれを歓迎している。米国ではAT&TなどのISPが自主的に違法コンテンツ監視技術の開発に取り組んでいる。
 ネット上での自由を極端に重視する立場からはこうした規制は許し難いものであろうが、少なくともネットを真っ当な流通手段、メディアとして成長させようという政府のスタンスは評価すべきではないだろうか。
■ネットを犠牲にする日本の政策
 以上から、日英のネット規制の違いは明らかであろう。日本では青少年保護のためにネットの成長を犠牲にしようとしているが、英国はネットを成長させるために規制を導入しようとしているのである。当然、英国でも青少年保護の問題はあるはずであるが、それについての議論は今回の法案検討のなかでは一切聞こえてこないので、自主規制などの妥当な手段でしかるべき対応が行われているのであろう。
 こうした日英の議論の差を見るにつけ、いよいよ絶望的な気分になってくる。日本でのネット規制の議論の方向性では、ネットやデジタルの恩恵が経済や社会に行き渡るはずがないからである。ネットもしょせんは流通手段に過ぎず、その意味で本やテレビといったリアルの世界と何ら違いはない。
 例えば、本屋では子どもでも成人向け雑誌などを見ようと思えば見ることができる。それなのに、リアルの流通は規制しないでネットだけ完璧に規制しようというのは、ある意味ネットに対する「差別」である。日本は着実にネット後進国への途を歩んでいるのである。
■「政策の失敗」を繰り返してはならない
 経済政策の観点から考えると、今回のネット規制法案は過去一年半繰り返された「政策の失敗」の延長であることも強調しておきたい。
 読者の皆さんは「コンプラ不況」「政策不況」という言葉をご存じだろうか。過去一年半の間、コンプライアンス(法令順守)ばかりを重視し過ぎて間違った政策が講じられた結果、経済に多大な悪影響が生じているのである。その代表例は、貸金業法の改正である。
 多重債務者の問題がメディアで大きく取り上げられたのを受け間違った法改正を行った結果、中小事業者向け金融が大打撃を受け、いまや地方のパチンコや外食などのサービス産業がどんどん倒産している。
 こうした「政策の失敗」はほかにもたくさんある。建築基準法の改正、金融商品取引法の制定、空港外資規制の導入の検討など、枚挙にいとまがない。財政政策や金融政策での「政策の失敗」に加え、個別の政策でも失敗が続くので、外国人投資家が日本を見捨て、現在の株安の引き金となっているともいえるのだ。
 今回のネット規制は、これらの「政策の失敗」と同根である。成長産業であるソーシャルメディアやデジタルメディアを殺しかねない点で、将来的な影響はより大きいであろう。それにも関わらずネット規制法案を提出しようとしている国会議員は、国民の代表として失格であると言わざるを得ない。青少年保護のための対応はほかの政策手段でも可能であり、複数の政策手段のメリットとデメリットを冷静に比較考量したうえで、対応策を決定すべきである。
 ちなみに、政党のみならず官邸の一部政治家も今回のネット規制法案に乗り気であると聞いたが、もしそれが本当ならば、政権として成長戦略を重視する姿勢と明らかに矛盾していることも指摘しておきたい。



米航空大手、原油高で相次ぎ追加リストラ
 【シカゴ=毛利靖子】原油高騰への対応策として、米航空大手が相次いで追加リストラに踏み切る。業界3位のデルタ航空は2000人の希望退職を募集するとともに、旅客機の購入を延期する。2位のユナイテッド航空も低採算の米国内線の減便を上積みし、運賃も上げた。燃料費は一段と上昇しており、業界再編を模索する動きが続きそうだ。
 デルタが募集する早期退職の対象は地上職や管理部門の従業員。最低でも2000人、全体の約4%に相当する人員を削る。小型機の購入取りやめやリース契約解消で、旅客機も本体と子会社の合計で35―45機減らす。当初、5%を予定していた国内線の減便を10%に拡大し、コスト削減額を計画より4割上積みする。好採算な国際線は拡大する。



08年の米新車販売台数、1500万台割れも・調査会社が予測
 【ニューヨーク=武類雅典】米調査会社J・D・パワー・アンド・アソシエイツは18日、2008年の米新車販売台数の見通しを従来予想より約5%少ない1495万台に引き下げた。1995年以来13年ぶりの1500万台割れになるという。個人消費の減退やビッグスリー(米自動車大手3社)の不採算取引縮小で、販売不振が続くと予測した。
 07年の米新車販売台数は1615万台(米オートデータ調べ)。自動車業界では、08年の販売台数が10年ぶりに1600万台を下回るとの見方もあったが、J・D・パワーの予測はさらに厳しい。同社は1月と2月の販売低迷を受けて見通しを下方修正した。
 J・D・パワーによると、一般消費者向けの販売台数が07年の1280万台から1230万台に減少する見通し。法人向けを合わせた全体の販売動向に関しては、4―6月期は1―3月期より販売ペースが落ちると予測している。



MIAU、“準児童ポルノ”違法化を訴える日本ユニセフ協会に質問状
 インターネット先進ユーザーの会(MIAU)は18日、日本ユニセフ協会に対して、“準児童ポルノ”に関する公開質問状を送付した。児童の性的虐待を描いたアニメやゲームなどの“準児童ポルノ”違法化を主張する日本ユニセフ協会に対して、「どのような判断基準なら表現の自由を損なわないか」などと質問している。
 日本ユニセフ協会では11日、「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンを開始。その中では、児童の性的な姿態や虐待などを描写したアニメ、マンガ、ゲームに加えて、18歳以上が児童を演じるアダルトビデオなども“準児童ポルノ”として、違法化することを訴えている。
 この動きに対してMIAUは、児童を性的被害から守り、性的商業的搾取被害を防止するという目的には賛同。その上で、“準児童ポルノ”の問題について、インターネットユーザーが議論するための資料を提供するために、公開質問状の送付に至ったとしている。公開質問の回答期限は3月28日とし、回答はMIAUの公式サイトで公開する。
 公開質問では、“準児童ポルノ”を一律に違法化することは、表現の自由接触する恐れがあると指摘。その上で、日本ユニセフ協会はどのような判断基準であれば、表現の自由を損なわないと考えているかと質問。具体的には、「どのような基準で児童と判断するか」などを聞いている。そのほか、“準児童ポルノ”の閲覧と実際の接触犯罪との因果関係の有無など、全部で9問で構成されている。




携帯向け違法音楽配信対策テレビCMに人気アーティストが出演
 日本レコード協会RIAJ)は、人気アーティストが出演したテレビCMを3月22日〜4月6日にかけて放映する。テレビCMは、携帯電話向けに行なわれる違法な音楽配信への対策の一環となる。
 今回のテレビCMは、「携帯音楽を守りたいキャンペーン」の一環として提供される。同キャンペーンは、若年層の携帯電話ユーザーに向けて、昨年6月から行なわれている著作権啓発活動となる。RIAJでは「携帯電話向けの音楽配信市場は2007年で約680億円規模で、音楽産業の柱の1つ。一方で、違法行為が急増しており、アップロードされた音楽ファイルのうち、1年間で約4億ものファイルがダウンロードされたと推定している」として、違法行為が発展の阻害要因になったとしている。
 テレビCMには、伊藤由奈DJ OZMABONNIE PINKら5組のアーティストが出演し、若年層ユーザーに向けて、違法な音楽ファイルを利用しないよう訴えるものとなっている。テレビCMには、文化庁総務省経済産業省警察庁が後援し、著作権者団体や通信事業者、コンテンツプロバイダが協賛・協力している。



ヤフー、芸能人などの公式サイト集めた新サービス
 ヤフーは19日、芸能人やスポーツ選手など著名人の公式サイトを集めた新サービス「ヤフー!ファンクラブ」を始めた。著名人・団体の公式サイトを登録し新着情報の紹介などを通じて各サイトに誘導するほか、決済代行サービス「ヤフー!ウォレット」を使うことでグッズやコンテンツ販売での課金が簡単にできるようにした。
 同サービスは音楽情報提供のオリコン子会社でネット事業を統括するオリコンDD(東京・港、米谷昭良社長)と共同で運営する。開始にあたり藤井フミヤさん、徳永英明さんら人気ミュージシャンや、プロゴルファーの諸見里しのぶさんら計49の公式サイトを登録した。年内に200程度まで増やす。
 サイト開設者は既存の公式ホームページを残したまま、ヤフーにサイトを作れる。会員制にして課金できるほか、グッズや音楽ファイルをサイト上で販売できる。一般利用者は一覧表示から興味のある公式サイトを探せるほか、ヤフーのIDで会員登録したサイトにログインできる。