ウィルコム、他社通話も定額 1回10分内で月500回 月980円、国内初のサービス

ウィルコム、他社通話も定額 1回10分内で月500回 月980円、国内初のサービス
 会社更生手続き中で、ソフトバンクが年内にも完全子会社するPHS会社のウィルコムは、毎月の基本料と別に980円の追加料金を支払えば同社の加入者同士だけでなく、他社の携帯電話や固定電話への国内通話も無料となるサービスを始める。他社への通話を対象とした定額サービスは国内初で、世界的にも珍しい。通話料の安さを武器に加入者を伸ばし、早期再建を目指す。
 「だれとでも定額」の名称で3日から始める。他社通話が無料となるのは1回当たり10分以内の通話が対象で、通話回数は月500回まで。10分超過の場合は契約プランに応じた通話料、501回目以降は一律30秒21円の通話料を適用する。
 他社通話を対象とした定額サービスはこれまで通信各社が導入を避けてきた。他社通話の場合は通話時間に応じた接続料を通話相手の通信会社に支払わなければならないためだ。顧客が大量に通話した場合は採算割れの恐れがある。そこでウィルコムは無料対象とする他社通話の時間や回数に一定の条件を設けることにした。
 ウィルコムの加入者数は現在約374万人。携帯電話との競争激化で契約数の純減が17カ月続いている。同社はだれとでも定額沖縄県で4月から試験導入しており、沖縄県では5月から純増に転じた。全国展開を契機に3カ月以内で純増に転換させたい考え。
 大学生などに限定して提供してきた割安の料金プラン「新ウィルコム定額プランS」(月額1450円)も3日から対象を一般利用者に広げて販促を強化する。



GREEソーシャルゲームの月額課金に対応
 グリーは11月30日、GREE内でソーシャルアプリを提供しているパートナー企業向けに、月額課金が可能な「アプリコース」の提供を始めた。NTTドコモKDDIau)の端末に対応する。
 まずは芸者東京エンターテインメントが提供する「おみせやさんfor GREE」(約100万ユーザー)で対応。月額300、500、1000、2000コイン(1コイン=1円)のコースを用意した。ユーザーは、ゲーム内で作った商品を置けるスペースが増えるなどの特典を受けられる。
 アプリコースを活用することでソーシャルゲームメーカーは、個別アイテムごとの課金に加え、毎月安定した収入を定期的に得られ、ユーザーは、毎月自動的にアイテムがもらえるなど、新たな楽しみ方ができるとしている。今後は占い、芸能、音楽などでアプリコースの導入を進めていくとしている。



テレビ販売最高の600万台 11月、年間の6割相当
エコポイント駆け込み特需
 11月の薄型テレビの販売台数が、単月として過去最高の約600万台に達したもようだ。例年なら約1千万台とされる年間販売台数の6割を、1カ月で売った。1日から家電エコポイントの付与額が半減するため、駆け込み特需で販売が急伸。2010年通年は前年比8割増の2500万台以上に膨らむ見込みだが、今後は反動減も予測される。
 全国約4000店の家電量販店の販売動向を調査するGfKジャパン(東京・中野)によると、11月1〜28日の販売台数は前年同期比5.4倍。地域の家電店やインターネット通販などの販路も加味した推計では、11月の販売台数は約600万台に上る。過去最高だった10月の300万台強から倍増したようだ。
 各メーカーは増産を続けており、9月は前年同月比1.9倍の218万台、10月は同2.4倍の283万台を出荷した。11月もソニー三菱電機が一部工場を休日返上してフル稼働するなどの対応をしたが、特需に追いついていない。店頭は品薄状態で「11月に売ったテレビは少なくとも半数が家庭に届いていない」(大手家電量販店)という。
 12月以降は特需の反動減が生じる。特にボーナス商戦が終わった後の1月以降はエコポイントの対象商品が減ることもあり、「1〜2月が当面の販売の谷になる」(GfK)。制度が終了する3月には、再び駆け込みが起きる可能性もある。



ソニー、有利子負債が3年ぶり減少 3月末1割未満
 ソニーは2011年3月期末の連結有利子負債(金融部門を除く)を1兆100億円程度と前期末に比べて約1割減らす。減少は3年ぶり。金融危機後の需要急減を受けて借入金が増えていたが、液晶テレビデジタルカメラなどの販売が回復。キャッシュフロー(現金収支)が改善していることから、負債削減に踏み切る。
 今期中に返済期限を迎える長期借入金について借り換えを実施しない。3月末時点で手元流動性が9882億円あり、一部を返済に振り向ける。有利子負債は08年3月期末で9904億円だったが、08年末に十数年ぶりに邦銀から借り入れたほか、コマーシャルペーパー(CP)の発行などで増加していた。
 フリーキャッシュフロー(純現金収支)は09年3月期に3747億円のマイナスと落ち込んだが、10年3月期に3223億円のプラスに転換。今期も2期連続でプラスとなる見通しだ。液晶テレビなど主要製品の売り上げが回復。設備投資もピークの半分程度に抑制する。
 運転資金の効率化も寄与する。金融危機後、事業部門ごとに在庫管理の目標を設定して改善活動を推進。取引先に働き掛けて売掛金の回収早期化や買掛金の支払い延長にも取り組んでいる。



顔写真の立体感・つや自然に NECが補正技術
 NECは顔写真の肌の色をこれまでよりもきれいに補正できる画像処理技術を開発した。処理過程で失われがちだった肌のつやや立体感を自然に保ったまま、明るさを出せるのが特徴。携帯電話やデジタルカメラなどへの搭載を目指す。
 従来の補正は肌の色を明るく白くする補正が中心だった。全体的に“のっぺり”した印象の不自然な顔写真になる場合が多かったという。
 新技術は専用ソフトウエアで撮影済みの顔写真の画像データを分析。陰影や光の反射具合をもとに本来の顔のつやや立体感の情報を取り出す。肌の色を補正後、これらの情報を使って仕上げる。
 携帯機器でも使えるように処理方法を工夫、計算量を少なくした。携帯電話などに使われるCPU(中央演算処理装置)で、メールで写真をやりとりする際の画素数に相当する1メガ(メガは100万)ピクセルの画像を0.4秒で処理できる。
 ソフトをパソコンに入れ、顔写真がよく使われるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などに応用する方法も検討している。



マイクロソフトと米ITベンチャー、パソコンの起動速く ソフトを無料配布
 米IT(情報技術)ベンチャーのスプラッシュトップ(カリフォルニア州)は30日、米マイクロソフト(MS)と組み、高速で起動できるOS(基本ソフト)の無料ダウンロード(取り込み)を始めたと発表した。MSは「ウィンドウズOSの起動が遅い」と利用者から指摘されており、ITベンチャーと連携しパソコンの高速起動を実現する。
 新OSはMSの検索エンジン「ビング」を搭載。ウィンドウズを代替するのではなく共存し、ウィンドウズ用ソフトを使う際はそのための環境に切り替えるという。
 利用者はスプラッシュ社のサイトで新OSを無料で取り込んで使う。パソコンの電源ボタンを押して数秒で起動。検索画面が登場し、閲覧ソフトを開かずにウェブサイトを検索したり、メールを送受信したりできる。
 MSは高速起動を売り物に、近く搭載パソコンが登場するとみられるグーグルのパソコン用OS「クロームOS」の機先を制する。検索事業でグーグルに差をつけられており、検索事業での巻き返しも狙う。



欧州委、独禁法違反で米グーグルの正式調査開始
 【ブリュッセル=工藤武人】欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は30日、インターネット検索最大手の米グーグルが、その支配的な地位を利用し、EU競争法(独占禁止法)に抵触する可能性があるとして正式な調査開始を決めたと発表した。
 欧州委はグーグルが、検索結果を操作したり、広告主に対し競合他社への広告掲載を制限したりして、競合他社の締め出しを図っていないかどうかを調べる。
 欧州委は今年2月、英国などの検索サイト3社から苦情申し立てを受理、予備調査に着手していた。



富士電機、ハードディスク国内生産をマレーシア移管
 富士電機ホールディングスは30日、ハードディスク(HD)事業を再編すると発表した。2011年度中に国内拠点のHDの開発・生産機能をマレーシアの拠点に集約。拠点を一つにまとめることで、赤字が続く同事業の立て直しを目指す。
 HD事業子会社の富士電機バイステクノロジーの山梨事業所(山梨県南アルプス市)から順次、マレーシア富士電機に機能を移管。HDの生産能力は維持する。山梨事業所はパワー半導体の拠点としての活用を探る。



【産経主張】政府のTPP対応 入り口論ならもう沢山だ
 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などの貿易自由化をにらみ、菅直人首相を本部長に全閣僚が参加する政府の「食と農林漁業の再生推進本部」の初会合が30日、開かれた。
 TPPは既に交渉が始まっている。政府は来年6月を正式参加の表明期限としているが、残された時間は少ない。会合は本来、参加を前提に具体的な対処方針を決める場でなければならない。その前提すら確認できなかったというのでは、何のための全閣僚協議なのか。菅首相指導力は無きに等しいといえる。
 民主主義国を主体に米国が事実上主導するTPPは、関税の原則撤廃などを目指す高いレベルの自由貿易圏構想である。日本にとって参加の見送りは、貿易立国としての基本を放棄するものだ。安全保障への影響も大きい。
 それが、いまだ参加の是非をめぐる入り口論で、政府の議論が終始している。信じがたい。
 国内に農業への打撃を懸念する反対や慎重論が、党派を超えて存在するのは確かだ。会合では、そうした不安の払拭に向け、国内農業の生産性向上や、国際競争力を高める知恵を政府として示すことも期待されている。
 そのためには、一定の戸別所得補償も必要だが、単なるバラマキでは意味がない。生産規模の拡大や品質向上に取り組む農家の優遇に振り向けることが重要だ。
 TPP参加の判断時期をめぐっては、本来なら率先推進の立場であるはずの大畠章宏経済産業相ですら、11月26日の衆院経済産業委員会で「来年の秋ごろ」と早くも見通しを後退させている。
 初会合後の記者会見で鹿野道彦農水相は「TPP参加を前提に本部を設置したわけではない。6月に判断する理由はない」と述べ、玄葉光一郎国家戦略担当相も同趣旨の発言をしている。鹿野、玄葉両氏とも再生本部の副本部長だ。いずれも耳を疑う発言だ。
 首相は初会合で全閣僚に、「今度こそ日本の農業が世界に誇れる力を持って再生できるよう奮闘をお願いしたい」と訴えたが、TPP参加をめぐる菅政権の姿勢は、明らかに後退を続けている。
 先のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の議長を務め、日本のTPP参加は「新たな開国」とうたい上げたのは、菅首相その人ではなかったか。