(∩゜д゜)ア-ア-新聞

ミクシィやグリー、「つながるボタン」で陣取り合戦
外部サイトと連携、SNS機能を強化
 国内の交流サイト(SNS)各社の新たな覇権争いが始まった。舞台となるのは画面上に表示する小さな「ボタン」。ネット通販や情報サイトなどと連携し、画面に知人や友人に「お気に入り」の情報を簡単に伝えられるボタンを設ける動きが加速している。会員のコミュニケーションの幅が広がるだけでなく、企業も新たなマーケティングの手法として注目する。
 国内最大級の比較サイト「カカクコム」。お気に入りの家電を選ぶと画面内に「mixiチェック」というボタンが表示される。ボタンを押すと自分のSNS上の友人にお気に入りの家電の存在を伝えることができた。
 これはSNS大手、ミクシィが今月10日開始した外部サイトとの連携サービス「mixiチェック」。興味や関心を持った情報を、そばに表示されたボタンを押すだけで、SNS「mixi」上の友人に知らせて共有することができる。
ソーシャルグラフ」に企業が注目
 10日ミクシィが開いた発表会にはカカクコムのほか、「楽天市場」や「ヤフーデコレーション」「食べログ」といった、国内を代表する約40サイトが応じた。
 登壇した楽天の中島謙一郎常務執行役員は「ウェブ検索は既にあるニーズを満たすものだが、ソーシャルマーケティングはこれまでなかったニーズを創出できる」と強調した。
 会員が2000万人を超えるmixiの会員間のネットワークが、情報を人から人につなげてくれるからだ。このつながりは「ソーシャルグラフ」とよばれ、各企業からマーケティング上の貴重な資源として注目を集め始めた。
 ミクシィ笠原健治社長は「友人がつながるソーシャルネットがさらに大きく拡大しており、地殻変動を引き起こしている」。中国、韓国の最大手のSNSと提携し、ゲームなどのコンテンツを相互供給することも視野に入れている。
 10日、ミクシィの発表会と同時刻。グリーも「mixiチェック」と同様のサービス「ソーシャルフィードバック」を開始することを発表した。
 グリーが設置するボタンは「いいね」「おすすめ」など。同様にグーグル、マイクロソフトなどが連携することを明らかにしたが、じゃらん、カカクコムなど「mixiチェック」にも連携するところもある。
 グリーは携帯向けの釣りゲーム「釣りスタ」などの人気ゲームを開発・運営するなど、ゲームを中心としたSNSだったが、ソーシャルグラフの活用も追求することになる。
 グリーの田中良和社長は「我々はエンターテインメントを追求している企業。ゲームだけに限定しているわけではない」と宣言する。ただミクシィとは異なり、「利用者は、あまりどんなタイプの友人かというのを意識しているわけではない。本当の、バーチャルな友人が同じSNSで共存できる」と強調する。
DeNAは「ライバル」を活用
 少し異なる立場をとるのが、SNS「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)だ。ライバルとも言えるミクシィの発表会にDeNAの守安功取締役が登壇して周囲を驚かせた。
 守安氏は「ソーシャル(グラフの活用)はミクシィさんに任せることにします」と会場の笑いを誘った。ミクシィのボタンを活用して、DeNAが手がけるゲームをミクシィの会員にも知ってもらう戦略に出た。
 DeNAが力を入れるのは、SNS上で提供する「ソーシャルゲーム」だ。携帯電話向けの宝探しのソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」がヒットしているほか、海外のソーシャルゲーム開発会社を買収して、昨年から米アップルの高機能携帯電話「アイフォーン」の海外版にゲームを配信する。
 こうしたゲームは実際の身近な友人が会員基盤のミクシィと比べ、ゲーム上で出会った本名も知らないバーチャルな友人関係を基盤にしている。むしろ「mixiボタン」の活用などで「ソーシャルゲームで世界一になる」(南場智子社長)ことを目指す。
 2000万人規模の会員を有する3社が乱立する国内市場。今年に入り、全世界で5億人の会員を擁するSNS世界最大手、米フェースブックが日本でも本格的に活動を始め、競争は一段と加速している。
 フェースブックは米国ではパソコン向けサービスが中心だが、日本向けに携帯版を開始。今月中旬には、今いる場所を友人と共有できる携帯電話の位置情報サービスの日本版を始める。手薄な地域の一つである日本の“つながり”を飲み込むつもりだ。
 個人間のネット上のつながりをもとに始まった国内のSNS市場。だが、単純な「つぶやき」を広める機能はツイッターに奪われるなど、環境は急速に変化している。通販や情報サイトとの連携や、新機能の追加でどこまで利用者を取り込めるかが問われる。



最高検・捜査チーム、前特捜部長らを聴取
 郵便不正事件を巡る証拠品のフロッピーディスク(FD)改ざん事件で、最高検の捜査チームは23日午後、証拠隠滅容疑で逮捕された大阪地検特捜部の主任検事・前田恒彦容疑者(43)の上司だった大坪弘道・前特捜部長(現・京都地検次席検事)と佐賀元明・前副部長(現・神戸地検特別刑事部長)の事情聴取を始めた。
 聴取は東京・霞が関の検察合同庁舎内で行われている。
 大坪前部長らは今年2月初め頃、FDの改ざんについて、前田容疑者から「故意ではないが、自分がFDを操作した可能性がある」と伝えられたとされる。
 最高検の捜査チームは、大坪前部長らが、前田容疑者の改ざん行為を、どこまで把握していたかについて詳しく聞く方針。



中国、レアアースの対日輸出禁止か 米紙報道、当局は否定
 【北京=多部田俊輔】米紙ニューヨーク・タイムズ中国当局が電気自動車(EV)や家電製品の生産に不可欠なレアアース(希土類)の対日輸出を禁止したと報じた。尖閣諸島沖で起きた海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件を巡って、日本側に拘置中の船長釈放の圧力をかける狙いがあるとみられる。ただ、中国商務省の広報担当者は23日、日本経済新聞の取材に対し、「レアアースの対日輸出は禁止していない」とニューヨーク・タイムズの報道を否定した。
 ニューヨーク・タイムズは匿名の業界関係者の話として伝えた。中国の税関当局が日本へのレアアースの船積みを制止しているという。日本の業界関係者も一部のレアアースの輸出業務が税関で停止措置を受けているとの情報があると話している。



中国人観光客4800人、宿泊キャンセル…山梨
 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の影響で、山梨県内では少なくとも甲府、笛吹、甲斐、富士河口湖の4市町の6宿泊施設で計約4800人の中国人観光客が宿泊をキャンセルしたことが読売新聞甲府支局のまとめで分かった。
 中国の建国記念日にあたる10月1日の国慶節に伴う連休を控え、中国人を多く受け入れてきた県内観光地は日中関係悪化の長期化を懸念している。
 中国の日用品大手「宝健日用品有限公司」が東京―大阪間を旅する「ゴールデンルート」の社員旅行を中止した。このため10月11日から下旬にかけて社員が順次泊まる予定だった富士河口湖町の「富ノ湖ホテル」では中国人約2000人の宿泊がキャンセルになった。
 甲府市の「甲府富士屋ホテル」も10月15日から予定されていた同社の社員約100人の宿泊がキャンセルに。
 甲斐市の温泉施設「湯〜とぴあ」には22日、「尖閣諸島問題の影響を受けて(中国人の)ツアーはキャンセルとなってしまいました」と書かれたファクスが大阪の旅行会社から届いた。9月下旬〜10月前半に泊まる予定だった約40団体の計約1600人がキャンセルすることになり、早川善輝社長は「対策のしようがない」と困惑していた。
 笛吹市石和温泉郷でもキャンセルが相次いでいる。「ホテル平安」では5団体計約200人の中国人が宿泊をキャンセルすると連絡があったほか、同温泉郷の別の2ホテルでも中国人計約900人の宿泊がキャンセルになったという。
 県内で暮らす中国残留孤児らを支援し、日中友好活動を行っている県日中平和友好会の上條行雄会長(72)は「8月5日に中国大使館の職員や家族37人を県内に招き、桃狩りや鳴沢氷穴で交流を深めたばかりで、こんな事態は想像もしていなかった。日中双方に冷静な対応をしてもらいたい」と話している。



日系工場でまた賃上げスト 中国・深●(=土へんに川)
 23日付の香港紙、蘋果日報によると、中国広東省深●(=土へんに川)市竜崗区にある日系企業事務機部品工場で21日、賃上げを求めるストライキが発生した。1100元(約1万4千円)の月給を最低200元アップするよう求めているという。
 蘋果日報が地元テレビの報道として伝えたところでは、21日朝、千人近くの工員が一斉にストに突入。うち数百人が工場の門の前で座り込みを行った。
 中国では今年5月以降、各地の日系工場などで賃上げストが相次いだが、広東省では8月以降、ほぼ終息していた。



米ビデオレンタル最大手が破綻へ ネット普及で業績悪化
 経営難に陥っている米最大のビデオレンタルチェーン、ブロックバスターが数日中に連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻する見通しが強まった。米メディアが22日、一斉に報じた。
 インターネットの普及により、家庭で映画などのソフトを手軽に楽しむことができるようになったため、同社の利用客は激減。業績が大幅に悪化していた。
 米メディアによると、同社は約9億ドル(約760億円)の負債を抱えており、破産法を申請して、その後経営再建を目指す考えという。同社は2004年のピーク時には米国を中心に約9100店舗を抱えていたが、その後は業績不振のために店舗閉鎖が相次ぎ、8月時点では5800まで店舗を減らしている。



FDデータ改ざん、痕跡はこうして残る
 大阪地検特捜部の元主任検事が証拠隠滅容疑で逮捕された事件で、捜査資料のフロッピーディスク(FD)の中身を改ざんするのに使ったとされる専用ソフト。ファイルの更新日時などを書き換えられる「タイムスタンプ変更ツール」とも呼ばれている。
 こうしたツールは本来、「CD−ROMに格納して販売するソフトのファイルの更新時間をそろえたり、所定の期日に納入した電子文書を修正してから納期前の日付にさかのぼって変更したりする用途で使われる」(セキュリティー会社ラックの西本逸郎取締役)という。現在は、有料から無料のものまで多数のソフトがダウンロードサイトから簡単に入手できる。
ファイルに残る2種類の日付データ
 改ざんされたワープロ文書の更新日時は、ファイルの「プロパティ」と呼ぶ欄に記載されている。ここにはファイルの「名称」「種類」「データサイズ」のほか、タイムスタンプと呼ぶ「作成日時」「更新日時」「アクセス日時」などが自動的に記録される。
 このタイムスタンプは通常、手動で書き換えることはできないが、変更ツールを使うと任意の日時に変えることができるようになる。今回の事件では、更新日時を本来の「2004年6月1日」から「2004年6月8日」に書き換えたとされる。
 しかし、FDに記録された文書ファイルは、大きく二つの日付データで管理されている。一つは「Windows」などの基本ソフト(OS)がファイル管理用に記録している日付データ。もう一つは、マイクロソフトの「ワード」などアプリケーションソフトが独自にファイルの中に記録する日付データだ。通常のテキストファイルは前者だけしかない。後者は、アプリケーションソフトが文書の作成者や更新日付、更新履歴といった情報をファイル内に埋め込んで記録し、アプリケーションソフトごとに個別の方式でファイルの中に格納している。ワードの場合、この二つの日付データは、プロパティ情報として別々に管理されており、解析ソフトなどを使わなくても照合できる。
 このうちOSの日付データだけを変更ツールで書き換えても、アプリケーションソフトが記録した日付と照合することで二つの日付に矛盾が生じてしまう。結果として、日付データがなんらかの形で改ざんされたことを確認できるわけだ。一般に使っているだけでは気付きにくいが、アプリケーションソフトは表から見えない多くの情報をファイルに記録している。
 もちろん一部には、OSが認識する日付データだけでなく、アプリケーションソフトが記録する日付まで変更できる機能を備えたツールもある。しかし、日付情報以外でファイルが書き換えられた痕跡を見つけ出す方法も存在している。
 例えば、FD上にデータを記録する物理的な順番。FDでは原則、更新された時間が古い順にデータを物理的に記録していくが、ファイルの更新日時が改ざんされるとこの順番に矛盾が発生する場合がある。また、磁気メディアであるFDに残った残留磁気を科学的に読み取ることで矛盾を検出する方法もある。これは専用の装置を使い、更新日時として記録された時期と現時点の磁気の強さから推測される更新時期を比較することで検証できる。
使用機器の調査で矛盾が明らかに
 セキュリティーの専門家はこうしたいくつかの項目をチェックしていくことで、初歩的な改ざんならたいてい発見できるという。ただし、「FD内のテキストデータに限れば、改ざんした痕跡を残さないようにできるかもしれない」とラックの西本取締役は語る。セキュリティーに詳しいS&Jコンサルティングの三輪信雄社長も「状況証拠まではそろえられても、すべての場合で改ざんがあったと断定することはできない」という。
 こうしたケースでは、FDといった媒体から得られる情報だけでなく、改ざんに使用したパソコンや元のデータがあったサーバーなど関係するすべての機器を検証し、ファイルを操作した連続性の中から矛盾を検出していく。
 例えば、パソコンのシステム日付をずらしてデータを上書きすればFD内のデータの更新日時を改ざんすることはできる。しかし、データを変更したパソコンの履歴データにシステム日付を変更したという記録が残る。また、変更ツールをインターネット経由でダウンロードしたといった履歴情報も、改ざんを疑う状況証拠としては効力を発揮する。なんらかの偽装をした以上、矛盾なく全体の整合性を取ることは難しくなる。
デジタルデータ、厳密な保全が必要に
 今回の事件では、捜査当局が押収したFDをどのように取り扱っていたかも疑問視されている。デジタルデータが裁判の重要な証拠となりうるような場合、捜査当局はまず原本が改ざんされていないことを明確にする必要がある。例えば、証拠となるデジタルデータを押収した時点で媒体の完全なコピーを取ってからコピーの方を検証するなど、物理的な情報を保全しておく。セキュリティー会社では、デジタルデータの検証を委託されると記録媒体を実際に扱う様子をビデオに記録し、複製処理や更新処理といった経緯をすべて残すという手続きを踏むことが多いという。
 デジタルデータが裁判の結果を左右するほど重要な証拠として扱われる機会は今後も増える。データを扱う立場には、厳密なデータ保全と公正な扱いを証明する仕組みが必要になる。