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mixi meetup 2010:モバゲーも家電もmixiにつながる 「Webをソーシャライズ」宣言
 mixiがオープン化に大きくかじを切った。9月10日に開いた業界関係者向けイベント「mixi meetup 2010」で、大胆なAPI公開や、他社サービスとの連携を発表。モバゲータウンやYahoo!JAPANなど競合とみられてきた大手サービスとも連携するほか、スマートフォンなど情報家電とも連携していく。
 「ネットが登場して20年。これまではサーバとサーバがつながっていた。今後は人と人がつながり、感情を流通させるソーシャルネットワークが拡大していく」――ミクシィ笠原健治社長は、mixiソーシャルネットワークサービス(SNS)から「ソーシャルグラフプロバイダー」(SGP)に変わると話した。
mixi Plugin」と「mixi Graph API」提供
 外部サイトにHTMLコードを貼り付けるだけで、mixiと手軽に連携させられる「mixi Plugin」と、外部サイトや情報家電に組み込めるAPImixi Graph API」を提供。パートナー企業だけでなく、一般個人にも開放していく。
 mixi Plugin第1弾として、外部サイトに「mixiチェック」や日記、ボイス、カレンダーの投稿ボタンを置けるタグ(mixiチェックボタン/SimplePost)の提供をスタート。HTMLコードを埋め込むだけで、Webサイトに投稿ボタンを設置できる。今後、「イイネ!」ボタン用タグなどほかの機能も提供していく。
 mixi Graph APIは、mixi Pluginより複雑な機能を組み込めるAPIセット。ECサイトで購買と同時にmixiに投稿したり、外部のブログサービスにmixiのプロフィールを置いたり、スマートフォンの電話帳にmixiの友人関係を反映させたりなど、mixi Pluginより深く連携させられる。
モバゲーもYahoo!も楽天mixiにつながる
 楽天やヤフー、ディー・エヌ・エーDeNA)、はてななど、大手を含む30社50サイトが、同日までに「mixi Plugin」や「mixi Graph API」を導入。すでに「楽天市場」の商品画面や、「Yahoo!オークション」「モバオク」「はてなココ」などからmixiに投稿できるようになっている。
30社50サイトが同日までにmixiチェックなどに対応
 DeNASNSモバゲータウン」もmixiと連携させる予定。モバゲーの小説やゲームへのリンク、占いの診断結果などをmixiに投稿できるようにする。ミクシィDeNAは今後さらに深く協業していく方針。「新たなソーシャル事業の共同展開も検討している」と、DeNA守安功COOは話す。
 mixiとモバゲーは競合と見られがちだが、「mixiはリアルのソーシャルグラフを広げており、モバゲーはソーシャルゲームプラットフォームに注力しており、ユーザーの利用意向や特性、目指している方向がまったく違う」と守安COOは説明。「リアルのソーシャルグラフは、日本国内ではすべてmixiさんにお任せすればいい」と割り切った表情で、「モバゲーを使っている人は全員mixiを使ってもらい、ユーザーを積極的に重複させていきながら、3000万、4000万、5000万ユーザーを目指す」と話した。
 mixiとハードウェアの連携も進めていく。mixiに投稿できるデジカメなどはすでに発売されているが、今後は、HDDレコーダーやスマートフォンなど情報家電との連携を検討。パナソニックは、「DIGA」向け録画サービスで、友人が録画予約している番組が分かる仕組みの導入などを検討しているという。
 「Webをソーシャライズする」――mixiのオープン化やTwitterの普及などで、Webでトラフィックを集める手段が、検索エンジン最適化から「いかにバイラルを回すか」に移っていくと、ミクシィの原田明典副社長は指摘。「mixiソーシャルグラフの特徴を研究してもらい、どういうツールをどうチューニングすればバイラルしやすいか研究してもらえれば」と話す。
 mixiAPIを使ったサービスを提供するスタートアップ企業を支援するプログラムも準備しているほか、「次のプラットフォーム」も準備中。具体的には明かさなかったが、「mixiソーシャルグラフを使って新しい事業をインキュベーションする場所」(原田副社長)を提供していくという。
 笠原社長は「ソーシャルグラフプロバイダーとして、人と人とのつながりをいかに豊かにし、いかに居心地良く維持するかに特化していきたい。つながった先で何ができるかは、みなさま方と一緒にやっていきたい」と、会場に集まった2000人近いネット企業関係者と、Ustreamライブ配信視聴者に呼びかけた。



遊びもスマートフォン 携帯ゲーム侵食 任天堂ソニーを刺激
 若者を中心に、スマートフォン(高機能携帯電話)を使ってオンラインなどでゲームを楽しむ人が増えている。増加の勢いは急で、それにゲーム専用の携帯機器の売り上げが圧迫されている。
 ◆手軽さ受ける市場
 ドイツに住むマックス・バッチさん(22)は、ゲームをしたくなると米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を手に取る。ソニーの「プレイステーション・ポータブル(PSP)」や任天堂の「ニンテンドーDS」といった携帯ゲーム機には関心がないという。「携帯ゲーム機はわざわざ買う価値もない」とバッチさん。
 バッチさんは携帯電話ゲームに月額約2ユーロ(約210円)を払っている。ドイツのケルンで8月に開かれたゲーム見本市でPSPを試してみたが、心は動かなかった。「アイフォーンがあるし、ゲームがしたくなればアップストアからダウンロードすればいい」と割り切っている。
 処理能力やグラフィック表示が、これまでの携帯電話より飛躍的に向上したスマートフォンは、任天堂ソニーの独占状態にあったゲーム市場をますます脅かしている。
 米調査会社アイサプライの8月の発表によると、ゲーム機能を搭載した携帯電話の2010年出荷台数は、前年比11.4%増の12億7000万台となる見込み。一方、家庭用ゲーム機の出荷台数は横ばいの5230万台、携帯ゲーム機は2.5%減の3890万台になると予想されている。
 アイサプライのリサーチャー、パメラ・トゥフェドジック氏は「手軽に遊べるゲームが市場で優位に立っている。アイフォーンはゲーム専用機であるDSやPSPと互角の競争を始めた。競争は今後も長く続くでしょう」と分析。アイサプライによると携帯ゲーム機の10年売上高は、前年比横ばいの50億〜60億ドル(約4200億〜5020億円)の見通しという。
 米マイクロソフトの双方向娯楽事業担当バイスプレジデント、クリス・ルイス氏は「国によっては、初めて使う電子娯楽機器がパソコンではなく携帯電話ということもある」という。そうした国のゲーム好きの若者ほど携帯志向が強まるわけだ。同社が10月にリリース予定のスマートフォン向け基本ソフト(OS)「ウィンドウズ・フォーン7」では、50タイトルのゲームが利用可能という。
 アップルのタブレット型コンピューター「iPad(アイパッド)」も、ゲーム機側には新たな脅威だ。また、東芝サムスン電子リサーチ・イン・モーション(RIM)なども同様の端末開発を進めており、ゲーム機メーカーはさらなる競争激化に直面する可能性がある。
 ◆業界利益を歓迎も
 世界全体のゲーム機市場も、ハードウエア部門での09年シェアは携帯電話が93%を占める一方、携帯ゲーム機は3%に過ぎない。とはいえ、ソフトウエア部門では、携帯ゲーム機ソフトが67.1%のシェアを誇る。
 携帯ゲーム機メーカーは、操作性や技術面での優位性をアピールしている。携帯電話のタッチスクリーンでは難しいことがある微妙な操作も、ゲーム専用機なら心配なしというわけだ。
 携帯電話やタブレット型コンピューターは従来型のゲーム機に取って代わるものではなく、ゲーム市場全体の拡大につながるという見方もある。ソニー平井一夫執行役は「携帯電話は利用者をゲームの世界に引き込む手段になる」と述べ、歓迎の意を表した。
 ドイツ任天堂ゼネラルマネジャー、ベルント・ファケッシュ氏は、スマートフォンと携帯ゲーム機の比較は「リンゴとオレンジを比べているようなもの」と、別ものであることを強調。ゲーム機の販売落ち込みは、スマートフォンの侵食によるものではなく、製品が市場に浸透しなかったためと断じた。



KDDI田中孝司次期社長会見速報「リソースの組み合わせで成長は可能」
 KDDIは10日、代表取締役執行役員専務の田中孝司氏が12月1日付で社長に就任する人事を発表した。小野寺正社長兼会長は代表権をもつ会長職に専念する。記者会見で田中次期社長は「(通信事業の)競争環境は大きく変わっている。新たな戦略を明確にする」と、出遅れたスマートフォン(高機能携帯電話)などでの巻き返しに向けて抱負を語った。会見での主な発言は以下の通り。
 ――このタイミングでの交代の理由は。
 小野寺氏「01年の社長就任から10年目に入り、KDDIも10月で発足10年となる。1つの節目だ。12月1日付としたのは来年度の経営計画を新たな社長のもとで決めるべきだと考えたから。交代については7月末に(田中次期社長に)話をした。8月は取締役会がないので9月になった」
 ――スマートフォンの出遅れで携帯電話事業は苦戦が目立ちます。課題は。
 田中氏「環境変化に即応できていなかった。モバイル(移動体通信)と固定通信のネットワークを持つ強みも生かし切れていない。私がまずやらなければいけないのは、戦略を明確にすること。そのうえで多様な人材のベクトルを合わせる」
 小野寺氏「フィーチャーフォン(従来型携帯電話)に少し固執してしまったのは事実。田中氏は私のようなトラディショナルな通信事業者に比べて、IT技術者としての側面を持っている。今の環境では強みになる」
 ――2010年で現在の中期計画が終わります。次期中計の方向性は。
 田中氏「現在作成中で、具体的な内容についてはご勘弁願いたい。多種多様なデバイストラフィック(通信量)を消費する時代がやってくる。当社のリソースを組み合わせれば、まだまだ成長は可能だ。過去10年は通信事業者が契約純増数を競う時代だったが、新しいプレーヤーが入り、競争環境は変化している。様々なアライアンスを組んで、新しいKDDIを作っていきたい」
 ――これまでに印象に残っている仕事は。
 田中氏「エンジニアとしては、合併前のKDD(国際電信電話)でメーンフレームのシステムをUNIXのオープン型に切り替えるというプロジェクトに携わった。オープン系のシステム、デバイスへの理解を深める機会になった。事業部門ではまず(高速モバイル通信会社の)UQコミュニケーションズの立ち上げだ。ライセンスを取って事業がある程度に育つまで経験できた。(法人向けの)モバイル・ソリューションの立ち上げを入れて、この3つが印象深い」
 ――後継者に選んだきっかけや理由は。
 小野寺氏「法人向けモバイルサービスは音声だけだった時代に、(業務効率化という)新しい概念を入れてモバイル・ソリューションを立ち上げ、リスクをとって新しい分野に進出した。彼ならやってくれるという思いを持った。UQコミュニケーションズでは、会社の立ち上げと運営そのものをゼロから経験している。ソリューション事業で築いてきた豊富なパートナーとの関係も生きてくると思う」
 ――会長と社長の役割分担は。
 小野寺氏「現業は社長がすべてやる。最高経営責任者(CEO)という用語は使っていないが、あえて言えば社長がCEO的役割を果たす。会長は対外関係と取締役会議長などコーポレートガバナンスの面で果たす役割がある」
 ――10年の長期政権となりました。自己採点は。
 小野寺氏「10年の間に交代を考えたこともあったが、後継者がしっかり育つまで、『彼ならば』と社員がついて行ける人が出てくるまで、やむを得なかったところがある。2000年10月に合併してから、方向性を決めるのが私の使命だった。モバイル、IP(インターネットプロトコル)の分野ではある程度のことができたと思う。ただ、最近の状況をみると、私が対応しきれなかった部分があるのも事実。採点は勘弁していただきたい」



コンビニ 猛暑・たばこ 反動懸念
 東京・銀座7丁目。昼時になると、オフィスビルの1階に設けられたイベントスペースに近隣のOLやビジネスマンが列をなす。ローソンが10月から発売する「焼きパスタ」の無料試食会を開いているためだ。
 焦げ目の付いたパスタにクリームソースを絡めた新商品。試食したOL(45)は「珍しい食感が気に入った」。口コミによる宣伝効果を狙って9月末まで約1カ月間、毎日200食を提供する。異例の販促は「先行き不透明な10月以降の備えでもある」という。
 日本フランチャイズチェーン協会がまとめた全国のコンビニエンスストア売上高(既存店ベース)は7月に前年同月比0.5%増と、14カ月ぶりに前年実績を上回った。猛暑で清涼飲料やアイスクリームなどが売れ、客数が2.3%増加。8月も記録的な暑さが続き、セブン―イレブン・ジャパンなど大手3社はプラスを維持した。
 「特需」は今月もある。たばこ増税前の駆け込み購入だ。たばこは売上高の2割以上を占めるが、9月は「前年の2倍に跳ね上がる」(ファミリーマート)。各社は日本たばこ産業(JT)などメーカーと共同で3カートン(1カートン=10箱)以上の購入客に景品をプレゼントするキャンペーンを展開、まとめ買いを促している。
 問題はこうした恩恵が消え去る10月以降だ。特需を除けば、消費者心理は改善が進んだとは決していえない。7月も1人当たり購入額である客単価は1.8%減。20カ月連続の前年割れで、「顧客が低価格の商品を求めたり、余計な物に手を伸ばさなかったりする傾向は変わっていない」(大手コンビニ)。
 「10月1日以降のたばこの反動減を補うために、新規顧客の開拓や客単価アップをはかる施策を中心に展開していく」。ファミリーマートの商品担当者は8月下旬、都内で開いた加盟店や取引先向けの下期商品政策説明会でこう強調した。同社は新商品のキャンペーンは火曜日に始めるのが通例だが、10月の第1弾は金曜日の1日からスタートさせる。
 秋冬の主力商品であるおでんを2個買うごとに30円割り引くセット購入促進策も開始。セブンイレブンもおでんの70円均一セールや、飲料や洗剤の値段を割り引く「お試しセール」を相次いで実施している。
 ただこうした各社の「顧客つなぎ留め策」は値引きに訴えがち。価格競争が激化し、客単価のいっそうの低下をもたらす懸念も強い。セブンイレブン幹部は「なんとか10月以降も前年を確保したい」と話すが、特効薬は見当たらない。すでに4万5千店を超えたコンビニの飽和感がより鮮明になりそうだ。



米の新聞広告収入 第2四半期も落ち込む
米国新聞協会(NAA)は、全米の新聞社の広告収入に関するデータを発表した。新聞紙と電子版を合わせた2010年第2四半期の広告収入は64億4000万ドルで、前年同期比5.6%減となった。減少は16四半期連続。
特に新聞紙の広告収入の不振が目立ち、前年同期比7.6%減の56億9000万ドルだった。2ケタの割合での落ち込みが続いたことを考えると、減少のペースは若干緩んだ。一方、電子版は7億4390万ドルで、同14%増だった。



ヱヴァンゲリヲン」絵コンテ「流出」 アスカの顔の皮剥がされ「吐き気がする」
大ヒットしたアニメ映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」で映像化されなかった絵コンテがネット上に「流出」、その絵コンテの中身が陰惨すぎるとネットで騒動になっている。その中身とは、ヒロイン「式波・アスカ・ラングレー」の顔に無数の針が突き刺さり顔の皮が剥がされる、というもの。
ネットでは「吐き気がする」「アスカの扱いがぞんざいで、どこまでアスカを貶めるつもりだ」などといった批判が出ている。
無数の針がアスカの目や頬に突き刺さり…
ヱヴァンゲリヲンの劇場版「破」は2009年6月に全国劇場公開された。興行収入が40億円となる大ヒットになり、10年5月26日に発売された劇場版のDVD、BDも2週間で合計100万枚を超えるなど社会現象になった。
「流出」した「破」の絵コンテはアスカの戦闘シーン。ヱヴァンゲリヲンに搭乗していると思われるアスカの前方に無数の針の集合体が現れる。その針がアスカの体に向かって伸び、アスカが前に出した手を貫通し目や頬に突き刺さり、最後に顔全体を覆う。そしてアスカの顔の皮を剥ぎ取っていく。剥がれた顔面の顔は登場キャラの「渚カヲル」の顔になる。アスカの顔の中から出た黒い針はアスカの全身を貫き、アスカの全身がヤマアラシのようになってしまう、という内容だ。
ネットではこの絵コンテに対し、
「やめろーーーーー!」「グロかったり残酷にすればいいってもんじゃないしね」「これマジなら俺はどうすればいいんだよ、、、死にたい」「仮にアスカ嫌いな人でもここまで考えつかないわ。 スタッフや庵野が少し怖くなったw」
などといった批判の書き込みが多く出た。また、「破」ではアスカを魅力的に描いておらず扱い方がぞんざいだったとし、「スタッフがアスカを嫌いだったのがはっきりした」などと感想を述べる人もいた。
全集を読むと謎は解ける
実はこの絵コンテ、2010年9月6日に発売された「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 全記録全集」に収録されているもの。「ヱヴァンゲリヲン」シリーズの制作会社ガイナックスに話を聞くと、この全集には「破」のメイキング資料がすべて盛り込まれていて、企画段階で提示されたものの結局はボツになった資料や絵コンテ、映像写真も含まれているという。話題になっている「アスカ」の絵コンテも映像化されなかったものだ。それを誰かが違法にアップし、こうした騒ぎになった。
同社の担当者によれば、全集は約500ページ、その半分は監督や制作スタッフのインタビューが掲載されている。
「確かにあのシーンだけを抜き出して見るとショッキングに感じる人もいるとは思うが、通して読めばあのアスカの展開が出てくるのは不思議なことではない。どうしてあのシーンが提案され、そして映像化されなかったのか、インタビューを読めばわかっていただけると思います」
と話している。



【産経主張】ペイオフ初発動 自己責任原則の再認識を
 銀行法違反の疑いで経営トップが逮捕された日本振興銀行が経営破綻(はたん)し、昭和46年に預金保険制度が創設されて以来、初めてペイオフが発動された。
 政府はこれを契機として本格的に金融機関の競争を促し、再編・淘汰(とうた)を通じて金融の活性化を図るべきだ。
 預金を全額保護しないペイオフは銀行経営者と預金者、金融監督機関3者のモラルハザード(倫理の欠如)を防ぎ、規律ある緊張関係を保つために必要な措置だ。公的資金で救済せずに発動したのは当然である。老後に備え、退職金を預けていた高齢者などもいるが、自らの判断で金融機関や商品のリスクを見極める自己責任原則を再認識する必要がある。
 振興銀では、預金者が銀行の健全度にかかわらず高利の預金を選択し、銀行はリスクを考えずに大口融資を拡大した。金融庁ペイオフを前提とした事前の監督を怠ったとの指摘もある。
 ペイオフ解禁は、平成8年に始まった日本の金融制度改革(ビッグバン)の主要政策の一つであり、金融機関をすべて保護する「護送船団方式」からの脱却が目的とされた。
 しかし、不良債権問題の表面化で金融機関の破綻が相次ぎ、政府はモラルハザードの問題を棚上げし、平成17年4月にペイオフが本格解禁されるまで預金を全額保護してきた。金融機関の連鎖倒産防止や地域経済に与える影響が配慮されたためだが、現在は金融システムは安定している。
 また、同行は顧客の決済口座がなく、他の金融機関との資金のやりとりも少ない特異なビジネスモデルで、ペイオフに踏み切っても金融システム全体に与える影響はほとんどないと判断された。
 振興銀中小零細企業向け融資の専業銀行として期待されてスタートした。だが、ノンバンクとの大口取引などで法令違反を指摘され、破綻した。健全な借り手に対しては、混乱回避に万全な対応が求められる。
 民間金融機関に競争を促す以上、与党の郵政見直しは官業化をめざす正反対の政策である。「暗黙の政府保証がある」との考えを国民に抱かせ、郵貯への預金の移し替えによって民業を圧迫する懸念が強い。自由で健全な金融の構築に向けて郵政法案を撤回しないと筋が通らない。