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映像コンテンツの権利処理や規格を統一 米業界の狙いとは(COLUMN)
 映像コンテンツの流通チャンネルが多様化している米国では、映画やテレビ番組をDVDやCATV、インターネットなどさまざまなプラットフォーム上で楽しめる。しかし、多様化は一方で、ユーザーに混乱を招いたり、運用コストの上昇といった弊害をもたらしたりもする。こうした課題を流通チャンネルの垣根を超えて解決しようとするプロジェクトが動きだした。■ややこしい料金体系や複雑な操作
 米国でもつい最近までは、家庭で映画を見るといえばパッケージメディアと映像プレーヤーが主役だった。映画スタジオもVHSやDVDのソフト販売に力を入れ、他のプラットフォームには関心を示そうとしなかった。しかし、現在はCATVやIPTVでのビデオ・オン・デマンド(VOD)が広く普及し、ネット経由の動画配信サービスや家庭用ゲーム機向けのビデオ配信も盛んになってきた。おかげで映画スタジオや大手テレビ局は、人気番組を様々な配信チャンネルに供給して、ビジネスを拡大している。
 これはユーザーにとっても、「好きな映画やテレビ番組を様々な場所で見ることができる」というメリットがある。しかし、多様化は便利なことばかりではない。同じ映画やテレビ番組でも、地上波放送や広告付きのネット配信なら「無料」だが、CATVやIPTVのプレミアムチャンネル、VODなら有料になる。
 また、ゲーム機やアップルの「iPhone」といった携帯端末、パソコンなどにダウンロードした映画は、その端末でしか再生できない。せっかく映画を購入してもパソコンからテレビに番組を移し替えて見ることができない。多くのユーザーは、こうした様々な制約と面倒な端末操作に振り回されている。一方、コンテンツを供給する側も様々な方式や料金体系が乱立し、配信システムの複雑化とコスト上昇に悩まされている。
■各業界の大手50社が規格の策定に着手
 2009年9月に動き出した「DECE(the Digital Entertainment Content Ecosystem) LLC」は、そうした状況の改善を目指している。この団体には、CATV最大手のコムキャストや大手コンテンツ会社のフォックス・エンターテインメント、ソニーモトローラなど幅広い業界の約50社がメンバーとして名を連ねている。
 DECEの目的は一言でいえば、端末や配信方式を超えた「コンテンツ権利処理の統一」にある。この目的を「コモン・ファイル・フォーマット」「DRM(デジタル著作権管理)の互換性確保」「ユーザー認証方式の規格化」という作業を通じて達成しようとしている。
 映画スタジオや放送局が多様な流通チャンネルに向けてコンテンツを供給するには、現在は再生機器(パソコン、DVDプレーヤー、セット・トップ・ボックス、携帯機器など)と配信方式(固定ブロードバンド、CATV、IPTV、無線ブロードバンドなど)の規格に合わせて、それぞれのフォーマット(ファイル形式)にコンテンツを変換しなければならない。また、オンライン配信事業者も同様に、様々なフォーマットでデータをサーバーに蓄積している。
 こうした手間をなくして効率よくコンテンツをデジタル配信するにはフォーマットの統一が不可欠だ。これがコモン・ファイル・フォーマットであり、統一されれば配信システムやネットワークの負担を大きく軽減できる。
 違法コピーなどを防止するためのDRMは現在、おもに5種類の方式(Adobe Flash Access、CMLA OMA V2、The Marlin DRM Open Standard、Microsoft PlayReady、Widevine)がある。DECEは、これをベースに互換性を確保しようとしている。また、端末や配信方式を問わずコンテンツを楽しむには、ユーザーがどのような権利を持っているかを確認する必要があり、個人認証システムの規格作成も行っている。
■「抱き合わせ」販売などで商機が拡大
 DECEによる規格のオープン化が成功すれば、関連産業に大きな影響を与えることは間違いない。端末メーカーはDECE方式だけに対応すればよくなり開発費用を軽減できる。CATVやIPTV、インターネットを使った配信事業者も、同様に設備の簡素化とコストダウンを進めることができる。
 しかし、影響はコストダウンだけではない。「DVDを購入したユーザーは、同じ作品をVODでも無料で見ることができる」という抱き合わせサービスなど、新たな事業モデルが可能になるからだ。
 たとえば、米IPTV最大手のベライゾン・コミュニケーションズは、映画やテレビ番組のVOD視聴、レンタル、販売(携帯機器へのコピー自由)をリモコン一つで選択できるシステムを検討している。これまでも技術的には十分可能だったが、コンテンツの権利処理で難航してきた。DECEにより規格のオープン化が進めば、こうした便利なサービスも実現するだろう。
 オンラインでの配信事業者やパッケージソフトのレンタル事業者の商機も拡大する。ユーザー認証方式が規格化されれば、DVDの発売と同時にCATVのプレミアムチャンネルやVODでコンテンツを配信することも容易になるからだ。現在は、DVDの売り上げに悪影響を与えるとの懸念から時間差を設けているが、DVDとVODを抱き合わせ販売すればこの問題は解消される。ユーザーも機器を選ばず手軽にコンテンツを視聴できるようになる。小さい子供は繰り返し同じアニメを見るが、そうした家庭では重宝なサービスとなるだろう。
 これはCATV業界にとっては、年間200億〜300億ドルと推定されるDVD販売市場に道が開けるということを意味する。逆に、DVDを販売する小売店にとっても、VODとの抱き合わせ販売はDVDの付加価値向上や販売促進策につながる。米国のCATVやIPTV業界は最近、自社の契約ユーザーにブロードバンドでも同じ番組を提供する「TV Everywhere Project」と呼ばれる方式を採用しつつあるが、この利用価値も高めることができる。当然、違法コピー対策にもいい意味で貢献するだろう。
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 DECEは、今年7月までにデジタルコンテンツ配信システムの技術仕様をまとめる予定だが、それがうまく普及するかどうかは予断を許さない。確かに、コストダウンや新たな販売促進の可能性を秘めたプロジェクトだが、大手企業にとっては別の懸念がある。一般に、規格やフォーマットのオープン化は利用者や新規参入者に多くのメリットを与えるが、既得権者は失うものの方が大きいからだ。
 DECEもフォーマットなどの整備は行うが、それを使った抱き合わせサービスなどについては「個々の契約交渉にゆだねる」としている。とはいえ、コンテンツ、機器、配信という利害の異なる事業者が規格をオープン化するためのテーブルについたということだけで、脱帽すべきだろう。ダビング回数や補償金問題で議論すらままならなくなった日本とは大きな違いだ。



サムスン、3Dテレビを前倒し発売 日本勢に先行
 【ソウル=尾島島雄】韓国のサムスン電子は25日、立体的な映像を視聴できる3次元(3D)テレビを韓国で発売する。当初は3月中に販売を始める予定だったが、市場からの引き合いが強いとみて前倒しする。パナソニックなど日本勢に先行して販売することで「3Dテレビ=サムスン」と印象づける狙いがある。
 まず40型台と50型台を販売するもようで価格は300万〜500万ウォン(1ウォン=約0.08円)台とみられる。米欧でも3月に発売する予定で日本メーカーとの競合が激しくなるのは確実だ。



トヨタ公聴会、米トヨタ販売社長「心からおわび」
 【ニューヨーク=西邨紘子】トヨタ自動車の米国での大量リコール(回収・無償修理)を巡る米下院エネルギー・商業委員会の公聴会に23日、米トヨタ自動車販売のジム・レンツ社長が出席し「顧客の皆様に不安や心配を起こしたことを心からおわびする」と謝罪した。急加速についての苦情の7割が今も原因不明であることについて「今後も原因解明への努力を続ける」話した。
 レンツ氏の家族も複数がリコール対象となったプリウスを所有しているという。自身の弟が自動車事故で亡くなった過去を語り「事故被害者の家族の気持ちは痛いほど分かる」と涙をこらえる様子の場面もあった。



セガ任天堂、「マリオ&ソニック」五輪版の世界出荷600万本達成
 セガは、任天堂と共同開発したゲームソフト「マリオ&ソニック AT バンクーバーオリンピックTM」の世界累計出荷本数が合計で600万本を突破したと発表した。マリオ&ソニックという世界的に人気のキャラクターを使用していることや、バンクーバー冬季五輪が舞台となるスポーツゲームであることなどが販売を押し上げている。
 同ゲームはマリオやソニックなどがアルペン大回転、スキージャンプ、などの競技に挑戦するゲーム。セガ国際オリンピック委員会(IOC)のゲームソフトの独占的許諾権を取得しており、セガが欧米、任天堂が国内の販売を担当している。昨年の10月13日から順次発売を開始し、約5カ月で600万本を達成した。



GMO、ネットゲーム開発支援 個人・VBに開発費
 GMOインターネットは3月から、交流サイト(SNS)向けに、個人やベンチャー企業によるオンライン・ゲーム開発を支援する事業を始める。30前後の開発チームを公募し、3億円を投じて人件費や開発経費を負担。ゲーム公開用のサーバーも一定期間、無料で貸し出す。
 GMOインターネットは有力なゲーム開発を支援することでゲーム収益の2割を開発チームから受け取る。開発者が無料期間後もサーバーを利用し続ければサーバーレンタル事業の増収にもつながる。



講談社の09年11月期、最終赤字57億円 広告収入26%減
 講談社が23日発表した2009年11月期の決算は最終損益が57億円の赤字(前の期は76億円の赤字)だった。雑誌の広告収入が26%減少したのが響いた。売上高は前の期比7.8%減の1245億円で、書籍が5.9%減、コミックを除く雑誌は9.6%減だった。
 売上高は1995年の2033億円をピークに減少が続いている。営業赤字は73億円、経常赤字は49億円だった。賞与や会合費のカットなどで「十数億円の経費削減」(同社)を実施した。今後は全雑誌を見直しの対象とするほか、電子書籍や海外市場への対応を進めて事業の多角化を図る。



ウォルマート、ネット配信会社を買収 映画やテレビ番組充実
 【ニューヨーク=杉本晶子】世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズは22日、米映画・テレビ番組のインターネット配信会社VUDU(ブードゥー)を買収することで同社と合意したと発表した。ウォルマートはネット小売事業を拡大しており、物販だけでなく映画などコンテンツ(情報の内容)配信も充実させる狙いだ。
 ブードゥーは米シリコンバレーに本拠地を置くベンチャーウォルマートは同社の全株を取得する。買収額は明らかにしていないが、米紙ウォールストリート・ジャーナルによると1億ドル(約91億円)強とみられるという。数週間以内に買収手続きを完了する。



ワンピース:57巻の初版300万部突破 コミックス史上初、自己の日本記録更新
 3月4日に発売される尾田栄一郎さんのマンガ「ONE PIECE(ワンピース)」(集英社)57巻が、コミックスでは史上初の初版300万部を突破することが22日、明らかになった。09年12月に発売された56巻で更新したコミックスの初版部数日本記録(285万部)を早くも塗り替えた。



日米の2密約を確認、半島有事と沖縄の核 有識者委、報告へ
 1960年の日米安全保障条約改定時などに日米が交わしたとされる外交密約を巡り、解明に当たってきた外務省の有識者委員会が3月に公表する報告書の原案が23日、明らかになった。朝鮮半島有事での米軍による在日米軍基地の自由使用や、沖縄への核の再配備を認める密約の存在を確認。焦点である米艦船による核持ち込みに関する密約は、安保改定当初は成立せず、双方が異なる解釈をしていたと指摘する。政府が一貫して存在を否定してきた密約の実態が明らかになるのは初めて。
 有識者委が2つの密約の存在を確認するのを受け、鳩山政権は「密約はない」としてきた自民党政権当時の政府見解を見直す。その際、これら2つの密約を無効とみなして事実上、破棄するのかどうか、判断を迫られる。政府は事前に米側とも調整し、決める考えだ。