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激戦区の携帯OS市場 日本主導の「LiMo」に活路はあるか(COLUMN)
 「LiMoプラットフォームは日本の携帯電話会社へ、海外展開への無理のない筋道を提供している」──。11月9日、東京都内のホテルで開催されたLiMo Foundationの記者発表会で、エグゼクティブ・ディレクターのモーガン・ギリス氏はこう語った。携帯OSは「iPhone」「Android(アンドロイド)」「Symbianシンビアン)」「Windows Mobile」などが激戦を繰り広げ、日本の携帯ベンダーは国際市場から距離を置く「パラダイス鎖国」状態に陥っている。果たしてLiMoプラットフォームは、日本勢の海外躍進を約束してくれるのだろうか。
■日本主導の携帯OS団体
 LiMoといえば、設立メンバーにNTTドコモや英ボーダフォン、仏オレンジなどの大手携帯事業者が顔をそろえていることで有名だ。2008年以来、LiMoプラットフォーム「R1」を使った端末は44機種発売されているが、その7割強はパナソニックモバイルコミュニケーションズとNECで占められている。その意味では数少ない日本主導の携帯OS団体といえる。
 今回の記者発表はLiMo端末の欧州展開を記念して行われた。その「Vodafone 360 Samsung H1」と「同M1」の2機種は、LiMoの最新プラットフォーム「R2」をベースとし、9月24日にボーダフォンから発表された。LiMoの欧州展開を象徴する端末だ。
■中立型の端末プラットフォーム
 では、LiMoプラットフォームは、どのようなポジションを狙っているのだろうか。前述のギリス氏は「どの会社にも依存しない端末プラットフォーム」をLiMoの特徴だと強調する。これは次のような意味である。
 たとえば、アップルのiPhoneは、独自のiPhoneMac OSを搭載している。また、ブラウザーやアプリケーション開発キットなども、すべてiPhone専用のものをそろえている。これはiPhoneのハード能力を最大限に引き出すためで、端末に依存する携帯OSの典型である。同様に、カナダRIM(Research In Motion)の「BlackBerry」やパームなども、端末ベンダー依存型OSと分類できる。
 一方、Windows MobileAndroidSymbianなどは、開発する親会社に依存する。Windows Mobileマイクロソフトのアプリケーションと相乗効果を発揮するように設計されている。同様にAndroidはグーグルに、Symbianノキアに依存している。これらは開発企業に依存する携帯OSといえる。
 では、LiMoはどうだろうか。LiMoはオープンソースのMobile Linuxをベースにコア部分だけを共同開発する携帯OSだ。OS部分は同一でも、その上にある仮想マシンブラウザーなどは携帯ベンダー各社が自由に選べる。また、好きなユーザーインターフェースを採用し、アプリケーションも独自に開発できる。これが「どの会社にも依存しない端末プラットフォーム」のゆえんだ。
■使い方次第で大きなメリット
 とはいえ、依存型OSと共同開発型OSは、それぞれ長所短所を持っている。前者は特定の端末で機能を最適化できたり、AndroidiPhoneのようにアプリケーション開発の負担を軽減できたりする。また、Windows Mobileのように、パソコンアプリとの連携も追求できる。共同開発型OSは、こうした部分を端末ベンダーがすべて負担しなければならない。
 逆に後者は、ブランドや携帯アプリなどをすでに持っている大手携帯ベンダーにとっては、「どこにも依存しない」ため戦略的な自由度が高く、ライセンス戦略も組み立てやすい。つまり、LiMoは使い道によって「大きなメリットを生み出す可能性がある」携帯OSだと、私は見ている。
 事実、LiMo Foundationのメンバーである米携帯最大手のベライゾン・ワイヤレスは、スマートフォンを中心とする上位モデルにBlackBerryWindows MobileAndroid系端末を採用する一方、中位から下位モデルでは、これまで同社が展開してきた独自ユーザーインターフェースを継承できる携帯OSを模索している。その候補として同社はLiMoプラットフォームに注目している。
 携帯ユーザーすべてが、高機能な端末を求めることはない。シンプルで使いやすく、最低限度のデータ通信サービスが利用できる中下位モデルは、これからも重要だ。特に、新興国の市場開拓では重要な役割を担うだろう。そこをLiMoが狙うとすれば、実に合理的なアプローチといえるだろう
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 このように、多くの携帯OSはそれぞれの特徴を生かして、それぞれの市場を狙っている。ただ、数年先には市場に大きな影響を与える変化が起きるかもしれない。携帯端末向け「仮想OS」の出現だ。
 現在、大手仮想OSベンダーは、モバイル端末向けの製品開発を積極的に進めている。仮想OSを使えば、複数のOS環境を1台の端末で利用できるようになる。たとえば、SymbianAndroidをアプリケーションごとに切り替えて利用するといったことが可能になる。もちろん、端末への負荷は大きいが、従来にも増してアプリケーションの多様化が進むだろう。
 そうなれば、LiMoがどのような評価を受けるかはわからない。シンプルで使いやすい中下位モデルに特化するLiMoの特徴が重宝がられるかもしれないが、逆に「中立的なOS」としての価値が下がる可能性もある。
 そうした様々な伏線を考えると、LiMoプラットフォームの世界展開は容易ではない。とはいえ、日本の携帯文化を世界に広げようとするLiMoの試みには依然として大きな期待がかかっている。



製造業の投資、新興国シフト 09年、欧米向け逆転も
 日本の製造業が国内や欧米から新興国へ投資をシフトしている。トヨタ自動車コマツが2009年度、設備投資全体を絞る中でアジア向けを増やすほか、住友金属工業はブラジルでの製鉄所建設などへの投資を増額。今年は製造業全体の対新興国投資額が対欧米を初めて逆転する可能性がある。日欧米の景気の足取りが弱い中、成長が続く新興地域に経営資源を再配分する動きが強まりそうだ。
 トヨタは09年度の設備投資総額を下方修正して7600億円と前年度から4割減らす。うち生産能力過剰となっている国内向けが4800億円へと4割、欧米が1900億円へ5割強の引き下げとなるが、逆にアジア向けは700億円へと2割拡大。中国・広州や天津で工場を拡張、インド第2工場の建設を予定通り進める。



普通国債発行、140兆円超 新規・借換債、10年度計画最大に
 政府が12月下旬にまとめる2010年度の国債発行計画で、新規国債と借換債を合わせた普通国債の発行額が初めて140兆円超となり、過去最大を更新する見通しであることが明らかになった。これまで発行した国債の返済に充てる借換債が100兆円規模に上り、新規国債も44兆円規模と当初予算ベースで過去最大の見通しとなるためだ。
 普通国債は借換債と新規国債を合わせたもので、利払いや償還財源を主に税財源で賄う。10年度の普通国債発行額は09年度の当初予算ベースに比べて20兆円前後増え、これまで最大だった06年度の約138兆円を上回る公算が大きい。



日航の年金、OB3割減に縮小案 現役は5割、同意取り付け狙う
 日本航空が、経営再建にあたり最大の懸案となっている企業年金の減額について、現役社員の給付額を加重平均で5割減、OBは同3割減とする案を検討していることが分かった。ただOBの一部は減額そのものに強く反対しており、情勢は流動的だ。
 これまでは現役社員にもOBにも5割程度の減額を要請する方針だったが、OBから強い反発が出ていた。OBの減額幅を縮小することで必要な同意を取りつけたい意向だ。



インドで携帯サイト向けに漫画を配信 ハーレクインなど
 出版社のハーレクイン(東京・千代田)とコンテンツ配信のソフトバンククリエイティブ(同・港)はインドで漫画の電子配信を始めた。同出版社の作品を英訳して携帯電話のサイト向けに配信。携帯電話の利用者が急増する同国での事業を新たな収益源に育てる。
 大手携帯通信会社のタタ・テレサービシズ(TTSL)の携帯サイトに恋愛小説を漫画化した「ハーレクインコミックス」の配信を始めた。主に都市部の富裕層の利用を見込む。



投信マネー、ブラジルレアル建て急増 通貨別シェア4位に浮上
 投資信託の投資先として、ブラジルの存在感が高まっている。投信のブラジルレアル建て資産は10月末時点で1兆4494億円となり、前年同月末の2.5倍に膨らんだ。高金利をねらった債券への投資に加え、経済成長を見込んだ株式投信への投資も目立つ。通貨別のシェアでは米ドル、ユーロ、豪ドルに次ぐ4位に浮上した。
 特に資金が集まっているのは債券に投資するタイプ。大和証券投資信託委託は「ブラジル・ボンド・オープン」など11本のブラジル債券ファンドを運用しており、10月の1カ月間で1000億円超の資金が流入した。



三者割当増資、割当先など詳細開示 金融庁、投資家保護へ
 金融庁は投資家保護の一環として、第三者割当増資に踏み切る企業の情報開示規制を強化する。特定のファンドなどに新株を発行する第三者割当増資の透明性を高めるため、資金の出し手や調達資金の使途などの詳細な開示を義務づける。あいまいさの残る新株発行で、既存の株主が不利益を被らないようにすべきだと判断した。来年2月からの導入を目指す。
 関連する内閣府令を改正する。企業が第三者割当増資を実施するときに財務局に届け出る「有価証券届出書」について、記載内容の拡充を義務づける方針だ。



ブランド和牛値下がり、法人需要が不振 松阪牛7%、前沢牛20%
 松阪牛前沢牛などブランド和牛の卸値の値下がりが目立っている。贈答などの需要期を控えたこの時期に集中する牛肉の品評会価格は軒並み前年を下回った。景気低迷の長期化が背景にある。今後、百貨店などの特売が増えそうで消費者には恩恵となりそうだ。
 松阪牛の品評会の平均価格は1キロ4631円と前年に比べ357円(7.2%)下落。値下がりは2年連続で直近の高値をつけた2007年比では951円(17%)安い。前沢牛は前年比20%安の2458円で同じく2年連続の値下がりとなった。今後開かれる九州産なども先安観を指摘する声が目立つ。



インド、携帯電話に番号継続制度 12月31日に導入
 【ムンバイ=黒沼勇史】インド電気通信規制庁(TRAI)は携帯電話会社を変更しても同じ番号を利用できる番号継続制度(ナンバーポータビリティー)を12月31日に導入する。価格競争が激しさを増す同国では顧客の争奪戦がさらに熱を帯びる見通しだ。TRAIは「携帯会社の間で競争が高まり、サービスの向上を促せる」としている。



「危機後」52カ国・地域が保護貿易措置を導入 WTO調査
 世界貿易機関WTO)の調査で金融・経済危機が深刻化した2008年10月以降、52カ国・地域が計290件の保護貿易措置を導入したことが分かった。最も多かった国はインド。米国、アルゼンチン、中国、ロシアが続いた。
 WTO保護貿易措置に関する調査は5回目で、今回は初めて年次報告書として発表した。1位のインドでは鉄鋼への関税を引き上げたり、中国製品への反ダンピング(不当廉売)措置やセーフガード(緊急輸入制限)を準備したりする動きを指摘された。
 2位の米国は中国製タイヤに対するセーフガードやバイアメリカン(米国製品優先購入)条項のほか、輸出国の補助金を問題視して相殺関税を準備。3位のアルゼンチンも中国製靴への反ダンピング課税に言及されるなど、中国製品に対する各国の警戒感が浮き彫りになっている。