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アジア中間層 輸出企業の新たな主戦場だ(6月29日付・読売社説)
 世界不況で打撃を受けた日本の輸出企業は、どう巻き返すか。中国、インドなどの中間層を狙う戦略が問われよう。
 自動車、電機などの輸出企業は、主力だった米欧向けの輸出が激減し、業績が悪化した。日本経済の足を引っ張り、景気後退に陥る要因になった。
 政府は今年の通商白書で、米欧向けの輸出に依存する構造を見直すべきだと指摘した。白書が注目したのが、「成長センター」であるアジア新興国の中間所得層向けのビジネスだ。
 不況を教訓に、米欧市場とともに輸出先の柱となる新市場の開拓を求めたのは当然だろう。
 日本以外のアジアで、1世帯当たりの可処分所得が年間約50万〜350万円に上る中間層は、1990年は1・4億人だったが、08年には中国、インドなどを中心に6倍の8・8億人に急増した。
 「ボリューム・ゾーン」と呼ばれるこの中間層は増え続け、購買力を高めている。人口減が進む日本とは対照的で、国内需要の縮小を補う期待は大きい。
 アジア向け製品のデザインセンターを設けたり、廉価な第2ブランドに力を入れ始めた日本の先行メーカーも少なくない。
 しかし、先進国向けの高付加価値品が得意な多くの日本企業は、アジア中間層のニーズに合わせた低価格品の開発や、販売戦略で出遅れているとされる。
 製品の機能を絞り込んで、販売価格を下げる。地元企業とライセンス契約を結び、効率的な生産体制を整える――など、戦略強化が急務だと白書も指摘した。
 製造業だけでなく、生活関連の内需型産業も、アジア進出で活路が開ける可能性が高い。
 米欧のライバル企業や、現地企業との競争が予想される。通商摩擦を起こさないよう、人材育成を助けたり、技術移転で協力したりするなど、日本とアジアの共存共栄を図ることが欠かせない。
 政府の積極的な通商政策も、ますます重要になる。
 日本は、貿易や投資拡大を目指す経済連携協定(EPA)を重視しているが、締結したのはシンガポールなど11か国・地域にとどまる。懸案の韓国やインドなどと早期合意を目指すべきだ。
 自由貿易を推進するため、中国などで高まる保護貿易主義の圧力も阻止しなければならない。
 アジアへの投資拡大を促してインフラ整備などに協力し、域内の内需拡大を後押しできれば、日本の輸出に好影響を与えよう。



中国、石油備蓄2.6倍に 5年後メド 4000億円かけ新基地
 【北京=多部田俊輔】中国政府は国家戦略石油備蓄量を5年後をメドに現在の2.6倍の2億7000万バレルに増やす。浙江省などにある第1期備蓄基地の原油充てんがほぼ完了し、年内にも第2期の備蓄基地の建設に着手する。投資額は300億元(約4200億円)規模。国家エネルギー局幹部が明らかにした。世界2位の石油消費国である中国の備蓄動向は世界の石油市場に一定の影響を及ぼしそうだ。
 中国が近く建設に着手する第2期備蓄基地は、8カ所で構成し、合計備蓄量は2680万キロリットル(1億6900万バレル)。「5、6年以内には大半の基地を完成させ、順次充てんを始めていく」(同局幹部)という。



原発各社、米国事業を強化 三菱重は人員倍増
 原子力大手が米国での事業体制を強化する。三菱重工業現地法人の人員を年内に現在の2倍の200人に増やす。東芝原子力発電所向けに機器を供給する国内メーカーの米国進出支援に乗り出した。国内需要の伸びが見込めない一方、米国は原発の新設計画が相次いでいる。米国でプラント建設を円滑に進められる体制を整え、さらなる受注拡大を目指す。
 三菱重工が人員を増やすのは、2006年に首都ワシントンに設立した全額出資の原子力事業会社、三菱ニュークリア・エナジー・システムズ(MNES)。米国原子力エネルギー協会から原子力プラント設計者として会員資格を得ている。



JR貨物、機関車投資を3割減 09年度、景気悪化で輸送低迷
 日本貨物鉄道(JR貨物)は機関車への投資を圧縮する。2009年度の投資額は前年度比3割減の約70億円にし、景気回復が遅れれば10年度以降も抑制を続ける方針。景気悪化で生産や販売が低迷、多くの企業が貨物輸送量を減らしているため。投資を抑える分は古い機関車の廃車を遅らせるほか、今ある機関車の運用を効率化するなどして対応する。
 09年度は電気機関車を前年度比4台減の19両、ディーゼル機関車はほぼ前年度並みの5両を新たに導入する計画だ。山陽線などで稼働する2両連結型の電気機関車「EH500」を6両導入するなど最低限の投資は続ける。企業が貨物の輸送を環境負荷が低い貨物列車に切り替える「モーダルシフト」の広がりで、中長期的には貨物輸送の需要が底堅いと判断しているためだ。



「日本の失敗繰り返さず」 景気対策で米CEA委員長
 米ホワイトハウスのローマー経済諮問委員会(CEA)委員長は29日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)に対し、金融危機に対応した政策の転換を図る「出口戦略」について「1990年代の日本の失敗を繰り返したくない」と述べた。
 委員長は「当時の日本は事態が改善し始めた際に政策を引き締めた」と指摘し、米国は景気回復を十分見極めてから金融・財政政策の正常化を図るべきだと強調した。
 委員長は「景気の底は近いとの楽観的な見方を強めている」と述べ、一連の財政出動で7〜9月期の経済成長は大きく押し上げられるとの見通しを示した。



北朝鮮の08年成長率、3年ぶりプラスに 韓国銀行が推定値
 【ソウル=山口真典】韓国銀行(中央銀行)は28日、2008年の北朝鮮国内総生産(GDP)が韓国ウォン換算で21兆5137億ウォン(約1兆5960億円)となり前年比3.7%増加したという推定値を発表した。06年は1.1%、07年は2.3%の減少で、プラス成長は05年(3.8%増)以来3年ぶり。
 名目国民所得(GNI)は27兆3472億ウォン(約2兆290億円)。1人当たりGNIは117万ウォン(約8万7000円)となり、韓国の約18分の1の水準だった。
 韓国銀は「成長回復は核問題を巡る6カ国協議重油や原資材支援による臨時的な要因が大きい」と指摘。09年は弾道ミサイル発射や核実験の強行などで国際社会からの支援が中断しているため、成長が再び鈍化する可能性が高いとみる。



イラン大統領選再集計、改革派が参加拒否
 【テヘラン松尾博文】大統領選挙後の混乱が続くイランで、改革派候補のムサビ元首相は27日夜、選挙管理機関である護憲評議会が呼びかけていた特別調査委員会への参加を拒否した。評議会は29日にも予定している選挙結果の最終承認を前に歩み寄りを求めたが、ムサビ氏は改めて選挙の無効を訴えた。一方、国会や司法府代表がムサビ氏らとの接触を続けており、ここに来て水面下で事態収拾を探る動きも活発化している。
 AP通信によるとテヘラン市内で28日夕、治安当局が改革派支持者約3000人に催涙弾などを発射して強制排除した。
 評議会は落選した3候補の代表を交えた特別委立ち会いの下で全投票箱の10%を再集計するとしていた。ムサビ氏は声明で「(一部の)再集計では疑問を取り除くことはできず、特別委の人選も中立ではない」として再選挙以外に解決策はないと強調。別の改革派候補だったカルビ元国会議長も28日の声明で評議会が選挙の不正を認めることができないなら「結果を承認済みの最高指導者ハメネイ師に責任を負わせればいい」と批判した。



イラク駐留米軍、30日に都市部から撤収期限 不安抱え自立探る
 【ドバイ=太田順尚】イラクは30日、駐留米軍が都市部から戦闘部隊を撤収させる期限を迎える。今年1月に発効した米イラク地位協定に基づく措置で、同協定で定める2011年末の完全撤退に向けた米軍再配置の第1弾となる。03年のイラク戦争開戦後の大きな節目となるが、米軍撤収後のイラク政府による治安維持には懸念も残る。イラクは不安を抱えたまま自立の一歩を踏み出す。
 マリキ首相は27日「イラクの主権を拡大する新たな段階の始まりに到達した」と述べ、今回の米軍撤収がイラク自立に向けて大きな意義を持つことを強調した。
 駐留米軍は28日までに、かつて民兵組織が激しく抵抗した首都バグダッドの反米強硬派指導者サドル師の拠点、サドルシティーなどの治安権限をイラク側に移譲。バグダッドでもほぼすべての検問所がイラク治安部隊の管理下に移行した。



世界の銀行「経営改善なお途上」 金融安定化理事会が声明
 【パリ=野見山祐史】世界の主な中央銀行や監督当局で構成する金融安定化理事会(FSB)は26、27の両日、スイスのバーゼルで設立会合を開いた。「銀行のバランスシートのてこ入れや強化はなお途上」との声明を公表。監督体制強化や会計基準統合などの改革を進め、9月の20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)で作業の進ちょく状況について報告することを決めた。
 27日に記者会見したドラギFSB議長(イタリア中央銀行総裁)は「銀行の資金調達拡大など金融システムは少し改善している。だが、まだ森を出ていない」と述べ、改革を急ぐ必要があるとの考えを示した。
 FSBは中銀や監督当局、国際通貨基金IMF)と連携し、銀行の監督強化、ヘッジファンド格付け会社の監視などの具体策を検討。いずれのテーマも年内に結論を得たい考えだ。



サマータイム「日韓同時なら効果大きい」 首相
 麻生太郎首相は28日の日韓首脳会談後の記者会見で、夏に時計の針を1時間進めるサマータイム制度について「やるなら一緒にやるというのは極めて効果が大きい」と述べ、日韓同時で導入すれば経済効果が大きいとの認識を示した。
 サマータイム制度は夏の日照時間の長さを活用するもので、温暖化ガス削減に効果があるといわれる。首相は「韓国で議論がいろいろ進んでいることも知っている。日本の対応を今後考えていきたい」と強調した。
 日韓首脳会談では7月1日の中小企業産業技術フォーラムや同3日の日韓中小企業CEOフォーラムなどで産業協力を進めることを確認した。