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台湾総統に国民党の馬英九氏、8年ぶり政権交代
 【台北=新居耕治】22日投票の台湾総統選挙は即日開票され、対中融和路線をとる野党国民党の馬英九・前主席(57)が過去最高の得票率で台湾独立志向の与党民進党謝長廷・元行政院長(首相=61)を下して当選した。国民党が政権に就くのは李登輝前総統が2000年に任期を終え、民進党陳水扁政権となって以来、8年ぶり。馬氏は中国との経済交流拡大による台湾経済の活性化を掲げており、台湾は1999年以来途絶えていた対中対話再開へ動き出す。
 住民の直接投票による総統選は1996年に初めて実施し、今回が4回目。馬氏は副総統候補の蕭万長・元行政院長とともに5月20日に正式に就任する。任期は12年5月までの4年間。馬氏は同日夜、選挙対策本部で「結果は個人や国民党の勝利ではなく、台湾人全体の勝利だ」と勝利を宣言。「総統就任後は(総統選に敗北した)民進党など野党の意見にも耳を傾ける」と語った。
 中央選挙委員会(選管)によると、投票率は76.33%で、馬氏は765万8724票を獲得し、58.45%の得票率を記録。544万5239票の謝氏を200万票以上、引き離した。



大勝の背景に経済への不安・台湾新総統に馬英九
 【台北=新居耕治】馬英九氏がチベット騒乱に絡む「反中」路線で追い上げた民進党謝長廷・元行政院長を抑えて大勝した背景には、一部住民の成長実感が乏しくなりつつある台湾経済の失速不安があったとみられる。新政権にとっては、中国との関係改善を突破口に、アジアで進む自由貿易協定(FTA)締結の波に乗り遅れない通商戦略の構築が急務になりそうだ。
 「台湾経済のグローバル化を進めたい。中国大陸との関係改善で、米国などが台湾とのFTA締結に応じるチャンスも増える」。馬氏は22日の勝利宣言でこう訴えた。



マンション管理、全面委託も可能に・国交省見直しへ
 国土交通省は分譲マンションの管理制度を抜本的に見直す。所有者でつくる管理組合の理事会が担ってきた管理業務を全面的に外部委託するのを認める。高齢化などで運営が難しくなっている理事会がなくても、建て替えや修繕が円滑にできるようにするのが狙い。管理組合による修繕積立金の徴収を義務づけることも検討する。法改正も視野に入れ、2009年度から新制度導入を目指す。
 マンションは1970年代から大量供給が始まっており、老朽化の目安とされる築30年超の物件が今後急増する見通しだ。国交省によると06年末で約63万戸が築30年以上。10年後には2.7倍の約173万戸まで増える。



上場企業の自社株消却、過去最高に・07年度
 上場企業が株主配分強化のため、保有する自社株(金庫株)の消却を積極化している。2007年度は株数で過去最高を更新、初めて10億株の大台を突破する見通しだ。金庫株の消却は発行済み株式を減らし、自社株の再放出によって1株当たり利益が減る恐れをなくすため、市場から好感されることが多い。株式相場の低迷も企業に自社株消却を迫っている。
 今年度の東京証券取引所上場企業の消却株数は11億1000万株超となり、過去最高だった前年度比で約3割増える見込みだ。消却総額は2兆5000億円強(未実施分は直近終値ベース)と株安の影響で前年度にやや及ばない見通し。



米IBM、「統合コミュニケーションソフト」に10億ドル
 【ニューヨーク=小高航】パソコン、携帯電話、テレビ会議など、ビジネスマンが別々に使っているコミュニケーション手段を融合する新しいソフトサービス市場が急拡大している。パソコンから相手の携帯電話に電話をかけたり、テレビ会議でパソコンのデータをやり取りするなど、ビジネスマンの働き方を大きく変える可能性を秘めている。米IBMは同分野を中心に企業向けソフトの開発に今後3年で計10億ドル(約1000億円)を投じる。米マイクロソフトも参入し、日本のシステム各社も開発を急いでいる。
 IBMが開発を強化するのは「統合コミュニケーション」と呼ばれ、電子メールや電話、テレビ会議など、現在は個別に使われている情報伝達手段を取りまとめるソフト。



東芝、中国で冷蔵庫合弁・広東美的と圧縮機生産
 【広州=阿部将樹】東芝は中国の白物家電大手、広東美的電器(広東省)と冷蔵庫事業で提携する。心臓部であるコンプレッサー(圧縮機)の製造合弁会社安徽省に設立することで合意した。2010年にも年間500万台を生産する。東芝の技術力と美的のブランド力、低コスト生産のノウハウを融合し、競争力を高める狙いだ。
 合弁会社名は「安徽美芝制冷設備」。資本金は3億2500万元(約49億円)で、美的が95%、東芝グループの空調機器会社、東芝キヤリア(東京・港)が5%出資する。安徽省合肥の経済ハイテク区内に設け、第1期として約4億9000万元を投じて10月までに工場を稼働させる。



景況感、大幅に悪化へ・日銀短観民間予測
 日銀が4月1日に公表する3月調査の企業短期経済観測調査(短観)について民間調査機関の予測がまとまった。大企業製造業の業況判断指数(DI)は14機関平均でプラス13となり、前回の昨年12月に比べ6ポイント低下する見通し。原油高や円高に伴う収益圧迫や国際金融市場の混乱で、企業規模や業種にかかわらず景況感が大幅悪化しそうだ。
 業況判断DIは、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値。大企業非製造業のDIの予測は前回より5ポイント低いプラス11となる見通しだ。



円建て外債、3倍超に・今年度発行、欧米での調達避ける
 海外企業が、サブプライム問題で混乱する米欧市場を避け、金利が低い日本での資金調達に動いている。円建て外債(サムライ債)の2007年度の発行額は2兆6200億円超と前年度の3倍以上に増える見通しだ。米シティグループなどが大型の起債に踏み切り、全体では11年ぶりの高水準。株式市場から債券市場、債券市場の中でも相対的に安定している日本へ「逃避」する動きが鮮明だ。
 サムライ債は海外の政府や企業などが、資金調達のために発行する円建て債券。今年度の発行額は、直近で最も多かった00年度の2兆6183億円をすでに上回り、1996年度(約3兆8000億円)に次ぐ。



東京都主導の大規模計画、「負の遺産」処理に1兆円
 多額の累積損失を抱える新銀行東京(東京・千代田)など、東京都が主導した大規模プロジェクトの処理や経営立て直しのために投入した資金額が、官民合わせて1兆円近くにのぼることが明らかになった。都は財政力を背景に大規模事業を次々と立ち上げたが、ノウハウ不足からことごとく失敗。新銀行では旧経営陣の責任を強調するが、同じ失策を繰り返した都の責任も問われそうだ。
 これらの事業は主にバブル期以降の税収増加時に着手した。都内には大企業が多いため好況時に税収が集中する。豊富な資金を使って始めたが甘い経営見通しや管理のずさんさから行き詰まったものが多い。こうした「負の遺産」に対し、都は追加支援や損失処理を迫られている。日本経済新聞の集計では2000年以降だけでも都や取引金融機関が実施した減資、追加出資、債権放棄などは15件で総額は約9500億円に上る。



政府系ファンド、米で課税強化案・免除特例を疑問視
 【ワシントン=藤井一明】世界の市場で存在感を増す政府系ファンドに対し、米国で課税の強化を検討する案が浮上している。現在は外国政府が稼ぐ所得に課税を免除する特例を適用しているが、一部の有力議員が妥当かどうかを点検するよう求めた。ファンドの台頭とともに外資への警戒感が強まっている。
 上院財政委員会のボーカス委員長(民主党)とグラスリー議員(共和党)が連名で税制を担当する議会関係者に書簡を送り、政府系ファンドに関する税制上の問題点の調査を要求した。ファンドの「規模と存在感の高まり」を踏まえ「他の外国人投資家との比較も含めて税制の理解を深めることが必要」としている。



日経社説 台湾の馬新総統は中国と対話再開を(3/23)
 台湾の最大野党、国民党の馬英九・前主席(57)が22日投開票の総統選挙で初当選し、8年ぶりに政権が交代する。今回の選挙結果は中国との関係が大きく変わっていく契機になるかもしれない。中台関係の行方は米中関係や日本の安全保障に決定的な影響を与える。陳水扁総統の後継として5月に就任する馬新総統は中国との対話を再開し、中台関係の安定に努めてほしい。
 与党、民進党謝長廷・元行政院長(61)との一騎打ちになった総統選は、対中融和路線を掲げる馬氏が大差で勝利した。1月の立法院(国会)選の国民党圧勝も追い風となった。チベット騒乱で中国の人権問題が争点に浮上、台湾独立志向の謝氏が追い上げたが、届かなかった。
 1996年に始まった総統(任期4年)の直接選挙は今回が4回目。中国と台湾の経済力は陳政権の2期8年の間にかなり変わった。
 2000年に世界7位だった中国の国内総生産(GDP)は、05年に米国、日本、ドイツに次ぐ4位に躍り出た。一方、国・地域別で世界16位だった台湾のGDPは21位に後退した。直近の台湾の株価指数は陳政権発足時を下回っている。
 馬氏は陳政権の“経済失政”を指摘し「両岸(中台)共同市場」構想を提唱した。台湾の「主体性」を訴える謝氏は同構想を批判したが、両氏とも中台直行便の拡大や対中投資規制の緩和、中国からの観光客受け入れなどを公約した。大陸との関係も含め、より実利的な政策を期待する票が馬氏に集まった格好だ。
 中国の温家宝首相は18日の記者会見で台湾との関係について「1つの中国」を前提としながらも「早期の対話回復を希望する」と述べた。馬氏は2期目に入った胡錦濤政権と対話を復活させ、中台問題の平和的解決に向けて話し合うよう望む。
 90年代に制空権などに勝る台湾が優位といわれた中台の軍事バランスも変わりつつある。軍事予算規模で中国は00年以降、台湾を上回った。総統選を前に米空母2隻が台湾近海に派遣されたとの情報もあり、台湾海峡は不安定になりかねない。
 総統選と同時に、民進党が提案した「台湾名義での国連加盟」と国民党提案の「中華民国、台湾などの名義での国連復帰」に関する住民投票も実施された。いずれも投票率50%を下回り、不成立に終わった。
 中国政府は住民投票が成立すれば「台湾の法的独立への一歩」と強く反対していた。中台双方は相手を刺激するような言動を控え、東アジアの平和と安定に寄与すべきだ。